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『察知力』
- 2017/04/30(Sun) -
中村俊輔 『察知力』(幻冬舎新書)、読了。

近所のおじさんにもらった本。

私は、サッカーはほとんど分からないのですが、
中村俊輔選手って、こんな話し方をする人なのかな?と
文章に違和感を感じてしまいました(苦笑)。
もちろん、ゴーストライターさんがいるのでしょうけれど、
適用されている語感や語尾が、
スポーツニュース等で見る中村選手のイメージと合わない感じが・・・・・。

さて、内容ですが、自分の置かれた環境で、何を周囲に求められているかを見極め、
その期待に応えられるように自分の能力を磨いていくという行動原理を
「察知力」と呼んで、自分の半生を振り返りながら解説しています。

中学3年生の時に、天狗になってしまっていた自分を反省し、
その後は、「察知力」を磨き続けて、日本で、世界での成功に至るというお話。

とにかく、周囲を冷静に眺めて、ニーズを見極め、
それに適合するように自分を柔軟に変化させていく姿勢。
その当時の自分の強みと思っていることに執着するのではなく、
新たな自分を開発しようという積極的な姿勢。
これは、どんな世界に生きる人でも、
見習うことができたら、自分の存在価値を高められそうですね。
特に、サッカーのようなチームプレーであれば、なおさら。

読み物としては、高校生以降、順風満帆過ぎて
面白味に欠けるところがありますが(苦笑)、
自己能力開発という観点で読むなら、勉強になると思います。


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中村 俊輔

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『バイアウト』
- 2017/04/29(Sat) -
幸田真音 『バイアウト』(文春文庫)、読了。

ブックオフで、この著者の作品が結構並んでいるので気になっていたのですが、
近所のおばちゃんが貸してくれたので、試し読み。

ホリエモンとか村上ファンドとかがニュースを騒がせていた時期に連載されていたようで、
そのまま名前を変えただけのような事例として作品の中に登場してきます。

しかし、事実は小説よりも奇なりと言いますか、
当時のニュースを見ていて感じたワクワク感や不安感に比べて、
本作はドキドキするものがありませんでした。
現実世界に起きたことをただなぞっているような感じで、
小説仕立てのM&Aの入門書を読んでいるかのような・・・・・。

もちろん、メインの筋である総合音楽企業のTOB案件は、
この作品のオリジナルストーリーですが、
こちらも、中途半端な親子モノになってしまっていて、
経済小説としても親子小説としても、物足りない内容でした。

同一企業へのTOBが集中するというそもそもの建て付けも、
あまり必然性を感じられず、作り物めいた感じが拭えませんでした。

残念。


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幸田 真音

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『おんな飛脚人』
- 2017/04/28(Fri) -
出久根達郎 『おんな飛脚人』(講談社文庫)、読了。

久々に出久根さんです。

江戸時代末期、飛脚商売を営む商家が舞台です。
主人が肺病に倒れ、従業員が恐れて出て行ってしまった飛脚業の十六屋。
そこに新たに採用された清十郎とまどかの目線で語る飛脚業。

本作は、時代物というよりも、お仕事モノとして面白かったです。
飛脚という仕事が、庶民、特に商いに携わる人々の中で、
どれだけ重宝されていたかが活き活きと描かれています。

さらには、新しい飛脚業のあり方を模索していくという流れが
時代が変わる転換点を見ているようで、興味深かったです。
ま、ペリー来航の頃の時代を描いているので、
明治維新を経て、郵便業が始まるまで間もない頃ではありますが。

そして、サイドストーリーの、まどかの母親探しに関しては、
私としては予想外の結末になっており、新鮮な気持ちで読めました。
当時の時代背景からすると、そういうことも、まま起きたのでしょうね。

それほど大きな出来事が繰り広げられるわけではないですが、
幕末の江戸の商いの様子を知ることができ、
興味深い読書となりました。


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『ベトナム怪人紀行』
- 2017/04/27(Thu) -
ゲッツ板谷 『ベトナム怪人紀行』(角川文庫)、読了。

サイバラ女史の作品に時々「金角」として登場してくる著者。
作品を読むのは初めてです。

本作は、著者とカメラマンの鴨志田さんと現地ガイドの鈴木さんの3人組が
ベトナムを縦横無尽に取材して回る旅行記。
2年前のベトナム訪問で「敗北」したからリベンジ!ということですが、
なんでベトナムを動き回っているのか、その目的というか、大義名分が
イマイチ伝わってこなくて、何を軸に読んだらよいのか分かりづらかったです。

