『アンフェアな月』
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- 2014/06/30(Mon) -
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秦建日子 『アンフェアな月』(河出文庫)、読了。
雪平夏見シリーズ第2弾です。 相変わらず、キャラが立ってますなぁ。テレビ向きです。 「その判断でいいの?リスクでかすぎない!?」と感じても、 「ま、このヒトなら有り得るか・・・その方が突飛で面白いし」と思えてしまうところが 論理性や整合性よりも、その瞬間の面白さというテレビの特性を 上手く使っていると思います。 今回も、一気読みでした。 安藤くんとも良いコンビ。 林堂刑事は、意外とすんなり理解してくれる懐の広いヒト。 (衝突がなかったのはやや物足りないかも) お母さん、言動怪しすぎる・・・・というか、人生をなめてるよね。 沢木、めちゃくちゃなマスコミ野郎だけど、意外と面白い視点持ってるよね。 いろいろ登場人物たちに感想は持ちましたが、 うーん、あんまり深い思いには至りませんでした。 そういうところが、この作家さんの軽さなのかな。 でも、軽い分、ぐいぐい読める疾走感を味わえるというメリットもあり。 ま、長編を一気に読み通したい!というときに 都合の良い作家さんなのかなと思います。
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『さよなら渓谷』
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- 2014/06/30(Mon) -
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吉田修一 『さよなら渓谷』(新潮文庫)、読了。
先日読んだ『悪人』に引き続いて、 犯罪と加害者と被害者の不思議な関係を描いた作品でした。 普通の頭で考えると、 この作品で描かれたような人間の結びつきは あり得ないことだと考えますし、異常だとも考えます。 でも、なぜか、この作品を通して物語を追っていくと、 こんな人たちも居るのかもしれないという気持ちになりました。 『悪人』でも思いましたが、アンバランスな人間たちの物語です。 『悪人』は、どちらかというと、環境によりアンバランスな状態に追い込まれた感じが強く、 本作では、自らの行動の選択により、アンバランスな状態に陥った印象ですが。 なぜ、そういう行為でアンバランスさを解消しようとするのか・・・・・ 安全な日常に居る私には、不可解な判断に思える彼らの行動にも、 アンバランスさを解消させる何かを期待してのことだったのでしょうね。 人間とは、難しいし、やはり怖い存在です。
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『インバスケット思考』
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- 2014/06/29(Sun) -
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鳥原隆志 『インバスケット思考』(WAVE出版)、通読。
以前、昇格試験を受けたときに、インバスケット試験を受けました。 別のロールプレイング面談試験が特に大変だということで、 そちらの対策話ばかりを上司としていたため、 インバスケット当日、というか問題を見た瞬間、「何だこれは~!?」状態でした。 そもそも回答の書き方が良く分からん・・・・・。 試験は、回答のコツなりツボを押さえておかないと、点が伸びないですから、 これには焦りましたが、ま、他の試験でカバーできたみたいで、 昇格試験自体は通ったので、インバスケットも思い出の彼方に・・・・・(爆)。 昨日、図書館に行ったら、たまたま本作が目に付いたので、 「あの試験のコツは何だったのかなぁ?」と興味本位で借りてきました。 回答を書く「コツ」までは言及されていませんでしたが(ホントはここが知りたかった)、 回答を出すための思考方法や、外してはいけないツボは大体分かりました。 着任初日から、こんなに問題をあれこれ持ち込んでくるスタッフばかりの組織では 嫌んなっちゃう!って感じですが、 初日はともかく、これぐらいトラブルが集中する日も有りうるんでしょうね、組織の長になったら。 あぁ、怖い、怖い(苦笑)。
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『日本の中小企業』
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- 2014/06/29(Sun) -
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鹿野嘉昭 『日本の中小企業』(東洋経済新報社)、通読。
中小企業診断士の勉強をしているものの、 どうにも、いわゆる「中小企業」というもののイメージが湧かなくて困ってます。 私の勤め先は、規模的には大企業になり、会社法的にも大企業の範囲。 実家の父がやっている店は、株式会社化しているとはいえ、個人事業主と実質変わりなし。 友人の中には、起業したり、親から事業を継いだりしている人もいますが、 「中規模企業」に勤めている友人は、親しい中には居ません。 どうにも、この世界と距離感があるんですよねー。 で、教科書以外の知識を得てみようと、 図書館で本作を借りてきたのですが、やっぱり統計データからの解説では それほどイメージが豊かになるわけではなく・・・・・・。 やっぱり、その世界で働いたり、 そういう企業と取引をしたりという実世界での体験・繋がりがないと、 なかなか難しいものですね。
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『伝わっているか?』
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- 2014/06/29(Sun) -
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小西利行 『伝わっているか?』(宣伝会議)、読了。
さらに図書館本。 大事なのは、「伝えること」ではなく、「伝わること」。 どうすれば伝わるか、20のメソッドを具体例を挙げて紹介しています。 これは、面白かったです。 なんせ、先生がイルカで、生徒がオカマだから(爆)。 軽ーく読める設定になっているというのもありますが、 1つ1つのメソッドの具体事例を用いた解説が分かりやすく、 また自分の生活シーンに当てはめて応用が利かせられそうな紹介になっているので 「今度使ってみよう!」という気持ちになりやすいです。 どんなに個人が頑張っても、また、どんなに賢くても、判断力や決断力があっても、 1人でできることには限界があります。 他人を巻き込んで、しかも能動的に動いてもらうにはどうすればよいか、 最も基本的で、普遍的で、しかも難しい課題だと思います。 自分ならどうやって伝えようとするか・・・・・ いろいろ過去の反省と未来への計画が広がっていく良い読書となりました。
