『池上彰のお金の学校』
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- 2018/03/31(Sat) -
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池上彰 『池上彰のお金の学校』(朝日新書)、読了。
池上センセによる金融関係の解説書。 Amazonのレビューは、分かりやすい!と評価が高かったですが、 私的には、そこまでかなぁ・・・・・という感じ。 金融用語の解説本は、それこそ巨万とあるので、 このレベルの開設本は、他にもあるように思います。 というか、私が読んだ他の解説本と比べて図抜けている感じはしませんでした。 私がそう感じてしまったのは、たぶん、用語解説のレベルにとどまっていたからかなと。 池上さんの役割って、多様な意見が噴出するテーマについて うまく交通整理をしてくれることと、なぜそんな意見が、この立場の人から出てくるのか バックグラウンド解説をしてくれることの2つだと思ってます。 それが活きてくるテーマは、足元の政治課題、国際問題など。 もちろん、金融政策についてなら、同じように交通整理をしてほしい分野なのですが、 残念ながら本作は、そこまで突っ込んでいなくて、単なる用語解説に過ぎないと思います。 深掘りできていないのが残念。 ただ、池上センセのネームバリューにより、 普段は金融関係の本なんか読まない読者が本書を手に取っているなら それは社会に対して一つの貢献だと思います。
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『ほっ』
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- 2018/03/30(Fri) -
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ますだまさよし 『ほっ』(善本社)、読了。
祖父の本棚を物色していて見つけました。 天理教の関係者が書いたエッセイということですが、 祖父と天理教が結びつかず、???。 人生哲学の一つとして捉えていたのかもしれませんね。 母方の祖母は天理さんを信仰していて、家でも毎日おつとめをしていたので、 子供心に、邪魔しちゃいけない時間だなと思って静かにしていました。 そういうわけで、なんとなく身近に感じている天理さんなので、読んでみました。 が、1つ1つの文章がかなり短く、教義のようなものを直接的に表現したものではなさそうです。 確かに内容は、心の構え方や身の置き方などを優しく諭すものなので、 宗教的な教えが込められているのかもしれませんが、 体系的な文章ではないので、思想の全体像をつかむことはできませんでした。 そもそも天理さんって、私にとっては不思議な存在です。 一応分類上は、江戸時代末期に始まった新興宗教ということになるのかと思いますが、 いわゆる「新興宗教」と呼ばれる組織にあるような閉鎖性や攻撃性、エキセントリックさは あまり感じられず、ゆるやかでオープンなイメージです。 祖母の家には、天理さんの神棚と、真言宗の仏壇とが並んでました。 他の宗教を排除するのではなく、一つの家の中で神様と仏様が役割分担をしているような そんな大らかな印象を受けました。 祖母の葬儀のあと、天理さんの関係者の方から「神棚をどうしますか?引き取りましょうか?」と 言っていただいたみたいで、他に天理さんを信仰している家族がいなかったので、 そのまま引き取ってもらったようです。 そんな対応からも、懐の広い教団なのだと思い、残された家族のことも考えた申し出に、 ありがたさを感じていました。 一度、天理教の教えというものは、 初歩的な解説書のようなもので学んでみたいと思います。 折角のご縁ですので。
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『男たちのYAMATO』
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- 2018/03/29(Thu) -
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『男たちのYAMATO』
公開当時、原寸大で再現された戦艦大和のニュースが流れていましたが、 まさに、戦艦大和が動いている姿を見せるための映画であり、 それ以上のものがないような印象でした。 終盤の1時間、戦艦大和の最後の戦いのシーンが劇的に描かれていますが、 その再現性というか、迫力が凄かったです。 砲撃を受けたときの粉砕の様子、煙や埃のあがりかた、被弾した時の血の吹き出し方、 どれもリアルで、目が離せませんでした。 ただ、実際に戦争に従軍していた人たちには、見てほしくないなぁと感じました。 なんだか、歴史の記録とか、戦争へのメッセージ発信とかよりも 如何にリアルに見せるかというエンターテイメント性の方が重視されているようで、 なんだか興味本位で戦争体験者の悲しい記憶をほじくり返しているのではないだろうかと 不安になりました。 そういう気持ちになるのは、結局、本作が何を伝えたかったのかが ピンとこなかったからだと思います。 戦死とか特攻とか、そういうシーンを描くことで、1人1人の悲惨な最期や 残された人の哀しみのようなものは描いていますが、 あくまで個人的な悲しみしか描いておらず、日本として、国家としてというような 大局観のない映画だなぁ・・・・・という物足りなさ。 凄い迫力だったね!で感想が終わってしまいました。 役者さんの演技は良かったけど、 脚本がイマイチで、シーンが立ち上がってこなかったのが残念。
