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『田舎力』
- 2017/07/31(Mon) -
金丸弘美 『田舎力』(生活人新書)、読了。

地方創生の成功事例を紹介した本。

つい、「地方創生」というと、アベノミクスを想起してしまいますが、
本作で紹介されているのは、もっと以前から、十年、二十年と時間をかけて
地域おこしに取り組んできた事例です。

長期間にわたって活動が継続できている事例となると、
良く知られている事例に限られてしまうわけで、
馬路村とかモクモクファームとか、
正直、新鮮味の無い事例の紹介になってしまっています。

でも、「地域おこし」と言った時に、
楽しさ優先とか、地元コミュニティ優先とか、ロハス志向とか
変な価値観が付きまといがちなところを、
やっぱり長期間継続できている取り組みというのは、
経済活動として地盤がしっかりしていて、
儲けることをきちんと考えているというところが良く分かりました。

こういう経済活動としての地域おこしについて、
事例紹介にとどまらず、1つ1つを深堀りした本を読んでみたいです。


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金丸 弘美

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『東海の魚』
- 2017/07/30(Sun) -
片岡照男 『東海の魚』(中日新聞本社)、読了。

伊勢湾と熊野灘の魚について、
鳥羽水族館の副館長が紹介してくれる本。

カバーの雰囲気は図鑑のようですが、
中身はお魚エッセイです。

伊勢湾でよく見かける魚だけでなく、
採取事例が1つしかないような珍しい魚についても述べており、
基本的には、著者の好みが強く反映されています。

中盤からモノクロ写真になってしまうのが残念です。
写真自体もプロの手というより著者の撮影なのでしょうかね。

伊勢湾での採取事例についていろいろ書かれていましたが、
多くのアマチュアダイバーがカメラを持って海に入る現在、
魚の生息域の情報は、日々更新されて行っているのではないでしょうか。

そういう情報がリアルタイムで反映されるデータベースがあると
面白いだろうなと思いました。


東海の魚―伊勢湾と熊野灘を中心に (1979年)東海の魚―伊勢湾と熊野灘を中心に (1979年)
片岡 照男

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『性転換する魚たち』
- 2017/07/29(Sat) -
桑村哲生 『性転換する魚たち』(岩波新書)、読了。

ダイバーの間では、クマノミが性転換する魚として有名ですが、
それ以外にもベラ・ハゼの仲間で、たくさん居るんですね。

それらの性転換の条件や法則を、1つ1つ地道な実験を重ねて
結論を出していくプロセスを描いているのですが、
地味~な話なのに、著者が読者を意識した明るい文章を書いてくれているので、
結構、面白く読めます。

実験結果だけでなく、失敗したときの悔しさや、
先行する研究者の報告を覆したときの喜びとか、
人間らしい喜怒哀楽も表現されていて、引き込まれます。

レジャーダイバーとして、ベラやハゼの写真を撮るのに時間をかけるのは好きですが、
それとて5分ほどの話。
何時間も、何日も、何か月も、海の中で観察を続けることの大変さは、
並大抵のことではないと思います。
海が荒れる日だってありますしね。

このような研究のつみかさねに頭が下がります。


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桑村 哲生

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『一〇三歳になってわかったこと』
- 2017/07/28(Fri) -
篠田桃紅 『一〇三歳になってわかったこと』(幻冬舎)、読了。

徳ちゃんのラジオで紹介されていた本。
全く知らないアーティストさんだったので、
こうやってラジオで紹介されなければ、手に取らなかったかもしれません。
本の出会いを与えてくれて感謝ですね。

短いエッセイが集められていますが、
どれもご自身の生き方、人生における判断について述べており、
一〇三歳まで、一人で生活をしてきた人の力強さを感じます。

とにもかくにも、一〇三歳という年齢で
これだけ明晰な文章を書くことができるだけでも、
心身ともに健康で健全な人生を歩まれてきたんだなと感じられ、
そのような人生の積み重ね方に憧れます。

一〇三歳の時点で、
著者のように、自分の人生を肯定できているようになりたいものです。


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『家族の悪知恵』
- 2017/07/27(Thu) -
西原理恵子 『家族の悪知恵』(文春新書)、読了。

