『こんな「歴史」に誰がした』
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- 2013/01/31(Thu) -
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渡辺昇一、谷沢永一 『こんな「歴史」に誰がした』(文春文庫)、読了。
中学の歴史教科書問題を扱った対談本。 実は、教科書問題で盛り上がっていた時期、 過熱ぶりが怖くて、このテーマに関わることを避けてました。 てなわけで、ほぼ、初めまして状態の読書です。 その入り口が、この本でよいのかはアレですが・・・(苦笑)。 本作では、中学校の日本史の教科書が、中国や韓国の視点で描かれ、 日本の歴史を貶め、歪曲しているという主張をしています。 ま、私も、自虐史観というのは適切な教育ではないと思っていますが、 ちょっと本作の主張は、極端すぎるように感じました。 指摘している1つ1つの教科書の記載はおかしいなと思えるのですが、 その糾弾の言葉が感情的過ぎてバランスが取れていないので、 結局、著者たちの主張も素直に聞けないという印象です。 元寇で2回とも神風が吹いたと書かれてますが、 神風が吹いたのは2回目だけではなかったですかね? ま、こういう発言の些細な部分の信憑性も気になりました。 やや言葉が躍ってる感じです。 それと、この本で一番違和感を感じたのは、 体裁は対談なのですが、ちっとも対談になっていないこと(爆)。 2人が、全く同じ方向を向いて言葉を繰り出しているので、 まるで1人の人が語ったかのような、継ぎ目のない文章になってます。 対談の醍醐味は、2人の人が、それぞれの視点で自分の意見を主張し、 そのぶつかり合いで議論が昇華していく様子にあると思うんですよ。 本作では、2人の主張がぴったり寄り添っているので、 議論が膨らんでいる印象が全く受けられません。 あまりの一体ぶりに、ちょっと気持ち悪さを感じてしまうほどでした。 ただ、紹介されていた中学校の歴史教科書の内容を見て、 自分が教わったのとは違うトーンのものが結構あって、それには驚きました。 中学校での教育って、やっぱり自分が世界を認識するうえでの基礎となる思考構造を 作るものだと思うでの、そこで歪んだ歴史を学んでしまうのは恐ろしいことだと 改めて感じました。
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『ジャックとジル』
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- 2013/01/29(Tue) -
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『ジャックとジル』
アダム・サンドラーが双子の兄妹を演じたコメディということで、 期待していたのですが、思いのほかドタバタ系でした・・・。 アダム・サンドラーの女装は、ガタイが良すぎるのですが(苦笑)、 顔は意外と可愛いと思えちゃいました。 トッツイーに次ぐ可愛さかしら(笑)。 でも、キャラがかなりうざいです。 正直、最初の20分ぐらいで、見るの止めようかと思っちゃいました。 悪ふざけし過ぎな感じです。 後半、何となく慣れてきちゃった自分が怖いです。 そして、なぜか無駄に豪華な脇役たち。 ジョニー・デップのちょい出演で笑いを取っていくのはオイシイ役ですが、 アル・パチーノは、これでよかったのでしょうか? 本人は吹っ切れているのかもしれませんが、 なんだかとっても勿体ない気がしちゃいました。 バカやってても、格好いいところは流石ですね。 アダム・サンドラーが一人二役だったから、 いつもの会話応酬のパンチ力が足りなかったのかしら?
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『今夜もベルが鳴る』
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- 2013/01/28(Mon) -
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乃南アサ 『今夜もベルが鳴る』(祥伝社文庫)、読了。
うーん、イマイチでした。 主人公の女性が、男友達に紹介してもらった男性に惹かれ、 その男性と電話をするうちに、恋になっていく。 しかし、なんとなく電話の応対がおかしいことに気が付いて・・・・。 ま、裏表紙の作品紹介を読むと、 サスペンス作品という位置づけになっているようなのですが、 事件が動き出すまでが長いよー。 正直、飽きちゃいました。 しかも、この主人公女性が、なんでこの男性に惹かれるのか、 全然共感できず・・・・。 決して、この男性が良くないと言っているのではなく、 なぜそこまで惹かれるのかの描写が、足りてない気がしました。 それは、サスペンス側の犯人が、なぜそこまでぞっこんになったのかについても、 あんまり踏み込んだ説明がなく、ふーん・・・という感じです。 で、物語に入り込めないまま、 最後にバタバタと事態が動いて、なんとか解決! 最後まで置いてきぼりの読書になりました。
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『探偵ガリレオ』
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- 2013/01/28(Mon) -
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東野圭吾 『探偵ガリレオ』(文春文庫)、読了。
ドラマが大ヒットしたガリレオシリーズの一作目。 ようやく読んだのですが、感想は、うーんこんなものか・・・・・って感じ。 科学推理物の短編集ですが、 それぞれのトリックは、ちょっと作り過ぎた感じがして、 なんだか現実味のない話が続いたような感覚のまま終わってしまいました。 ま、だからこそ、テレビドラマにしやすかったのでしょうけど。 このあとのガリレオシリーズを読むべきか、ちょっと迷ってしまう内容でした。
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『ヒートアイランド』
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- 2013/01/26(Sat) -
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垣根涼介 『ヒートアイランド』(文春文庫)、読了。
垣根作品はスピード感があるので、 読み始めると、止まらなくなっちゃいますね。 本作もなかなかのボリュームでしたが、一気読み。 ストリートギャングの集団が、 ひょんなことから裏金強盗のプロ集団、果ては暴力団たちに追いかけられ、 知恵を絞って切り抜けていくお話。 このストリートギャングのメンバー構成が、なかなか面白い出来なんですよね。 普通の不良さんとは違う空気を持っています。そして高速回転する頭脳も。 自分たちが置かれた状況の把握・分析力が優れており、 そこから未来の展開を組み立てていく能力も素晴らしい。 ストリートギャングでなければ、経営者として面白いかも(笑)。 一方の強盗たちも、身体能力の高さと判断力の冷静さにおいては、 これまた面白いグループを形成しています。 こちらを主人公にしても作品が出来そうな印象です。 この2つのグループに挟まれて、暴力団たちは道化役的な担当になっちゃってますが、 それでも、ヤクザ稼業の組織力やプレッシャーのかけ方などは、 読んでいて興味深かったです。 あまりにも多くの人が死んだ割には、 エンディングで爽やかさを感じてしまうのは、 主人公2人のキャラクターのなせる業なんでしょうね。
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C&A!
