『まどろみ消去』
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- 2019/02/28(Thu) -
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森博嗣 『まどろみ消去』(講談社文庫)、読了。
短編集。 S&Mシリーズの登場人物が出てくるものもありますが、 基本的には独立した短編集です。 著者は工学博士ということで、どうしても理系目線での作品が気になりますが、 本作はどちらかというと、人間の心の歪みみたいなものにフォーカスした作品が多くて 幻想的な感じというか、不気味な感じを醸し出しています。 ちょっと私は苦手なジャンル・・・・・。 一番印象に残ったのは、幻想さとは対極にある「誰もいなくなった」。 大学のミステリ研究会が開催したキャンパス内でのミステリツアーにおける謎解きの話。 謎解きそのものの内容というよりは、大学生が大学生向けにキャンパス内で企画したイベントという 非常に内輪受けな感じが、「あぁ、懐かしいなぁ、私の大学生活もこんなんだったなぁ」と思え、 楽しく読むことができました。 ちなみに、私が買ってきた本には、なんと288ページの次に321ページが来るという 30ページ以上の落丁がありました。 これまで、人生で、それなりに本を読んできたつもりですが、 落丁本に出会ったのは初めてのことです。 寝っ転がって読んでいたら、急に知らない登場人物が動き出して、びっくりしました(苦笑)。 ![]() |
『ザ・エージェント』
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- 2019/02/26(Tue) -
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『ザ・エージェント』
アメリカのスポーツ・ビジネスにおけるエージェントが主人公ということだったので、 切った張ったの一流エージェント同士の駆け引きが見られるのかと思いきや、 恋愛要素の方に傾いていってしまい、私的には面白くなかったです。 まぁ、トム・クルーズの相棒役がレニー・ゼルウィガーという時点で、 その展開は見えていたのですが・・・・・。 大手代理店に勤務し、多くのエージェントを担当していた主人公は、 その金儲け第一主義な業務内容に嫌気がさし、 全米のエージェントが集まる会議の会場で、業界の改革案をぶち上げます。 ・・・・・・・当然、クビ。 しかも、担当顧客も失って一文無しの状態に。 ここからラブコメ路線まっしぐら。 私が見たかったビジネスコメディは、クビ直後のクライアントの奪い合いのシーンで 若干見られたものの、主人公は情緒に訴えかけるだけで説得力なし。 そりゃ、みんな、組織力と資金力のある代理店の方に流れますわなぁ。 この前半の流れで、私の中では、主人公は実績の伴わない 自信過剰なエージェントという風に格付けされてしまったので、 共感できず、応援する気にもなれず。 レニー・ゼルウィガーは、イメージ通りの、 ちょっと空気の読めない芋っぽい女の子そのものの役で、目新しさなし。 そんな2人がビジネスでコンビを組んでも上手くいくわけがなく、 また私生活でカップルになっても、明るい未来が待っているわけでもなく。 唯一クライアントとして残ってくれたNFL選手も落ち目な感じで、 なんだか閉塞感・・・・・・と思っていたら、最後は起死回生のラッキーな展開で 全てが丸く納まるというラブコメ路線大爆発。 うーん、もうちょっと社会派の要素を入れてほしかったなぁ。 |
『深夜特急2』
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- 2019/02/25(Mon) -
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沢木耕太郎 『深夜特急2』(新潮文庫)、読了。
第1巻を読んでから6年以上経ってしまっており、 「どんな経緯で旅に出たんだっけ・・・・?」と、あやふやな記憶での読書となりましたが、 本作ではバンコクからシンガポールまでの旅が綴られています。 途中、「デリーからロンドンまでのバスの旅」という表現が出てきて、 あぁ、そうだ、出発点はデリーなんだった!と思い出しましたが、 本作、全然、デリーに近づいていきません(苦笑)。 バンコクで数日過ごしたものの、香港のような興奮を感じることができず、 熱気を求めてマレーシアを下り、そしてシンガポールへと行きます。 そして、著者は、「ここはシンガポールであって、香港ではないんだ!」と気づきます。 そりゃそうだろ!ってな感じですが、最初に降り立った土地の感激みたいなものを 引きずってしまうのでしょうね。 私自身も、人生で初めての海外は香港でしたが、 その印象は強烈で、活気がある、小さいけどパワーがある、ご飯が美味しい、等々 子供心に凄い町だなと思いました。空港に降り立った時の空気感とか匂いとかも印象的でした。 その後、毎年、家族旅行で東南アジアの国々、 それこそバンコクやシンガポールに行きましたが、香港ほどの印象は残っておらず、 単なる楽しい家族旅行という思い出です。 初めて欧米地域であるカナダに行った時は、これまた大自然とともに印象に残りましたが、 その後のアメリカ、イギリスやフランスは、これまた楽しい家族旅行という程度の思い出です。 やっぱり、初めての文化圏に行った衝撃って、特別なのかなと。 本作では、無意識に香港を求めて彷徨っていた著者が、最後にその虚しさに気づくのですが、 私の目には、どの町も魅力的に見えました。 東南アジア圏は、著者が行っているような地域は 正直私には衛生面が気になって入っていけないようには思いますが、 その根底にある文化というか、初対面同士の人間が作り上げる人間関係というか信頼関係というか そのあたりは日本人と近い感覚なのかなと思います。 どの国の人も根っこの部分では親切ですよね。 インドあたりまで行ってしまうと、私には想像がつかない地域なので 偏見もあるかとは思いますが、初対面での信頼関係って、恐々築いていくようなイメージです。 この後、旅はインドに近づいていくと思うので、 私にとっても未知の世界が広がるワクワク感があります。 早く第3巻をブックオフで見つけないと! ![]() |
『出光佐三語録』
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- 2019/02/20(Wed) -
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木本正次 『出光佐三語録』(PHP文庫)、読了。
出光興産の創業者である出光佐三氏の著作に依った語録集。 もともと出光佐三という人物は、百田尚樹氏の著作を読むまで 認識したことがなかったので、ホントに最近認識しました・・・・という程度です。 本作では、出光佐三氏の著作を踏まえながら、 彼がどのようなことを考え、事業を拡げえきたかが分かるようになっています。 ただ、時系列での理解のしやすさで言うと、百田尚樹本が分かりやすいかなと。 本作は出井佐三氏の直接の言葉に当たっているという点で真実に近いですが、 読みやすさでは百田版かなと。 ただ、百田版から先に読んだ者としては、 どこまで本当の話だたのかな?という疑問があったので、 本作できれいになったという感じですかね。 本作の解説は百田尚樹氏がやられているので、 相互補完になる関係の作品なのかな?と思います。 、 ![]() |