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『本当は間違いばかりの戦国史の常識』
- 2019/06/29(Sat) -
八幡和郎 『本当は間違いばかりの戦国史の常識』(ソフトバンク新書)、読了。

著者の名前は産経新聞とかで時々見るような気がしていたので、
あんまり文章は読んだことがなく知らないのですが、保守論客なのかなと思ってました。
が、本作を読んでみたら、結構軽めの歴史の本をたくさん書いているようで、
ちょっと印象が変わりました。

基本的に、江戸時代は安定していたが停滞していた時代として否定的であり、
反対に室町時代を肯定的に描きます。

確かに、私の日本史の知識でも、室町時代が一番良く分からないというか
興味を持てない時代でした。
たぶん、幕府として一本筋の通った統治戦略のようなものが見えにくいからかなと感じました。
江戸幕府だと、幕藩体制という確固とした戦略があって、将軍が変わっても、筋が通ってるんですよね。
それに比べると、室町幕府は将軍ごとに戦略が変わってしまい、つかみどころがない感じです。

本作では、室町時代の捉え方を、いろんな角度で教えてもらえたところが面白かったです。
ただ、構成が、世の中の常識に対して著者が正しい歴史を教えるという態を取ってるので
1つ1つのエピソードが細切れな感じがして、全体感が掴みにくかったのがちょっと残念でした。

戦国時代の話については、室町時代ほど新たな気づきがなかったので、
一般的な歴史読み物として楽しみました。




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『ルパン三世 イタリアン・ゲーム』
- 2019/06/28(Fri) -
『ルパン三世 イタリアン・ゲーム』

立て続けにルパン三世シリーズを見ましたが、
本作は、作画のタッチがまた違ってて、あぁ、違うチームが作ったんだなぁと。
どうしても宮崎駿作品と比べてしまうので、TVシリーズはかわいそうですね。
それにしても、1本の作品の中で、何となくタッチがいろいろ変わっていった気がするのですが
いろんなところに下請けに出して作ったということなのでしょうか?

話は、「カリオストロ伯爵の遺産」と呼ばれる謎の財宝を巡り、
ルパンと仮面伯爵とが対決するというのが一応軸になっているのですが、
富豪令嬢の誘拐事件騒ぎがあったり、偽装結婚があったり、MI6が絡んできたりと
何だか凄くゴチャついていた印象で、結局何の話だったのか良く分かりませんでした。

あと、ルパンシリーズで「カリオストロ」って聞いたら、
どうしても「あのカリオストロ」が頭に浮かんできますよね。
なんで、この名前を使ったんだろう?




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『昭和東京ものがたり 1』
- 2019/06/27(Thu) -
山本七平 『昭和東京ものがたり 1』(日経ビジネス人文庫)、読了。

主に著者の15歳ぐらいまでの東京の様子が描かれています。

家庭は中の上ぐらいの感じでしょうか。
平穏で安定した毎日があり、謹厳な父が居て、優しくも躾はしっかりした母が居て、
近所の友と日々遊び、夏は千葉に避暑に行き・・・・。

大正末期から昭和20年までって、
日本史の教科書だと、第一次世界大戦と第二次世界大戦の話ばかりで、
正直、庶民の生活がどんな時代だったのか全然イメージが付きません。

中島京子さんの『小さいおうち』を読んだ時に感じた
「昭和初期って、こんな時代だったんだ!」という驚きを
本作でも改めて感じました。
こちらは男の子目線。

中の上のおうちですから、男の子でも結構お上品な感じで
その分、たぶん目線も大人な感じが出ていて、
当時の東京の描写が興味深かったです。

そして、山本七平さんの文章が読みやすいです。
短い文章を重ねていくリズム感。
自分がこういう文章を書けないので、憧れます。

そしてご両親は和歌山県新宮市の出身とのこと。
私の住む三重県のお隣なので、親近感がわきます。

終盤、避暑に訪れた千葉県の漁村の様子が結構なページ数で描かれており、
東京のおぼっちゃんが見た千葉の漁村の生活も、これまた興味深かったです。
もし、当時、新宮に行ったことがあるなら、その話も読んでみたいなと思いました。




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『ルパン三世 グッバイ・パートナー』
- 2019/06/26(Wed) -
『ルパン三世 グッバイ・パートナー』

録画されてたので見てみました。

TV用に制作された2時間SPだそうで、
劇場版に比べると、やっぱり作画の粗さが目に付いてしまいますね。

物語は、銭形警部が、ルパンと共謀して盗みを支援していたとして
アメリカの警察に逮捕されるところから動き出すのですが、
今回、銭形警部の扱いは、かなり可哀そうな設定です(苦笑)。

濡れ衣を着せられた上に、中盤ではルパンと協力してインターポール内で大暴れ、
さらには黒幕に逃亡されるし、良いところなしです。
というか、彼に帰る場所はあるのか心配になってくるぐらい。
本作では、味付け程度の役回りなので、雑になるのは仕方ないのかな。

