『なつのひかり』
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- 2007/05/31(Thu) -
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江國香織 『なつのひかり』(集英社文庫)、読了。
「一風変わった人々のお話かな」なんて思いながら読み進めていたのですが、 キャラメルの空箱が電話になったところを境に 一気にファンタジーの世界へとなだれ込んでいったように感じました。 ファンタジーというよりも、むしろホラーか? 解説で三木卓氏が「ヘンテコなことがことがゾクゾクと起こるという 前提を作者が作り出している」という旨のことを述べていますが、 ヘンテコなことが起こるのをさも当然のごとくスラスラと書いてしまえる この物語展開力はさすがだと思います。 「こんな世界があったらどうしよう」と思わせるような何かがあり、 時に恐怖をも感じてしまいます。 思いのほかファンタジー寄りだったので、そこは想定外でしたが、 それはそれで十分楽しめました。
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『目黒警察署物語』
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- 2007/05/27(Sun) -
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佐々淳行 『目黒警察署物語』(文春文庫)、読了。
警察大学校を出たての佐々警部補が着任した 目黒警察署での最初の3ヶ月間を描いた日記風読物。 昭和29年という時代がもたらす 一つ一つの事件が大なり小なり面白いです。 そして、それらの出来事に対処していく佐々警部補の行動哲学には 「なるほど」と感じさせられることが多く、学ぶところ大でした。 また、同期生として語られる人々が 多種多様な人材の集まりで、その後の地位を想像しながら読むと とても興味深かったです。
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『クリコフの思い出』
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- 2007/05/27(Sun) -
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陳舜臣 『クリコフの思い出』(新潮文庫)、読了。
「ミステリー8篇」と銘打ってますが、 神戸の華僑社会を舞台に「私」が語り手である作品が多いので、 通常のミステリーでは「冷静さ」「客観性」を感じるのですが、 本作では虚実入り混じった「近さ」に惑わされました。 作品内で時代が前後することが多く、 ちょっと読み慣れない部分もあったのですが、 登場人物の多様さで興味深く読むことができました。 ウイグル自治区からゾロアスター教まで出てくる幅の広さは、 この作家さんならではの面白さだと思います。 ストーリー展開としては、 「実は『あの人』が『この人』だった!」パターンが幾つか続いたので、 後半は少々食傷気味でした。
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『アイ、ロボット』
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- 2007/05/26(Sat) -
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『アイ、ロボット』(2007年5月26日CX放送)
メインストーリーが平凡な内容で、新鮮味に欠けました。 そして、ロボット三原則を突破するきっかけとなったところが非常に曖昧で、 展開されたのは説得性の無い真実でした。 これでは、アイザック・アシモフも立場がありません。 主人公の過去の体験とか、サニーの人物像(?)とか、 サブストーリー部分は結構面白く組み立てられていたが故に なおさら残念でした。 ストーリーの残念さを補って余りるのは映像美です。 CGは、「ここまできたか」と思えるような立体感と躍動感で、 その動きを見ているだけで楽しかったです。 また、Audiのスタイルも格好良かった! (タイアップがちょっと鼻につくような気もしましたが・・・コンバースとか) とりあえずは、CG映像とウィル・スミスのアクションで 楽しく見ることができました。
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『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』
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- 2007/05/26(Sat) -
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山田詠美 『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』(幻冬舎文庫)、読了。
昔は毛嫌いしていたジャンルの作品ですが、 だんだんと楽しめるようになってきました。 そして、山田詠美の才気を再実感。 黒人男性との恋愛をソウルフルに描いた作品において 日本語の文章の華麗さを感じられるということに、 この方の類稀な才能を思います。
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『水車館の殺人』
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- 2007/05/21(Mon) -
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綾辻行人 『水車館の殺人』(講談社文庫)、読了。
綾辻作品3つ目ですが、 「叙述トリック」としては一番インパクトが小さかった気がします。 トリックも7割方わかってしまいました。 でも、現実味は一番あったかも。 3作目ともなれば、館シリーズの味わい方も身についてきたので、 読み物として十分楽しめました。
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『もつれっぱなし』
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- 2007/05/20(Sun) -
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井上夢人 『もつれっぱなし』(文春文庫)、読了。
amazonでは評価が高いようですが、 私はダメでした・・・。 証明を要求する側の言い分が、何とも不合理な気がして。 「よくこんなのに付き合ってられるなぁ」と 冷たい感想を持ってしまいました。
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内村さまぁ~ず
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- 2007/05/20(Sun) -
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『内村さまぁ~ず #14』
オープニング、西葛西を千葉と間違え、 新木場と間違えたと言い訳したらそこも千葉だった・・・ トホホな内村さんです。 まあ、住宅が広がってる地域ですから、芸人さんに縁は無さそうですが、 三村さんの突っ込みぶりは、千葉県の方に失礼じゃぁ・・・・。 墨田区出身としては、黙っていられなかった?? さて、今回は、オムニバス企画と称して 「没企画の寄せ集め」(内村氏談)。 まずは体育館を使っての体力測定。 明らかに三村さん狙いの企画ですね。 内村さんの鉄棒やマット運動は相変わらずお見事。 さすが沙悟浄! でも、球技が苦手なのも相変わらずのご様子。 笑いどころはやっぱり三村さん。 まあ、体形からして想像できるものですが、ゴム人形みたいな動きに失笑。 続いて紙芝居。 複数の物語からランダムに選んだ紙芝居5枚で即興でオモシロ話を作るって、 そりゃぁ無理ですよ。 みなさん、途中で昔話の語り口を忘れちゃってるし。 最後は男3人の王様ゲーム。 下ネタ強制誘導のルールでしたが、従順な3人。 なんだか、だんだん画面の衝撃度が薄まってきている気が・・・。 慣れたか?それとも飽きたか? というわけで、全く異なる企画の組み合わせだった今回。 まぁ、たまにはスタッフさんの息抜きも必要かね。 でも、次回からは、気合いの入った企画をお願いしますよ! |
『てのひらの闇』
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- 2007/05/19(Sat) -
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藤原伊織 『てのひらの闇』(文春文庫)、読了。
本作を読み始めたその日、訃報を耳にしました。 闘病生活を送られていたことを知らなかったため、 若くしての死に驚きました。 合掌。 さて、作品のほうですが、一気読みできました。 体調が万全でない過去のある中年男と、デキルうら若き女性との組み合わせは 『テロリストのパラソル』と類似ですが、 この作家さんが描く会話の妙、諧謔のセンスが大好きです。 最後、謎が解き明かされる部分の展開は、 当事者が真実を延々と語るというもので、 これまた『テロリストのパラソル』を思い出しましたが、 この作品では、それほど違和感を抱きませんでした。 それほど話が過大に膨張しなかったからかと思います。 十分に堪能できました。
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