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- 2013/01/26(Sat) -
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C&Aの活動再開、きましたねー!
ま、無期限活動停止発表の時も、そんなに深刻に考えてなかったのですが、 むしろ思っていたよりも早く復帰してくれた印象です。 お帰り! あれだけファンを心配にさせた騒動を起こしたんだから、 C&Aらしい、パワフルで心に染み入る楽曲での復活をお願いしますよ!!! 復活というイベント頼みのつまんないアーティストに成り下がったら、 許さないですわよ!(笑) ま、この2人なら、そんな心配は不要ですよね。 新曲、そしてライブを、期待値200%、300%で待ってます!!
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『国家と人生』
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- 2013/01/23(Wed) -
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佐藤優、竹村健一 『国家と人生』(角川文庫)、読了。
3日間かけて行われたという両氏の対談。 たった3日で、これだけの内容をもった言葉を交わせるのかと驚嘆。 才人の集いは素人には想像できません。 本作では、竹村氏が質問をして、佐藤氏が持論を述べるという構図が 主な役割分担になっているようでした。 竹村氏のような知識人であれば、当然知っているだろうことも疑問文で投げかけ、 うまーく佐藤氏から分かりやすい解説を引き出してくれています。 この本で一番感じたのは、インタビュアーのように引き出す役としての竹村氏の力量です。 とにかく読者に分かるように議論を導いてくれるんです。 もちろん、佐藤氏の話は多岐にわたり、またウィットにも富んでいて面白いです。 ロシア研究や外交問題だけでなく、沖縄研究や負け犬問題まで(笑)、 非常に幅広い「語るべきこと」を持っている方です。 そして、佐藤氏が竹村氏をどれだけ尊敬しているのかも、よく伝わってきました。 自分が真剣に学んでいたときに、その師となってくれた人が 自分の主張を受け止めて、理解しようとしてくれるというのは、 本当に嬉しいことなんだろうなと思います。 すてきな知識人たちの交流が見える本でした。
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『長ぐつをはいたネコ』
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- 2013/01/20(Sun) -
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『長ぐつをはいたネコ』
『シュレック』からのスピンオフ映画。 正直、イマイチ・・・・。 『シュレック』でのシニカルなキャラが、あんまり活きてません。 脇役は、脇役であるからこそ光るというところがあるんでしょうねぇ。 それがネコであっても(笑)。 もともと「長靴をはいたネコ」のそもそもの言い伝えの内容を知りませんでした。 今回、映画を見た後に調べてみたら、結構ずる賢い猫の話であり、 しかも道徳的な戒めのお話の様子。 そういう意味では、泥棒のキャラは合ってるんでしょうけれど、 伝承は、本作のストーリーには、全く関係ないみたいですね(苦笑)。 だって、「ジャックと豆の木」であり、「ハンプティ・ダンプティ」なんですもの。 都合の良いように伝承を切り張りして、全然違う話をでっち上げてますが、 ヨーロッパの人たちが不快に思わないか心配です。 作品として面白ければ、そんな心配も不要なのですがね・・・。
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『三月は深き紅の淵を』
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- 2013/01/20(Sun) -
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恩田陸 『三月は深き紅の淵を』(講談社文庫)、読了。
『三月は深き紅の淵を』というタイトルの本を巡る4つの話。 しかし、4つの話には関連がなく、また4つの話で語られる 『三月は深き紅の淵を』は、ぞれぞれ全く違った作品になっています。 非常に不思議な仕掛けの物語。 でも、第一章で語られる第一章における『三月は深き紅の淵を』の4つの章の内容と、 この作品自体が持つ4つの章が、直接的には関連はないのですが、 なんとなく同じような雰囲気を感じ取りました。 不思議なリンク構造。 1つ1つの物語でいうと、 第1章は、舞台となる高輪の大豪邸に集う読書マニア4人のキャラは面白かったのですが、 イマイチそれを活かしきれないまま話が尻すぼみに終わってしまった印象。 でも、第2章に読み進めると、第1章がこんな内容だったことをなんとなく納得。 第1章とのつながりがどうなっているのか気になっているのに、 それに応えてくれない著者(笑)。 そのつれない感じが、続いての第3章へと誘ってくれます。 第2章は、家族の血(血脈)という問題を取り上げてますが、 気持ち悪い・・・でも、読みたい・・・・。 この章も主人公たちが魅力的で読み進められました。 ちょっと推理の部分は、視野が狭くて決めつけ過ぎな気がしましたが(苦笑)。 第3章では、異母姉妹の女子高校生という、これまた不気味な関係を描きます。 人間の持つ表と裏、怖いです。 表が美しい人ほど、裏側が怖いです。 そして、最後の第4章。 正直、この世界観は、私の苦手な恩田ワールドでした。 これを楽しめるかどうかが、大ファンになるか、一読者で終わるかの分かれ目な気がします。 私はやっぱり後者でした。 でも、読み進める手を止められないという点では、最後までエネルギーをもつ作品でした。
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