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『天地明察』
- 2014/12/31(Wed) -
冲方丁 『天地明察』(角川文庫)、読了。

今年の年またぎ読書はこれだな・・・・・と思って読み始めたのですが、
あまりの面白さに一気読み!
年内に読み終わってしまいました(笑)。

江戸幕府、武家文化から官僚文化への過渡期、
その中で碁打ちの才能で仕官している主人公、
算術、天文学、観察と仮説と検証の自然科学、
もうとにかく、様々な興味深い要素がちりばめられており、飽きません。

しかも、それぞれに対して著者が深い理解を示していることがわかりつつも、
決して深追いしないというか、小説としては不要なレベルにまでずぶずぶと沈み込まない
バランス感覚のもとに構成された物語になっており、
非常に読みやすいです。
思い入れだけで小説を書かれると重たくなるのですが、
ある種、この軽さが、この小説の味わい深さを引き出しているように感じました。

歴史小説を、これほどまでに溌剌と表現できるのは素晴らしいことだなと思い、
新しい書き手さんを知ることができて、一年の良い締めとなりました。


天地明察(上) (角川文庫)天地明察(上) (角川文庫)
冲方 丁

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天地明察(下) (角川文庫)天地明察(下) (角川文庫)
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『企業原論』
- 2014/12/31(Wed) -
佐高信 『企業原論』(現代教養文庫)、読了。

学生時代、ゼミテンで佐高信大好き人間がいました。
その人の影響で、私も数冊読んでいたのですが、久々に佐高本をば。

人々が企業に対して抱いている違和感や不信感を明瞭に指弾しています。
なぜ、仕事だと言われると怪しいことや間違ったことまで実行に移せてしまうのか、
他人や社会に迷惑をかけることを気にしなくなるのか、
様々な局面での事象を述べています。

書かれた時期が古いので、内容としては、既に知っている事象ばかりというか、
昭和な感じの「過去の企業の姿」と思ってしまうようなものが多く、
今やこんな企業はない・・・・・という印象も受けます。

しかし、実態としては、露骨な企業の姿が批判された時代を経て、
今は、より狡猾に企業が行動するようになっただけであり、
むしろ昭和の頃よりも、根が深い問題になっているのかもしれません。
そして、それに気づかぬ人々は日本は良くなったと感じ、
気づいている人々は、より狡猾に人間や社会を使おうとする。
しかも、彼ら(私も含めて)の感覚は人間や社会を「恣意的に利用する」「悪用する」ではなく、
よりよい生活のために「活用する」「効果を高める」というものだと思います。
それが良いのか悪いのかは別として。

この本が出された当時は、まずは多くの人々にこのような実態を認識させる、意識させるという点で
非常に意味があったのだと思います。

一方で、企業というものを語るにおいては、
企業という組織、経営者という個人、経営陣という組織、従業員という個人、組合という組織など
組織と個人が複雑に絡み合っていることを正しく認識することが大事だと思います。
特に、日本企業という、責任所在のはっきりしない組織においては、
誰が誰の判断で何のために何をしたという事実認識自体が困難だったりします。
本作では、そのような企業の「構造」を明らかにするところにまでは至っておらず、
その点では物足りなさを感じてしまいました。

しかし、本作の意義は、事態を周知させることにあるとするのであれば、
その構造の分析は、別の機会に行うものなのでしょうね。

そして、著者の指摘を、どのように受け止め、理解し、自分の考えに反映させ、今後の行動に移すか、
それは読者それぞれに委ねられているのだとも思いました。


企業原論―ビジネス・エリートの意識革命 (現代教養文庫)企業原論―ビジネス・エリートの意識革命 (現代教養文庫)
佐高 信

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『風に舞い上がるビニールシート』
- 2014/12/31(Wed) -
森絵都 『風に舞い上がるビニールシート』(文春文庫)、読了。

直木賞受賞短編集です。

最初の方に収められている作品は、
面白く読みましたが、それほど強い印象を残すものではありませんでした。

しかし、後半に入って、ぐいぐいと攻めてくる感じを受け、
流石の直木賞受賞作だと思うに至りました。

表題作「風に舞い上がるビニールシート」は、何の前知識もなかったので、
女性の日常生活を描いた作品かしら?ぐらいに思っていたのですが、
何の何の、国連難民高等弁務官事務所の仕事が舞台のお話でした。
ソマリア、コソボ、アフガンといった単語が作品の中を飛び回ります。
なのに作品の舞台は平和な東京。
まずはこのギャップが、主人公の置かれたアンバランスな境遇を象徴しています。

東京事務所の現地採用一般職ということでフィールドに出たことがない主人公。
しかし、職場結婚した旦那は毎1年単位で危険地域へと出向き、会えるのは年に数日。
結婚生活は数年で破綻し、そしてついに元旦那は危険地域で銃弾に倒れる・・・・・。

