『社会起業家の教科書』
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- 2015/11/30(Mon) -
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大島七々三 『社会起業家の教科書』(中経出版)、読了。
社会企業家に関する本を立て続けに何冊か読みましたが、 取材対象に同じ人が出てくるケースがあります。 これって、取材側の事情もあるのでしょうけれど、 社会起業家の裾野がそもそも狭いのか、 それとも成功している人がほんの一握りだからなのか、知りたいところです。 この本でも何人か登場しますが、 私個人としては、やはり、社会貢献の理想よりも、安定的な事業提供という継続性の方に 軸足を置いている事業者の方に、信頼性をより感じます。 著者に安心感を覚えるのは、 理想や理念に傾倒せずに、客観的に描写してくれる姿勢です。 1人の仕事をする人として取材しているように思え、素直な評価が安心できます。 後半では、「教科書」という名のとおり、社会企業家としての企業のステップの解説や 支援団体の紹介などがあり、情報の厚みはないものの、 基本的な質問には答えてくれます。
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『いま、地方で生きるということ』
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- 2015/11/30(Mon) -
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西村佳哲 『いま、地方で生きるということ』(ミシマ社)、通読。
地方移住の話をイメージして買ってきたのですが、 3.11をきっかけに東北地方を取材に訪れたという色がついてしまっており、 フラットな地方のルポではなくなってしまってました。 普通に、地方に住むことの意味を知りたかった身としては、 変な色は余計でした・・・・。 取材対象も、震災ボランティア等の活動と近いところの人々が多く、 あんまり親近感が湧きませんでした。 (そんなことを言うと怒られそうですが・・・) 3.11前に、そもそもミシマ社の社長が持ちかけてきた企画の趣旨って、 もっと違うものだったのではないかなと思ってしまいました。
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『食品の消費と流通』
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- 2015/11/29(Sun) -
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日本フードスペシャリスト協会 『食品の消費と流通』(建帛社)、通読。
装丁の印象どおり、教科書的な本です。 白書を読んでいるかのような。 中小企業診断士資格試験のテキストを読んでいるような気分になりました(笑)。 マクロ的な視点で、主に統計データをどう解釈するかという解説が続くので、 面白みには欠けますが、全体感は捉えやすいと思います。
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『魚河岸マグロ経済学』
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- 2015/11/29(Sun) -
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上田武司 『魚河岸マグロ経済学』(集英社新書)、読了。
国際的なマグロの漁獲・流通問題を斬った本かと思ったら、 大間のマグロを専門に取り扱う仲卸の主人の語り下ろしでした。 全然予想と違う(苦笑)。 ま、買うときに中身を確認しない私の問題ですけど・・・・・。 仲卸の主人の仕事や日常の場に、学者先生が帯同して取材し、 主人が語った言葉がそのままの口調で文章に落とされているという体裁です。 慣れるまで少し読みづらさを感じましたが、途中からはリズム感が心地よくなってきました。 内容は、大間での漁の様子を見に行くところから始まり、 魚河岸の様子や、卸している先の寿司屋等の様子を描き、 その合間に、マグロの商売に関する知識を披露していきます。 幅広く語られるので、面白く読めますが、 マグロの話に偏っているので、魚の流通問題に一般化するのは厳しいです。 ま、それだけマグロ経済というものが独立して存在しているという証なのでしょう。 わたしは関西寄りの生まれなので、それほどマグロを食べることに強い執着はないのですが、 それでも、実家で刺身を食べるときは、近所の魚屋さんが 「今日は良い赤みが入ったから、どうですか?」と売り込みに来たものを 相応のお金を払って買っていたようです。 「うちの御飯は、お刺身だけは良いものを買っとるんやからな」と 変なところで祖母が自慢していたのを思い出します。 残念ながら、子供の頃の私は、赤身があまり得意ではなったのですが・・・・。 今でも、お刺身は、タイやヒラメのような白身や、 赤身でもハマチなどの方が好きだったりするのですが、 それでも、刺身盛り合わせで美味しそうなマグロがどーんとのっていると、 幸せな気分になります。