例えば、全国の巨大仏を見て回る!とか
アマゾンでトクナレを釣る!とか
アジアの変な施設を見て回る!とか、
何かしら企画趣旨があると見やすいんですよね。
そこから派生する比較文化論だったり、人間観察だったり、自己分析だったりが面白いわけで。

2年前のベトナム訪問記を読んで、「敗北」の内容を理解すれば
今回の訪問意図も分かるのかもしれませんが、それは1冊の作品で完結してほしいところ。

あっちこっちの見て回る先を選ぶ理由が、「なんか面白そう」というフワッとしたものなので
なんでそこに行くのか読んでいて分からず、出てきた感想も場当たり的に思ってしまいます。

ベトナム戦争についての思いも書かれていますが、取って付けた感があり、表面的です。
今回のベトナム訪問まで、ベトナム戦争のことをほとんど知らなかったと書いていますが、
では、知ったからと言って、あえて作品に書き残すほどの感想だったのかなぁ・・・・・という印象です。

そして、他の旅行記との違いは、そういう重たい話と、くだらない軽い話とを繋ぐというか、
転換する作家としての技術が、低いように感じました。
重い話からいきなり軽い話へ、または、その反対になるときに、
脳内転換を上手く表現できていないので、重たい話への思いが表面的に見えてしまうのではないかと。

だから、著者のベトナム戦争に対する感想が軽いわけでも、
今回初めてベトナム戦争を知ったときに著者が受けた衝撃が小さいわけではなく、
それを表現する作家としての技術が追い付いていないのではないかと思いました。

体験は面白いものだったと思うのですが、
本の構成的にも、文章の表現的にも、
読者に十分に伝えられていないような気がして、残念です。


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『そうか、もう君はいないのか』
- 2017/04/26(Wed) -
城山三郎 『そうか、もう君はいないのか』(新潮社)、読了。

経済小説の帝王・城山三郎氏が描いた
経済世界とは切り離された私的な世界のお話。

思いのほかストレートに奥様への愛情を綴っており、
城山三郎氏の意外な一面を知ったように感じました。

出会いの場面から、奥様となる女性のことを「妖精」と表現しており、
また、一度は離れたものの、思わぬ再開をするあたりなど、
その運命について当の本人が最も神聖さを感じているようで、
行間から伝わるどころか、文章そのものが表現しきっています。

その分、奥様が病に倒れたところからは、
どれだけ辛く悲しい思いをしたのか、こちらが想像し尽せない程だったのではないかと
終盤の展開は読んでいて辛かったです。

しかし、一番涙を誘ったのは、
本編の後に収録された次女による、この夫婦の最後の生活の日々の描写です。
著者自身の筆は、キツイ言い方をするなら、奥様の病状を描いている場面では、
筆が鈍っているというか、少々ウツ状態で書いていたのではないかと思ってしまいました。

しかし、次女の方は、母親の病状や父親の打ちひしがれる姿、
そして両親の間で交わされる最後の日々での労わり合い、
これらを冷静に見つめ、その当時に必要な手当てをし、
そして今になって冷静に振り返っているという印象です。

この冷静さが、却って涙を誘います。

城山三郎氏の、熱い企業小説・経済小説は大好きですが、
その作品を生み出す過程を陰で支えていた奥様の姿に、感銘を受けました。
今後、城山作品を読むときには、奥様の姿も頭に思い浮かんでくることでしょう。

まさに、運命のベストパートナーですね。


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『死亡フラグが立ちました!』
- 2017/04/25(Tue) -
七尾与史 『死亡フラグが立ちました!』(宝島社文庫)、読了。

ブックオフのワゴンに平積みされていて、
カラフルな表紙が目にとまったので買ってきました。

「死神」と呼ばれる殺し屋に目をつけられると
24時間以内に死んでしまうという。
しかも、他殺とは分からないような死因で。
その「死神」を追う三流雑誌のライター。

一方では、17年前の一家惨殺事件で、死体不明のまま殺害されたと認定された
男の子の存在を追う刑事コンビ。

その他、いくつかのエピソードが同時並行で進んでいき、
どういう真相にたどり着くのだろうか、どういう繋がりがあるんだろうかと
ワクワクしながら読み進めることができます。

