『清須会議』
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- 2014/10/31(Fri) -
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『清須会議』
映画化のニュースに触れたとき、 織田家の家臣の合議で跡継ぎを決めるなんて、三谷監督が好きそうな設定だなぁ・・・と 感じたのを思い出しました。 会議場だけの舞台設定で、4人の演者による駆け引きで見せていくという、 まさに三谷演劇にぴったりな設定。 はて、これを映画としてどうやって成り立たせるのかな?というところが肝かなと。 最初、キャストそれぞれの過剰な演技が鼻についたのですが、 これはそういう演出だと割り切ってしまえば、結構、慣れることができました。 むしろ、それによって強調された各登場人物のキャラクターが、 役者の配置の妙と重なって、非常に役が活き活きとしています。 これは上手いなぁと思いました。 秀吉役の大泉洋がオイシイのは当然ですが、 うつけ役という従来のイメージを一新した妻夫木聡や、 のりのりな田舎娘の寧をやった中谷美紀など、 新しい一面を見せて活き活きしている役者さんが魅力的でした。 剛力彩芽の演技も、あれは全て笑わせるための演出なんだと思い込んで・・・・(苦笑)。 お家の一大事という状況において、 家のことを考えるのか、日本という国のことを考えるのか、 流れを読めるという点で、視野の広さにおいて秀吉が勝っていたのでしょうが、 この時代に、大名でもないのに国家全体のことを考えて 「日本の国づくりをするんだ」という思想に立っていたということに改めて驚きました。 それまでも、天下統一を目指していた大名は多数居たのでしょうが、 「国を造る」という意思を持った人物は、侍としては秀吉が初めてなのではないかと思いました。 そういう意味では、それまでの日本の国の形を造ってきた各時代の優秀な天皇に近い ものの見方をしていたのかもしれませんね。 ま、所詮、コメディ映画なので、 この作品を通して歴史の検証をすることには限界がありますが、 しかし、人間として何を考えて行動していたのかということを実感するには 良い作品でした。 相変わらず長いのが玉に瑕ですが、 (特に、物語のピークを迎えたシーン以降が長すぎるのが辛い・・・・・) 面白く鑑賞できました。
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『サマータイム』
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- 2014/10/31(Fri) -
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佐藤多佳子 『サマータイム』(新潮文庫)、読了。
デビュー作だそうですが、 乗り切れないままに読み終わってしまいました。 一番の原因は、子供の目線でつづった文章が子供らしくないと感じてしまったこと。 交通事故で父親と左手を失った男の子のモノの考え方が 老成していることには違和感を覚えませんでした。 でも、美人な姉とまだまだ子供っぽい弟の小学生の兄弟の方は、 なんだか人物描写がちぐはぐな印象を受けました。 態度や行動は2人とも子供っぽいのに、 頭の中でめぐらせている言葉が変に大人なんです。 単語にしても、言葉遣いにしても、思考回路にしても。 描かれている風景は美しかったのですが、 人物たちの存在の違和感が最後まで拭えませんでした。
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『むかしのはなし』
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- 2014/10/30(Thu) -
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三浦しをん 『むかしのはなし』(幻冬舎文庫)、読了。
いろんな状況に置かれた主人公たちが 自分の過去についての話をするという構成の短編集。 日記あり、音声ディスクあり、調書あり、様々な形態で過去を記録します。 そんな過去が、少しずつ繋がっていき、ある一つの光景へと収斂していく、 点と点が線でつながり、線が集まって面としての光景を描き、 その面が、最後に1つの出来事を映し出す・・・・・・上手く流れていく展開が心地よいです。 各短編の冒頭に、いくつかの昔話のしをん版要約が付いています。 桃太郎、浦島太郎、花咲か爺・・・・・。 数行にまとめられた話は、「なんでこんな展開なんだろ?」と今更ながら疑問を持つものもあれば、 しをんさん、恣意的に要約しすぎ(笑)というものも。 その昔話のエッセンスを下敷きにして短編を読むと、 短編の持つ人間の嫌な面や、そもそも昔話に込められた毒々しさが際立ってきます。 このあたりの仕掛けも上手いですねぇ。 各短編の主人公も、普通の人から見ると、少し引いているというか、 世間というものに背を向けているようなところのある人物が多いので、 その思考回路も興味深く読めました。 その他大勢に流されない強さというか、良い意味での空気を読まない強さというか。 非常に面白い短編集でした。
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『FRANK』
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- 2014/10/30(Thu) -
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『FRANK』
