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『新・資本論』
- 2018/10/30(Tue) -
堀江貴文 『新・資本論』(宝島社新書)、読了。

大きく出たタイトルですが、
別に『資本論』の向こうを張るわけでも、
社会構造の変化を体系的に分析したわけでもないのですが、
まぁ、ホリエモンのしゃべってる内容は面白かったです。

井上トシユキ氏との対談形式で進んでいきますが、
読みやすく交通整理されていたと思います。

ホリエモンの他の著作と比較して、
何か目新しいことが述べられているわけではないように感じましたが、
ところどころ、「そういうことなんだよね~」と大きくうなずける発言が。

選挙に出馬した時に、いわゆる「日本の支配階級」が考えていることを
そのまま口にして「国民たちよ、こういう社会構造になってるんだ、気を付けろ」
警鐘を鳴らしたために、結果的にそういう人たちの力で潰されてしまったというのは、
それだけが彼が転落した理由でないにしても、大きな理由の一つかなとは思います。
露悪的というか、変な正義感というか。

だから、彼の言葉は、棘のある表現を濾過しながら読む必要がありますが、
支配側に近いところにいる人間が本音を見せているという点で
読んでいて興味深く思います。

金融界が巨万の富を得ているのは、彼らがずるいことをしているのではなく、
それだけのビジネスモデルを築き上げて育ててきたからだと評価するのは、
私も、その通りだと思います。
そのビジネスモデルに対して、自分が搾取される側になるか、搾取する側になるか、
搾取する側の傍でおこぼれをもらえるようになるか、無関係な位置取りを決め込むか、
それは個人の能力と判断力の成果だと思うんですよね。
自分が社会のことを知ろうという努力をせずに、ただ「搾取された!」と叫んでいるのは
ある意味、可哀相だなと感じます。
一方で、社会を知るという大変な作業に自分の時間を投資せずに、
他のもっと楽しいことに時間を投資するという判断も、
それはそれでありだと思うので、結局は、今流行りの「自己責任」かなと(笑)。

「自己責任だよ」と上から社会を見ている階層の本音を
そのまま公の場で口にしちゃうところが、ホリエモンのホリエモンたるところなんでしょうね。




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『明日の不安を消すにはどうすればいいか?』
- 2018/10/29(Mon) -
大下英治 『明日の不安を消すにはどうすればいいか?』(知的生き方文庫)、通読。

渋沢栄一翁の入門書はそれなりに読んできたので
そろそろ良いかな・・・・と思っていたのですが、
著者が大下英治氏だったので、独自の味付けがあるかな?と買ってみました。

しかし、基本的には渋沢栄一の人生の時間軸に沿って
主なエピソードを紹介している形式で、エピソード単位で章立てしてまとめようとするので
なんだかブツ切りになってしまっている印象を受けました。

そして、渋沢栄一物語としては、あんまり情熱的に描かれていないような気がして、
物語自体の面白さも感じにくかったです。
うーん、渋沢栄一物語としては、城山三郎氏の作品を超えるものには出会えていないです。

渋沢栄一の人生って、結構、その思想を柔軟に変更させていっていて、
読みようによっては、つかみどころがないんですよね。

私の中の、渋沢本の出来・不出来を図るバロメーターは、
尊王攘夷派だった渋沢が、一転して徳川幕府に仕えるという、この変心について、
納得的に語ることができているかどうかです。
本作では、あまり深く書き込んでいないような気がして、
イマイチでした。

熱い男の人生は、是非、熱い文章で描き切って欲しいです。




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『ミート・ザ・ビート』
- 2018/10/28(Sun) -
羽田圭介 『ミート・ザ・ビート』(文春文庫)、読了。

羽田圭介とのファースト・コンタクトは失敗に終わりましたが、
積読の中に薄い本作があったので、リトライ!

・・・・・・でも、やっぱり駄目でした。
部分的に詳細な描写をするのが、著者の特徴なんですかね?
ところどころ拘りのような緻密な描写が入りますが、
読んでいて、私には、あまり緻密さの必要性が感じられませんでした。

そして、本作は、芥川賞の候補になったようですが、
うーん、どの辺が評価されたのか分からず。
19歳という繊細な年代を描いているということなのでしょうかね。

私が、車に興味がないせいかもしれません。
でも、車の要素を抜いても、主人公と友人たちの関わりに、
あまり関心を覚えませんでした。
ホストをやっているレイラが主人公で、sのビジネス手腕を描いた作品だったら
もっと関心を持てたような気がします。

ところで、レイラって、女性名じゃないの?