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『15分の奇跡』
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- 2018/03/28(Wed) -
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浅川雅晴 『15分の奇跡』(ロング新書)、挫折。
近所のおばさまが貸してくれた本の山の中の一冊。 全然知らない本でしたが、とりあえずお試しに。 が、何を言っているかを理解する前に、 日本語の文章が気持ち悪くて読み進められませんでした。 文と文との繋がりが分かりにくいというか、 接続詞や代名詞の省略の仕方が変というか。 読むのが苦痛で、途中で止めてしまいました。
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『うまい魚が食いたい』
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- 2018/03/27(Tue) -
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橋本憲一 『うまい魚が食いたい』(晶文社)、読了。
BOOKOFFオンラインで検索して出てきた本。 何となく買ってみたら、津の香良洲の漁師のお話でビックリ。 一気に引き込まれて読みました。 語り手は、京都で料理屋を営む主人。 たまたま京都の街角で出会った行商の魚屋と会話したら、 「一度うちの海へ来い」ということになり、行った先が津の海。 でも、目の前の海には魚がいなくなってしまったため、 はるばる鳥羽まで船を出して操業しているとのこと。 つまりは密漁です。 本作では「海賊」という言葉で語られていますが、 いずれにしても、ルール違反の行為です。 ところが本作では、「ルール違反しなけりゃ俺らは食っていけないんだ!」との 怒り&嘆きの声とともに、漁師も実名、顔の出た写真付き、密漁先も実名で描写されており、 なんと捨て身な主張の仕方なんでしょうと、驚きました。 30年前の発行なので、当時は、まぁ、大らかだったということでしょうかね。 今、こんな内容の本を出したら、激烈なバッシングを受けそうです。 密漁者が何言ってんだ!と。 しかも著者は、密漁先の鳥羽の漁協に乗り込んで、 「香良洲の漁師が密漁してるの知ってますか?」とぶちかまします。 別に喧嘩させたいわけではなくて、漁師の本音を聞きたいというその一心です。 それが伝わったのか、鳥羽の人たちも思っていることを話してくれてます。 本気の人たちというのは、イレギュラーな方法でも、通じ合えるってことなんですかね。 前半は、そんなドキドキの話が続き、 後半は、水産資源管理とか、水質汚染とか、という硬派なテーマについて 著者が独学で学んだことが書かれています。 ここは正直、本を読んで学んだことがまとめられている感じだったので あんまり魅力的ではなかったです。 最後に、香良洲の漁師が漁師を辞めて行商人になった経緯が書かれていますが、 これがまた、不漁で追い込まれてからの一念発起が劇的で よくまぁ、こんなチャレンジングな生活に耐えられたなぁ、 特に奥さん、よく付いてきてくれたなぁと感心してしまいます。 困難を克服する能力というか、サバイバル力というか、 漁師の生き抜く力は凄いです。 面白い本でした。
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LIFE!&ハッピー
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- 2018/03/27(Tue) -
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『LIFE!』(2012年12月22日放送)