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『まだ、都会で貧乏やってるの?』
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- 2015/11/28(Sat) -
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吉角祐一朗 『まだ、都会で貧乏やってるの?』(学研)、読了。
なかなか挑発的なタイトルではありますが、 Uターンで熊本に戻り起業した著者の体験談をまとめた一冊。 サクサク読める内容ですが、田舎でビジネスをやる理由3つは、 ①都会よりも利益率が高い ②簡単に1番になれる ③邪魔が少ない 当たり前のことのようでいて、意外と奥深いかも・・・・と思いました。 素直に言葉通り解釈もできますし、少し斜に構えて ①多少高くても騙せてしまう ②移動の自由度が低いから競争を阻害できる ③規制の目や競争の手が届きにくい なーんて、腹黒く考えることもできそうな感じです(苦笑)。 熊本で活躍する起業家さんのエピソードもたくさん紹介されており、 面白く読めました。
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『結局仕組みを作った人が勝っている』
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- 2015/11/28(Sat) -
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荒濱一、高橋学 『結局仕組みを作った人が勝っている』(光文社知恵の森文庫)、読了。
ドカ買いしてきた中の一冊ですが、これは思わぬ当たりでした。 手間暇をかけずに、自動的に収入が上がってくるような仕組みをどうやって構築するか。 実際にそれで儲けている人を取材して、そのノウハウや起業の経緯を紹介しています。 大きな視点で見たときに、「仕組み」というと、新たなビジネスモデルだったり、 デファクトスタンダードだったりを想起しますが、 個人レベルで行うとどうなるのかという視点で書かれているので 自分が同じことを思いつけるか、仮に思いついたとして実行に移せるかという観点で いろいろシミュレーションができて、勉強になりました。 そもそも大企業のケースだと、よく紹介される有名事例で新鮮味がなかったりしますが、 本作では個人事業主みたいな人ばかりで、まず知らない話ばかりだったので 面白く読むことができました。 さらに、取材から数年後の状況も後追い取材をしていて、 単なるまぐれ当たりだったのか、それとも金脈だったのか、はたまた企業家精神に溢れる人なのか 様々なその後を垣間見れたことも面白かったです。 「仕組み」づくりに関しては、個人で起業するというレベルに限定しているため、 いかに少ない投資時間と投資コストで、安定的な収入を上げるかというテーマに絞っているので、 大当たりはないにしても、考え方はロジカルで現実的だと思いました。 特に、本業のサラリーマン生活を送りながら、週末起業を考えることで、 あえて時間の制約を前提にすることで、コストをかけないことに知恵を絞るというアプローチ方法は 説得力があると思いました。 さらに、個人事業主的なものに絞ったことで、 アイデアがあり、行動力があり、勇気があれば、 誰でも起業できるということを突きつけてくるとろこがあり、 自分もしっかりと仕事のことを考えなきゃなぁ・・・・という気持ちにさせられます。 というわけで、いろいろ刺激が得られる良い読書となりました。
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『やりたいことがないヤツは社会起業家になれ』
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- 2015/11/28(Sat) -
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山本繁 『やりたいことがないヤツは社会起業家になれ』(メディアファクトリー)、読了。
「社会企業家」というジャンルの人には、 ビジネスに軸足がある人と、理念に軸足がある人と居ると思うのですが、 著者は後者の人でした。 「人のために働こう!」という思いから、 ボランティアや社会的弱者を支える事業を立ち上げていきますが、 結構、軌道に乗せるのに苦労しています。 そこがビジネスの難しいところでしょうし、 だからこその社会的弱者なのでしょうが、 やはり、仕事として向き合うからには、きちんと収益が上げられて、 継続性が見込めるものでなくては、信頼も得られないように思います。 事業として不安定で貧弱な起業は、 独り善がりな自己満足と紙一重と言いいたくなってしまいますし、 結局、弱者を自分の満足のために利用しているように感じてしまいます。 そのため、私は、社会起業家の中でも、 ビジネス寄りな発想で社会と向き合うスタンスに惹かれます。 このため、前半は、結構、距離を感じてしまいましたが、 後半のトキワ荘プロジェクトは、損益計算をきちんとしている姿勢など 冷静なビジネス感覚が前に出ていて、勉強になりました。 プロジェクトによって、ビジネス肌と理想家肌を使い分けができるというのも ありなのかなと思い至りました。
