『スペースカウボーイ』
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- 2010/10/31(Sun) -
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『スペースカウボーイ』
ソ連の通信衛星が地球に落下の恐れあり。 ところが、積んである装置が旧型すぎて、現役スタッフには直せない。 当時のエンジニアであるフランクにアイデアを求めるが、 フランクは、この機に乗じて、果たせなかった宇宙飛行を企む・・・。 69歳で宇宙へ行けるのか?と言ってしまえばそれまでなのですが、 民間人の宇宙旅行も始まってることですし、 それほど非現実的な設定でもなくなっているのかも。 とにかく、チーム・ダイダロスの面々が個性的で面白い! しょっちゅう喧嘩してるのに、芯のところでは信頼し合っているという まさに「男の友情」を絵にかいたような人たち。 クリント・イーストウッド監督作品って、 「男らしさ」「男の在り様」を格好良く描くというのが ひとつのテーマになってるんですかね? 女の私でも素直に「いいなぁ」と思えるので、 男性諸氏には堪らない設定なのではないでしょうか? 通信衛星の故障はずが裏があったり、 若手エリートが暴走したり、 爺ちゃんとキャリアウーマンが恋しちゃったり、 一人月へと旅立って行ったり、 盛りだくさんすぎて展開早すぎ~、余韻に浸れない~と思いもしましたが、 そこは、娯楽性を前面に押し出すために割り切ったんだろうなと、納得。 ま、ちょっと、イーサンの単独行動は、やり過ぎかと思いますが・・・。 あの行動にどれだけ勝算があったのか不明。 地球が滅んじゃうかもしれないのに、リスクデカ過ぎだろうに。 ホークも連れて帰ってくるストーリーも描けたんじゃないの?と残念に思いながらも、 あれはあれで、宇宙飛行士として本望な結末なんでしょうね。 「ライト・スタッフ」じゃなくて「ライブ・スタッフ」なのね(笑)。
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『みぞれ』
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- 2010/10/31(Sun) -
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重松清 『みぞれ』(角川文庫)、読了。
これぞ重松短編と言いたくなる上手い作品たちです。 日常の些細なボタンの掛け違いから生まれて どんどん成長していってしまう苦悩や困難に苦しむ人たちの様子を、 誇張せず、深刻ぶらずに、日常生活のレベルで淡々と描く。 この匙加減が絶妙です。 そして、人気アイドルグループの名前とか、ニュースになったネタとか、 適度に時事ネタをはさんでくるのですが、その匙加減もぴったり。 今という時間にベッタリすり寄るのでもなく、 ピンポイントのアクセントに借りるだけでもなく、 読んでいる側に同時代性を与えて、作品をぐっと身近なものに感じさせる その道具として上手く使っていると思います。 決して、大きな事件が起こるわけでもないのですが、 こうやって、私たちは日々悩み、考え、整理し、前向きになっていくんだなぁということが よーくわかりました。 基本的に、良い人たちがたくさん登場してくるのですが、 その分、ごく稀に混じってくる嫌な人が、とことん嫌な人に映ります(苦笑)。 勝利&優秀の親子、こんなの親戚にいたら最悪だなー(爆)。
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内さま
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- 2010/10/31(Sun) -
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『内村さまぁ~ず #96』
久々にキャイ~ンの登場です。 ムチャ企画は、前回、下ネタのオンパレードになってしまったので、 さすがに見限ったようです(苦笑)。 オープニングのトークからして可笑しいんです。 キャイ~ン相手だと、ウドちゃんの多方向無差別ボケに4人が突っ込む様が 何とも面白いんですよね。 トークの途中で、すっと天野くんがウドちゃんと立ち位置を変わって、 内村さんが突っ込みやすいように配慮したのにも、良いコンビだな~って感じました。 この5人は、企画そのものの面白さというより、企画を舞台にトークで回す面白さ。 なので、ちょっと今回はゲーム企画を詰め込み過ぎたような感が。 持ち味を5つ発表するにしても、ゲームは3つぐらいで良かったのではないでしょうか? 実際に、編集されちゃってましたし。 大竹さんのベリーロールは、確かに面白かった。なんて無表情なんでしょう(笑)。 これは、ウドちゃん、良い視点に気付きました。 トークも時間をとってて面白かったです。ただ、段々と尻すぼみな感が・・・。 きっと現場のトークは弾んだんだろうなぁ、編集でカットされちゃったんだろうなぁ と思うと、非常に残念です(悲)。 三村さんに対しては、『かずら』の演技をみんなで鑑賞して 「ハンバーグが右行ったり左行ったり・・・」と散々な言われよう(笑)。 内村さんに至っては、ウドちゃんが暴れまくって、 見事にその闘志に火をつけていましたね。 焦れば焦るほどドジ男+天然炸裂+笑いの神降臨。 ウドちゃん考案の持ち味の紹介順番も、出すタイミングもばっちり。 ウドちゃんがどれだけ内村さんのことを知っているかが良く分りました。 久々に、上から出まくるアグレッシブ・ウドちゃんと それに見事にしてやられる天然ウンさんのコンビが見れましらね(笑)。