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『なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?』
- 2018/10/27(Sat) -
パコ・ムーロ 『なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?』(ゴマブックス)、通読。

タイトルから、安倍首相とトランプ大統領のゴルフ会談が頭に浮かび、
ビジネスエリートが、ゴルフ場という空間をいかに活用して
コミュニケーションを太くして信頼関係を築いているか・・・・・・みたいな話だと
勝手に思い込んでいたのですが、
読んでみたら、チーズ系でした

寓話的な短いエピソードを紹介し、
そこからレッスンを得ようとするオーソドックスな形式ですが、
寓話自体があまり面白くなく、断片的な話で終わってしまうので
考えようと思うほどの境地に至りません。

『チーズはどこへ消えた?』のように、
各章で寓話がつながっていると、読み進めていくにつれて
思考が蓄積されていく面白さがありましたが、
本作は、全く関係のないエピソードが次々に登場してくるので
細切れのような印象です。

で、肝心のゴルフの話は、コミュニケーションではなく、
スコア目標に対して、どうやって達成するためのアプローチをしていくかという
ゴルフそのものの上達方法をPDCAと絡めた話で、こちらも思い違いでした。

うーん、刺さりきらないまま終わってしまいました。




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『売れないモノを売る技術』
- 2018/10/26(Fri) -
河瀬和幸 『売れないモノを売る技術』(ベスト新書)、読了。

著者名も知らず、もちろん著作名も知らず、
特に期待せずに何となく買ってきた新書だったのですが、
非常に面白かったです。

コンサルタントみたいな人が実務経験もなく理論を振りかざしているのではなく、
著者は、実演販売員として東急ハンズなどでNo1セールスを記録してきた
まさに販売の達人。
しかも、売れてるモノをさらにするのではなく、売れていないモノをヒット商品に仕上げる、
その工夫ポイントが多数紹介されていて、分かりやすかったですし、
納得感がありました。

売上を見ながらポップを書き足していったり、
サイズ違いのものはどちらがお得か自分で言わずにお客様に計算させたり、
私自身もやっている工夫もありましたが、
著者の視点で語られると、「あ、このやり方でいいんだ!」と安心できました。

そして、私自身ができていないことも多数見つかりました。
とある店舗で成功した事例を、実績紹介として多店舗に知らしめたり、
生産現場にまで出向いて、新たな商品企画を練ったり。

様々な工夫が述べられていましたが、
結局は、お客さまとの信頼関係、お店さんとの信頼関係、生産者さんとの信頼関係、
そこに尽きるような気もしました。
信頼関係構築のために、できる限り、思いつく限りのことを実行する。
愚直な実行力が大切なのかなと思います。

私も明日から頑張ろう!




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『心の力』
- 2018/10/24(Wed) -
姜尚中 『心の力』(集英社新書)、通読。

近所のおっちゃんがくれた本。
著者の学問領域の本は面白く読めたのですが、
啓発系(?)の本は、どうも苦手です。
本作は見るからに後者なのですが、くれるというので、遠慮なく(苦笑)。

『悩む力』に引き続き、本作でも夏目漱石作品が語られ、
苦難に耐えることについて述べられています。

私も、漱石作品は好きなので、そこまでは良かったのですが、
トーマス・マンの『魔の山』も登場し、さらには、それぞれの主人公が直接対話をする
創作小説が始まってしまったら、ちょっとついていけなくなりました。

お互いの世界観を投影し合うだけだったら良かったかもしれませんが、
この2人の対話の中に「乃木希典が・・・・」とか出てきたので、
突然の生臭さに、引いてしまいました。

著者なりの熱い思いがあるのは重々承知なのですが、
熱くドロッとした状態のまま投げ出されているような感じがして、
どうも私は受け止めるのに気後れしてしまいます。
それだけ、著者の気合十分ということなのかもしれません。




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『すべての日本人は出身県で終わる』
- 2018/10/23(Tue) -
矢野新一 『すべての日本人は出身県で終わる』(角川書店)、通読。

「飲み会でのネタになるかな?」ぐらいの軽い気持ちで
100円で買ってきたのですが、
飲み会ですら使えないようなレベルでした(苦笑)。

統計も調査も関係なし。
著者個人の感想で、どんどん県民性が語られていきます。

冒頭、犯罪に関する県民性のトピックスですが、
福岡県には暴力団が多いから凶悪犯罪が多いのは当然、
そして、小倉駅前のコンビニが若者による営業妨害で閉鎖になったのも、その表れ・・・・・
というような、ロジックもへったくれもないような話が延々と続きます。
福岡県民、これじゃぁ、怒るわ・・・・・てな内容で。

