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『和牛肉の輸出はなぜ増えないのか』
- 2020/10/31(Sat) -
横田哲治 『和牛肉の輸出はなぜ増えないのか』(東洋経済新報社)、通読。

引き続き図書館で畜産の本をば。

輸出については今回の仕事では多分関係ないのですが、
目次を見たら、日本各地のブランド牛の現状についてレポートされているようだったので
マーケットの情報を得るのに読んでみました。

著者は、本作でご自身が書いている内容から判断すると、
肉牛の世界では広く知られた専門家というかジャーナリストというか、
そういう立場の方のようですね。

農政的な見地からの考察があり、また生産現場の声も拾っており、ざっと読むと、
日本における畜産業性の閉塞感と、その中でブランド化により活路を見出そうとする人々の姿が
ざっくり把握できるようになっています。

ただ、タイトルに対する回答の考察はほとんどされていないというか、
本題とずれているように感じるので、これは編集者が本を売るために中身と合わないタイトルを
つけてしまったのではないかと推測。

先に読んだ、個人で就農して事業展開していった人の話とセットで読むと
マクロとミクロの両方を押さえられた感じです。

ちなみに、読んだ後に著者の業界内ポジションを把握するために検索してみたら
「出資金詐欺」なる言葉が飛び込んできました。
取材活動で知り合った農業関係者などからお金をだまし取ったとして
裁判沙汰になったようです。結果までは書かれてなかったので真偽のほどはわかりませんが。

人生いろいろですね・・・・。




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『小さい畜産で稼ぐコツ』
- 2020/10/30(Fri) -
上垣康成 『小さい畜産で稼ぐコツ』(農山漁村文化協会)、読了。

仕事で畜産の知識が必要になり、現状ゼロなので、
まずは初歩的な知識を得ようと地元で一番大きな県立図書館へ。
ところが、残念ながら月末閉館日だったので、やむを得ず市立図書館へ。

手ごろなサクッと畜産業が理解できそうな本がなかったので、
畜産業への就業を考えている人向けと思われるハウツー本を読んでみました。

肉牛を繁殖させ子牛を販売するという家業を継いだ著者は、
自分が作った牛の肉を自分で売りたいと考え、牛や豚の肥育に事業を転換していきます。

その一つ一つのステップを紹介しているので、
私のような初心者には却ってわかりやすかったです。

畜産業も、かなり分業化が進んでいる業界だと思いますが、
法律・制度面で制限されている部分を除き、極力自分ですべてやるというスタイルなので、
畜産の頭からお尻までの流れがつかめました。

繁殖母牛10頭、経産牛肥育年間1頭、豚の肥育年間約10頭、という規模でやっており、
この頭数で一家が養えるのぁか・・・・と、畜産業界の経営規模を計るのにも
わかりやすかったです。上記の飼育規模が、上垣家一単位という感じです。

まぁ、アイガモ農法稲作のアイガモ処理場を経営し、年間約5000羽を委託処理しているという
まさに分業社会の一端を担う仕事もされており、こちらの収益があるからこその
安定感なのかもしれません。

それでも、ベーコンなどの加工品を作って販売したり、
カフェをやったり、手広く拡大していくバイタリティがすごいですし、
それだけ投資できる資金をためられるだけの利益を出しているというのも
すごいなと思います。

これまで注目したことがなかった世界だったので、面白かったです。




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『羊と鋼の森』
- 2020/10/29(Thu) -
宮下奈都 『羊と鋼の森』(文春文庫)、読了。

私の中では、宮下奈都という作家のイメージがまだ固まっていません。
なので、本作で直木賞の候補になったと知った時、
「え、そんなに文壇で評価されている作家さんなんだ!」と驚いた記憶があります。

100円で見つけて買ってきたものの、何だか真面目そうな雰囲気が漂っていて、
しばらく積読でしたが、なんとなく、恩田作品からの流れで手に取りました。

最初、物語に入っていくのに違和感を覚えてしまったのが、
主人公の高校生の男の子に実在感が感じられなくて、
人間の話を読んでいるような感じがしませんでした。
なんだか、ファンタジーの世界の妖精の話を読んでいるかのような。

で、高校の体育館で、たまたまピアノの調律師が仕事をしている場面に立ち会うことになり、
その仕事に急激に惹かれて、進路を調律師への道へと決めるのですが、
ここから就職までがこれまた急展開で、なんだかファンタジー。