第2回目の放送。 出演陣を少し変更して、いろいろ試しているような感じです。 田中さん、塚地さん、西田さん、星野さんというメインキャストは変えずに、 脇をいろいろ変えてみるというのは、番組の幅を持たせるためにも良いのではないでしょうか。 ただ、全般的に民放に比べてコントが長い気がします。 丁寧な作りと言えるのかもしれませんが、ちょっと間延びしてるテンポの悪さも感じます。 多分、制作側の文化の違いみたいなものもあると思うので、 出演陣がそのギャップを埋めるには、もう少し時間がかかるかもしれませんね。 あと、丁寧さと同根かもしれませんが、予算の余裕から来るセットの豪華さ。 冒頭の台風のシーンとかで使ってる扇風機の力強さとか、 「名脇役」のコントで、舞台上と舞台袖と両方ともしっかり作り込んでくるところとか 今までに目にしたことがないような景色で驚きました。 やっぱり、NHKは、レベルが違いますね~。 コントの内容では、「呼び方」「常連の恋」「名脇役」あたりが面白かったです。 西田さん、大活躍! 内村さんとの夫婦役で流れる空気感が凄く好きです。 夫婦感にリアリティがあるのは、やっぱり女優さんだからですかね。 「カブキな奴」「恋のチムニー」など、この後続いていくコントの初回もありましたが、 内村さんのキャラづくりの力技にまだ頼ってる気がして、 これからキャラクターが生命をもって動き始めることを期待しています。 トーク部分の噛み合いは良くなってきて、楽しかったです。 『ハッピーエンド』(2012年11月21日放送) バツイチ芸人に温かいおでんをご馳走しようという企画の後半。 前半を見たところで、後半が行方不明になってましたがやっと見つけました。 こんにゃく作りは、劇団ひとりさんと真鍋かおりさんがロケに行ってましたが、 雑学的にへぇ~と思うことが多くて勉強になりました。 でも、あのロケで笑いを取っていくのは大変ですよね。お疲れ様です。 内村さんは手抜きロケでおでん種を調達し、いざ、慰め会へ。 井戸田さん、TKO木下さん、東京ダイナマイト松田さんを招いておでん会。 でも、すぐに離婚ネタ披露大会になり、結局、励ますどころか傷口を広げる感じに(苦笑)。 面白かったですけど、自分のネタを話し終わったときにシーンとした間があくのが物悲しい。 あと、内村さんは既婚者立場で超上から目線で会話に入っていて、 あぁ結婚できた者勝ちの世界なんだなと、世の無常を感じてしまいました(笑)。
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『俺は、中小企業のおやじ』
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- 2018/03/26(Mon) -
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鈴木修 『俺は、中小企業のおやじ』(日本経済新聞出版社)、読了。
「私の履歴書」をまとめたものかと思いきや、 オリジナルの本だったようです。 スズキに入社してからご自身が携わってきたプロジェクトの話や、 社長に就任してからの経営判断について素直に語られています。 創業者一家の婿養子として迎えられるというのは 相当なプレッシャーだったと思いますが、 そのあたりについては淡々と語られています。 そこは、「私の履歴書」タッチだったら、もっと情緒的に振り返られたと思いますが、 残念ながらそういう私的な感情は抜きにして描写されています。 で、全般的に感じたことは、大失敗はしない人だなということ。 成功したところに強くスポットを当てているだけかもしれませんが、 大コケしてないところが凄いなと。 ま、婿の立場でコケたら先が無くなるのかもしれませんが。 アメリカ進出のケースは、結果の数字からすると大失敗なのかもしれませんが、 本社の動きの悪さをチクリとやって、どこに責任があったのか何となく曖昧に。 ご本人の文章を読んでいると、どこ吹く風な感じもあり、その心の強さというか 鈍感さ(を装える)というのも大事なのかもしれませんね。 この方は、経営者として、とにかくメッセージが分かりやすいと思いました。 「小・少・軽・短・美」「1部品1グラム1円低減」 「率は実態を覆い隠す、個数と金額で判断せよ」 従業員が何を基準に動けばよいか、単純明快です。 このメッセージが出ていれば、困ったことが生じても、 自分がどういう方向を向けばよいのか判断がつけやすいのではないでしょうか。 トップが出したメッセージを、組織がきちんと実行して、結実させる。 この成功体験があれば、次のメッセージにも1人1人が本気で取り組むと思います。 これぞ、あるべき経営者の姿だなと。 社長の立場で、インド進出の際にはインド政府のスタッフと3時間にわたって 自ら説明を行ったり、行動力とスピードがあるのも素晴らしいです。 これだけ大きな企業になっても、「俺は中小企業のおやじ」と言って、 中小企業並みの行動力とスピードを維持しようとする姿勢が伝わってきます。 小っちゃい組織を運営している身として、 学ばなければいけないところがたくさん学べる本でした。
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『片意地へんくつ一本気』
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- 2018/03/25(Sun) -
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高橋治 『片意地へんくつ一本気』(文春文庫)、読了。
