『ストロベリーナイト』
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- 2013/12/31(Tue) -
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誉田哲也 『ストロベリーナイト』(光文社文庫)、読了。
面白くて一日で一気読み。おかげで、大晦日は何もしてません(苦笑)。 冒頭のシーンは、薬物のせいで精神に異常をきたしている両親と その子供との暴行行為なのですが、あまりのグロさにうんざり。 この調子が続くのなら、早々にリタイアだなと思っていたのですが、 すぐに警察側の描写に移ったのでほっと一安心。 警視庁捜査一課の姫川班を中心に描いていますが、 ところどころ、主人公の姫川と、彼女の周囲の刑事達との 過去のエピソードを語る一文が入ってくるため、 「あれ?シリーズモノの途中から間違って読み始めたかな?」と思ってしまいましたが、 単なるキャラクター設定のための背景説明だったようです。 ま、今後、「エピソード・ゼロ」とか言って作られるのかもしれませんが・・・。 いずれの捜査員も、キャラが立っていて、 でも劇画調にはならずに、そこそこ現実的な範囲で収まっているので、 安心して読んでいくことが出来ました。 主人公による推理の部分は、 警察による捜査という地道さはなく、名探偵による謎解きのようなものでしたが、 そういうキャラクターなのだ周囲の刑事が認め、または反発している描写があったので そのまますんなり受け入れることが出来ました。 犯人達が仕出かした犯罪や、その動機については、 純粋に「欲求」というものに結びついていて、 変に「金が欲しい」なんていう安易なものよりも説得力がありました。 ただ、お客の顔が相互にわかるような環境は、ちょっと非現実的だと感じてしまいましたが。 というわけで、犯罪の内容には納得がいったのですが、 犯人の顔ぶれについては不満ぶーぶー。 正直、この手の真犯人には飽きました。 主人公が負っているトラウマに関しては、 途中の、裁判のシーンにはじーんと来ちゃいましたが、 この作品内でどれだけの存在価値というか、波及効果をもたらしていたのかは、 良くわかりませんでした。 ま、シリーズ化していくうちにじんわり効いてくるバックグラウンドなのかもしれませんが。 というわけで、このシリーズは、読んでいきたいと思わせる第一作です。
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『サウスバウンド』
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- 2013/12/30(Mon) -
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奥田英朗 『サウスバウンド』(角川文庫)、読了。
元過激派の父は、職も持たずに舞いにちプラプラ。 時に年金担当者とやりあったり、学校に乗り込んで行ったりと、 子供たちには迷惑な行動しか起こさず、姉は呆れて疎遠気味。 でも、母は、そんな父に笑顔で従う不思議な家族。 しかし、やがて中野区には居続けられない出来事が起こり・・・・。 主人公の二郎の目線で読むと、 素晴らしい経験を積む機会に恵まれた少年のビルディングス・ロマンです。 厄介な父と優しい母に育てられた少年は、 地頭が良く、周りに配慮もできる少年に育っています。 そんな少年が、過酷というか、壮絶というか、抱腹絶倒というか、 とりあえず父親に振り回されることで、機転が利き、妹を守れる強い兄になっていきます。 この視点で読むと、非常に気持ちの良い作品です。 一方で、父親のキャラクターに関しては、 上巻では、とにかく公の組織の人間とやり合っては論戦に持ち込み相手を辟易させるという とんでもなく面倒なオヤジとして描かれています。 その理屈としては、内容の正当性よりも、反対のための反対のような かつてのどこぞの野党のような印象を抱いてしまう難癖のつけ方です。 そのため、あまり、共感が持てません。 ところが、下巻でいったん西表島に移住すると、 コロッと人が変わるんです。 「八重山の人の輪の中で本来の姿に戻ったんだ」という見方もできるのかもしれませんが、 では、上巻で演説ぶってたアレは何だったのかと疑問を持ってしまいます。 というか、市民運動の人々に「俺はもう運動なんてやらんのだ」と言い放ってますが、 それでは、なぜ今まで東京に居続けたのかが不明。 何もやることがない状態で、反国家の活動を「誰かが何か言ってきたら反応する」という範囲で 受身の姿勢で行っていくことに、何か積極的な意味があったのでしょうか? どうも、思想的に、上巻と下巻の父親では連続性がないように感じてしまいます。 上巻の途中で、「天皇制」とか出てきたときには、 どんな方向に話が進むのかとドキドキしたのですが、その後音沙汰なし(苦笑)。 クッション程度に使うテーマじゃないんだけどなぁ・・・・。 終盤の開発業者との闘争に関しても、 正直、都市から遠い西表島だからこそ、「今の生活で十分」という単純な結論に 島の人たちの総意をもっていっても違和感無かったですが、 これが石垣島クラスの話になってくると、民意もいろいろ複雑になると思うんですよ。 ま、そこは、舞台設定の上手さなのかもしれませんが、 開発と自然保護という社会問題を扱うには、ちょっと逃げた印象も持ってしまいました。 どうしても、父親のバックグラウンドの設定と、扱うテーマの設定から、 疑問に感じるところや不満に感じるところは数多あるのですが、 それでも、少年の成長、少女の成長には目を瞠るものがあります。 個人的には、向井君と七恵ちゃんに、 今の日本社会についての対談を行って欲しいぐらいです(笑)。
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『地球温暖化論』
