『官僚の責任』
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- 2018/11/27(Tue) -
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古賀茂明 『官僚の責任』(PHP新書)、読了。
何となくタイトルで買ってきました。 現役の官僚が今の官僚制度を批判した本ということで、 「へぇ、どんな官僚なんだろう?」と読む前に検索してみたら、 あの、『報ステ』を突然降板した人だとわかり、 テンション下がっちゃいました(苦笑)。 (実は前にも著作を読んでいたのに、すっかり忘れてました) 本作を書いた当時はまだ現役の官僚だったということですが、 経済産業大臣官房付という閑職に追いやられ、 本作を書く暇があったということのようです。 本来であれば、現役官僚なのだから、本なんかで主張せずに、 省内で改革論を主張して実現すれば良いわけですからねぇ。 ま、嫌味はこの程度にしておいて、 おもに官僚制度の改革について述べた本ですが、 現役官僚らしく、官僚がどんなテクニックを使って自分の成し遂げたいことを 実現ししていくかというところは、面白く読みました。 自分も、そんなテクニックを使いこなせるようになrたいなと(爆)。 こういう話を読むと、一般の人は、ずる賢い官僚が自分の利益のために良くない方法で 仕事をしているという印象を持つのかもしれませんが、 私は、「こういう制度を実現させたい」と企画した内容を何とかして成立させようとする 官僚の努力のようなところに注目してしまいます。 自分にも、こんな粘りが欲しいなと。 あと、著者が書いている官僚制度改革案は、現実味がどのくらいあるのかは分かりませんが、 「変える」という空気を作るためだけでも、チャレンジしてみたら面白そうだなと思うものが いくつかありました。 こういう著者みたいな突飛なことをいう人がいて、反対に保守的な人もいて、 省内で議論していくと、落ち着くべきところに落ち着くのかなという気がします。 著者のような人が何人もいると混乱するでしょうが、1人2人が騒ぐ分には 活性剤として必要な役割なのかなとも思いました。 一方、前半では当時の民主党政権への批判を書き連ねていますが、 やっぱり立場上、官僚が公の場で政権を批判することには違和感を覚えます。 企業が、取引相手の悪口を言いふらすような感じでしょうか。 本に書くのではなく、官僚(しかも上の方の職位)なんだから、 政治家に直接モノ申しなさいよと言いたくなります。 それ以外にも、著者は、自分自身に対する修飾語が過剰で、 読んでいて鼻白んでしまいます。 自分自身の役職について「抜擢された」と表現したり、 「私は決してヒーローではない」と、暗に自分はヒーローなのだとアピールしたり、 自己PRが過剰だという点では、相当クセのある人物です。 そこさえ我慢できれば、官僚制度の実態を知るには面白い本でした。 ![]() |
『トリックスター』
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- 2018/11/23(Fri) -
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濱嘉之 『トリックスター』(講談社文庫)、読了。
以前読んだ著者の本が、エネルギー政策を真っ向から取り上げており なかなか面白かったので、次の一冊にチャレンジしてみました。 裏表紙のあらすじには、財閥婦人、新興宗教、大物代議士というフレーズが踊っており、 私が好むカルト系のお話かと期待したのですが、 いかにしてカルトが信者を獲得していくのかという方面の話ではなく、 信者数も成長してもう出来上がっている新興宗教組織が、組織保身に走る話であり、 カルトというより単なる組織防衛の話で期待外れ。 そして、その宗教がらみの話以外に、 マレーシアのゴム園主の未亡人という大金持ちや ヤクザ社会とつながっている代議士なども登場してくるのですが、 複数の事件があまりにも大きな規模で繋がっているので、 物語の進行が、淡々とそれぞれの事件を描くことに終始してしまっており、 小説としてのワクワク感があまり感じられませんでした。 要は、話を広げ過ぎじゃないですか?ってことです。 どれか1つか2つぐらいの事件に絞った方が もっとスリリングな展開を描けたのではないかと思います。 新興宗教は、本作で3つ登場してきますが、 「このカルト教団がモデルかしら?」と推測しながら読むのは面白かったです。 ![]() |
『直感力』
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- 2018/11/18(Sun) -
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羽生善治 『直感力』(PHP新書)、読了。
羽生さんの本は3冊目ですが、本作は内容が薄かったです。 タイトルの「直感力」について触れているのは数ページであり、 断片的なエッセイを一冊にまとめただけのような、まとまりのなさでした。 どこかの雑誌に連載されたコラムをまとめたものかな?と思ってしまうぐらい。 子供の頃、どのように将棋に出会って、 どのように将棋と向き合ってきたかというエピソードは興味深く読みましたが、 でもそれって、「直感力」とは違うよなぁ・・・・・なんて。 『決断力』『大局観』とヒットしたので、 それにあやかった名前を付けました・・・・・程度の本でした。 残念。 ![]() |