会話文を中心にポップな感じで進んでいき、
登場する各キャラクターも個性的なので、
文章自体も読みやすいので、サクサク読めます。

前半は、死神が仕組んだ罠の真相解明について、
手が込み過ぎだし、運に任せ過ぎなところもあるけど、
これを実現できる犯行組織があるなら面白いな・・・・・と思って読んでました。

しかし、中盤あたりから、
仕掛けが大掛かり過ぎないか?各罠の成功率が低すぎないか?
ということが気になりはじめ、一体どんな犯罪集団が出来上がってるんだ???と
リアリティの面で不安が出てきました。

そして、最後、あんなにもハチャメチャな展開にしてしまい、
最後の最後はそれで終わりかいっ!!!!(怒)

という残念な幕切れでした。

このラストで、元々のボリュームが倍以上あったというのですから、
このミス応募作品の腰砕け感は、超ド級だったでしょうね。

うーん、残念。


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『ダナエ』
- 2017/04/24(Mon) -
藤原伊織 『ダナエ』(文春文庫)、読了。

久々の伊織さん

若くしてお亡くなりになったニュースに触れたときには驚きましたが、
本作は亡くなる直前に出された中編集とのこと。

画廊に展示されていた肖像画が、
何者かにナイフで切られ、薬品をかけられるという事件が発生。
しかし、作家は犯人に心当たりがあるのか、警察に届け出ようとはせず・・・・・。

表題作は、あらすじだけ書くと犯人捜しのサスペンスのようですが、
その実は家族のありようを描いたヒューマンドラマだと感じました。

お金持ちの実業家一家、芸術への傾倒、離婚と子供、
普通の人よりも大きな才能を持った人なりの複雑な家庭の状況に
自分を重ね合わせることはなかったですが、
しかし彼らの苦悩を理解したいと思い、じっくりと読む読書になりました。

一緒に収録されていた他2作は、
広告代理店に勤める男性が主人公でしたが、
華やかなだけではない、しんどい面が描かれており、
その歪んだ二面性が、一番この業界らしい要素なのかなと感じました。

仕事をすること、生計を立てること、自分の作品を生むこと、
時には対立する、しかし人生にとって大事な柱となるものについて
考えさせられる作品集でした。


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藤原 伊織

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『立花隆秘書日記』
- 2017/04/23(Sun) -
佐々木千賀子 『立花隆秘書日記』(ポプラ社)、読了。

先日読んだ本に、立花隆氏が秘書さんに向かう態度について
批判的に書かれていたのが印象に残ったのですが、
たまたまブックオフで、件の秘書さんの著作を見つけたので即買い。

立花隆氏の秘書になったところから話が始まるのかと思いきや、
その前の職が途切れ、無職になったところからスタートしました。
というわけで、立花隆氏のみを語るのではなく、
結構、著者自身が前面に出てくる内容でした。

新聞で秘書募集の広告を見つけ、応募した著者。
その一風変わった、しかし目的が明確な面接試験を順次パスしていき、
めでたく秘書業につきます。
この顛末は、立花隆氏側でも文章になっています

しかし、秘書という仕事の実態は、
資料取集や整理、原稿取りの電話応対、クレーム電話の処理など
体力仕事から根気仕事まで、大変そうです。
ただ、縁の下の力持ち的な仕事であっても、
自分が関った作品が世に出たときには嬉しいでしょうね。
やりがいが感じられる仕事かと思います。

著者が秘書を務めていた時代は、
阪神大震災、地下鉄サリン事件、オウム真理教の強制捜査という一連の出来事を含み、
まさに強烈な瞬間最大風速が立て続けに吹いたときでした。

そんな時間を、立花隆氏の隣で経験したというのは、
他では得られない貴重なものだと思い、ある種の羨ましさを覚えました。
そして、読んでいて、立花隆氏の周囲にある緊迫した空気が伝わってくるので、
時代の記録本として良い作品になっていると思います。

東大のゼミや講義も全て記録員として聞いていたようで、
学生との対話の中身を全て知ることができるというのは、羨ましいです。

そんな著者ですが、立花隆氏の知性を尊敬する一方で、
物書きとしての立花隆には途中で熱が冷めていったような印象です。
『臨死体験』の最終章で、「臨死体験」現象に対する自分なりの判断を示さずに、
曖昧な表現で逃げたことに、この本で文章にして表現している以上に、
本心では幻滅してしまったのではないでしょうか。

自分が知らないことを学び、集め、暴き、それを披露する立花隆というジャーナリスト。
そこに、さらに意見・判断を求めてしまったがために、
物足りなさを感じるようになってしまったのではないでしょうか。