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『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』
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- 2015/11/28(Sat) -
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ムーギー・キム 『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』(東洋経済新報社)、読了。
著名なビジネスエリートの生活習慣を紹介した本かと思って買ってきたのですが、 投資銀行やコンサルに勤めた経験のある著者によるエッセイでした。 ま、エッセイとしてそれなりに面白かったですけど、 ちょっと期待していた内容と違ったので肩透かし感。 働き方を学びたいと思うほどの大層な話は出てこないですが、 こういう人種もいるんだなと知ることができます。
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『ビジネス頭を創る7つのフレームワーク力』
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- 2015/11/27(Fri) -
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勝間和代 『ビジネス頭を創る7つのフレームワーク力』(Discover)、読了。
勝間女史の仕事論は、やっぱり面白いですね。 勉強になります。 なんとなく頭では分かっているつもりのことを、 ちゃんとやれ!とことんやれ!と力強く迫ってくるパワーがあります。 このパワーが、私にとっては押し付けがましい感じではなく、 背中を押してくれる感じがします。 (人によっては圧迫感を覚えるかもしれないですが) 今回は、フレームワークの話が中心になされていますが、 あれやこれやとフレームワークを紹介するのではなく、 基本的なものについて、具体事例を挙げて詳しく解説してくれます。 その解説が、ありきたりな良く聞く話ではなく、 勝間女史テイストに仕上がっているので、面白く読めるのだと思います。 ところどころで紹介される、コンサルの先輩のありがたいお言葉というものも、 ズバッと本質を突いていて、小気味良いです。 そういうことを口に出せるぐらい、自分も世界を斬れるようになってみたいものです。
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『君は永遠にそいつらより若い』
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- 2015/11/26(Thu) -
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津村記久子 『君は永遠にそいつらより若い』(ちくま文庫)、読了。
デビュー作ということで、恐る恐る読んでみたのですが、 あにはからんや、既に津村節とも言うべき、力の抜け加減が心地よい文体が出来上がっていて さすが芥川賞を獲る人は違うんだなぁと感嘆。 主人公は大学4年生の女の子。 単位を取り終え、公務員の就職口も見つけ、あとは卒論を書くのみ。 気持ちばかりの授業に出て、バイトに通い、卒業までの日々をゆるゆると過ごしています。 そんな彼女は“ポチョムキン”こと処女。どちらかというと女の子に興味があり・・・・。 と、まぁ、よく分からない主人公の紹介になっちゃってますが、 淡々と日々が描かれていきます。 それほど衝撃的な出来事が出てくるわけでもないけれども、 新しい友人との出逢いがあり、別れがあり、でも、平穏な日々は揺るぎなく。 このあたりの平凡さが、落ち着いてはいるけれども、ちょっとポップで、 でもちょっと退廃的な文章で綴られています。 その匙加減が、非常に私好みな訳で。 読んでいて心地よいんです。 ただ、好き嫌いは分かれそうな気がしますが。 主人公の、人を寄せ付けない感じというか、 表面的には人当たりがよい印象を周りに与えながらも、 核の部分には触れさせないというか、他人との間に深い溝があるというか、 そういうところが自分と非常に似ている気がします。 だから、主人公の友人に対する醒めた見方とか、 世の中の流行ごとに対する興味のなさとか、 個々の人間関係にどこまで踏み込もうか迷った末に理屈で判断するところとか、 とても共感できます。 書いていて、自分、嫌なヤツだなと思ってしまいますが(苦笑)。 こういう主人公が出てくる作品を、もっと読んでみたいと思います。 自分がどんな人間か知るために(爆)。
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