で、肝心の就職後の調律師の仕事ですが、
今まで全く関心が無かった世界なので、単純に、興味深く読めました。
そもそも調律とはどういう作業をすることなのか、から始まり、
調律師の顧客の受け持ち方とか、1日のスケジュールとか、顧客との関わり方とか。

一方で、調律師たちの調律という仕事以外の部分がほとんど描かれないので、
調律師という仕事を得た人物の全体像というのが見えてきませんでした。
あくまで調律の部分だけしか分からないという一面性が物足りなかったです。

主人公の男の子は、調律という仕事に真摯に向き合い、
いつも真面目に作業をし、自分の技術を磨くことに集中し、
職場の先輩にも素直に質問をしていく好青年です。
でも、彼の描き方も調律の話だけで、お客さんで気になるピアニストの女子高校生への
思いも描かれてはいますが、あくまでピアニストとして素晴らしいと思っているという位置づけです。

彼が調律という仕事に真剣であるということを厚みをもって描こうと思ったら、
調律以外のことをしている彼の日常も少しは書いていかないと
実在感が出てこないのではないかなと思いました。

直木賞候補ということでしたが、私には、あんまり刺さるものが無かったです。




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『木曜組曲』
- 2020/10/28(Wed) -
恩田陸 『木曜組曲』(徳間文庫)、読了。

耽美小説の巨匠が亡くなって4年。
毎年、その命日にあたる週の木曜日に、巨匠の邸宅に集まる女たち。
フリーライター、推理小説家、純文学作家、編集者、出版経営者、
5人のうち4人は巨匠の肉親。1人は担当編集者。
亡くなった日に居合わせたのもこの5人。
追悼のために毎年集まるものの、今年はおかしなメッセージが届いたことで
l巨匠の死の真相究明が始まる・・・・・。

洋館に女5人が集まって推理と詮索を繰り広げるという設定なので、
舞台を見ているような感覚でした。

それぞれに腹に抱えた思惑があり、コソコソと動いたりするために
お互いが視線を飛ばし合うような緊張感があります。

一方で、ほぼ肉親の集まりということもあってか、
誰かの一言でふと緊張感が緩んでいつもの和やかな空気が戻ってくるときもあり、
その緊張と緩和が不思議な小説でした。
普通の推理ものだと、ずーっと犯人捜しの緊張感があるので、
このふと気が抜ける瞬間が違和感なく描かれているのが何だか新鮮でした。

正直、5人が5人とも、企みを抱えて変な行動をとるので、
リアリティという点では違和感ありありなのですが、
まぁ、耽美派+洋館+会話劇という組み合わせが私にはもうファンタジーなので、
リアリティのなさは、そこまで気になりませんでした。

コトの真相に辿り着きますが、分かってしまえば、そんなことか・・・・・という感じで、
まあ、でも、5人の物語における各立ち位置を思うと、
そういう落とし方が一番収まりが良いのかなという気もしました。

最後、それぞれがこの物語を作品化するというところで話が終わったので、
続編を意識してるのかな?




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『ビジネス思考力養成セミナー』
- 2020/10/27(Tue) -
勝間和代 『ビジネス思考力養成セミナー』(ディスカバー)、読了。

ブックオフの店頭でパラパラッとめくってみたら、
頭の中を整理するためのテクニックについて解説しており、
シンプルな構成のようだったので、サクッと読めるかなと買ってきました。

Amazonの評価はかなり低いですが、私は結構満足できました。

たぶん、低評価な人は、MECEとかロジックツリーとか知ってるよ!(怒)という
反応だったのではないかなと思います。

私はむしろ、MECEをどうやって使いこなすかという点について
簡潔な解説ではありますが、結構本質をついているのではないかと思い、勉強になりました。
悪い事例において、どういう視点の置き方で考えるからダメなんだということを書いており、
要は、「使える分析ツール」に格上げしていくにはどうしたらよいか、
結論として導き出すべき行動計画に繋がる分析になっているかという点を
もう一度シンプルに認識できる内容でした。

シンプルなツールをシンプルに使えるようになることが
最も効果的な解決方法の立案に繋がるんだろうなと思います。




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『「身の丈起業」のすすめ』
- 2020/10/26(Mon) -
一橋総合研究所 『「身の丈起業」のすすめ』(講談社現代新書)、読了。