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『もう切るわ』
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- 2010/10/30(Sat) -
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井上荒野 『もう切るわ』(光文社文庫)、読了。
直木賞受賞作家様。 ただし、受賞されるまで全く存じ上げない方でした。 てなわけで、お初の作品。 占い師で女たらしの男との日常を、妻と愛人それぞれの立場から描く一冊。 非常にありきたりな設定ではあるのですが、 やっぱり、読んでしまうのは、3人のキャラクター作りの上手さと、 展開の切なさのためでしょうか。 そして、妻と愛人それぞれが、周囲の人間を客観的に見つめていて、 状況に流されない強さを持っているところも、面白さの一つでした。 日本語は読みやすい。 でも、時々、妻のシーンなのか、愛人のシーンなのか ふと分からなくなってしまう時がありました。 あとがきを読んでみると、作者自身、その錯誤を許容しています。 「なら、ま、いいか」と適当な私。 ガツンとくる・・・までは到りませんでしたが、 他の作品も読んでみようかなと思わせる作品でした。 ところで、クリス・タッカーが「タリス・タッカー」となってました。 誤植?それとも作家の誤認?
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『ご近所パラダイス』
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- 2010/10/29(Fri) -
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ねじめ正一 『ご近所パラダイス』(新潮文庫)、読了。
ねじめ作品で「ご近所」とのタイトルから、 「すわ、商店街モノ!?」と勇んで買ってきたら、 エッセイでございました・・・・・(+_+) 勇み足でやんした。 日常を淡々と描いたエッセイでカラーを出すのは難しいんだろうなぁ・・・と 感じてしまいました。 思いのほか、口が悪くていらっしゃるんですね(笑)。 でも、小説の空気からすると、この口調は予想すべきですね。 エッセイの中身からすると、結構テレビにも出ていらっしゃるようですが、 私はあんまり印象がありません 想像しようとすると、なぜだか梅沢富美男さんのお顔が出てきて、 私の頭の中で、ねじめさんとして動き出してしまいました(苦笑)。 とてもじゃないですが、宮崎勤さんとは結びつきません。 エッセイのネタに、紀子様の婚礼の儀なんて話が出てきて、 これまた時代の中途半端さも残念でした。
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『御書物同心日記』
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- 2010/10/28(Thu) -
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出久根達郎 『御書物同心日記』(講談社文庫)、読了。
久々の出久根作品は時代もの。 でも、やっぱりテーマは「書物」ということで、 将軍様の大事な書庫を預かる御書物同心が主人公です。 裏表紙には「角一郎がやってきたときから、奇妙な事件が相次いだ」・・・ となっていますが、大した事件は起こりません。 そこは、屈指のストーリーテラー宮部作品のような展開を期待してはいけません(苦笑)。 御書物同心という職務や、江戸の風俗を紹介するような内容の作品で、 タイトル通り、「日記」を読んでいるような印象です。 万人受けする小説ではないと思いますが、 本好きには堪らないお話ですね。
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『片眼の猿』
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- 2010/10/27(Wed) -
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道尾秀介 『片眼の猿』(新潮文庫)、読了。