タイトルも、日本語的に良く分からない言い回しですね・・・・・。

このレベルで本を出してしまうなんて、どこの零細出版社かと思ったら、
天下の角川書店でビックリ。




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『おかみのさんま』
- 2018/10/22(Mon) -
斉藤和枝 『おかみのさんま』(日経BP)、読了。

気仙沼で魚問屋の3代目として稼業を切り盛りする女性女将の著者。
魚問屋事業だけでなく、サンマ加工業にも進出し、
主にそちらの食品加工事業についての半生記。

出版のきっかけは、東日本大震災による被災と事業停止、
そして、そこからの必死の復興劇というところだと思いますが、
この方、そもそも震災のエピソードがなくても、
食品加工事業に進出して、百貨店内にテナントを構えるところまで
事業を成長させたという凄腕女将の営業マン話だけで、
十分に面白かったです。

経営者としての資質があるか?と問われると、
本作で語られている内容だけでは判断できないですが、
営業マンとしての資質は、度胸、スピード感、信頼醸成力など
素晴らしいものをお持ちで、勉強になりました。
特に、何か上手くいかなかったときのリカバリ力や改善力が素晴らしいなと。

それと、最初に魚問屋を始めたのは、著者の祖母だったとのことですが、
何十年も前に、水産業に女性が先頭に立って進出していくのって、
相当な剛腕でないとできないと思うんですよね。
その開拓力が凄いと思いますし、その祖母の能力を著者も引き継いでいるのでしょうね。

刺激を受ける読書でした。




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『愚の力』
- 2018/10/21(Sun) -
大谷光真 『愚の力』(文春新書)、通読。

西本願寺の門主による本ということで買ってみましたが、
うーん、思っていたものとは違ってました。

浄土真宗の教えとか、仏に勤めるものとしての心構えとかが
書かれているのかな?と期待したのですが、
資源危機とか環境破壊とか金融不安とか
なんだか生臭い話ばかり。

僧侶が政治を語るなとまでは言いませんが、
私が僧侶に求めている話とは違いました。
僧侶には、どう考え、どう行動すべきか、指針を示してもらいたいなと。
それを自分なりに解釈した上で、社会の諸問題に向けてどう対応していくかは
個々の人間が考えれば良いことなのではないかと思います。

秋葉原での殺傷事件にも軽く触れて、
「犯人の世界はケータイの中にしかなかったのかもしれません」だなんて
お気楽なコメントしちゃってますが、事情を知りもしないで
僧侶がこんな風に評価しちゃってよいのかしら?と思ってしまいました。

なんだか違和感を覚える本でした。




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『国家は破綻する』
- 2018/10/20(Sat) -
藤巻健史 『国家は破綻する』(幻冬舎)、通読。

近所のおばちゃんが貸してくれました。
ごっつい本、読んでるなぁ(笑)。

元国際トレーダーの藤巻氏。
名前は知ってますが、あまり著作を読んだことがなく
私が見ているネット番組でも登場してこないので、馴染みがない方です。

読んでみると、黒田バズーカーをやったアベノミクスはハイパーインフレを引き起こすので
私は反対である!!!という意見でした。

アベノミクス発表当初からハイパーインフレを危惧する声はあったので、
著者はそういう主張をするグループの人なのかと、
その政策ポジションは分かったのですが、
しばらく読んでいったら、今は国会議員であると書かれています。
自民党でこの主張はないでしょうから、どこの野党かな?と思って検索したら、
なんと日本維新の会ではないですか。

維新って、「ゆ党」とか揶揄されているぐらい、安倍政権には肯定的ですし、
少なくともアベノミクスについては基本的に賛成しているイメージがあります。
すると、著者は党の方針に反してアベノミクスに反対しているのでしょうか?

国会議員という立場がありながら、党の方針には言及せずに
自分の主義主張だけを言い立てるというのは、
あまりにも政治センスが無さすぎます。
その点にガッカリ。

著者が今やるべきことは、評論家的に個人の主張をすることではなく、
維新の会の1議員として、国政の場で意見を言うべきであり、
党と意見が違うなら、党に対して意見を言って党の意見を変えさせるように努力するか
離党するかではないでしょうか。
離党できないなら、党の方針には従うべきではないでしょうか。

本作の内容は、相変わらず金融政策オンチの私の頭には入ってきませんでしたが(苦笑)、
政治センスのなさにガッカリした読書でした。

途中挟まれるコラムは、息抜きになって面白かったです。




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