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『マルハの挑戦』
- 2017/11/30(Thu) -
長谷川正  『マルハの挑戦』(扶桑社)、通読。

水産会社マルハについてのルポ。

水産業のことが学べるかなと思って買ったのですが、
大洋漁業からマルハへと社名変更し、
CIやVIによる企業改革に取り組んだ事例紹介でした。

思っていた内容と違ったので、流し読みになりましたが、
企業ブランディングや老舗企業の社内改革を学ぶには
良いサンプルケースなのかなと思いました。

冒頭、横浜ベイスターズの誕生シーンから始まりますが、
ワタクシ、大洋ホエールズが身売りされてベイスターズになったのだと
勘違いしていました。
大洋漁業という親会社がマルハに社名変更し、
そのタイミングで球団も名前を変えたということだったんですね。

大洋時代と比べると、ベイスターズになって明るくなった気がしますし、
DeNAになってからは、さらにお客様志向が強くなったので
組織の雰囲気の良さが伝わってきますね。

マルハについては、本業の水産業のところについて
もっと知りたいと思います。


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長谷川 正

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『半農半Xという生き方 実践編』
- 2017/11/29(Wed) -
塩見直紀 『半農半Xという生き方 実践編』(ソニーマガジンズ)、通読。

農業をしながら、自分の天職となるXと兼業して、
幸せな人生を送ろうというメッセージの本。

イマドキの農業人生かと思います。
意識高い系のジャンルの一つという感じでしょうか。

「実践編」というタイトルなのに、
農業そのものの実践についての描写が薄く、
この本を読んで、理想を抱いて「半農半X」の道に進んだ人は
苦労するんじゃないかなぁ・・・・・と思ってしまいます。

まあ、それほど稼ぎを求めずに、
苦労も含めて楽しめるような人なら、良いのでしょうけれど。


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塩見 直紀

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『吉田電車』
- 2017/11/28(Tue) -
吉田戦車 『吉田電車』(講談社文庫)、読了。

名前だけは知っている漫画家さん。
どんな人なんだろうか?と興味を覚えて、ブックオフで見つけた本作を買ってみました。

『吉田自転車』というエッセイの続編のようなのですが、
本作は気軽な電車旅のエッセイです。
この「気軽な」というのがポイントで、
旅行としても気合が入って無いですし、電車熱的にもそんなに高くない、
なんとなく1日空いたのでふらっと電車に乗ってみました、行った先で麺類食べてみました
という手軽な感じが親近感を覚えます。
これがゴリゴリ電車オタクだと、読むのがきっと辛いんです。

さて、最初の旅はと言うと、なんと三重県へ。
伊勢神宮に行こうと思い立ち、その行き方を調べるにあたって、
伊勢神宮が何県だか分からないという著者。
おーい!
三重県民としては残念なお知らせです。
でも、東海・近畿圏以外の人にとっては、この程度の知名度ですよね(哀)。

で、伊勢では伊勢神宮以外に、水族館に行ったり、伊勢うどんを食べたりしていますが、
伊勢うどんって、そんなに美味しいものかいな?と思ってしまいます。
ま、私が、三重県内でも伊勢うどん圏の外に育ったせいだとは思いますが、
うどんにタレに刻みネギで500円とか600円とか取られると引きます(苦笑)。

ま、それはさておき、著者は、伊勢うどんの連続に若干飽きながらも
それなりに伊勢旅行は満喫したようで、ホッとしました。

その後も、多摩モノレールに乗ったり、大江戸線に乗ったり、
近場でウロウロしながらも、時には函館に行ってみたり。

小市民的な感覚が共有出来て面白かったです。
そして、文章の小気味良さも好きでした。
他のエッセイも読んでみようかな。
特に自転車とか興味ないけど(爆)。


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『男と女のいる風景』
- 2017/11/27(Mon) -
渡辺淳一 『男と女のいる風景』(PHP文芸文庫)、読了。

実家にありました。
たぶん、お客様からいただいた本でしょう。

あまり考えずに時間つぶしのつもりで手に取ったら、
何と自分の作品から「珠玉だ」と思われるフレーズを切り取って並べたという
アフォリズム集でした。

自分の作品に自信満々だなぁ・・・・と醒めた目で見てしまいましたが、
あとがきで本人が「恥ずかしいから編集は他人に丸投げした」旨を告白しています。
何その言い訳!?みたいな(爆)。

そもそも、小説やエッセイ、対談における流れの中から切り取っても
その数行だけで存在価値があると認めている自信が凄いなと。
編集を他人に任せたとしても、その行為を追認しているわけですからね。

