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『紙婚式』
- 2016/11/30(Wed) -
山本文緒 『紙婚式』(角川文庫)、読了。

結婚をめぐる様々なカップルの形を描いた短編集。

そこらへんに居そうな倦怠期の夫婦の姿もあれば、
かなり歪んだ夫婦の形もあり、
でも、それぞれに、なるほどなぁ・・・と思わせる背景や経緯があって、
すんなり頭に入ってくる物語たちでした。

自分が結婚してたら、きっと凄く共感できる人たちが
登場人物たちのどこかに出てくるんだろうなとも思いました。

それぞれのお話を締めるための最後の三行ぐらいが
どれも、しっかりとした締め括りの重みをもっていて、
上手いなと感じました。


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山本 文緒

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『パラドックス学園』
- 2016/11/29(Tue) -
鯨統一郎 『パラドックス学園』(光文社文庫)、読了。

主人公が進学した大学には、ドイル、ルブラン、カー、クリスティーといった
錚々たるメンバーが、学生としてサークルを作っていた。
その名も「パラパラ部」。

・・・・・・って、何のことだか分かりませんが(笑)、
本作は、ミステリ小説が好きで好きでたまらない人が、
なぜかSFチックな味付けで小説を作っちゃいました!という構成で、
基本的におちゃらけているのですが、意外と最後まで楽しく読めました。

著者のミステリ愛が強かったのか、
それとも主人公に言わせた数々のミステリ作品の「法則」が
ミステリ作品、特に本格モノを軽く皮肉っているようなやりとりの妙か。

事件の真相は、どういうトリックなのかと思いきや、
あ、そっちの方向にもって言うのね・・・・・というオチでしたが、
ま、でも、この作品の結末としてはありかも、。


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鯨 統一郎

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『干物の機能と化学』
- 2016/11/29(Tue) -
滝口明秀 『干物の機能と化学』(朝倉書店)、通読。

『魚介の科学』でさえ、マニアックな研究内容が並んでいるなと思ったのに、
さらに極めて「干物の科学」ですよ。

このニッチな研究分野で、これだけの厚みの本を構成できることに
まず驚いてしまいました。

各分野で、かなり詳細な解説がなされているので、
正直、細かいところまでは理解できませんでしたが、
しかし、干物の保存性や味の凝縮性、海から離れていても魚が食べられるという地理性や
それが日本人の栄養を支えたという歴史性、
いろんな視点からの考察は興味深かったです。

もうちょっと食品一般お勉強をしてから、
もう一度本作で復習してみたいと思いました。


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滝口 明秀

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『魚介の科学』
- 2016/11/28(Mon) -
阿部宏喜 『魚介の科学』(朝倉書店)、読了。

引き続き、図書館で借りてきた魚の科学の本。

こちらも前半は、お堅い化学式がならんで
味気ない解説だったのですが、
後半は調理の話や健康成分の話などで興味が持てました。

各分野の研究者の方による文章の集合体という構成なので
文章の堅さや柔らかさ、対象への接し方の厳密性と分かりやすさ、
食べ物としての魚を意識しているか、単なる研究対象物としての魚なのか、
担当者によってバラつきがありますが、
逆に、その多様性が、「こんなに多種多様な魚の研究者が居るんだぁ」という
実感に繋がりました。


魚介の科学 (食物と健康の科学シリーズ)魚介の科学 (食物と健康の科学シリーズ)
阿部 宏喜

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『どんな魚がうまいか』
- 2016/11/27(Sun) -
坂口守彦 『どんな魚がうまいか』(成山堂書店)、読了。

魚の美味しさを科学する系の本かなと思い
図書館で借りてきました。

確かに、魚を科学しているのですが、
あまりに科学科学した説明文で、
ちっとも美味しさが伝わってこないという本末転倒ぶり(苦笑)。

そして、各科学的要素の解説がやっと終わって、
いよいよ美味しさについて触れた章に入ったら、
美味しい魚ランキングが、「著者の好みによるランキング」ということで
全然、前段の科学的考察と繋がってない!!!(怒)

残念な本でした。


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坂口 守彦 日本水産学会

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『痺れる』
- 2016/11/25(Fri) -
沼田まほかる 『痺れる』(光文社文庫)、読了。