予告編を見たときに、バカ笑いさせて、最後にしんみりくるのかなと想像したのですが、 中盤の早い時期に結構重た目の展開になっていて、 ちょっとしんどかったです。 というか、ストーリーが予想の枠から外れないので、少々退屈に感じました。 一日中ケッタイナお面を被って顔を見せようとしないフランク。 音楽の才能はあるのに、人前で上手く自分を表現できない。 理由は・・・・・・心の病。 原因も、それが生じた過程も、オーソドックスというか、 現実的過ぎて、しんどく感じたのだと思います。 もともと、こういう、心の病系のお話は苦手としてもおりまして・・・・。 死が簡単に日常に入ってくる展開も あんまり好きではなく・・・・・しかも、遺体の処理の仕方が・・・・。 あと、フランクが作る音楽の「素敵さ」に イマイチ乗り切れなかったワタシ。 ああいう前衛的な音楽は、つかみどころがなくて、これまた苦手です。 個人的に苦手な要素が重なってしまったので、 残念ながら上手く楽しめませんでした。
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『QUICK JAPAN vol.88』
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- 2014/10/29(Wed) -
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『QUICK JAPAN vol.88』
今年のお勉強は、これにて終了~\( ̄▽ ̄)/♪ というわけで、11月、12月は遊ぶぞ!!! 気分一新の最初の一冊は・・・・・と思って本棚をゴソゴソしてたら、 この雑誌を買ったまま読んでいなかったことに気づきました。 てなわけで、ウッチャンナンチャンで封切り(笑)。 いろんな関係者の人にコメント取りにいったりしてて、 この雑誌の取材のエネルギーには、いつも感心してしまうのですが、 今回に関しては、そんな労力よりも何よりも、 ウンナンさんの対談をバシッとやってもらえたことが最大の嬉しい企画でした。 しかも、タイミングが、『笑う犬SP』の収録直後というナイスタイミング。 対談で触れられる1個1個の過去の思い出話は聞いたことがあるものが多かったのですが、 その話の合間合間にウンさんとナンさんが交わすコンタクトが良い感じ。 演者仲間やスタッフさんのコメントを読んでいると、 やっぱり、内村さんが優しいけど気難しい職人気質の父親で、 南原さんが周囲に気を配りながら父親を支える母親という役割分担なんですね。 実は、最近、ウンナンさんの活動が停滞しているのは、 内村さんにとって、この母親役の南原さんの役割を、徳ちゃんがやってくれるので、 南原さんが居ないとダメなんだ・・・・という状況じゃなくなってきちゃってるのかなと。 しかも、内村さんを慕う中堅・若手の層も、それなりに厚くなってきちゃいましたし。 内村夫婦のおしどり関係は、たぶんこれからも変わらないでしょうから、 ウッチャンナンチャンとしての活動が活発化するには、 外部からのウンナンへのニーズが強烈に変化するか、 もしくはウンナン内部で、何か斬新な新しいことを求める機運が高まるかの どちらかがないと、難しいような気がします。 本人たちの気持ち的にも、周りの流れ的にも。 それが、テレビじゃないような気がするので(今のテレビにはそんな力はないので)、 SHA.LA.LAの舞台に注目してたんですけどねぇ・・・。 その後の動きがありませんなぁ。 ま、こればっかりは、焦って無理につまらないものを見せられても困るので、 気長に待つしかありませんなぁ。
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NII市民講座
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- 2014/10/29(Wed) -
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NII市民講座 『学術クラウドサービスの新たな潮流』
久々にNIIの講座に参加してきました。 「新たな潮流」と銘打たれていたので、 最新のクラウド技術を使った学術研究の成果が紹介されるのかと思っていたのですが、 1時間の講義のうち前半30分は「クラウドとは何か」というような初歩的な話に終始し、 後半も、NIIや各地の大学が運用を開始した所謂ふつうのクラウドサービスの話で終わってしまい、 正直、期待外れな内容でした。 今日の講義の内容は、WEBで「クラウドサービス」と検索すれば 最初の検索結果20件に出てくるようなレベルの話に過ぎず、 わざわざ時間を割いて聞きに行くようなものではありませんでした。 講義後の質問も、「この質問をした人は面白い視点をもってるな」と感心するようなものもなく、 それこそWEBの用語集の巻末Q&Aに出てくるようなものでした。
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『失敗は予測できる』
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- 2014/10/28(Tue) -
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中尾政之 『失敗は予測できる』(光文社新書)、読了。