主人公は次元大介。
とある少女の誘拐事件の裏には、若き頃の次元大介が関係していた・・・・。
そしてルパンに対する裏切り行為。
黒幕への協力。
次元の切ない過去が明らかになりますが、しかし、裏切られたルパン側にしたら
たまったもんじゃないですね(爆)。

ルパンと次元が銃を構えて向き合っても、
「彼らの関係だから、何か裏があるんだろう」と思って、さほど不安は感じず。
むしろ、どこまでお互いに分かり合ってて、どこからが裏切りなのか
その線引きを見分けるのに一生懸命見ちゃった感じです。

量子コンピュータとAI技術の本作で与えられた役割は興味深く見ました。
なるほど、投資さえできれば、これだけの自衛する要塞ができてしまうのかと。
今回は要塞レベルで終わりましたが、これって、国家として独立することも
可能な感じを受けました。
途中から、外部からのコマンドを受け付けなくなるという状況が怖かったです。

黒幕さんの米国政治における立ち位置も、過剰演出な感はありますが
ヒラリーやトランプをネタにしてたりして、意外と面白かったです。

というわけで、ルパン三世としての物語よりも、
舞台設定に興味をもって楽しめました。
今の時代を反映した作品ですね。




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『人生スイッチ』
- 2019/06/24(Mon) -
『人生スイッチ』

TVで放送された映画を自動的に録画しているのですが、
その中で撮れてた作品です。

コメディっぽいタイトルだなと、気楽な気持ちで見始めたら、
飛行機の中でのパニックの話が、突如ブツ切れ。
「えっ!?」と思ってたら、どうやらオムニバス作品の様子。

次のシチュエーションは、郊外の古ぼけたレストラン。
悪徳業者が客としてやってくるのですが、
店員の過去の思い出から来る怒りが沸騰しそうな状態で、
一方でこの業者は客として嫌味をネチネチ。
まー、不快な気持ちが積もっていくストーリーです。
最後、急展開で結末を迎えるんですが、スカッと感が無い(苦笑)。
結末のつけ方の問題ではなく、その行動を起こした人が正常な頭の状態じゃないというところが
どうにも自分は引っかかってしまい、楽しめませんでした。

常軌を逸した人の話って、小説でも映画でも、苦手なんですよねー。
たぶん、自分自身が、理性を失うことに、ものすごい恐怖心を抱いているからだと思います。

本作では、6つの物語が登場しますが、
どの物語も、登場人物たちが常識の枠を外れたレベルで怒りを抱えていて、
しかもその怒りを表現しちゃうんですよね。
つまり暴走。
そこが、私には共感できなかったです。

暴走を、状況打開策として良しと認められる人には、
面白い作品のかなと思いました。

スカッとしたかったのに、逆にどんよりしちゃいました・・・・。




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『古寺巡礼』
- 2019/06/22(Sat) -
和辻哲郎 『古寺巡礼』(岩波文庫)、通読。

言わずと知れた古都奈良探訪の書。

「改版序」にて、著者自身が、
「若い頃の文章で恥ずかしいので書き直したいと思っていた」という旨のことを書いていますが、
私はこの文章に触れて、20代でこんな考察をして文章に落とせるなんて、凄い!と
ボキャ貧な表現で驚いております(苦笑)。

もちろん、著者の東大での勉学の基礎の積み重ねや、哲学者としての道を進んでいくうえで
大きな熱意をもって取り組んだ著者くだろうと思いますが、
それにしても、30歳の自分と比較して、それこそ恥ずかしくなる思いです。

私自身、仏教には興味が非常にあるものの、
仏像とか、寺院とか、そういう「モノ」については知識が乏しいので、
本作を読んでいても、「写真が欲しいなぁ」と思ってしまった愚か者です。
写真がなくても、その描写の細やかさで読んでいけるはずの文章なのですが、
今回は、そこまで読み込む気力がなかったです。

こんな暑い時期ではなく、読書に適した時期に読みなおそう。




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『旨い地酒を求めて』
- 2019/06/21(Fri) -
北川広二 『旨い地酒を求めて』(講談社文庫)、読了。

サブタイトルに「釣竿片手に」とあったので、
シーナさんみたいに、魚釣りをしながら、楽しくお酒を飲むエッセイかなと思って
どちらかというと魚の方を期待して買ってみたのですが、
訪問した先の酒蔵で、若い跡継ぎ夫婦にアレコレ指導したりしてて、
なんだか本格的な日本酒関係者っぽいです。

というか、冒頭に登場する森喜酒造場のるみ子さんって、知ってる人なんですけど(笑)。
いきなり身近なところで話がスタートし、
しかも、るみ子さんの若い頃の苦労譚を知ることができ、びっくり、ラッキー。

一体、著者は何者ぞ!?と思って読み進めど正体が分からず。
プロフィールにもはっきりした職業が書かれていないし、
検索しても出てこない・・・・・。

では、作家なのかというと、それほど文章自体に面白味はなく、
正直、日本酒作りに興味がある人でないと、読み通せないような気がします。

釣りの件は、海釣りではなく川釣りでしたり(爆)。

知ってる人が出てきたので、興奮して読んでしまいましたが、
冷静になってみると、お酒作りの真面目な話が多くて、淡白な内容でした。




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『農業ビジネスがよ~くわかる本』
- 2019/06/20(Thu) -
橋本哲弥 『農業ビジネスがよ~くわかる本』(秀和システム)、通読。