タイトルが、無理せずこじんまりと挑戦する起業を指しているように思え、
自分がまさにその対象かも・・・・と思って買ってきました。

第一章で、脱サラして起業した人の事例がいくつか紹介されているのですが、
その事例が、上場企業だったり、資本金9千万円だったり、とても「身の丈」とは思えない
ビッグサイズの話ばかりで、「あれ?思ってたのと違うな・・・・」という感じでした。

あと、出てきた事例が古くて、昭和の話だったので、
今とは時代背景が違ってて参考にならないのでは?とも疑問も。
こういうとき、著者が個人だと、その人の年齢や経歴などの個人情報から
内容が古そうかどうか判断がつけやすいのですが、組織名だとわからなくて困ります。
できれば、編集責任者の人とかの個人名を出してほしいです。

と、第一章では文句たらたらだったのですが、第二章「起業する前に」、第三章「起業するときに」は
一転して具体的な企業に向けての心構えや段取りの話になり、
ここは参考になりました。
第一章との断絶にも近いギャップが気になりましたが、
これは第一章と、二・三章で執筆担当者が違うということですかね(苦笑)。

第四章「会社を大きくしたくなった時に」、第五章「上場したくなった時に」は、
すでに「身の丈」を超えてしまっている内容のような気がしましたが、
ま、夢を大きく持つことは必要かもしれません。
・・・・・いや、これは冒頭で書かれている「身の丈起業」のコンセプトとズレてるな(苦笑)。

やっぱり、きちんと執筆者の名前を出してほしいなと思いました。
一番大事にしなければいけない基本コンセプトがブレているような気がします。
第二・三章だけ読めばいい感じ。




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『父 吉田茂』
- 2020/10/25(Sun) -
麻生和子 『父 吉田茂』(光文社知恵の森文庫)、読了。

先日読んだ政治モノがいまいちだったので、
他に積読はないかな・・・・と探してみたら、吉田茂宰相の本がありました。
しかも、娘の麻生和子さんが書いたもの。

身内でしか書けなさそうなエピソードが出てきたら面白そうだなと思って手に取りましたが、
まずは、和子さんが書く日本語そのものが読みやすく、またウィットに富んでいて
素敵な文章で引き込まれました。

そして、やはり、娘の目から見た吉田茂像が面白く、
家庭内でのエピソードなど家族でないと書けない話も多かったですが、
それ以上に驚いたのは、和子さん自身が外交の場にかなり参画していたという事実。

吉田茂夫人が戦時中に病死されていて、首相になった時のファーストレディの役目を
和子さんが務められていたようです。
外交官の娘とあって、幼少期から外国経験が豊かで、
また、吉田茂が意図的に、子供たちに様々な経験をさせようとした姿が見られ、
その甲斐あって若くしてファーストレディ役をこなせる能力を身に着けていたことが
素直にすごい人物だと思います。才女。

自分の思ったことは宰相である父に意見として伝えていたようですし、
また外交官役のような働きもされていたようです。
さらには、2.26事件の描写には、こんな緊迫した事態だったのかと驚きました。

吉田茂首相については、何かと皮肉言いだった私の祖父が、
「戦後の混乱期に戦勝国のアメリカ相手に口八丁で外交をした吉田茂が戦後の日本を作った」
と手放しの評価で、「吉田茂がいなかったら今の日本の発展はなかった」と礼賛してました。

本作を読んでも、自分の利益とか、保身とか、そういうことを一切考えずに、
「世界の中で日本はどうあるべきか」「今の日本にとってベストな道はどれか」ということを
常に真剣に、一人で考え抜いていたような感じがし、
骨のある政治家・外交官だったんだなと、改めて思い至りました。

日本という国を背負いながら、各国の有力者とは、
吉田茂個人の人間的魅力で信頼関係を築いていたような印象を受けます。
口は悪いし、政治の仲間づくりも苦手な人だったのかもしれませんが、
人間として日本というものに対して、また目の前の相手に対して
誠実な人だったのではないかなと思いました。

非常に面白く読むことができました。
今度は、吉田茂という政治家または外交官としての能力に真正面から切り込むような
骨太な評論を読んでみたいなと思います。




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『本屋さんのダイアナ』
- 2020/10/24(Sat) -
柚木麻子 『本屋さんのダイアナ』(新潮文庫)、読了。

著者の「アッコちゃんシリーズ」があんまり性に合わないので
ちょっと苦手意識を持っていたのですが、本作は本にまつわる話だったようなので
目線を変えたら面白く読めるかも・・・・と思い、そんなに期待せずに読み始めました。

が、めちゃめちゃ面白くて一気読みでした!