失敗学の畑村先生のお弟子さんの本。 失敗に人類初のものはない。 何かしら過去に類似の失敗事例がある。 過去の事例をきちんと分析して手を打てば、失敗は防げる・・・・・という趣旨です。 これは、その通りだと思います。 本作でも、様々な事故の事例を挙げて、 何が本質的な原因なのか、それは、その事例に特徴的な要素だったのか普遍的なものなのか、 それを防ぐために、何か良い方法が施されている他での事例はないのか、 それは今回の失敗の再発防止にも使えるのか。 そんな観点で、具体的な事象の解説が続きます。 ただ、一企業人としてこの問題を考えてみると、 リスク防止にかけるコストと、防止効果の天秤の問題が出てきます。 確かに、過去の事例研究を十分に行い、再発しないように徹底的に対策を講じれば 失敗というものが発生する可能性はぐっと減らせると思います。 しかし、それに、どれだけの体力と時間とコストを投じるかという経営判断において 有効な判断指標があるのかが、良く分かりませんでした。 私の会社では、以前は品質管理を担う専任部署はありませんでした。 しかし、事務ミスが多発した時期があり、現場担当役員の号令で組織が作られ、 今は5人の専任部員が居ます。 ミスを起こした部署に出向いていき、再発防止策の検討や指導を行っています。 その後、事務ミスは一定レベルまで減りましたが、ゼロにはなっていません。 これをゼロにするために、それでは、この品質管理の専任部署を50人体制にして 彼らに直接日々の業務現場に派遣して逐一点検をさせるべきかというと、 ま、普通の会社では、こんなリソースの投入の仕方はしないでしょう。 どこかで、費用対効果の線引きをしているはずです。 それこそが経営判断なんだと言ってしまえばそれで終わりですが、 何か、失敗学をやっている立場から、この判断軸のようなものを示してもらえると 考える参考になるのになぁと思ってしまいました。
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『ハーバードビジネススクールは何をどう教えているか』
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- 2014/10/28(Tue) -
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フランシス・J・ケリー、ヘザー・メイフィールド・ケリー
『ハーバードビジネススクールは何をどう教えているか』(経済界)、読了。 HBSで1年目に教えられる10種類の講義について その内容や教室の雰囲気を紹介した本。 講義風景のレポートのような印象なので、 講義の内容そのものは、あまり紹介されません。 ま、とても一冊では収まらないのは分かりますが・・・・。 教室の討議の様子が部分的に再現されているのですが、 あーでもない、こーでもないというカオスな議論の中で、 誰か1人が上げた声で、一気に議論の方向性が生まれて流れていく様子は、 この瞬間に立ち会えたら、しかも、自分がその声を上げる役を担えたら さぞ気持ちが良いだろうなと想像してしまいました。 この世界に私が足を踏み入れる可能性は皆無ですが(苦笑)。
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『ドラッカーの実践経営哲学』
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- 2014/10/27(Mon) -
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望月護 『ドラッカーの実践経営哲学』(PHP新書)、読了。
ドラッカーの言葉を引用して、その解説を行った本。 先日、同じような構成の本を読みましたが、 翻訳者の上田惇生氏が解説すると、ドラッカー寄りの解説になり、 本作のように経営現場の人が解説すると、日本のビジネス環境に寄せた解説になっています。 この解説の視点の置き方の違いが、面白かったです。 有名な経営評論家の本だから・・・・ということで とりあえず著作を読んではみたものの、 結局、自分の仕事にどう活かしていけばよいのかが分からないという状況に陥りがちです。 何度も何度も本に戻って、 何度も何度も自分の仕事について考えるような真剣味がないと、 同じレベルをグルグルするだけで終わってしまうんでしょうね・・・・反省。
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『ダメな議論』
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- 2014/10/26(Sun) -
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飯田泰之 『ダメな議論』(ちくま新書)、読了。
雰囲気だけで結論に誘導しようとする怪しい論理展開について、 それを見破る方法を述べた本。 結構、毒舌なところもあり、前半の考え方の解説は面白く読みました。 「それっぽいこと」や「威勢のよいこと」や「別の角度のこと」には 何となく肯定的な感じで受け止めてしまいがちです。 そんな、あいまいな感覚に流されないようにするための 見極める技術を、何度も何度も強調して解説しています。 後半は、例文を用いて、繰り返し見極め方を指導されるのですが、 正直この構成には飽きてしまいました。 政策に対する新聞の社説みたいな文章例をたくさん挙げているのですが、 正直、こんな文章のおかしいところを指摘したって、大した役には立たないわけで・・・・。 むしろ、例えばビジネスシーンで、会議を強引に結論付けようとする人の止め方とか、 商談において旨味のありそうな話をちらつかせる営業マンの見極めとか、 そういう、丁々発止の世界でのダメな議論をやっつける方法を知りたかったです。 著者は、長らく政策立案に関わる仕事をしてきたようなので、 きっとそのときに、マスコミや評論家にアレコレ言われた嫌ーな記憶が蓄積して、 このような後半の構成になったのかなと、勝手に推測・・・・。 知的好奇心を満たすために教養書を読む人も、 実は、自分が心地よく感じる論旨を述べる人の本ばかりを選びがち・・・・・という指摘には、 確かに、多角的な考察力と教養を身に付けたい!と言いつつ、 自分の選択は偏ってるんだろうなと反省。
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