『書くに値する毎日』
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- 2013/05/31(Fri) -
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つかこうへい選 『書くに値する毎日』(集英社文庫)、読了。
有名作家の日記を集めた一冊。 作家が書く日記とはどんなものなのだろうかと興味津々だったのですが、 途中で、日記とは一体何なのかが分からなくなってしまいました。 「自分の日常を綴った詩的な文章」ぐらいに捉えていたので、 作家が読者を想定して書いたものは「日記」なのだろうか?と疑問がふつふつ。 それってエッセイと何が違うのでしょうか? さらには、作家があくまで自分の私的な文章として書いていた場合、 死後に全集とかを出されて、日記まで白日の下に晒されることは 果たして彼・彼女は望んでいたのだろかという疑問も。 有名作家は死んだら「私」な部分はなくなってしまうのでしょうかね? とまぁ、いろいろ考えつつも、 やっぱり有名作家の書いたものは、それが何であれ面白かったです。 私個人の好みとしては、激情がほとばしるものや理屈っぽいものは苦手で、 日記らしい日記というか、些細な日常のことが綴られている日記が、 当時の時代を写していて興味深いです。 平林たい子や宇野千代、筒井康隆の日記が面白かったです。
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『オカンの嫁入り』
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- 2013/05/25(Sat) -
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『オカンの嫁入り』
前知識ゼロで見たのですが、結構、中盤から泣けてしまいました。 最初は、午前3時に金髪の若い男を連れて帰ってくる母親や、 初めて来た家でいきなりくつろぐ男、 そして、そんな男と結婚すると宣言することに、 「そりゃ、娘も呆れるわ・・・」と、若干引き気味のスタート(苦笑)。 一方の娘も、この子、毎日何やってんだろ?学校は?仕事は? と疑問を持ってしまう日常。 男の方も、ふらふらしているような様子が・・・・。 なかなか物語に気持ちが乗っていかなかったのですが、 それぞれに事情があることが分かってからは、一気に引き込まれました。 母が娘の将来を案じる気持ちがひしひしと伝わってきます。 さらには病気のこと。 冷静に見れば、いろんな要素をテンコ盛りし過ぎて落ち着かないのですが、 私自身の叔母の看病の経験もあり、母親が病気に向かう姿にウルウル。 脇役までキャスティングがばっちりはまっているところに加え、 俳優さんたちの演技がこれまた良くて、引き込まれました。 残念だったのは、女優さんの撮り方が下手なこと。 あんまり宮崎あおいが美人に見えませんでした。 ま、心の病を表現しているのかもしれませんが・・・。 そして、この映画の一番の見せ場のはずの、大竹しのぶの白無垢姿も・・・なんか残念。 あれだけ作品中で期待させるような持っていきかたをしておきながら、 もう少しどうにかならなかったのかと悔やまれます。 アングルなのか、照明なのか、メイクなのか・・・。 ここにプロの仕事が欲しかった!
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『競争と公平感』
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- 2013/05/24(Fri) -
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大竹文雄 『競争と公平感』(中公新書)、読了。
競争や公平感に関する多方面のトピックスを扱っていますが、 体系だっているかというと、そこは疑問。 新書というより、エッセイ的な印象が強いです。 ただ、経済学者が行った様々な調査が紹介されており、 読み物としては面白かったです。 特に、調査における仮説の立て方が、 「そんな観点で物事を切り取るんだ~」という驚きを覚えるものがいくつもあり、 経済学者の皆さんの目の付けどころに目からウロコ。 当たり前と思って受け入れている枠組みを取っ払って、 もう一度ゼロから事象を捉えなおしてみることの大切さを実感しました。
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『プリンセス・トヨトミ』
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- 2013/05/21(Tue) -
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万城目学 『プリンセス・トヨトミ』(文春文庫)、読了。