短編集は初めてでしたが、
長編作品よりも、短編集の方が好きかも。

人間の気持ち悪いところを描きつつ、
その気持ち悪さをどこかで受け入れてしまう人間の不思議さを
描いていて、興味深かったです。

ちょっと病んでいる感じの人物は、
どちらかというと女性で描かれることが多いような印象を持っているのですが、
本作では、男性側が病んでいる設定が多く、
慣れないせいかドキドキしてしまいました。

そして、そんな病んだ男性に恐怖を感じながらも
どこかの点で受け入れてします女性。
結局、女性の方も病んでいるということか・・・・・。

自分は日常生活を送っているつもりでも、
急に降りかかってくる不気味な接点。
その接点を振りきることができなければ、
どんどんドツボにはまっていってしまう恐怖。
それを上手く描いている短編集でした。


痺れる (光文社文庫)痺れる (光文社文庫)
沼田 まほかる

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『地域水産物を活用した商品開発と衛生管理』
- 2016/11/24(Thu) -
平塚聖一 『地域水産物を活用した商品開発と衛生管理』(幸書房)、読了。

簡単なムック本ぐらいのつもりで図書館で借りてきたのですが、
しっかりした内容で非常に勉強になりました。

前半では、商品開発の事例分析と問題の解決方法が解説されています。
特に、一次産業生産者が自ら商品開発をすると、なぜ失敗するのか、
そのために、農商工連携などどうやって解決していくのかを、
端的な文章で、具体事例も交えながら解説しており
非常に分かりやすかったです。

事例紹介も、具体的な商品名や開発主体を示しながら、
成功した部分だけではなく、現在も抱えている課題や失敗の要素などにも
しっかりと触れており、イメージしやすかったです。

後半は、商品の衛生管理の解説で、
水産加工品の製造過程における細菌の発生リスクや温度管理の仕方などに
具体的に触れており、しかも、干物、塩蔵品、魚醤などジャンル別に詳しく
解説されているため、概ね水産加工品の幅広いジャンルを押さえており、
こちらもイメージしやすかったです。

特に、温度管理や湿度管理、加工場の衛生管理など
「何度で何分すると菌数がいくつ」といった具体的な数値まで記載されており
非常に参考になりました。

手元に置いておきたい一冊です。


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平塚 聖一

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『サバの文化誌』
- 2016/11/23(Wed) -
田村勇 『サバの文化誌』(雄山閣)、読了。

ここ半年、魚が非常に身近になりました。
近所で魚を安く買える場所があるので、
鮮魚を買い、自分でさばいて食べるようになりました。

いろんな魚に目移りしてしまうのですが、
やっぱり、サバの美味しさと価格の優しさは別格のように思います。
いつでも安心して買える魚です。

刺身にはできないものの、
塩焼き、煮つけ、炒め物、燻製など、簡単にいろんな料理ができ、
美味しく食べられるので、ありがたいです。

そして、さばくのも、サバは手頃な大きさで
さばきやすいように思います。
(さばく練習をサバで行ったためかもしれませんが・・・・)

そんなサバについて、食文化や漁業の歴史、科学的な考察をまとめた一冊。

小難しい文章ではなく、
いかにサバが美味しく面白い食材なのかを
冷静な筆致ながら著者の思いが裏側に潜んでいる
良い文章だと思いました。

地域ごとの漁法や風習なども具体的に載っており、
三重県についても奈屋浦などの紹介がって
興味深かったです。


サバの文化誌サバの文化誌
田村 勇

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『金メダル男』
- 2016/11/22(Tue) -
『金メダル男』

田舎暮らしになって、そもそも映画館が近くにない!
ちょっと離れた町に映画館はあっても本作をやっていない!!
というわけで、県内最大都市にでかける用事があった本日、
ようやく観に行くことができました。

田舎の月曜日の午前中という最も客入りが悪そうなシチュエーションでしたが、
予想通り、150人ぐらい入る箱で、20人も居なかったと思います。

で、肝心の作品の方ですが、
ぶっちゃけて申し上げますと、内村作品の中では最も入り込めなかった結果に終わりました。
残念ですが・・・・・。

まずは、いきなり内村さん(というか大人の泉一)が画面から観客に向けて
語り掛けるシーンから始まった時点で、
「え!?舞台と同じ枠組みを映画に持ってきちゃったのか・・・・・」と思ってしまいました。