言葉の含蓄って、やっぱり、
その言葉が紡ぎ出された背景や流れがあってのものだと思うんです。
そこだけ切り取っても、本当の意味は感じ取れないのではないかと思います。


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『納豆に砂糖を入れますか?』
- 2017/11/26(Sun) -
野瀬泰申 『納豆に砂糖を入れますか?』(新潮文庫)、読了。

食文化の境界線シリーズ第2弾。

まず、タイトルにびっくりしました。
納豆に砂糖!?てな感じです。

ただ、私は納豆を食べない地域の出身なので、納豆の食べ方に思い入れがあるわけではなく、
納豆みたいな美味しくないもの(納豆好きの方ごめんなさい)に
砂糖を入れても、さらに美味しくなくなるだけでしょ・・・・・
って思っちゃいました。

ただ、よくよく読んでみると、市販の納豆に付いてくるタレは砂糖入りとのことで、
そう言われれば、違和感を覚えなくなりました。
不思議なもんです。

さて、今回の調査内容で印象に残ったのは「鮭とブリ」。
よくこんなテーマが思いつくなぁ・・・という意味で印象に残りました。
食文化に精通していないとできないお仕事ですね。

そもそも「年取り魚」という概念が私にはありませんでした。
大晦日~お正月に食べる魚ということですよね。
我が家は、元旦は松阪牛のすき焼き!と決まっているので
正月の魚のイメージが全くありませんでした。
新巻鮭も、ブリも、縁がなかったなぁ・・・・・。

あと、本作では、「糸魚川―静岡構造線を行く」として
実際に歩いて食文化の変化を探るレポが収録されていましたが、
前作の東海道編に比べて、あまり興味が湧きませんでした。
やっぱり、自分の地元が絡んでないと、面白さ半減ですね(苦笑)。


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『アリはなぜ一列に歩くか』
- 2017/11/25(Sat) -
山岡亮平 『アリはなぜ一列に歩くか』(大修館書店)、読了。

祖父の本棚にあった本。

ケミカルコミュニケーションがご専門の生物学者さんのよう。

黒澤明監督の『八月の狂詩曲』で、アリがバラの花を登る場面を撮影するというので、
その監修として参加することになった著者。
アリを思うように歩かせるために、ケミカルコミュニケーションの研究結果を駆使したという
エピソードが冒頭で語られ、一気に引き込まれます。

仮説を立てて、それを証明できる実験方法を考え、実行する。
このPDCAの繰り返しを地道に続けて真相に近づいていくところに、
自然科学のワクワク感がありますよね。

この中でも、どうやって証明するかという方法を考える部分が、
その研究者の力量の見せどころなのかなと思います。

アリの話が中心ですが、
ハチやガなどのエピソードも紹介されており、
それぞれの昆虫のサバイバル戦略が比較出来て面白かったです。

アゲハチョウは、幼虫が食べる餌が非常に限られているということで、
その餌となる植物の刺激に反応して産卵するような仕組みを発達させたということですが、
よりマニアックな方向に進化する戦略を選択することが興味深いなと。
食べられる餌の幅を広げた方が明らかに楽そうなのに
それは選ばないというところが面白いです。

昆虫は、種類も豊富ですし、
進化の枝分かれの多様さが面白いですね。


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『驕るなかれ』
- 2017/11/24(Fri) -
中村幸昭 『驕るなかれ』(中部経済新聞社)、読了。

三重県下では言わずと知れた鳥羽水族館の創設者であり名誉館長さん。
その自伝です。

さぞ、お魚話満載なんだろうな~と軽い気持ちで読み始めたら、
なんと、銀座で洋品店をしたり、バーを開いたり、果ては朝日新聞の記者をやったりと、
思いがけない経歴の持ち主でした。

単なるお魚大好きオジサンなのではなく、
この方は、真の実業家ですね。

世の流れを読み、自分の立ち位置を把握し、
自分にできる最大限の商売をタイムリーに行うという、まさに実業家精神の塊です。
そして、渋沢一族である渋沢敬三氏の支援も受けて、
鳥羽水族館を開設します。

高級魚問屋の延長線上にあった初期の施設から、
どんどんと増築を繰り返し、本館を作り、魚の病院を作り、新館を作り、
現在の日本最大級の水族館に育て上げるという情熱。
この巨大なプロジェクトにおいて、全ての局面で陣頭指揮を執ってきた著者。
そのエネルギーには頭が下がります。

川喜田半泥子氏の評伝を読んだ時と同じような興奮を味わえる、
まさに行動力に満ちた三重県の星の物語でした。


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『農家レストランの繁盛指南』
- 2017/11/23(Thu) -
高桑隆 『農家レストランの繁盛指南』(創森社)、読了。