元旦那と知り合う前の過去を何も知らなかった、
元旦那がどんな場所で仕事をしていたのか想像も実感もなかった、
元旦那とはそもそも結婚生活で何かを共有し合えていたのかも自信が持てなくなった、
それは、自分が、元旦那が使命に燃えていたフィールドに出向くことを何度も拒絶したから・・・・。

この絶望感は耐え難いですよね。
なんせ自分の決断により、チャンスを拒絶していたのだから。元旦那の居場所を拒絶していたのだから。

国連という世界中のエリートが集まり時間に追われながら仕事をする厳しい環境、
広報というマスコミにたかられるストレスフルな役割、
そんな状況に置かれながらも、この作品の中に悪意を持った人が出てこないことが救いです。

自分の人生に判断を下し、何かを捨てることの厳しさを知りました。

他の収録作では、「ジェネレーションX」のテンポの良さと、その裏に隠れる人生の哀愁、
「守護神」の仏教文化と現代人の折り合いの付け方など、
いろいろと興味深い側面で日常を見ることができ、
満足度の高い読書となりました。


風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)
森 絵都

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ダイビング @川奈
- 2014/12/30(Tue) -
潜り納めに川奈へ行って来ました。

西風が強かったですが、海は穏やかで、
透明度も15m以上あったのではないでしょうか。
気持ちの良い海でした。

ただ、生物は控えめ。
ハゼとかベラとかじっくり撮っちゃいました(笑)。



キラキラときれいでした
キビナゴ8 20141230 川奈 (1024x768)
写真に収めるのが難しいですね
キビナゴ19 20141230 川奈 (1024x768)
きれいな青
ソラスズメダイ 20141230 川奈 (1024x768)
実はシンプルで美しいと思う
キュウセン4 20141230 川奈 (1024x795)
じっと待つ
アカエソ 20141230 川奈 (1024x767)
ヒゲ好き
サビハゼ4 20141230 川奈 (1024x767)
きりっとした顔
シロギス 20141230 川奈 (1024x771)
オチビ
ハコフグ 20141230 川奈 (1024x798)
砂まみれ
ハタタテダイ 20141230 川奈 (1024x768)
遠くからでは無理ですね
セダカスズメダイ 20141230 川奈 (1024x818)
近くで見ると地味な色
ホンソメワケベラ 20141230 川奈 (1024x767)
変な組み合わせ
ウツボソメンヤドカリ 20141230 川奈 (1024x737)
逃げられました
イソギンチャクモエビ 20141230 川奈 (1024x824)
ウミウシはこれだけ
アオウミウシ 20141230 川奈 (1024x831)
この種は初めて見たと思います
タカラガイの仲間2 20141230 川奈 (1024x767)
ひねもすのたりのたりかな
川奈 20141230 (1024x768)



↓海の写真はこちら
かもめ組図鑑



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『スナックさいばら おんなのけものみち 七転び八起き編』
- 2014/12/30(Tue) -
西原理恵子 『スナックさいばら おんなのけものみち 七転び八起き編』(角川書店)、読了。

テーマごとに読者からの投稿を募り、それにサイバラ女史がツッコムという構成の本。

前に読んだお悩み相談系の本は、
相談する側の出来・不出来にモノ凄い差があったのですが、
本作では、投稿者の皆さんはサイバラ信仰の方々のようで、レベル高かったです。

ただ、テーマが「不倫」「浮気」みたいなものになると、
あまりに露悪的な物言いが連発されて、ちょっと辟易。
サイバラ女史がそういう発言をするのは仕事だからともかくとして、
読者側までそれに乗っかってしまうと、下品度が急激にアップする印象が・・・・・。
ちょっと著者に媚びているようなところも感じてしまい、苦手でした。

一方で、テーマが「赤ちゃん」だったり、「旦那を一言褒める」だったりすると、
毒を吐きつつも根底には愛情が感じられて、
投稿者の皆さんの心も余裕のようなものが垣間見れるので、
こちらもギスギスせずに楽しく読むことができました。

人間、どんなに辛い環境に置かれても、
ちょっとで良いから余裕を感じられる瞬間を持っていないと
本当にダメになるんだろうなと、なんだか本題とズレた感想を持ってしまいました。

シリーズ化されているようなので、続編を見つけたら、読んでみようかな。


スナックさいばら おんなのけものみち    七転び八転び篇スナックさいばら おんなのけものみち 七転び八転び篇
西原 理恵子

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『日本の大問題が面白いほど解ける本』
- 2014/12/30(Tue) -
高橋洋一 『日本の大問題が面白いほど解ける本』(光文社新書)、読了。

経済のお勉強に。

2009年~2010年あたりの、民主党政権による経済政策を中心に
問題の本質と、その解決策として出された政策の効果について
分かりやすくシンプルに解説しています。

雑誌の連載をまとめたものでしょうかね?

