『感傷旅行』
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- 2007/03/30(Fri) -
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田辺聖子 『感傷旅行』(角川文庫)、読了。
「党員」「争議」「アカ」なんて、 時代を感じさせる言葉がポンポン出てくるけれども、 やっぱり語り口調は田辺節で、関西ポップな世界観が広がってます。 そして、この作家さんの語り口調は、 どの時代の作品を読んでも「今」を感じるのですが、 平安時代を描いた作品「喪服記」でさえも 現代風な香りををそこはかとなく感じます。 意外だったのは「山家鳥虫歌」。 軽~い筒井康隆ワールドな印象を受けました。
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『男たちの経営』
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- 2007/03/26(Mon) -
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城山三郎 『男たちの経営』(角川文庫)、読了。
城山三郎先生がお亡くなりになられました。 合掌。 追悼の意を込めて、手元にあった本作を読みました。 花王石鹸の創立と発展を描いた作品でした。 前半は、創立者の長瀬一族を中心に話が進んでいき、 後半は、技術者・研究者のストーリーとなります。 創立者長瀬富郎は、城山氏が目をつけるだけあって、 家族経営を柱とした魅力的な事業を行ったようです。 二代目の長瀬富雄は、 良く言えば新し物をどんどん取り入れる決断力があるのですが、 悪く言えば、考え方も人材も取っかえ引っかえといったところ。 筋の通った思想が無いから、極端な方針のブレがあり、 その都度、それに見合った人を外部から連れてくる・・・ こんなことをしていて花王という組織が良く持ちこたえたなぁと いうのが率直な感想です。 その経営者の気紛れを支えたのが技術陣。 こちらは皆さん一本太い筋が通っていて、 陸軍相手にも一歩も引かない構えを見せます。 そして、貧乏くじを引かされてばかりいたと回顧する伊藤英三も 部下への接し方等にこだわりを感じます。 組織は、結局はそこに居る「人」なんだと改めて感じました。
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『幻の女』
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- 2007/03/24(Sat) -
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香納諒一『幻の女』(角川文庫)、読了。
文庫本で700ページ・・・重いよ。 でも、読ませてくれる作品でした。 ひとつひとつ小さな事実を見つけ、 1枚1枚皮を剥くように真実に近づいていく感覚があり、 前半は面白かったです。 後半、舞台を西に移してからは、 ハードボイルド色が強くなり、私が苦手としているジャンルに入ってしまったため、 若干、作品と距離を置きながらの読書となりました。 薫子のキャラクターはとても魅力的だったのですが、 コトの真実を知っている彼女の登場により 謎解きの要素が二次的になったように思えたのは残念でした。 読了後、全ての謎は解けたはずなのに、 なんだかスッキリしない読後感・・・ナゼ?
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ウンナンタイム
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- 2007/03/22(Thu) -
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『ウンナンタイム』(2007年3月16日Web版)
朝8時に起きてベランダの花に水を遣るという内村さん。 隠居爺さんみたいな生活をしてますね。 一方、優さんのボキャブラリーに驚く南原パパ。 杏太くんもタカトシのマネばかりしてるようです。 子供って流行に敏感ですし、すぐに自分のものにしますよね。 さて、ふつおたスペシャル。 Webにのってたのは、ほんとに「ふつう」のお便りでしたが、 ウンナンさんの話は映画かアダルトに収斂。 いつになったらアダルトチャンネルを契約できる日が来るのでしょうか。
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『燃え盡きる』
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- 2007/03/19(Mon) -
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清水一行 『燃え盡きる』(徳間文庫)、読了。
城山三郎作品を愛読しながら、 清水一行作品は、これがお初です。 そして、何で今まで読まなかったんだろうと後悔しました。 三菱重工社長・牧田與一郎の死の目前の数十日間だけを描いた作品でありながら、 牧田與一郎という経営者がどのような人物だったのか、 経営哲学、判断基準、行動力、人脈、人徳、 これらあらゆることが凝縮されて描かれており、 この人物の人生を読んだような気持ちになりました。 文章の読みやすいテンポ、臨場感ある会話の描写、 過去のエピソードを組み込んでもすんなりと読める構成、 いずれも流石大作家です。 作品の多い方なので、当分楽しめそうです。
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『帰ってきたソクラテス』
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- 2007/03/19(Mon) -
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池田晶子 『帰ってきたソクラテス』(新潮文庫)、読了。
本作について前知識が何も無い状態で 「オモシロそうだな」と思って買って来た数日後に訃報が流れました。 若くしての死に驚きましたが、 なにぶん業績を全く知らないので、まずは作品を読んでみました。 ソクラテスよりも哲学よりも、何よりもまず、 「知識人」「教養人」として世間でデカイ顔しているタイプの人々が ソクラテスにやり込められている様が面白かったです。 「所詮、彼らの論理というのは、その程度の浅はかさ」なんて。 そして、いくつかの章を読み進めるうちに、 「あぁ、こうやって問いを重ねて、知っていると思い込んでいる自分を 知らしめるのがソクラテスのやり方なんだ」 と、やっと思い至りました。 読んでいて「ソフィスト」なんて言葉もちらつきましたが、 社会にある様々なマヤカシが見えたようで、勉強になりました。