小学3年生のダイアナと彩子の出会いから物語は始まるのですが、
そもそもダイアナって純粋日本人で、しかも本名は「大穴」。
「世界一ラッキーな女の子になれるように」と両親がつけた名前とのことですが、
あまりの不憫さに同情してしまいます。

肝心の父親は生後まもなく行方不明になり、母親と二人暮らし。
母親も純粋日本人ですが、キャバクラの源氏名であるティアラで日常生活も通している強者。
ダイアナは、そんな母に「ダイアナ」の名にふさわしく金髪にされる等の不条理な仕打ちを受けますが、
でも、母のことは嫌いではなく、どこか頼っている感じがあります。
そして、自身は、名前や見た目のせいで友達ができず、本の世界に身を委ねています。

そんなダイアナに初めてできた親友が彩子。
良いとこのお嬢さんで、正義感も強く、学級委員長が似合うタイプ。
新学期早々にいじめられたダイアナを助ける形で知り合った二人は、
彩子も本が好きだったことで、急速に仲良くなっていきます。

そして、小学校3年生の描写から、中学校、高校、大学と
2人の成長を描いていくのですが、それは多分、主人公2人が愛読する『赤毛のアン』が
こういう感じの物語展開だったんだろうなと想像します。
私、西洋文学は苦手なので、『赤毛のアン』がどんな話かも良く分かっていなくて、すみません。

ダイアナは、母子家庭で母親が水商売という、社会的弱者の立場に居ながら
社会をしっかり見据えて、自分の力で人生を切り拓いていこうとする強い子供です。
そして、一見チャランポランに見える母親のティアラが、実はダイアナの教育役として
大きな役目を果たしているのが段々実感できてくる展開になっています。

私は、ダイアナとティアラの関係を軸に本作を読んでいました。
社会で生きていくために必要な観察力、考察力、忍耐力、行動力などを身につけるには
どうしたら良いかが、この親子から学べると思ったからです。

一方、彩子は、裕福な家庭に生まれて、本人は意識していないのですが
結構、上から目線で周りを見ているところがあるので、私の視点からすると
ダイアナの引き立て役のように見えてしまっていました。

しかし、大学生時代を描く章になったら、俄然、彩子の物語に興味が湧きました。
世間が頭が良いと認めている私立大学に受験戦争を勝ち抜いて入学したものの、
いわゆる「ヤリサー」に足を踏み入れてしまい、「良いとこのお嬢様」というアイデンティティが
一気に崩れていってしまう経験をしてしまいます。

普段の私なら、「世間知らずで馬鹿なお嬢だな」で終わってしまいそうなのですが、
ちょうど『積木くずし』を読んだ後だったので、いわゆる「非行に走る」「足を踏み外す」という
その最初のきっかけに関心が向いていて、この彩子の転落ぶりを見て、
「あ、こういう風に、人は道を間違えてしまうんだ!」ととても納得できてしまいました。

高校生まで優等生のお嬢さんで生きてきた女の子が、
悪質な男子学生と出会ってしまったがために、自分自身のアイデンティティを守ろうとして
無理やり理屈をつけようとして深みにはまっていく様子が、納得できました。
「なんであんな良い子が・・・・」と言われる部分の、「良い子」だから失敗が許されないという
そういう強迫観念にかられて益々悪い方へ行ってしまう理由が、理解できました。

そう、この本は、「大穴」とか「ティアラ」とか、リアリティのなさそうな設定に目が行きますが、
登場してくる人物たちは、とても真摯に自分の人生を生きようと一生懸命で、
そして、お互いにちゃんと敬意を払っているところが、すごく気持ちの良い物語だなと思います。

脇役として出てくる武田君も良い子。
小学生の時は、やんちゃ坊主でしたが、成長するにつれて、ダイアナとも彩子とも
男の子なりにきちんと向き合ってて、優しい子だなと思います。
家業のお肉屋さんへの敬意があることも素敵。
武田君が要所要所でダイアナを支え、派生的に彩子の人生も助けてくれる、
こんな男の子はヒーローですね。

