『予定日はジミー・ペイジ』
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- 2013/03/31(Sun) -
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角田光代 『予定日はジミー・ペイジ』(新潮文庫)、読了。
「妊娠小説」と言えばよいのでしょうか。 特に望んでいたわけではない妊娠をしてしまった女性が主人公。 嬉しさを感じることができず、かといって嫌なわけでもない。 中途半端な気持ちのまま、盛り上がる周囲とのギャップを受け止めきれない日々。 私自身は妊娠したことがないので、あくまで想像の世界で読むしかないのですが、 なんだか、こういう気持ち、分かるような気がしてしまいました。 読みながら思い出したのは、 「障害者全員が清らかな心を持っているわけではない」という主張。 全然指している事象の内容は違うのですが、 「世間一般」にいる自分と、「特殊な環境・状況」にいるあなたとを比較し、 「特殊な環境・状況」に対して画一的な価値観を押し付けてしまうところに 「世間一般」側の傲慢さを感じてしまいました。 必ずしも妊婦全員が、最初からピュアに赤ちゃんの誕生を喜べる訳ではないということは 当然のことなんだろうけれど、みんな「おめでとう!」と声をかけてしまいますよね。 意外とプレッシャーに感じている妊婦さんもいるのかなと感じました。 しかし、そんな感情からスタートした主人公も、 次第に状況を受け入れ、赤ちゃんの誕生に心が向かっていくようになります。 決して、無理やり前を向こうとしたのではなく、 すんなりと感情が移っていき、また、時には気づいたらそうなっていたという 自然な流れが描かれていて、経験したことのない私も納得しながら読んでました。 それはまるで、赤ちゃん自身、母体自身が、そのように仕向けているかのような 不思議な流れです。 読み終わり、非常に温かい心になる作品でした。
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『魔王』
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- 2013/03/30(Sat) -
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伊坂幸太郎 『魔王』(講談社文庫)、読了。
どのように要約すれば良いのか悩む作品です。 念じた相手に思った通りの言葉を発せさせることができる不思議な能力を持った男の話。 ファシズムに覆われていく日本の政治状況を描いた話。 なんでもよく話す兄弟の話。 うーん、どれも違う。しっくりこないです。 自分としては、なんだか尻切れトンボで終わってしまった印象を受けたため、 「何のための能力だったの!?」「これからの日本はどうなるの!?」 「弟がやろうとしていたことはなんだったの!?」 と、様々な疑問が湧いてしまい、感想に結論がつけられないんだと思います。 ま、そこを考えさせることを目的とした作品なのでしょうけれど。 個人的には、ファシズムに流されてしまう日本人の様子が興味深かったです。 現実に起こりそうな具体性とリアリティがありました。 実際に、今、日本人が「強いリーダー」を求めているという状況にも 非常にマッチしていて、読んでいて、少し恐怖を感じました。 小説としては、あんまり好みの展開ではなかったのですが、 (尻切れトンボな印象の作品はちょいと苦手・・・) 登場人物たちが「考えている内容」が興味深かったです。
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『落花流水』
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- 2013/03/26(Tue) -
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山本文緒 『落花流水』(集英社文庫)、読了。
なんとなくタイトルの語感から美しい話を想像していたのですが、 なんともエグイお話でした(苦笑)。 最初は、日米ハーフの少年と、5歳の日本人の女の子との交流という、 なんとも微笑ましいところからスタートするんですよ。 なのに途中から、「シングルマザー」「祖母の戸籍に入れる」「貧乏」などという なんとも、どよーんとした要素が次々と出てきて、 しかも母親は男を見る目がないという体たらく。 そして、それは娘に受け継がれ・・・・。 またまた因果応報的な業を感じてしまいました。 最近、こんな読書ばっかりで、ちょい憂鬱(苦笑)。 ちょっと仕事がしんどい時期なので、 もう少し爽やかな作品を読みたかったです・・・・。 ただ、最後に登場した「おばあちゃん」は、ぶっ飛んでて格好良かったです。 ここまで突き抜けられたら天才だわ。
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教科書&S革
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- 2013/03/24(Sun) -
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『教科書にのせたい!』(2012年3月13日放送)
