『りかさん』
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- 2019/04/27(Sat) -
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梨木香歩 『りかさん』(新潮文庫)、読了。
『からくりからくさ』の登場人物の幼少期を描いた作品。 なぜ日本人形を大事にしているのか・・・・・その出会いを描いています。 日本人形、特に市松人形って、怖いですよね。 別に何か特別な思い出があるわけではないですが、 実家の八畳間に置かれている日本人形は、今でも、夜は見たくないなと思ってしまいます。 誕生日プレゼントに、祖母に「リカちゃん人形」をねだったら、 市松人形の「りかさん」がやってきたという、ある意味、この時点ですでにホラー(苦笑)。 私が小学生の時にこんな状況に陥ったら、 人形は怖いし、かといってお祖母ちゃんに返すことはできないしで、とても困ったと思います。 ところが、主人公のようこは、もらった当初は困り、悲しみ、憤ったけど、 一晩あけてみると、すんなりと人形を受け入れて、ペットをかわいがるかのように 人形を甲斐甲斐しく世話するようになります。 これも「りかさん」による支配の結果ということだと思いますが、 人間にしゃべりかけてくる人形という特殊にも程があるような人形を 主人公はじめ家族が受け入れてしまっている状況というものが 非常に不気味だなと思ってしまい、作品全体を通して、私にはホラーでした。 そして、他に登場してくる人形たちも、 怨念や情念に雁字搦めになっていたりして、やっぱり怖いです。 人形って、気軽に捨てることができないから、 ぼろぼろになっても家の隅っこや物置に置かれっぱなしになっていて、 その時間が止まっている感じが、これまた怖さを増幅するんですよね。 あぁ、もう、どう切り取っても、怖さしか印象が残っていません。 主人公がもっと人形に対して驚いてくれたら、 読んでる側の怖さは意外と軽減されたかもしれませんね。 ![]() |
『ガールズ・ブルー』
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- 2019/04/24(Wed) -
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あさのあつこ 『ガールズ・ブルー』(文春文庫)、再読。
「野球少年が主人公じゃないあさのあつこ作品だ」と思い、 ふむふむと読み終わって、さて感想を書こうかなとBlogを開いたら、 なんと3年前に読んでいたという(驚)。 そして、全くその記憶がないという(爆)。 前の感想を読んでみたら、結構満足していたようなのですが、 今回は、後半は面白かったのですが、前半は話が進まずダルかったなぁとか、 地方都市の低偏差値高校という割には、登場人物たちの会話がウィットに富んでて 面白く感じながらも、違和感を覚えてました。 まぁ、でも、話が動き始めた中盤以降は、青春感が溢れてて、素敵でした。 お互いのことを思いやるという友人関係が、 言葉は照れ隠しで皮肉っぽくても、結構素直に吐き出されているので、 良い関係だな~ぁと思いました。 私自身は、高校生活は、進学校で部活もやっていなかったので 結構灰色な感じというか、 中学校までがキラキラ楽しくて、大学もイキイキ楽しかったので、 なんだか霞んだ時代になっちゃってます。 それに比べると、理穂、美咲、睦月らの友人関係が作る日常生活って、 素敵だなぁってうらやましく思います。 ![]() |