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『さがしもの』
- 2018/08/31(Fri) -
角田光代 『さがしもの』(新潮文庫)、読了。

タイトルからは良く分からなかったのですが、
本が登場する話ばかりが集められた短編集でした。

しかも、どの作品にも「本が大好き!」とか「この本に思い入れあり!」というような
本好きな人物が登場してくるので、同じ本好きとしては、ウキウキしながら読めました。
「そうそう、その感覚、分かる~っ」てなもんです。

単行本で出たときは、『この本が、世界に存在することに』という
本の話だと素直に分かるタイトルがついていたよですが、
文庫化にあたり、なんで改題しちゃったのでしょうかね?

さて、冒頭の『旅する本』。
苦学生で金の工面に苦労して古本屋に蔵書を売ったら、
その中の一冊に対して、古本屋が「これ売っちゃうの?」と問いただした本。
お金欲しさに売ったのに、海外旅行の旅先の古本屋で思わぬ再会。
しかも、1度ならず、何度もあちこちで再会。
この作品を読んでいて、角田さんの実体験をつづったエッセイなのではないかと思ってしまうほど
変なリアリティのある物語りでした。
私自身は、古本屋に売り払うのは、合わなかった本だけなので、
こんな劇的な再会があっても気づかないだろうな・・・・・という寂しさも加味されての感想かも。

続く作品『だれか』は、海外旅行中にマラリアにかかり療養中に読んだ本の話、
『手紙』は、伊豆の温泉旅行先で、部屋の机の引き出しにあった本と手紙の話。

という感じで、どれも小説なのですが、なんだか角田さんの体験が書かれてるような、
そんな感覚に陥ります。
本好きが望む、本との特別な体験ということなのでしょうかね。

個人的に一番好きだったのは『ミツザワ書店』。
ストーリーは、正直、展開が読めてしまう単純なものでしたが、
素直に、「ミツザワ書店に行ってみたい!」と思わせてくれる
魅力的な書店のお話でした。

私は、新刊本を扱っている本屋さんはあまり思い入れがないのですが、
やっぱり古本屋さんというのは宝探しの感覚があって、
何時間でも過ごしていられる場所でした。
神田の古本屋街は、今でも東京に行ったら時間を作って覗きに行ってます。
三重県に戻って、古本屋というジャンルが非常に乏しいのが残念でなりません。
ブックオフが唯一の癒しです。
また神田古本屋街に行きたいなぁ。


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角田 光代

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『淀川でバタフライ』
- 2018/08/30(Thu) -
たかのてるこ 『淀川でバタフライ』(講談社文庫)、読了。

インド旅行記をまとめたものが『ガンジス河でバタフライ』
生まれ育った大阪の話を中心にまとめると『淀川でバタフライ』。
単なる借り物のタイトルかと思いきや、ほんとに淀川でバタフライしてるし(笑)。

前半は、父、母をはじめとする家族の話が中心です。
なんせ、50歳にして腹話術師になった母上ですから、よっぽどな家族だと思いましたが、
母はやはり、突き抜けて明るく変な人ですし、
その反動からか父は寡黙で感情の露出の無い人。
そんな父を前にして、母は「見合い結婚した私は人を好きになったことがない」と言い切る極悪人。
そりゃ、子供も結婚に夢を抱かなくなりますわ。

でも、挿し込まれている家族の写真を見ていると、
夫婦であちこり旅行したり、旅先でおどけた写真を撮ったり、何だかすごく楽しそう。
著者の照れ隠しのためか、素直に本作では見えてこない、家族の愛情があるんでしょうね。
あと、父方のおばあちゃんも、母方のおばあちゃんも、可愛らしいです。

後半は、小学生時代や高校時代の友人の話が中心ですが、
子供時代のくだらない日々(←誉め言葉ですよ~)を描きながら、
突然の訃報が入ったりと、急展開な後半でした。

家族にしても、友人にしても
これだけエピソードが詰まった日々を一緒に送ってきたというのは、
ものすごく豊かな感情に溢れた日々だたんだろうなと想像します。

今、私自身は、両親と同居ではないですが近いところに戻ってきて、
月に何度か顔を合わせるようになったので、また家族との距離感が変わってきましたが、
東京暮らしの頃は、年に数回会うだけのことが、やっぱり深く印象に残ってますし
今は今で、「来週は何を土産に買っていこうかな」と小さなことでも
幸せを感じられるようになっています。