農業のことが知りたくて買ってきたのですが、
農業についての本ではなく、農業の周辺事業に関する本であり、
農業そのものについては、記載なしでした・・・・・トホホ。

「新規就農に役立つ!」と表紙には書かれていますが、
新規就農する個人には役立たないです。
農業に新規参入する法人の担当者向けの本ですね。

9年前の発行の本ですが、事例紹介として登場してくる企業が
らでぃっしゅぼーやとか、いろどりとか、モクモクファームとか、
この手の本では良く目にする名前のところが多く、それほど新鮮味はなかったのですが、
逆に、発行後の9年間で、新しい成功プレイヤーって登場してるのかな?というところが
気になりました。




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『だいたい四国八十八カ所』
- 2019/06/19(Wed) -
宮田珠己 『だいたい四国八十八カ所』(集英社文庫)、読了。

またまたタマキングさんの本をば。

今回は、四国八十八か所巡礼のレポートです。
修行の覚悟は無いだの、信仰心は無いだの言い訳してますが、
ちゃんと納経して、お寺の様子も眺めて、なにより地元の方やお遍路さんと交流して、
とても真面目な巡礼記だと思いました。

タマキングさんにしては真面目過ぎるかなと(苦笑)。
もうちょっと緩いレポを期待していたのですが、
全編にわたって、意外と真面目でした。
でもそれは、四国八十八か所という場所がそうさせるのかなとも思います。

お気楽な目的で巡礼を始めた人も、
真面目にならざるを得ないんだなぁということが分かって、
それはそれで興味深いです。

著者による、同じお遍路さんの分類というか、
スピードや回数を競う人々に対する辛辣な視線が面白かったです。

興味深かったのは、外国人のヘレナさんと一緒だった数日間のレポート。
外国を旅する人への著者の温かな視線は、
ご自身が外国を旅してきた経験そのものなんでしょうね。
この2人で、どこか異国の地を旅しても、面白いレポートになりそうだなと思いました。




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『12歳までに身につけたいお金の基礎教育』
- 2019/06/18(Tue) -
横田濱夫 『12歳までに身につけたいお金の基礎教育』(講談社文庫)、読了。

以前に、著者の銀行暴露本を読んだのですが、
それっきりになってしまってました。
子供向けのマネー教育本のようだったので、試しに買ってみました。

読み始めて最初に感じたのは、
これは子供向けの本ではなく、子どもを持つ親に向けた本だということ。
自分の子供が適切な金銭感覚と世の中を渡っていける力を持つために
親としてやるべきことを教え諭す本です。

時々、「そんな言い方をしたら身も蓋もない・・・・」と思ってしまう表現はありましたが、
概ね、言っている内容は納得できました。
というか、自分自身の子供時代を振り返っても、
親が意図的に社会勉強をさせるように仕向けてたところがあるなと思い当たるからです。

近所へのおつかいや、家業の出前に1人で行かされたり、
小遣い制度はなく、家業のバイトでの時給支払いだったり、
お年玉は自分名義の貯金通帳で管理されたり、
誕生日プレゼントは「いくらまで」と決められた枠内で選ばされたり。

著者が、こうすべきと書いている内容にズバリ当てはまるものもあったりして、
40歳になった今でも思い出せるということは、子供心に親の意図を感じていたというか、
大事なことだと分かっていたということなのでしょうね。

そういう親の教育のせいか、それとも自分の性格なのか、
小学生の頃はお小遣い帳をつけるのが楽しかったり、
一生懸命に家業を手伝って人並み以上のお小遣いを稼いだり、
無駄遣いはせずに必要なものだけを必要なタイミングで買う始末屋になったり
私はかなり、お金にはケチで慎重だと思います。

でも、そういう性格に育ててもらって、ありがたいなと心底感じます。
経済観念が身に付いたので、お金に困るような生活はしたことがないですし、
計画的に貯金もできたので将来への不安もそれほど感じないですし、
生活に余裕ができても、あまり無駄な買い物をしている気はしません。
かなりの締まり屋です。

親が締まり屋だったので、その行動様式や判断軸を見ていて
子どもながらに、こういう風にしないと!と思ったのでしょうね。
自営業なので、サラリーマン家庭に比べて、一層、家計のことが目に見えます。
店の売上の集計をする仕事を毎晩させられていたということからも、
1日いくら稼げるのか、1か月では、1年ではという想像がつくので、
我が家の生計の規模がイメージできちゃうんですよね。

その結果か、私も弟も、欲しいものをねだるという行動が非常に苦手で、
与えられた権限の中で欲しいものを探して選ぶという感じでした。
まぁ、それほど不満を感じたこともないので、
枠内でより良いものを選ぶセンスが身に付いたということですかね。

そんなこんなで、読後の感想は、親に感謝!その一言に尽きます。




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