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『必ず誰かに話したくなる経済学』
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- 2014/06/29(Sun) -
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門倉貴史 『必ず誰かに話したくなる経済学』(PHP)、通読。
こちらも図書館本。 図書館で何かのついでに借りてくる本は、 「お金を払ってまで買うことがないな」という軽いものが多いのですが(苦笑)、 これは相当中身が無かったです・・・・。 どこかで読んだことがあるものの焼き直し。 しかも、表面だけなぞって終わり。 会話のネタに使えるというレベルでなく、 誰かが雑談で話している言葉をそのまま書き取ったレベルでした・・・トホホ。
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『経営戦略』
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- 2014/06/29(Sun) -
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大滝精一、山田英夫、金井一頼、岩田智 『経営戦略』(有斐閣アルマ)、読了。
シンプルな経営戦略の本ですが、 教科書的な定義を並べるだけの内容ではなく、 簡単な実例紹介を加えたり、読者を意識した文体にしたりすることで、 読みやすいと感じました。 頭に届くといいますか。 戦略論というのは、分かったようでいて理解できていないと言いますか、 実例を使って、「これはこういう戦略の成功事例ですよ~」と解説してもらうと ふむふむナルホドその通りだ!となるのですが、 では、自分の会社に立ち戻って、さて、経営環境と課題はこれだ、 はてさて、何をすれば良いのでしょうか・・・・・となってしまいます。 分析屋、批評家としての知識しか身についていないと言いますか・・・・。 ま、多分、経営というのは経験なり場数なりで勝負する面も大きいと思いますので、 たかだか会社に入って10年ちょっとの役職もついていない人間が悩むなんて 役者不足もはなはだしいのでしょうけれど。 でも、仕事として落ちてきてるし、経営陣も「何か提案しろ」と丸投げ出し・・・・。 あはーん、愚痴になってしまいました(苦笑)。
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『とっておきの空と海』
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- 2014/06/29(Sun) -
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柏野祐二 堀E.正岳 内田裕 『とっておきの空と海』(幻冬舎)、読了。
図書館の貸出カードを無くしてしまい、再発行手続きをしました。 で、カウンター前で待っている間、 ふと横の棚を見たら、「最近入りました」との紹介文が。 海と空の写真集のようだったので、借りてきました。 JAMSTECの観測船「みらい」から撮った 海と空の写真がたくさん紹介されています。 小波さえない穏やかな海面に映った雲の姿は、本当に美しいです。 あぁ、こんな景色は、生で見たい!! フィリピン、インドネシア沖での調査、南極海での調査、北極海での調査、 この3つの調査航海を軸に構成されていますが、 海ごとに特徴的な気象が異なるのは当然ですが、 穏やかな海の風景を比較しても、全く印象が違っています。 地球とは、本当に面白い観察対象だと、改めて感じました。 最後に少し、「みらい」の紹介がされていましたが、 そうか「むつ」だったんだ・・・・・と思い出しました。 「原子力船」という「未来」を託されていた船としては挫折し、 「みらい」という名前を与えられたというのは、何とも皮肉なものですね。
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『反社会学の不埒な研究報告』
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- 2014/06/28(Sat) -
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パオロ・マッツァリーノ 『反社会学の不埒な研究報告』(二見書房)、読了。
久々にマッツァリーノ先生の本を見つけたので買ってきました。 うーん、何度読んでもクドイ文章を書くヒトだ(苦笑)。 ちょっと本作では、統計による詐術の話から、 オジサマの尊敬されたい症候群の話から、 ちっぽけな街の喫茶店で繰り広げられるストーカー小説まで、 テーマを広げすぎというか、雑食すぎというか、ノン・ジャンルというか、 まぁ、やりたい放題過ぎて、ちょっとしんどかったです。 もう少し、言いたいことを絞って欲しいなぁ。
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毘沙門寄席
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- 2014/06/28(Sat) -
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そういえば、最近、小せん師匠の落語を聞けていないなぁ・・・・・と思い、
毘沙門寄席に行ってきました。 ![]() 開口一番は柳家緑太さんで「たらちね」。 はきはきした語り口が、結構気持ちよかったです。 続いて、柳亭市弥さんは、「芋俵」。 市弥さんは、前にらくごカフェで聞いたことがあるのですが、 そのときはイマイチな感想を持ってしまいました。 今回は、場の空気に馴染んでいるように感じました。 お目当ての柳家小せん師匠は、「馬大家」。 まー、とにかく、いろんな角度から馬の話がポンポン飛び込んできて テンポの良いお話です。 しかも、大家と間借り人で途中で立場が逆転するのも面白かったです。 仲入り前は、柳家喜多八師匠で「お直し」。 先日、二人会でお見かけした喜多八師匠は物憂げを通り越して ややお元気がないような印象を受けたのですが、今日はお元気な物憂げぶりでした(笑)。 というか、まくらの「キタナヅカ」話に爆笑。動画、検索しちゃいましたわ(爆)。 噺の方は、ダメ男と色っぽい女の対比がお見事。 声色、しぐさ、身にまとう雰囲気、どれをとっても素晴らしかったです。 うーん、満足! 仲入り後は柳家小菊師匠の都都逸など。 やっぱり、神楽坂に三味線の音は似合いますね。 清涼剤でございました。 トリは、柳亭市馬師匠で、「猫の災難」。 以前、桃月庵白酒師匠の「犬の災難」を聞いたことがあるのですが、 貧乏長屋に住む人間(というか猫ですが・・・)が鯛をもらうという設定よりも、 不在の隣に代わって鶏肉を一時だけ預かるという設定のほうが、リアリティがありますよね。 でも、鳥より鯛の方が美味しそうだなぁ(笑)。 ほろ酔い加減の演じ方がまことに絶妙で、こちらまでいい気持ちになれました。 にゃんこ・金魚師匠、Good Job! |