またまた漢字クイズ。数字が取れてるのかなぁ? 盛り上げるためなのか、今回はゲストに賑やかな方々をたくさん投入。 小森純さん、劇団ひとりさん、それぞれ自分の役目がわかってらっしゃる。 それよりもウンナンさん2人がかりでのIKKOさんいじりが楽しかったです。 やっぱりウンナンは距離が近い方がいいですね。 日本在住の外国人が教える日本の凄いところは、 震災後にこういうナショナリズムをくすぐるような動きが出てきましたよね。 私も時々、Youtubeに投稿されている外国人の方の動画を見ちゃいますもの。 ただ、日本の凄さよりも、インドネシアでお釣りがきちんともらえないという 文化の方が驚きでしたけど(笑)。 斉藤先生のノリの良さを見て、この番組もタレント性がないと 生き残っていけないようになってしまったのだなぁとしみじみ。 動物関係の先生を最近お見かけしなくなっちゃいましたね。 『スクール革命!』(2012年3月18日放送) 県民性学の第3弾は、矢野新一先生と東MAX先生。 久々のちゃんとした先生(笑)。 県民性というのは、地理的な要素だけでなく、歴史の要素だったり、 一人の傑出した人物の影響だったりと、様々なものが絡み合ってて面白いですよね。 どうしても東京や大阪などの都会では、 いろんな出身の人が集まっていて特徴が薄まってしまうのか、 ランキングでは思わぬ地方県が顔を出すのも興味深いです。 ただ、ランキング的なものは、「募金をするか否か」という質問で 「情の深さ」を測ろうとするような、こじつけ感があるのは、 信憑性を自ら貶めているようで、いつも残念に思うのですが。 変わった地名クイズからの「悲しいとき~♪」の流れ最高でした。 特に、春日さんが作った湖畔に、内村先生が投げ込んだ「悲しいとき~♪」の間が絶妙。 この人は、本当に間とかポジショニングが上手いんです。
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Q&教科書&S革
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- 2013/03/23(Sat) -
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『世界の果てまでイッテQ!』(2012年3月4日放送)
力の入った2時間SPの次は、総集編です。 ま、でも、スタジオ部分をちゃんと撮ってくれるので嬉しいですね。 それにしても、視聴率と企画の出来は、なかなか比例しないものですね。 きっと連休だったり、天気だったりに左右されるんでしょうけれど、 視聴率で全てが測られるのは、そろそろ見直した方が良い気がします。 ツイート反響数とか、今ならいろいろ指標が考えられそうですよね。 『教科書にのせたい!』(2012年3月6日放送) ポイント制度、早速なくなってましたね(苦笑)。 ま、スッキリしてて見やすいです。 ただ、クイズ番組化してるのが、ちょっと気になるかな。 上田君とかおバカな感じが出てて面白いのですが、 他の回答者が結構まじめにやっちゃってるので、 企画に山場がないんですよねー。 今回は、他のテレビ局の取材に丸ごと頼ってたりもして、 作り手さん大丈夫かいなと思っちゃいました。 『スクール革命!』(2012年3月11日放送) 2択学ということで、ロザン先生による進行です。 助手の菅さんなりのポジションが出来上がってきて、良い形になってきたなと感じました。 ただ「つまらない」というフリをされるのではなく、 自ら積極的につまらない情報を発信していくというアグレッシブさ、 これが意外と面白かったです。 企画はすべて、嗜好が分かれる2択問題について、 J組メンバーと世間のズレ、そして実際の効果比較などをするというもの。 中には「ウォシュレットの使い方」とか、「こんなの2択にできるんだー」と 自分としては驚きの設問もありました。自分が固定観念どっぷりということですね。 スタジオでわいわいやってるのは、良いですね。 まおみちゃんの不潔疑惑がさらに深まり、ラーメン泥棒という新キャラも誕生。 良い学校だわ。
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『四つの嘘』
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- 2013/03/23(Sat) -
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大石静 『四つの嘘』(幻冬舎文庫)、読了。
女子校で同級生だった4人の女性。 40歳を過ぎた今、そのうちの1人が異国で事故死をしたことで、 20年以上の変化を交えて、4人が再び繋がり出す・・・。 タイトルでも、あらすじでも、解説でも、 「嘘」というものを軸にしているようでしたが、 私はむしろ、「因縁」「業」というものを感じてしまいました。 高校生の時に、友人の彼氏を横取りし、妊娠の末に結婚までする女。 その娘は、友人の憧れの人に手を出そうとし、さらには母まで参戦する始末。 そして痛いしっぺ返しに遭う母。 高校生の時に、自分勝手に、世界の中心のような振る舞いをしてきた美人。 大人になっても治らず、自分本位な考え方しかできずに 周りとの有意義なコミュニケーションができず、おばさん化してしまう。 因果応報、三つ子の魂百まで・・・ではないですが、 自分の行いから抜けられない怖さを感じる小説でした。 終盤の犯罪が絡む展開は、 さすがにちょっとやり過ぎではないかと感じる無理な展開のように思いましたが、 ぐいぐい読ませてくれました。 なかなかドギツイ描写もありましたが、 新聞小説って、こういうの大丈夫なんですね(苦笑)。 ま、でも、『失楽園』もありなんだから、良いのか・・・。
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教科書SP&S革
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- 2013/03/21(Thu) -
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『教科書にのせたい!SP』(2012年2月28日放送?)