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『青の炎』
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- 2007/03/13(Tue) -
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貴志祐介 『青の炎』(角川文庫)、読了。
最初にこの作品を知ったのは、映画化されたときだったのですが、 「アイドル映画か・・・」と思い、興味を持ちませんでした。 ところが、原作が貴志祐介氏だと最近知り、 早速買ってきました。 秀一、いいわ。 頭が良いけど、良い子じゃなくて、世間からちょっと距離をとっている そんな中高生が主人公の小説は、概ねハマッてしまいます。 一昔前の日比谷高校の生徒みたいな感じ? ミステリーというより、 高校生の生活や内面を描いた作品として読んでました。 紀子や大門やゲイツら友人達とのウィットに富んだ会話の応酬に 「オトナだなぁ」と馴染まない感想を抱いてみたり。 結末、一番最後のところで家族や友人とのやり取りが あっさりと描かれていたのは、 ちょっと現実の重みが足りないかなという気もしましたが、 全編通して面白かったです。
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『なんとなく、クリスタル』
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- 2007/03/11(Sun) -
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田中康夫 『なんとなく、クリスタル』(河出新社)、読了。
実家の父の本棚から持ってきたものの、 「ヤッシーだしな・・・」「チーム・ニッポン!だしな・・・」 などと敬遠している間に3年ぐらい積読してしまいました。 で、ようやく手をつけたのですが、 極端なエログロでもなく、意外と読みやすかったです。 何か大きな出来事が起こるわけでもなく、 淡々と日常が描かれているのですが、 そこに描かれる物事や、描き方が、まさに当時の時代を表していたんでしょうね。 結局、作者は注釈を書きたかったのかしら? と思わせるような遊び心が楽しめました。
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『夢のように日は過ぎて』
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- 2007/03/11(Sun) -
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田辺聖子 『夢のように日は過ぎて』(新潮文庫)、読了。
大阪のハイ・ミスが送る、男性達との楽しくも切ない日々。 この作家さんの軽やかな文体が大好きです。 そして、世の中の女性・男性を叱る切り口も好きです。 関西弁を読んで違和感の無い文章にするのは、 ものすごく高度な技術を要すると思うのです。 作者も作品中で、大阪弁でひらがなの多い手紙に向かって 「グリコ脅迫犯人風」と茶化してますが、まさにそんな感じ。 それを、すらすら読めて、クスリと笑える文章になっているのには 毎度毎度恐れ入ります。
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ウンナンタイム
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- 2007/03/10(Sat) -
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『ウンナンタイム』(2007年3月8日Web版)
この歳でサラリーマンだったら 「営業課長・内村」と「宴会部長・南原」。 営業課長は無いな。申し訳ないけど。間接部門でなら良い仕事しそう。 そして「42で人見知りとか言ってる場合じゃない!」とお怒りの嫁。 松ちゃんに「冷蔵庫みたい」と評された人ですから、 初対面の人と盛り上がっている姿のほうがイメージできません。 端っこでにこやかに静かにグラスを傾けてる様子なら想像できます。 徳ちゃんにしてみたら、仕事でガーッと突っ込んでる姿や 家でブルース・リーの話を怒涛のように熱弁している姿との ギャップが信じられないんでしょうね。 さて「鬼のような才能」をお持ちの鬼才・内村宏幸センセイが、 コントの台本を文庫本で出されたとのこと。 ウンナンさんが1本演じてくれました! 何回ぐらい合わせる練習したのかしら? ウンナンのコントは、やっぱり視覚つきで見たいよ~!! 内村さまぁ~ずの収録後、飲み会までの空き時間に 三村さんとバッティングセンターに行ったという内村さん。 投球の最高時速が67km/hって・・・・・ 『内P』のレガッタの回のふかわさんの背筋力ぐらい哀しい数字。 『ピーナッツ』での華麗な動きはどうした?? ホント、仕事じゃないとスポーツしない人ですね。 最後は、南原さんが釣瓶師匠と我が地元をウロウロしてた話。 「上々。」とかでもウンナンが三重県に来ていた記憶ないですねー。 お伊勢参りをしたという南原さん、なんだかとても嬉しいです。 ちなみに「内宮」は「ないぐう」じゃなくて「ないくう」です。 南原さんらしい間違いに苦笑い。 それと「赤福」を内村さん知らなかったご様子。 土産物お菓子では、「白い恋人」を抑えて日本一の販売を誇るんですけれど・・・ ちとショック。 あと、南原さんが仰ってたのは毎月1日に発売される「一日餅」、 これも即完売で地元では有名です。朝5時から並ぶの当たり前。 さて、伊勢神宮の内宮は、五十鈴川を渡ると、空気がパリッとして、 気持ちがシャンとします。 南原さんの仰るとおり、とても神聖です。 二十年に一度神殿を建て替える「式年遷宮」に向けて 祭事が目白押しですから、皆さんも一度いらしてくださいな。 でも、内宮・外宮の片方しか参らないのは「かた参り」といって、 あんまり宜しくないので、両方参ってくださいね。
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