悪知恵シリーズっていう感じでしょうか?(笑)

前作では、サイバラ女史のブッタ斬り回答にはスッキリしたものの、
質問のレベルのバラつきにやや不満があったのですが、
本作では、質問のレベルも上がってて、読みごたえがありました。

サイバラ女史の家庭観って、
①子供に無駄なリスクを負わせない
②ダメな男が好転することを期待しない
③なるべく早く子離れできるように子供を自立させる
こんな感じでしょうか。

①は、過保護にするのではなく、
親が子供に余計な迷惑をかけないという意味で、
冷静に引けということかなと。

②については、サイバラ女史の主張は他の本も含め一貫してますね。

③は、先日、NHKの『クローズアップ現代』でサイバラ女史が出ている回を
たまたま見たのですが、つまりは「卒親」ということですよね。

どれも、言うだけじゃなく、
本人が実行しているところに説得力があります。

周囲の人間に過度な期待をせず、
未来に無暗な希望を持たず、
自分の力量を冷静に見極めて、
日々しっかり努力する。

文字にすると、ものすごく真面目な人生哲学だと思うのですが、
サイバラ女史にかかると、なぜかぶっ飛んだ主張で
笑えてしまうというのも、この人の持ち味というか、才能ですね。


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『熊野灘を歩く』
- 2017/07/26(Wed) -
石原義剛 『熊野灘を歩く』(風媒社)、読了。

先日読んだ伊勢湾の文化の本
熊野灘版を見つけたので買ってきました。

志摩半島の南側から、紀伊半島最南端の串本までの
漁村文化を紹介したガイドブック、まさに熊野灘の本です。

『伊勢湾』のときにも思ったのですが、
とにかく著者自身の思いが溢れているので、
紹介されている各町の文化が素晴らしいものだと伝わってきます。

そして、漁師町と一口に括ってしまえない文化の多様性が分かります。
その町で大事にしている魚が
ブリだったり、カツオだったり、クジラだったり、ボラだったり、
お祭りに表れていたり、供養塔があったり、
漁師たちと魚の距離の近さを感じます。

紹介されている1つ1つのことは、
観光資源としてはささやかなものかもしれませんが、
どういう繋がりを持っているのかという線で考えていくと
面白い探索ツアーができそうです。


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『三重県のことば』
- 2017/07/24(Mon) -
平山輝男、大野真男、久野マリ子、丹羽一弥、大島一郎、久野真、杉村孝夫
                                『三重県のことば』(明治書院)、通読。

三重県の方言について書かれた本。
かなり専門的というか、解説文章は平易な日本語ですが
内容がマニアックなので、ところどころ拾い読みする形になりました。

まず三重県は、名古屋文化の北部、伊勢文化の中部、紀伊文化の南部、
大阪文化の西部と4つに分かれており、
言葉はもちろん異なりますが、食文化も土地柄もそれぞれ個性的で
1つの県としてはまとまりがない方かもしれません。
その分、県内を移動していて面白いですけどね。

私自身は、自分の出身地である中勢地区の
いわゆる「伊勢のナ言葉」と呼ばれる、
「あのなぁ、私なぁ、昨日なぁ、海に行ったんなぁ・・・・・」
という、なんとも気の抜けた呑気なリズムが心地よいのですが、
最近は、仕事で南部の方々とご一緒することが多くなったので、
尾鷲弁の「ごめんイー」とか、熊野弁の「楽しきってく」というような
語尾変化が可愛らしいなと思うようになりました。

本作でも書かれていますが、
リアス式海岸が広がる地域では、
浦々で言葉が複雑に変化していくというところもあり、
やっぱり、三重県は、穏やかだけど複雑なところが面白い文化圏だなぁと思います。


三重県のことば (日本のことばシリーズ)
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『熊野灘磯の辺路紀行』
- 2017/07/23(Sun) -
みえ熊野学研究会 『熊野灘磯の辺路紀行』(東紀州地域活性化事業推進協議会)、読了。