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- 2013/12/28(Sat) -
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伊藤公紀 『地球温暖化論』(日本評論社)、読了。
またまた温暖化論に関する本です。 気象学者ではない物理学者が書いた温暖化論についての考察。 基本的には懐疑派の立場です。 特に温暖化論の支持派でも懐疑派でもない立場で、 素直に温暖化論の内容に触れて、感想をまとめたら懐疑派の見解になったという印象です。 やっぱり、シミュレーションの考え方などが 非常にお手盛り感満載のようで、そこへの指摘が様々な角度からなされています。 しかも、語調が、糾弾するというものではなく、「なぜこう考えるんでしょうかね?」という 穏やかに疑問を呈する感じなので、余計に説得力があるように感じられます。 本文は、対話形式で、専門化がアマチュアに教えるという体裁になっていますが、 これも、わかりやすく解説するという点で効果的でした。 例えば、温暖化対策についての説明では、 二酸化炭素が増えれば自然環境が悪化するということは必ずしも分かっていないとしながら、 それでも二酸化炭素の排出量を減らそうとするのは、 高校の規則で茶髪を禁止するようなものだと。 茶髪にすれば即不良化するわけではないが、茶髪にすると不良と交わる可能性が高くなる、 だから茶髪にすることを禁止するのだと。 この考え方は、なるほどー。 ま、二酸化炭素が温暖化を招いているのか疑問ですし、 1℃温暖化することは本当に悪いことなのか私には判断できませんが、 二酸化炭素の排出量を減らすための技術革新は、 省エネ化とか、他の公害物質の抑制にも効果がありそうなので、 一定の費用をかけて取り組みのは良いことかと思いました。 また、著者は、日本では温暖化支持派が原発推進派と近い関係にあるということで、 反原発の立場から、この本を書いたようなところもあるようです。 初版が2003年の発行ですので、3.11以降の原発問題にまつわる言論とは一線を画し 原発問題についても冷静に語っているので、好感が持てました。 (ただし、私は、原発問題については著者と立場を異にしますが) 経済的な観点や政治的な観点も含め、 幅広に分かりやすく、しかも冷静に温暖化問題を取り扱っている 非常に良い本だと思います。
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『文学部唯野教授』
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- 2013/12/27(Fri) -
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筒井康隆 『文学部唯野教授』(岩波現代文庫)、読了。
ようやく100円で見つけることが出来ました。 大学における教授たちや、その下に控える人々の姿を スプラッタ的に揶揄したかと思えば、 生き方が軽すぎる唯野教授の「文芸批評論」の講座は超濃厚! いろんな楽しみ方が出来る作品です。 社会学を学んだ人間としては、 「文芸批評論」の特に後半における現象学や記号論、構造主義のあたりを 非常に興味深く読みました。 この講義のシーンは、どれをとっても非常に分かりやすい解説になってます。 しかも面白い! 一方の、大学機構のお話は、 教授への出世競争であったり、教授会の議論のバカバカしさであったり、 教授の人間性の動物園的恐ろしさであったり、 いろんな角度から極端なキャラクター達に乗せて見せてくれます。 象牙の塔の人たちって、実際もこんな感じで浮世離れしてるのかもしれませんね。 特に、文学部なんていう、実社会と接点のなさそうな学部は・・・。 自分にもう少し社会学や哲学の知識を付けてから再読すると 一層面白いんだろうなと思い、まだまだな知識が残念です。
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『空の色と光の図鑑』
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- 2013/12/25(Wed) -
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斎藤文一、武田康男 『空の色と光の図鑑』(草思社)、読了。
時々TVでお見かけする高校の地学教諭の武田先生の空の写真に 大学の先生が解説文を書いた本。 どの写真も美しい空の姿が切り取られていて しかも、それが日本で撮った写真であるものが大層なので、 「こんなに素敵な空間が頭の上に広がっているのか」と 改めて気づかされます。 しかし、「なぜ?」という光学的な解説になると、 実はワタクシ、このあたり苦手分野です・・・・・。 光のおかげで様々なものが目に見えるようになりますが、 光そのものが何なのかを考え始めると、 結構、頭が混乱してきちゃいます。 目に見えないものは苦手なのです(苦笑)。 というわけで、綺麗な写真を眺めつつ、 難しいところはそっと読み飛ばしてしまいました。
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『文学賞メッタ斬り!リターンズ』
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- 2013/12/23(Mon) -
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大森望、豊崎由美 『文学賞メッタ斬り!リターンズ』(PARCO出版)、読了。