やっぱり、家族ってイイですね。


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『乳酸発酵の文化譜』
- 2018/08/29(Wed) -
雪印乳業健康生活研究所 『乳酸発酵の文化譜』(中央法規)、通読。

こちらは、発酵食品の中でも、特に乳酸発酵について絞って解説した本。
この本だけは閉架の中から出してもらいました。

雪印が本気で作った(?)だけあって、
世界各地に存在する乳酸発酵食品をかき集め、分類し、特徴を詳述し、
さらに科学的見地での解説や、加工技術の解説など、丁寧になされています。
ただ、正直、私のニーズとしては、ここまで詳しいものは要らなかったな・・・・ということで
拾い読みになりました。

健康に対する影響のところは、
科学的な分析が紹介されていたので、役に立つ情報でした。


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小崎 道雄 雪印乳業健康生活研究所

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『発酵食品への招待』
- 2018/08/29(Wed) -
一島英治 『発酵食品への招待』(裳華房)、通読。

さて、引き続き発酵についてのお勉強ですが、
本作は、各調理方法の歴史というか、起源というか、
そういうところに少し触れていたのが興味深かったです。

中心は、加工方法(レシピというより技術)についての記述だったので
そこは正直、飛ばし読みになりました。

化学式とかも出てきて、私の苦手な世界・・・・・。


発酵食品への招待―食文明から新展開まで (ポピュラー・サイエンス)発酵食品への招待―食文明から新展開まで (ポピュラー・サイエンス)
一島 英治

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『和・発酵食づくり』
- 2018/08/29(Wed) -
林弘子 『和・発酵食づくり』(晶文社)、通読。

こちらも一緒に図書館で借りてきた本。
発酵食品を自宅で作ろう!というコンセプトの料理本です。

何日も熟成させたり、ぬか床を毎日混ぜたり、
何とも手間のかかることを家でやろうというのですから、
好きじゃないとできないなぁ・・・・というのがグウタラな私の感想。

でも、発酵という技術が、日本人の食文化の中にどのように根差しているのか
それが分かりやすく伝わってくる本でした。


和・発酵食づくり和・発酵食づくり
林弘子

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『トコトンやさしい発酵の本』
- 2018/08/28(Tue) -
協和発酵工業 『トコトンやさしい発酵の本』(日刊工業新聞社)、通読。

こちらは、発酵について初歩的なことを学びたくて
図書館で借りてきました。
まさに発酵の会社が書いた本なら、わかりやすいでしょう・・・との思惑。

ところが、いきなり、発酵の歴史のところで、
パスツールの「白鳥の首フラスコ実験」の意味が理解できず、
思わず検索してしまいました(苦笑)。
自分が良く知っていることについて、素人に分かりやすく説明するのって難しいのね。

で、肝心の発酵の知識ですが、
日常に溢れる様々な食品が、発酵の力により美味しくなっている
もしくは食べられるように変化しているということが分かり、
その発酵の菌の種類などもいろいろあるんだということが掴めました。

そもそも、昔の人は、どうやって発酵という技術を会得したんでしょうかね。
最初は偶然の産物だとは思いますが、
しかし、一見、腐ってそうな見え方のする食べ物をあえて食べようとする勇気、
まぁ、昔は常に食料難でしょうから、死ななければ何でも食べるということだったのかもしれませんが。

きっと、美味しい発酵食品を見つける過程で
誤って腐ったものを食べて死んだ人とか、多くの犠牲の上に成り立っている食文化だと思います。
そう思うと、人間の歴史の積み重なった食べ物たちですね。


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『発酵する夜』
- 2018/08/27(Mon) -
小泉武夫 『発酵する夜』(新潮社)、読了。