そして、そういう土壌が出来上がっていたところに、
「秘書に給料を払わなくてはならない(ことが嫌だ)」という週刊誌上の発言が
決別スイッチのボタンを押してしまったという感じでしょうかね。
この発言については、先の本でも糾弾されている次第です。

結局、立花隆氏は、秘書に仕事の支援を期待していたのではなく、
ただ単に、秘書というものを置いてみたかっただけなのだという、
非常に冷たい分析で終わっています。

冒頭からページの95%までは、立花隆氏への尊敬の念が込められた文章でしたが、
最後の5%のところで、全てを捨ててしまうかのような冷たい決別で終わっており、
その熱量のギャップに驚きます。
もっと何か理由があったのではないかと勘ぐってしまいたくなるほど。

できる人が2人で仕事をすると、
必ずしも上手く回るわけではないという事例なのかもしれませんね。


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佐々木 千賀子

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『おもしろいマリンバイオテクノロジーのはなし』
- 2017/04/22(Sat) -
松永是 『おもしろいマリンバイオテクノロジーのはなし』(日刊工業新聞社)、通読。

20年前の本ですが、
当時の最先端の海洋関連バイオテクノロジーについて紹介した本。

著者は、専門外の初心者向けに入門書を!というつもりで書いたようなのですが、
内容はまだまだ専門用語が並んでて、目的は達成できていないように感じました。

というか、「より多くの人にマリンバイオテクノロジーのおもしろさを知って欲しい」という
目的に対して、アウトプットがずれているように感じました。

著者が行っているのは、最先端の研究内容を紹介することですが、
それを面白がるのは、その分野の人たちだと思うんですよね。

最先端の研究内容を素人が面白いと感じるためには、
なぜ、そのような研究に価値があるのか、今まで上手く行かなかった壁は何だったのか
どうやってその壁を乗り越えたのか、というような、過去から現在、将来にわたっての
研究プロセスが進行していくワクワク感だと思うんですよね。

一流の研究者の本が面白いのは、
そのプロセスのワクワク感を素人にも上手く伝えられるから、
そして、それは、研究者本人が心の底からワクワクを感じているからだと思います。

教科書的な本が面白くないのは、
研究に携わる人のワクワク感が伝わってこないからだと思います。


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『人生で大切なことはすべて「書店」で買える。』
- 2017/04/21(Fri) -
千田琢哉 『人生で大切なことはすべて「書店」で買える。』(日本実業出版社)、読了。

またまた、この手の「人生で○○なことは、すべて○○で・・・」というタイトル本です。
安易な売本マーケティングを、本の話自体でやってしまうとは・・・・・。

さて、肝心の内容ですが、読書の効用を説く本は、
本好きの私としては、基本的に気持ち良く読めるものなのですが、
この本に対しては、なんだか反感を覚えてしまいました(苦笑)。

なぜ著者が本を好きになったのか、なぜ読書を楽しいと思うのかが、
イマイチ伝わってこないからかなぁと感じました。

本を読めば自分が磨かれるとか、
ひいてはビジネスの役に立つとか、
様々な効用があるのは著者の言う通りだと思います。

しかし、本好きとしては、理屈抜きに「読書している時間が好き!」という感覚を
まずは共有したいと思ってしまいます。

通常の読書推薦本は、著者自身が、物心ついたころから本好きだったとか、
家族が本好きだったので家に本が溢れていて自然に読むようになったとか、
それまで本は読まなかったのに、この本に出会って衝撃を受けたとか、
何かしら、思い入れのあるエピソードがあるはずです。

著者に関しても、そのエピソードは語られれて、
大学生になるまで一冊も本を読まなかったのに、
たまたま書店で間違って手に取った『昨日までの自分に別れを告げる』という
本を読んでから、急激に読書熱が湧き、活字の虫になったというもの。

「なんで、本を読まない人が『間違って』こんな本を手に取るの?」という疑問から
全然、このエピソードに共感できず、嘘臭さが鼻について
本読みとしての著者の存在が、受容できませんでした。

もっとしっかり、このエピソードを描いてほしかったなと思います。
もしくは、誇張しているように読めてしまうぐらいなら書くなと言いたいです。

著者が主張する80個の論点は、
違和感を覚えるものは少なかったように思いますが、
でも、80個に書き分けるほどのものでもなく、
同じことが言い方を変えて繰り返されているようで、くどいと感じてしまいました。


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