企画自体は知っていたのですが、 文章として読むのは今回が初めてです。 いきなり島田雅彦を迎えてのトークショーから始まってしまったので、 そもそも大森&豊崎のメッタ斬り書評というものが分からないまま それを評価するくだりになってしまったのが残念。 (というか、これは本の順番を守らずに読む私が悪いのですが・・・) ようやくROUND2から書評そのものが始まり、 どんなもんかが、よーく分かりました。 通常の書評というのは、 評価する側とされる側の1対1の関係なのですが、 本作における書評は、そこに選考員の書評に対する評価も加わり、 この複雑なところが受けるのだろうなと分かりました。 というか、選考員への評価のくだりの方が面白い(笑)。 100円リーダーである私としては、 まだ読んでいない(100円では出回っていない)本もたくさんあり、 共感しつつ書評を楽しめる範囲は限られていたので、 これよりも古い版を探して楽しみたいと思います。 あ、W杯になぞらえた企画は、意味不明でした・・・・・。
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『男女の機微』
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- 2013/12/23(Mon) -
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諸井薫 『男女の機微』(中央公論社)、読了。
父の本棚からガサガサ大量に借りてきた中に入っていた一冊。 著者について何も知らなかったのですが、試しに読んでみました。 前半が主に男性視点でのエッセイ、後半はショートストーリーという構成です。 エッセイは、結構、「男とは~」「女とは~」みたいな調子なので、 著者の立ち居地というのは、山本夏彦翁のようなものかなと想像しながら読んだのですが、 知らないオジサンが上から目線で語っているエッセイというのは なかなか素直に読めないものですね(苦笑)。 後半の小説は、数ページなので手軽に読めて、 しかも、タイトルどおり、「機微」を描いているので、最初は面白く読んだのですが、 こうも不倫の話ばかりだと、途中で飽きてしまいます(苦笑)。 ちょっと時代の距離を感じてしまう作品でした。
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ダイビング @伊豆大島
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- 2013/12/22(Sun) -
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最後は、異尾類とその他もろもろ。
変なものに出会いました。 白黒の足が可愛いです ![]() いつもの ![]() 白っぽい個体でした ![]() 見つけたとき「何これ~っ!?」 ![]() 久々に見ました ![]() とりあえず撮ってみた ![]() 実は、例の台風26号が通過した翌週に、 伊豆大島にダイビングをしに行く予定を夏前から組んでいました。 ダイビングサービスの方からは 「潜りに来てもらったら歓迎します。でも不安ならキャンセルしていただいて大丈夫です」 とのお言葉をいただいていました。 ただ、翌週も低気圧の接近で天候や海況が良くないと思われたことと、 何よりもまだ行方不明の方が大勢居る状況ではとても楽しむ気になれないなと思い、 キャンセルさせてもらいました。 今回、そろそろ四十九日も終えられた頃かなと思い、 大島で生活する方々に少しでもお役に立てればと、遊びに行かせてもらいました。 宿の皆さん、サービスの皆さん、レストランの皆さん、 温かく迎え入れてくださって嬉しかったです。 海の中は、以前ゴロタだったところに砂が積もっていたりして、 少し雰囲気が変わっている場所もありましたが、 秋の浜の楽しさは不変でした。 ![]() 台風の風で吹き飛ばされたという秋の浜の看板も新しくなり、 伊豆大島の次のステージが始まっているように感じました。 ![]() 最後に、伊豆大島に訪れる夜明けを。 ![]() ↓海の写真はこちら かもめ組図鑑 |
ダイビング @伊豆大島
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- 2013/12/22(Sun) -
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カニちゃんもいろいろ撮れました~♪
いきなり名前分からず・・・ ![]() でかい個体でした ![]() 綺麗な色ですね ![]() これも名前分からず ![]() 可愛らしいです ![]() ボケボケ ![]() 見つけたときに小躍り♪ ![]() 色が飛んじゃいました ![]() 夜の海では嬉しい出会いが ![]() ↓海の写真はこちら かもめ組図鑑 |
ダイビング @伊豆大島
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- 2013/12/22(Sun) -
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今回は、何と言っても、エビちゃん&カニちゃんが大当たりでした。
甲殻類にはまってから、秋の浜の楽しさは 2倍にも3倍にもなった気分です。 何個体か見つけました ![]() こちらは粘れず・・・ ![]() すぐに引っ込んじゃいました ![]() 赤白が美しいです ![]() いつものも ![]() たぶん「ニセ」で合ってるはず ![]() 変なコンビ ![]() 自分で見つけた! ![]() じっとしててくれました ![]() 青っぽい個体 ![]() 日暮れ後の秋の浜 ![]() ↓海の写真はこちら かもめ組図鑑 |