下田のうなぎ屋の頑固親父が主人公。 離婚調停中の妻やら、うなぎ屋に勤める相思相愛の女中やら、 夜な夜な珈琲屋に集まる町内の面々やら、 下田の濃い人間関係が描かれていきます。 男たちが喋る威勢の良い言葉でどんどん会話が紡がれていき、 テンポよく話が進んでいきます。 このあたり、「下町うなぎ屋風流話」というサブタイトルの雰囲気にぴったりです。 で、交わされる会話というか、日々起こる出来事というのが、 明るい日差しが注ぐ南伊豆・下田の出来事の割には 意外と重たい話が多いんですよね。 ノミ屋行為で警察に引っ張られたり、税務署に目を付けられたり、 糖尿病になったり、娘が出来ちゃった結婚したり、出来てなかったり。 それとも、オヤジの世界って、結構、緊張感あるものなんですかね(笑)。 でも、そんな場面よりも、珈琲屋にいつもの面々が集まって どうでも良いことをワイワイ喋っている空間が一番面白いかな。 気の置けない仲間同士の日常の小さな幸せを感じると言いますか。 もしくは、おっちゃん達の小さな世界での勢力争いが微笑ましいと言いますか。 全編にわたって、空気感が好きな作品でした。
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『東京からはじめよう』
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- 2018/03/24(Sat) -
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猪瀬直樹 『東京からはじめよう』(ダイヤモンド社)、読了。
猪瀬さんの名前でこのタイトルなら、 都知事としての政策を語ってるんだろうなぁと期待しちゃいますよねぇ。 著者プロフィール欄を見たら、石原都政での副知事時代の発行だったのですが、 都政に携わる人間としての見解を聞きたくなりますよねぇ。 でも、この本で行われる9つの対談は、 対談というよりもインタビューみたいな印象を受けました。 猪瀬氏は第三者的な立場で、対談相手の専門領域について質問を投げかけていくというような。 もっと、猪瀬氏が東京都の現状や政策について熱く語る様子を期待してたのに。 インタビュー自体は面白かったです。 官房長官になる前の菅さんとか、 増田レポートを出す前の増田さんとか(県知事の実績はありますが)、 近い将来日本に大きな影響を及ぼす主要な人物を押さえたりしてて、 こういう人間の先読みをする能力はさすがだなと。 でも、彼らへのインタビューになっちゃってるんです。 東京都副知事の発言ではないんですよね。 とっても残念な読後感でした。
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『TAPS』
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- 2018/03/24(Sat) -
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『TAPS』
米軍の陸軍幼年学校における青春劇・・・・・って、全然興味が湧かないテーマ(爆)。 実家にあるDVDをブックオフに売ってしまえということで、 一応、見ておこうかな・・・・・という程度で見始めました。 結果、話についていけず。 冒頭、陸軍幼年学校の様子が、卒業式の日を軸に描かれていきますが、 そもそも、この世界観に入っていけませんでした。 やっぱり、軍隊っていう空間は、その国の文化が凝縮されてますよね。 ちっとも素敵な世界に見えなかったです。 もしこれが、防衛大学校の卒業式だったら、もっと気持ちを込めて見れたと思うのですが。 実はこの陸軍幼年学校、廃校が決まっており、あと1年の運命。 その事実がオープンにされた卒業パーティの夜、地元のチンピラたちとトラブルを起してしまい、 不運な事故から死者が出る羽目に。 ショックを受けた校長は心臓発作を起こし、 校長を尊敬していた生徒たちは、学校に立て籠もることに・・・・・・って、おーい! この展開がどうにも理解できなかったのですよ。 なぜそこで武装蜂起なのか。 確かに校長はスピーチ内で、廃校に対して戦おう、抵抗しようと呼びかけていましたが、 かと言って、武装蜂起することで問題が解決するとはとても思えません。 優秀そうなモアランド少佐のする判断が、こんな内容とは・・・・・。 反発する生徒がドワイヤーぐらいで、みんな同調してしまうという幼さが怖いです。 校長の学校に対する愛が歪んでいるなら、 生との校長に対する愛も歪んでおり、 こんな思想の人たちが米国陸軍を形成しているのかと思うと、 ちょっと引いてしまいました。 俳優陣としては、 主人公のティモシー・ハットンという役者さんは恥ずかしながら知りませんでしたが、 若き日のトム・クルーズやショーン・ペンが出ていて、光ってました。 トム演じるショーンは、血気盛んというか、好戦的な軍人を描いており、 その狂気が恐ろしかったです。 上手く演じていたということなのでしょうが、気味の悪さが後味悪かったです。 ショーン・ペンは、雰囲気に飲み込まれていく生徒たちの中で 冷静に状況を見ているドワイヤーで、格好良かったです。 アメリカ人が見たら、もっと楽しめる映画なのでしょうかね。 私は、米軍への不安が募ってしまう映画となってしまいました。
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