2時間SPでした。新セットにまだ慣れません(苦笑)。 トークはしやすくなったと思うんですけど、 なんだか真ん中にどーんと空間が広がってると、間延びした画に見えるんですよね・・・。 そして、採点方式はやっぱり流れを分断してる気が。 でも、スタジオ企画が増えたのは嬉しいですね。 あとは、もうちょっとお笑い要素が増えてくれると良いのに・・・。 どうしても、みんな真面目な顔で先生の言うことを聞いちゃいますからね。 MCの2人は頑張って面白いこと言おうとしてるので救われます。 出水さんが面白い振りをしてくれるのが良いですね! あと、ニューキャラ・南原君を登場させちゃった斎藤先生(笑)。 こういうチャレンジ、どんどんやってほしいです。 『スクール革命!』(2012年3月4日放送) 劇団ひとり先生と牛窪恵先生による法則シリーズ第2弾。 法則のテーマが、買い物だったり、赤ちゃんだったり、夫婦関係だったりと 法則性なくあっちこっち行くのですが(苦笑)、 まぁ、ひとり先生が面白かったからOK! どの法則も、最後の、ひとり先生による「カッコよく見せる法則」のコントへの 尺調整にしか過ぎないというオチ(爆)。 ひとり先生は、自分の世界においては、独特の雰囲気を発散しまくるのですが、 それ以外のコーナーは意外と粛々と進行していくので、 時どき芸人の先生に感じてしまう鬱陶しさがないですよね。 緩急の付け方が上手いというか、要点のみを要領よくこなすというか。 ひとり先生の指導を受けて、ザキヤマさんの実践編が思ったより雑だったのが 気になりましたっが(苦笑)、むしろ山田君や八乙女君の実践が メリハリがあって面白かったです。 笑いに動きと緩急って大事ですよねー。 最後の春日さんの誕生日・失念編は、イマイチでしたなー。 変化を付けた演出をしたつもりだったのでしょうが、 春日さんが空回りしちゃったような印象でした。
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S革&QSP
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- 2013/03/20(Wed) -
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『スクール革命!』(2012年2月19日放送)
セレブ学第2弾。いとうあさこ先生と篠山輝信先生。 別の番組で篠山先生を見たとき、「この人だれ??」状態だったのですが、 ようやく素性が分かりました。なるほどね。 いとう先生やクリス先生には親しみを感じるのに、 他のセレブ先生とはあんまりお友達になりたい印象を抱かないんですよね・・・残念ながら。 やっぱり、地金がセレブな由緒正しい人たちと、 2世という所謂成金的なセレブとの違いなのでしょうか・・・。 さてさて、スタジオの方は、いつものクイズ&高額グッズ紹介。 春日さんへの「出ていけ」」コール、みんな楽しそうですね。 高額グッズは、PR用に作ったのか本気で売ろうとしているのか 甚だ疑問な数々が登場しましたが、ガチのくじで、いずれもザキヤマさんがお試し。 ラーメンのコメント、もうちょっとプラスアルファの味の紹介が欲しかったよー。 実は、内村先生並みに味への表現が乏しい人なのかも(苦笑)。 若林さんのスターコントもありました。 展開はマンネリ化してますが、あのスターの椅子は毎回若林さんが家から持ってきてる ということに驚きました。番組の小道具扱いなのかと思ったら、 ちゃんと誕生日プレゼントとして自分で使ってるんですね(笑)。 VTRは、若手芸人ではなく八乙女君&春日さんのコンビでロケ。 芸人さんが行くよりは興味を持てましたが、なんだか凄い唐突感。 次回のロケはトータルテンボスのようでしたし、今回だけなぜ??? 『世界の果てまでイッテQ!』(2012年2月19日放送) アコンカグア登頂で2時間SPです。 確かに、これ一本で2時間行けるだけの撮れ高でしたね。 バラエティ的には、石崎Dが画面上でも編集でも頑張ってましたが、 普通にこの放送を見てる人は、笑いよりも感動を重視するんでしょうね。 うーん、お笑いファンとしてはやっぱり不満。 ただ、今回は、天候やルートを判断する場面でのプロのお仕事を見せてもらい、 そこは、海で潜っている人間としては勉強になりました。 