ニュースステーションに時々出てきては
ゲテモノのような食べものの話を美味しそうに語るセンセイというイメージの著者。

本作では、各界の著名人との対談が収録されていますが、
いずれにおいても、やっぱりゲテモノのような食品の話がたくさん登場して、
食べたいような、食べたくないような・・・・・という微妙な感覚が終始付きまといます(笑)。

発酵などがご専門の著者ですので、
当然、発酵食品の話がたくさん登場するのですが、
お酒や豆腐、ヨーグルトといった穏やかな食品の話よりも、
なれ寿しとか、臭豆腐とか、くさやとか、キョーレツな食品の話ばかりで、
やっぱり、怖いもの見たさみたいなところがあるんでしょうね。
対談相手も興味津々です。

本作で良いなと思ったのは、
著者の博識さと、それを鼻にかけないざっくばらんな語り口意外に、
対談相手の人選です。
著者の良く知る人もいたようですが、基本的には顔見知り程度か初対面の方のようで、
荒俣センセをはじめ、東海林さだおさん、日高敏隆さん、立川談志さんなど面白かったです。

最も良かったのは杉浦日向子さん。
この方の作品が原作のアニメ映画を見てから気になっている作家さんなのですが
まだ著作自体は体験できておらず。
今回の対談において、江戸時代の庶民の文化や風習のお話をされている様子を読んで、
「この博識ぶりは絶対に作品に反映されているはず!読まないと!!」と心に誓いました。
語り口も切れ味のあるお姉さまだったので、作品の切れ味にも期待。


発酵する夜発酵する夜
小泉 武夫

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『アベノミクス大論争』
- 2018/08/26(Sun) -
文藝春秋編 『アベノミクス大論争』(文春新書)、読了。

第2次安倍政権がスタートしたころに作られた本。

当時は、首相が唱える大規模な金融緩和策に対して、
「アベノミクス」だとか「黒田バズーカ」だとか、様々な単語が飛び交ってましたが、
最近は、改憲の話が主流になってきて、金融緩和策については静かな印象です。
それでも、民主党政権時代に比べれば、ずいぶん景気が回復したものです。

で、安倍内閣になって5年以上たっていますが、
結局、アベノミクスって何だったんだろう?という思いもあり、
タイトルにどーんと掲げられていたので本作を読んでみました。

登場してくる言論人は、一線級の人がたくさんで豪華です。
ただ、たくさん出過ぎて、分量にすると短いので、食い足りないです。
しかも、前半は対談形式なので、お互いの主張が言いっ放しになっている感もあり、
真っ向から意見が異なる2人をツモっているので、議論が噛み合わず、昇華もなし。
司会に宮崎哲弥氏を起用してるのも、何だかもったいない感じ。
まぁ、真っ向から対立する2人に対談させる場を設定できるというのが
文春の力なのかもしれませんが。

そして、経済問題だけでなく、改憲論とか天皇家の問題とか
アベノミクス以外のテーマも詰め込むだけ詰め込んでるから
余計に消化不良感が残ります。

これも、安倍政権がそれだけ多くの難題に取り組んでいるということの
現れなのでしょうけれど。

もう一度、今のこの時点において、アベノミクスにテーマを絞って
本作のような企画があれば読んでみたいです。


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この記事のURL |  宮崎哲弥 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『「遊ぶ」が勝ち』
- 2018/08/25(Sat) -
為末大 『「遊ぶ」が勝ち』(中公新書ラクレ)、読了。

アスリートとして活躍されているときは、
野武士のような印象で、とっくきにくさを感じていたのですが、
引退後に何かの番組に出演されて話されている内容を聞いて、
その話の切り口とか、エッセンスの抽出の仕方とか、
面白いなと感じたので、いつか著作を読みたいなと思ってました。

本作は、『ホモ・ルーデンス』という哲学書を軸に、
目標達成に向けて努力することと、遊ぶことととの関りというか、
相互に影響しあう面を解説していて、興味深かったです。