地元の文筆家による文章の寄せ集めかな・・・・程度に思って買ったのですが、
何の何の、しっかりと調べてある文章が多くて、
満足度の高い読書となりました。

熊野古道、古代鏡、九鬼水軍、水産図鑑、赤須賀船等々、
様々な角度から歴史の推考がされており、
また、資料についても写真や年表が多数掲載されているので、
マニアックな内容でも興味深かったです。

また、水難事故の物語も複数収録され、
海を舞台に生きる男たちの苦労を知るとともに、
救助に向かう地元の男たちの熱さにも触れることができ、
素敵な物語たちでした。


熊野灘磯の辺路紀行 (みえ熊野の歴史と文化シリーズ)熊野灘磯の辺路紀行 (みえ熊野の歴史と文化シリーズ)
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『強い農業をつくる』
- 2017/07/23(Sun) -
青山浩子 『強い農業をつくる』(日本経済新聞出版社)、読了。

現在の経営志向の農業の成功者の紹介だけでなく、
最初にしっかりと農業そのものの基礎知識を教えてくれたので、
非常に参考になりました。

そもそも、畑作に比べて、米作が「手間のかからない」農業なのだと
初めて知りました。

小学校の授業で、「農業の1年」を知るのに米作農家のことを学び、
田起こしから収穫まで、1年間というか半年間、大変な仕事なんだなぁ・・・・・と
思っていたのですが、日々草刈りに追われる畑の仕事よりも楽なんですね。
それに、獣害も、敵の範囲が限られそうですし。

日本人だから、米作については知っているべきだと思いますが、
かといって米作のみを教える教育では、
農業のことを全然知ることができないんだなと分かりました。

そういう基本情報を最初に押さえつつ、
後半は先進事例の紹介が続き、「これからの農業」を考えるのに
いろいろと刺激を受けられる本でした。


強い農業をつくる強い農業をつくる
青山 浩子

日本経済新聞出版社 2009-06-20
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『十津川警部 愛と祈りのJR見延線』
- 2017/07/21(Fri) -
西村京太郎 『十津川警部 愛と祈りのJR見延線』(集英社文庫)、読了。

気分展開にお気軽ミステリー。

資産家のおばが見延山旅行中に消息不明に。
旅程を組み同行した旅行会社の社員は、実は在籍していなかった・・・・・・

って、もう、この時点で警察に相談するレベルな気がしますが、
なぜか甥は数日間放置。

一方で、叔母の旅行期間中に自らも仕事の合間に見延線に乗ってみて、
たまたま入った駅前の喫茶店のマスターに「変わった事件があったら知らせてください」と
名刺を置いていきます。

この時点では、おばさんが何か事件に巻き込まれたような気配はないのに、
なぜ、赤の他人のマスターに、こんな変なことを頼むの?

というわけで、ストーリー展開には物凄く違和感を覚えましたが、
舞台となる新興宗教の秘密の儀式「ポストマン」は、興味深いものでした。

重病に冒されるなどして、間もなく命が尽きる身寄りのない人に最期の良い思い出を提供し、
代わりに、あの世の世界にいる故人へのメッセージを託す。
メッセージが伝われば、故人が夢に出てきて御礼を言うという、
なんとも、悩める人間の心理状態を上手く手玉に取った詐欺の手口。

でも、死んでいく人も幸せ、メッセージを託す人も幸せになるという
一見、誰も不幸を感じないやり口がお見事。

この仕組みを考えた教団関係者は凄いなぁ・・・・と素直に思いましたが、
しかし、死期をコントロールするために薬で安楽死させたら、
日本では殺人罪でしょうに。
しかも、本作の捜査関係者は、誰もそこに突っ込まないという(爆)。

捜査の発端はホテルで死んだ男かもしれませんが、
下手したら新興宗教団体による安楽死という名の連続殺人事件の可能性もあるわけで、
警察だったら、そこに食いつきなさいよ!と思わずにはいられない変な展開。

新興宗教を扱った小説としては面白かったですが、
ミステリーとしては、何だかモヤモヤの募る読書でした。


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西村 京太郎

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