常に様々なリスクを想定し、また、トラブルが発生した時に 助けられるか否かで行動を決定するというところが、流石です。 最後、頂上まで200mのところで撤収を決定したのも、見ていて納得。 イモトさんは悔しかったでしょうが、登山に対する誤ったメッセージを 番組が流してしまうよりも、よっぽど意味のある放送だったと思います。 自然を相手にするというのは、こういうことなんだと。 また、石崎Dが最後まで元気という不思議現象が発生。 しかも体調が思わしくないイモトさんを気遣ったり、説得したり。 これまでは自ら道化役として演出してましたが、 今回の放送では、やっぱり人気番組の看板コーナーを背負っている ディレクターとしてのデキるところを垣間見た気がしました。
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『いつかどこかで。』
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- 2013/03/20(Wed) -
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金子達仁 『いつかどこかで。』(文春文庫)、読了。
オシム監督の余韻で、スポーツものをば。 サッカー詳しくないので、著者のことを良く知らなかったのですが、 ネットで写真を検索して「あぁ、この人か」と納得。テレビで見たことありました。 辛口のサッカー評で知られている方のようですね。 で、本作は『Number』に連載されているコラムをまとめたもののようですが、 スポーツ・エッセイと思って読み始めたので、 ご本人中心のエッセイに、「随分出たがりな人だなー」なんて思ってしまいました。 でも、読み進めるうちに、サッカー界だけでなく、 様々な分野のアスリートたちや、支えるスタッフたちとの深い関係が垣間見えて、 きっと魅力のあるスポーツ・ライターなんだろうなぁと感じました。 アスリートたちから話をもらってくるだけではなく、 きっと、著者もアスリートたちに何かを与えるような取材をしてるんだろうなと。 その点で、取材する側とされる側の関係について述べたエッセイが、興味深かったです。 また、著者自身が興味を持たなかったスポーツ、 例えば競馬について、結局は、人との出会いや仕事の依頼の偶然の中で その魅力について興味を持ち出し、取材対象が広がっていく過程も面白かったです。 その分野のNo.1の人のところには、様々な人が集まり、仕事が集まり、 他の分野のNo.1の人との交流が深まっていくものなのだと思います。 だからこそ、私も、仕事や趣味において、どんなテーマでも良いので No.1を目指さなければいけないのだと改めて感じました。 本職のサッカー評については、辛口のために好き嫌いが分かれるようですが、 サッカー無知の私からすると、面白いエッセイでした。
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『平面いぬ。』
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- 2013/03/19(Tue) -
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乙一 『平面いぬ。』(集英社文庫)、読了。
著者の作品に対するイメージと、タイトルの語感から なんとなくホラーちっくな作品を思い浮かべていたのですが、 表題作は、腕に彫った可愛らしい犬の刺青が動き出すというお話。 他の作品も、物語の作り方によってはホラーになりそうな題材でしたが、 どちらかというとファンタジー寄りなテイストに仕上がってました。 「石ノ目」だけは、じとっとした雰囲気でしたが・・・。 「BLUE」も、人間の利己的な部分を描いているのですが、 なんだか温かい雰囲気でのエンディングとなりました。 人間だけでなく、おもちゃのエゴまで出てきて、結構ドロドロしてたんですけどね。 というわけで、何となく、物足りないところも・・・。 もっとガッツリいやーな情景を描いてくるのかと期待していたので。
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