初めての作家さんですが、ヒット作が多いので期待してました。 が、しかし・・・・・イマイチでした。 序盤の会計検査院の業務を描写するくだりは、 3人のキャラクターの妙もあって、面白く読めました。 でも、中学校の話に移った時に、いろんな要素を詰め込み過ぎて、 読みづらく感じました。とにかくスピード感がない・・・。 会計検査院の3人が、やや劇画調なキャラクター設定なので、 中学校側はオーソドックスな人物設定にしておかないと、 バランスが悪い気がします。 そもそも、中学生の男の子に性同一性障害を負わせたことの意味って何だったのでしょう? あんまり作品の中で効果的な要素になっていたようには思えなかったのですが。 会計検査院側の目線で全てを描いた方が、 ワクワク感を醸成できたのではないかと推量します。 中途半端な見せ方が、感情移入のしにくさを招いてます。 Amazonを見る限り、他の作品に比べて本作は評価が低そうなので、 他をあたってみることにします。
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『デビル』
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- 2013/05/18(Sat) -
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『デビル』
ナイト・シャマラン監督のアイデアを、若手たちが映画化するプロジェクトの 第1弾作品だそうです。 シャマラン監督作品と間違えてました(苦笑)。 ただ、作品としては十分面白かったです。 高層ビルのエレベーターに閉じ込められた5人。 互いを知らない中で、不信感を煽る出来事が立て続けに起こり、 疑心暗鬼はMAXに。そして人間の攻撃的な感情がむき出しになった時に 5人の中の1人が死ぬ・・・・。 冒頭から、悪魔の関与を疑わせる説明が続くので、 見ている側としては、犯人捜しよりも悪魔の登場の仕方の方が気になるのですが、 実際に当事者としてエレベーターの中に居合わせたら、 目の前の誰かが殺人鬼で、しかも逃げ場がないという極限状況。 このハラハラ感を上手く見せていたと思います。 また、ホラーが苦手の私でも、目を覆うことなく見られる程度の映像で、 しかもドキドキさせてくれるのですから、バランスのとれた良作だと思います。 最後は、なんだか上手くまとめられてしまった感があり、 もうひと捻り欲しいとも思いましたが、あんまり無茶しない方が無難ですかね。 あと、いくつか、意味深な台詞や行動が未回収になってるのは不満。 ま、それは、親分のシャマラン監督作品でも感じたことなのですが(苦笑)。 そして、捜査現場の指揮を執る捜査官は、警備室のモニターの前から離れちゃいかんと思うぞ。
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『ステイ・フレンズ』
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- 2013/05/18(Sat) -
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『ステイ・フレンズ』
単なるラブコメと思って油断してたら、思わぬ当たり!でした。 L.A.のIT企業からヘッドハントされて『GQ』のアートディレクターになった男と それを仲介したヘッドハンターの女。 気が合った2人は、恋愛感情なしのセフレ関係に。 ま、恋愛映画としてのストーリーは、王道中の王道なので、 これと言ってコメントするところもないのですが、 ジャスティン・ティンバーレイクとミラ・クニスのキャラを最高に活かした 脚本と演出になってます。 冒頭から繰り出されるマシンガントーク、 本音のぶつけ合い、そのネタ大丈夫なの!?とちょい不安になる毒舌、 良いバランスでミックスされてます。 そして、サイドストーリーが意外と充実。 主人公たちが恋愛に臆病な理由が、 それぞれの家族が抱えている「病」を通して描かれます。 この家族のキャラが、これまた愛すべきものなんです。 あと、音楽のセンスも良かった! フラッシュモブなどの最近の流行ごとも入れつつ、 でも、かつての名曲を上手く使って、場面を印象付けてます。 ノリノリで楽しめる映画でした。
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『上司のすごいしかけ』
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- 2013/05/17(Fri) -
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白潟敏朗 『上司のすごいしかけ』(中経出版)、読了。
100円でどかどか買ってきた中の一冊だったのですが、 思いのほか面白かったです。 トーマツ系のコンサルタントなのに、 非常にくだけた内容であることに、まず驚き。 そして、一つ一つの教えが、非常にシンプル。 何のためにやるのか、それをやると何が得られるのかが、分かりやすいです。 具体的に紹介されているパワーアップシートは、 誰でもすぐに使えそうですし、確かに効果があるだろうなと思います。 ただ、この手の本でいつも思うことは、 続けることこそ非凡な能力だということ。 やるべき事が簡単ですぐできるものであるということと、 毎日続けるという能力を当事者が持っているかということは、 全く別のものだと思います。 1回やるには簡単なことであっても、毎日続けることは難しい。 そこを乗り越えられるか否かですよね~。
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