国家レベルの経済政策となると
影響範囲が広く、また利害関係者も多いため、
一体何が本質なのかさっぱり分からなくなってしまうことが多いですが、
著者の整理により着目すべきポイントがすっきり理解できました。
(私の経済学の概念の理解は不十分ですが・・・・・・)

今の勤め先の子会社に居た頃、
主計ラインの人たちが、やたらと「ミルク補給」という言葉を連発していました。
赤字になりそうなので親会社からの取引金額を底上げしてもらうことだという
ザックリとした理解をしていたのですが、これは著者が作って浸透させた言葉だったんですね。
ま、郵貯の財政投融資ほどに狡猾な仕組みではなく、
当社の場合は露骨に赤字補填でしたが(苦笑)。

経済時事も、ちゃんとキャッチアップしていかないと
社内のブラックジョークにも乗っかれなくなっちゃいますわね。


日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える (光文社新書)日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える (光文社新書)
高橋 洋一

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『逆パノプティコン社会の到来』
- 2014/12/30(Tue) -
ジョン・キム 『逆パノプティコン社会の到来』(Discover携書)、通読。

「パノプティコン」なんてフレーズが目に飛び込んできたので、
お、フーコーの思想で現代のSNS社会を考察するのか!と期待して買ったのですが、
逆パノプティコンの話は冒頭にちらっと原義のパノプティコンの解説とも言えない程度の
紹介文が書かれているだけで、全くの肩透かしでした。

ウィキリークスによる政治事件の暴露の事例や、
フェイスブックを介した革命的な運動の事例をあれこれ紹介しているだけで、
言ってしまえば、出来の良い「まとめサイト」のレベルです。

うーん、残念。

事例を知りたいという人には手頃な本だと思います。


ウィキリークスからフェイスブック革命まで 逆パノプティコン社会の到来 (ディスカヴァー携書)ウィキリークスからフェイスブック革命まで 逆パノプティコン社会の到来 (ディスカヴァー携書)
ジョン・キム

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『A businessman's Handbook of English』
- 2014/12/29(Mon) -
『A businessman's Handbook of English』(The japan Times)、通読。

この手の本ばかり読んでも意味がないと書いたばかりですが(苦笑)、
ま、一気に片付けておこうと思い、本作も。

一体どこで手に入れたのか、さっぱり忘れてしまいました。
会社の廃棄本の段ボールの中だったかしら???
先日、引っ越したときに本棚の奥から出てきました。

商談編として、挨拶以外のやりとりも載っていたので
そこは勉強になりました。

でも、良く分かったのは、言い回しとかをいろいろ覚えるよりも、
言いたいことをシンプルにズバッと言い切って、きちんと伝える能力なんだなと。
回りくどい表現を止めて、シンプルな英語をしゃべっていこう!


本のデータはAmazonにありませんでした。
というか、非売品かも。

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『はじめてのビジネス英会話』
- 2014/12/29(Mon) -
デイビット・セイン、森田修 『はじめてのビジネス英会話』(日経文庫)、通読。

新書を何冊か買ったときに勢いで一緒に買ってしまった本。

日商岩井の3冊シリーズを読んだばかりなのに、
ビジネスマナー的な英会話の本ばかり読んでいても仕方がないですね・・・・。

しかも無味乾燥で味気ない本でした。


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『一橋ビジネスレビュー62巻3号』
- 2014/12/29(Mon) -
『一橋ビジネスレビュー62巻3号』

今回の特集は「小さくても強い国のイノベーション力」。
どんな源泉にイノベーションの秘密が隠されているのか興味深々だったのですが、
「強い国」の定義が、各種ランキングによる評価を前提としていて、
なんだかそこに違和感が・・・・。

「イノベーション」の解を探すために、
数字で個性を消してしまいそうな統計(しかも評価基準が適切なのかも良く分からないもの)に
頼ってしまうところが、なんだか、このアプローチでは解に辿り着けないのではないかという
疑念を生んでしまいました。

というわけで、特集はイマイチな印象。

唯一、イスラエルについて分析した中東調査会の中島勇主任研究員の論文が面白かったです。
ま、これも、イノベーションという観点よりも、比較文化論的な意味での興味ですが。

他には、野中郁次郎先生の寄稿、青島矢一先生や吉原英樹先生の連載が面白かったです。

競争戦略論は、言い方は悪いが、「合法的なカルテル」を指南する学問

経営学が追究してきた生産性増大の工夫は、「人々が楽をするための工夫の総体」


こういう風に本音の解説をしてもらえると、
社会学部出身者として経営学のイケイケな熱意に対して感じてしまう距離感も、
縮まるように思いました。


一橋ビジネスレビュー 2014年WIN.62巻3号: 特集:小さくても強い国のイノベーション力一橋ビジネスレビュー 2014年WIN.62巻3号: 特集:小さくても強い国のイノベーション力
一橋大学イノベーション研究センター

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