内村監督、事前にテレビや雑誌の宣伝で、
「テレビの笑い」「舞台の笑い」「映画の笑い」みたいなことを言っていたので、
違う切り口で来るのかと思ってたんですよ。
しかーし、泉一の独白劇が延々続くという構成は変わらず。
この時点で予想が外れて、ちょっと心の距離ができてしまいました。
映画は映画の見せ方をして欲しかったなと。

で、小学校のかけっこの話から中学、高校と、
知念さんが演じるパートは、まさに舞台と同じく、どんどんエピソードが重ねられていきます。
舞台では、断片的なシーン展開でも見ている人が自分の想像力で補うので
マシンガンのように次々とエピソードが繰り出されても滑らかに受け入れられるのですが、
映画の画面で表現されると、背景や周囲の人たちも全て画面に映ってしまうので、
もの凄く各場面が浅い感じに見えてしまいました。
リアリティのなさというか、コントでもこの展開はおかしいだろうというか。
そして、友情出演の役者さんも無駄遣い感が・・・・。

知念さんが上京するシーン以降は、
だんだんと1つのエピソードで見せる時間が長くなっていき、
次第に映画らしい感じになっていったと思います。
上京の電車のシーンにはホロリと涙してしまいました。
(ただ、なぜ彼が見送ろうと思ったのかは、脈略が不明でしたが)

内村さんのパートでは、やっぱり木村多江さんが良かったです!
『ボクの妻と結婚してください。』でも思いましたが、
この方が作品に与える深みが素晴らしいです。
そして緩急付けた演技が、コメディエンヌとして最高です。

舞台では、もっと泉一と頼子の信頼関係が深く心に残ったのですが、
映画の方は、そこまで心に入ってきませんでした。
うーん、監督ではなく、私の頭が舞台版に引っ張られ過ぎているのでしょうかね。

本作で思ったのは、極論してしまうと、
内村光良という演出家は、映画ではなく「舞台」の人だと。
テレビのコントは、結局はスタジオの中でスタッフというお客さんの前で
セットという舞台を作って「コントの舞台」を完パケで撮ってる行為なんだなと。
テレビドラマや映画は、シーンという断面を切り取って、繋げる行為なんだなと。
司会業は、スタジオでVTR等を見ながら、お客さんの前で手際よく進行しつつも
面白くコメントで味付けする「仕切りの舞台」を見せる行為なんだなと。

だから私は、コントを作ったり、舞台を作ったり、司会をしたりする内村光良が好きなんだなと。
映画を作ったり、ドラマを作ったりする内村光良は、私の中で少し心の距離があるんだなと。
もちろん、映画の内村さんも、ドラマの内村さんも、全部見たいし、
面白いものもたくさんありますが、
基本的に、内村光良はお客さんの目の前で演じる「舞台」の人、
まさに「表現部」の人なんだなと認識しました。
それはそれで、良い気づきを得た作品となりました。


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内村 光良

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『100万回生きたねこ』
- 2016/11/22(Tue) -
佐野洋子 『100万回生きたねこ』(講談社)、再読。

実家の本棚にずっと飾られている本。
子供の頃、何度も母親に読んでもらいました。

自分でせがんで読んでもらったはずなのですが、
実は、この本、ちょっと怖かったんです。

「死ぬ」という表現が何度も出てきたり、
どのページも別れのシーンで絵が暗かったり、
「ねこ」が飼い主のことを斬って捨てるような表現が並んでいたり。

今になって読み返すと、きつい言葉がずいぶん並んでいるんだと気づき、
未就学児に対して読み聞かせるには、不安を感じてしまうほど。

最後に本当の愛を知ることになるので、
それをもって、愛を教える良い本だという考えで、幼い子供に読み聞かせるのでしょうか。
それとも、世間で名作絵本だと言われているから、皆こぞって読み聞かせるのでしょうか。
それとも、幼い私は、この本を選ぶと大人が喜ぶと見抜いていたのでしょうか(笑)。

いずれにしても、子供心にずしんと残っている本だったということは
やっぱり名作なのでしょうね。


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