もともと、コーチの指導に従順に従うのではなく、
様々な立場の人から意見を聞いて、その中から自分で練習メニューを組み立てていたという
地頭のあるアスリートさんだということは知っていたのですが、
その練習内容が、思いのほか幅広なことに驚きました。

砲丸投げや棒高跳びを取り入れたり、
鈴をもって音を鳴らしながら走ってみたり、
仮面を付けて町中を歩いてみたり。

なんで、こんなことを思い付くのかなと思うことばかりですが、
思いついたら、ちょっと試してみようという貪欲な精神や、
読書をしたり人に会ったりして見聞を広めようとする努力の賜物なんでしょうね。

『ホモ・ルーデンス』という著作にも興味を持ちましたし、
為末氏の他の著作も読んでみたいと思いました。


「遊ぶ」が勝ち 『ホモ・ルーデンス』で、君も跳べ! (中公新書ラクレ)「遊ぶ」が勝ち 『ホモ・ルーデンス』で、君も跳べ! (中公新書ラクレ)
為末 大

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ホモ・ルーデンス 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み (講談社学術文庫)ホモ・ルーデンス 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み (講談社学術文庫)
ヨハン・ホイジンガ 里見 元一郎

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『ニュースに騙されるな』
- 2018/08/24(Fri) -
椎名健次郎 『ニュースに騙されるな』(宝島社新書)、読了。

元テレビ報道マンがネット企業に転職し、
新たに獲得した視点からテレビ・新聞の報道現場について語った本。

最近、記者クラブ制度の歪みについて詳しく書いた上杉隆氏の本を読んだばかりだったので、
テレビや新聞の現場についてのレポートは、
ちょっと表面的な感じというか、上杉氏の著述に比べて下世話感が強い感じがしました。

一転、後半のYahooニュースに代表されるネットメディアのニュースの扱い方についての話は
非常に興味深く読みました。
新聞は有料、でも新聞社の記事はYahooニュースで無料で読める。
なんで???

ネット企業側の、「自分でニュースは作らない」という明確な姿勢が面白かったです。
新聞社が書く記事の内容や、テレビ局が作るニュース動画の内容に
一切口を挟まずに、そのまま掲載するネット企業。
誤字があっても、訂正依頼さえせず、そのまま掲載。

そこには、ニュース制作自体は金を生まないからタッチしないという経営思想があるのだとか。
確かに、ネットニュースが便利なのは、内容の正確性が増したからとかではなく、
いつでもどこでもニュースがサクッと読めるという、手軽さに重きがあるからですよね。
もし、ニュースの正確性を追求して掲載までに要する時間が長くなったり、
特ダネ性を求めて掲載される記事の本数が減ったりしたら
一気に価値がなくなると思います。

一見、似たような情報が羅列しているだけのニュースサイトであっても、
読む側に情報検索能力と情報整理能力があったら、
どんどん自分で価値ある情報を見つけて、統合して、理解していくことができるので、
情報の宝の山だと感じます。
一方的に編集されて、情報が整理されてしまっている新聞やテレビには無い魅力です。

今の大マスコミ、特にテレビは、視聴者の知能を低く見積もって、
ニュースの内容を表面的な情報で終わらせたり、喜怒哀楽に訴える演出を加えたり、
自らニュースの本質を見えなくさせるような報道の仕方をしているように思えます。
そうなると、自分で考えたい視聴者は、どんどんテレビを離れ、ネットの方に寄って行ってしまうと思います。
自分で考えるつもりのない視聴者ばかりが残るので、さらに演出は甘くなり・・・・・の悪循環。

マスコミも、経営危機を味わって、
報道とは何をすべきなのかを、もう一度見直すべき時期に来ていると思います。
その引導を渡す役割をネット企業がするのか、視聴者がするのかは分かりませんが、
どこか名の通った1社が潰れるか、身売りされるか、そんな瞬間が来るのではないでしょうか。

そんな時代においては、視聴者、読者、ユーザー側も、
自らの情報収集力、探査力、整理力、統合力を高めていく努力をしなければなりませんね。


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椎名 健次郎

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