農業者が経営する飲食店事業についての指南書。
いわゆる6次化の取り組みについての本です。

「導入部だけ紹介して、大事なところは有料」というような本が多い中で、
本作は、本質的な部分もしっかりと書かれており、有益な指南書です。

6次化で分かりやすい失敗事例が、
値付けが安すぎて、やればやるほど赤字になるというものがありますが、
生産者は原材料の原価が分かっているため、どうしてもそれに縛られる、
そして付加価値という概念が身についていなかったり、
相場というものに無頓着だったりして、
適切な値付けができないというものです。
そもそも原価計算自体できていないという場合も多々ありますが。

そういう農業生産者の方々と著者がどのように向き合ってきたか、
何がポイントで、何を考えさせないといけないか、
レストランのコンセプトから値決め、運営管理、衛生管理など
多岐にわたって具体的な指南事項と指南内容が示されており、
この本を片手に、自分たちの店のチェックをしていくことが可能です。

経営が上手く行かずに悩んでいる農家レストランさんは
本作を一度読んでみることをお勧めします。


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『超高速!参勤交代』
- 2017/11/22(Wed) -
『超高速!参勤交代』

公開時に気になっていた映画です。
「参勤交代を超高速で行う」という馬鹿馬鹿しくも悲しい設定を
どう料理していくのか面白そうだと思ったのと、
タイトルの感じから、かなりコメディコメディした内容だろうと期待したので。

で、結果ですが、設定そのものは面白かったです。
ただ、その課題のゴールまでの道のりが、あまり面白くなかったです。
平たく言えば、現実味が乏しくて、その苦難に共感できない感じです。
そして、コメディ色の方は意外と抑え目で、これまた想定外。
思ったほどには楽しめませんでした。
公開当時、それほどヒットしていた印象がないのも理解できました。

磐城の弱小藩である湯長谷藩は、
幕府老中の嫌がらせを受けて、江戸から帰藩早々に再び参勤交代せよとの知らせが。
どう対応するかで大議論となるが、藩主の判断で
通常8日間かかる道のりを5日間で走り通すことに。

途中、役人のいる宿場町では、適切な大名行列で通過しなければいけないというような
チェックポイントも設けられており、困難な課題を解決するチームプレーものとして
見れば面白い設定だったのに、忍びの者とか、遊女とか、そもそも意地悪な老中とか、
キャラクター設定がショボいんですよね。
こんなギャグマンガみたいなキャラで良いのか!?という感じ。

要所要所に演技派の役者を起用しているだけに
そのアウトプットの仕方がもったいなかったです。

ただ、佐々木蔵之介の藩主と、西村雅彦の家老のコンビは安定感抜群。
特に西村さんの家老の表情、間合い、動き、全てが抜群でした。
女優陣は残念ながら印象に残らず。

本作は、コメディ映画として見るよりも、
参勤交代マメ知識を得るための歴史映画として見た方が
楽しめそうですね。


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『地産地消』
- 2017/11/21(Tue) -
下平尾勲、柳井雅也、伊東維年 『地産地消』(日本評論社)、読了。

地産地消本2冊目。
前の本が期待外れだったので、こちらも期待せずに読み始めたのですが、
これは当たりでした。

冒頭で、著者たちが「地産地消」という概念をどのように定義しているか明確に、
その概念が登場してきた背景や類型を丁寧にかつ簡潔に紹介していきます。

まず第1章で、地産地消とはどういうことか全体像がつかめるようになっており、
その後、具体事例の解説に入っても、第1章と対比して読むことで
その位置づけや意味が適切に理解できます。

さらに、本作では、収支関係のデータが豊富に揃っており、
「農業を経営する」ということに軸を置いているので、
「食の安全」「地元愛」みたいな情緒的な話に流されることなく、
「農業で食べていくためには」という、まさに農業者の立場に立った解説をしており、
信頼できる本だと感じました。

私は以前から「地産地消」という言葉に対して不信感を持っていたのですが、
それは、「なぜ地元での消費に価値を置くのか?」ということでした。
その農産物の価値を適切に理解している人が、それに見合う対価を払って
しっかりと味わって食べてくれるのであれば、地元の人でも都会の人でも他所の人でも
誰が食べてくれても嬉しいことじゃないか・・・・・・と思ってます。

本作で気づいたのは、結局、「地産地消」というのは目的ではなく「手段」であり、
生産者の意識改革ややりがい増大をもたらす「施策」であるということでした。
そして、それは、今は「6次化」という言葉に置き換えられているということです。

「目的ではなく手段」と定義し直せたことで、
「地産地消」の持つ意味合い、効果について、すんなりと理解できました。
その境地にたどり着けたのも、本作の冷静な筆致によるものです。
良い本に出会えました。


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