最後に、本作では、様々な本が登場しますが、
私はあんまり有名な児童文学には触れずに育ってしまったので、
もっと子供の頃にいろんな本を読んでいたらよかったな・・・・・と若干の後悔も覚えましたが、でも、
向田邦子の『父の詫び状』等が素晴らしい本として登場してくると、
「そうだよねー、向田邦子って、凄いよね!!!」と満足度が何倍にも感じられる幸せ。

私は、一人で読書を楽しむタイプなので、
あんまり友達と本の感想を伝え合って楽しむという経験がないのですが、
その分、今は本読みさんのBlog巡りで楽しんでいる感じかな。

やっぱり、本って、良いですね~。幸せ。




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『ショート・トリップ』
- 2020/10/23(Fri) -
森絵都 『ショート・トリップ』(集英社文庫)、読了。

48編のショートショート集ということで、
裏表紙には「ユーモアとサービス精神にあふれた」とあったので
期待して手に取ったのですが・・・・・・うーん、いまいち。

冒頭の「ならず者18号」。
「流浪の刑」に処せられた男は、変な歩き方で旅をし、見る者に笑われるという刑なのですが、
歩き方の「変さ加減」の内容が、子どもが作ったコント見たいな設定でした。

「いやー、このレベルの話が続くと辛いな」と思ったのですが
さすがに動作で笑いを取る話が続くわけではありませんでしたが、
しかし、オチきらない話が続き、切れ味がイマイチ。

どうしても、ショートショートというと、星新一や阿刀田高のレベルを想像してしまうので
文字数制限の中に上手く物語を収めきれていないような感覚になりました。

毎日中学生新聞に掲載された作品ということで、想定読者が中学生という点に、
どんな作品世界を提示するべきなのか、著者が迷いを持ってしまったのではないかな
ということも感じました。

物語が3ページあり、4ページ目に長崎訓子さんによるイラストが載っているのですが、
このイラストは素敵なカットばかりで、途中からは、イラストを楽しむために
イラストに添えられている文章を読むというような感じになってしまいました。

それはそれで、この本の良い楽しみ方かも。




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『情報 ブレーン:歴史にみる群像』
- 2020/10/22(Thu) -
戸部新十郎、南原幹雄、米原正義、津本陽、栗原隆一、井出孫六
                        『情報 ブレーン:歴史にみる群像』(旺文社)、読了。

積読本の消化を進めましょう。
こちらも近所のおっちゃんからもらった本。
シリーズものですが、第2巻だけ(苦笑)。
たぶん、南原幹雄氏が服部半蔵を描いているから、三重県関連ということで読んだのかな?

歴史上の有名人物(戦国武将など)の側近としてブレーン役を務めた人物にスポットを当て、
歴史物作家がその半生を描くという企画です。

取り上げられたのは、蜂須賀小六、島井宗室、柳生宗矩、村垣範正、中江雪江。
私が名前を知っていたのは蜂須賀小六ぐらい。
普段から歴史物に触れていないと、こういう名前を知る機会は少ないですよね。
大河ドラマとかも見ないし(苦笑)。

そんな中で、やっぱり興味を持てたのは服部半蔵。
上記の人々の中ではずば抜けて知名度が高いのではないかと思ってしまいますが、
それは地元民の思い込みかしら。

服部半蔵自身のエピソードは既に知っているものがほとんどでしたが、
面白かったのは、その息子の正就のエピソード。
戦場で戦う武将としての能力はそこそこあったようですが、
伊賀忍者を統率し、仕える徳川将軍の具体的な指示がなくとも先を読んで隠密を手配させ
情報収集をし、手を打っておくという上忍としての能力がなかったとのこと。

それを自覚しているならともかく、そもそも上忍とは何を求められて将軍が重用しているのか
という点が理解できていないので、指示待ち人間になっていることに何の疑問も持っていない様子。
これは、後継ぎ教育に失敗しましたわね・・・・という事例ですね。

環境の大きな変化に自分の才覚で柔軟に対応してその勢力を伸ばした人間にとって、
その才覚を他の人間に教えるという行為は、難しいのかもしれませんね。
理論的に考えるという行為があまりにも感覚的に自身の中に溶け込んでしまっているために
言語化するのが難しいのかなと。

急成長企業の事業継承の問題点が、服部半蔵親子から見えてきて興味深かったです。




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