『向日葵の咲かない夏』のどす黒い印象が強かったので、 まず、軽めの文体に驚きました。 そして、発達した聴覚能力、遠視能力など、超能力的な描写と、 主人公の住むアパートの風変りな面々。 世界観がマンガみたい・・・。 殺人事件の謎解き自体も、大したからくりではなく、 本作の主題は、やはりレトリックによるミスリード。 なのに、解説に、「道尾秀介は人間を描いている」と書かれると、 「そんなに大した内容かなぁ?」と感じてしまいます。 劣等感や障害というものを取り上げてはいますが、 なんだか、ミスリードを誘うための手段にすぎないような・・・。 著者の仕掛けた罠を見抜こうと、一生懸命読んでしまうのですが、 読み終わっても特に残るものが無いような読後感でした。
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『はなうた日和』
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- 2010/10/25(Mon) -
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山本幸久 『はなうた日和』(集英社文庫)、読了。
世田谷線沿線を舞台にした短編集。 最初の数編は、正直、ちょっと軽いかなぁ~と感じました。 すらすら読めるんですけれど、あまり残るものが無い感じ。 テーマへの踏み込みが甘いような印象を受けたんです。 でも、いくつか読み進めていくうちに、 世田谷線沿線という繋がりの中で、それぞれの話に繋がりがあることが見えてきて、 そういう生活空間がイメージできるようになったら、 一気に面白くなってきました。 最後は、「アカコとヒトミ」まで出てくるし。 全体を読みとおして見ると、上手い作品だなぁと感じられました。
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『レイチェルの結婚』
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- 2010/10/24(Sun) -
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『レイチェルの結婚』
わたくし、てっきりコメディだと思い込んで観始めたのですが、 超ヘビーな内容でした (@_@;) うっかりにも程があるわ! 薬物依存やアルコール依存などの問題を抱えた施設に入っているキムは、 姉レイチェルの結婚式に出席するため、一時帰宅を許される。 しかし、9か月ぶりに戻ってきた彼女は、家での居心地が悪く、 また、家族たちも上手く受け入れることができずに、 ちょっとしたことで本音がぶつかり合います。 でも、みんな結婚式を台無しにしたくないため、すぐに本音に蓋をして、 表面的には穏やかな関係を取り繕う・・・・・。 なんとも緊張感ビンビンのストレスフルなシーンが続くんです。 家族同様、見ている側も、ひと時も息つく暇がない。 一見幸せそうな空気が流れているようで、 その裏側では腹の探り合い、気の使い合い、心配で気が気じゃないという 緊張の糸がピーンと張られた状況です。 終盤に向けて、みんな段々本音が出てくるようになるのですが、 出尽くして大団円!とならないところが、これまたリアル。 エンディングが物悲しかったです。 アン・ハサウェイは、薬物中毒から立ち直ろうとしている問題児を熱演。 コメディエンヌの印象が強かったのですが、見事な成長っぷりですね。 (あぁ、この作品をコメディだと思い込んだのは、アンのせいかも) ショートカットも似合ってて、格好良かったです。
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『めまい』
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- 2010/10/24(Sun) -
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唯川恵 『めまい』(集英社文庫)、読了。
久々の唯川作品は、女性の狂気を描いた短編集。 女性の怨念って、どこまでもグロく描けますよねぇ。 怖い、コワイ。 人間というものの怖さを描いたものから、 ホラー風味のものまで、いろいろあって、楽しめました。 ただ、美容整形手術をテーマにした「きれい」は、 手術シーンの描写があまりに生々しくて、残念ながら ちゃんと読めませんでした。(人体を切り刻むのは苦手です) 結構、私は、女流作家さんにハマると立て続けに読んでしまう傾向にあるのに 唯川作品は間隔があきやすくて、なんでだろう?と思ってました。 本作で、一つ理由に気付きました。 ちょっと日本語がひっかかるところがあるんですよね。 間違ってるとかいうものではなくて、 例えば、どの単語を省略するかという文章のセンスが微妙に違う感じ。 なので、時々、前後のつながりを確認しに読み戻ったりしてしまうんです。 読んでる時のスラスラと進むリズム感が、ちょっとずれるので、 ハマるところまで行けていないようです。 そのうち、慣れるかなぁ・・・。
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