『昔話にはウラがある』
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- 2006/03/29(Wed) -
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ひろさちや 『昔話にはウラがある』(新潮文庫)、読了。
この著者は宗教の啓蒙家だとばかり思い込んでいたのですが、 意外や意外、下世話な話を山盛り詰め込んだ作品でした。 仏教を平易な言葉で説きながら、こんな本も書かれるとは。 その懐の広さに感服しつつ、爆笑。
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『色彩の息子』
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- 2006/03/29(Wed) -
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山田詠美 『色彩の息子』(新潮文庫)、読了。
短い文章の中で、人間の心が持つ狂気を見せ付けられるようで、 どの作品にも恐怖を感じ取ってしまいました。 「白熱電球の嘘」に出てくる女の子を想像すると、 この作品の顛末を超える黒い可能性を秘めているようで、 とても怖い思いを抱きました。 迫力のある短編集です。
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『珊瑚礁の誘惑』
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- 2006/03/29(Wed) -
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中村征夫 『珊瑚礁の誘惑』(角川文庫)、読了。
魚たちの写真をただボーっと眺めているだけで幸せを感じられます。 美しいカマスの群れから、どこにでもいるカサゴまで出てくるのが嬉しい。
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『ボクは猫よ』
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- 2006/03/29(Wed) -
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曽野綾子 『ボクは猫よ』(文春文庫)、読了。
新聞に掲載されているこの作家のコラムはよく読むのですが、 小説は初めてでした。 いつも新聞コラムを読んで、 その内容に賛同/共感の如何に関わらず、 「世間様から反感買いそうなこともズバッと言ってるなぁ」と 感心していました。 実際、わたしは結構賛同しながら読んでいます。 変な理想論を掲げられるよりも、現実を直視しているなぁと。 本作でも、そのスタンスは貫かれており、 「差別用語」「難民」「平等と競争」「断念」等、 様々なテーマで、痛快なまでに日本を斬っています。 『我輩は猫である』のパロディでしたが、 次回は、この作家のオリジナル作品をじっくりと読んでみたいものです。
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『闇の中の子供』
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- 2006/03/28(Tue) -
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小松左京 『闇の中の子供』(新潮文庫)、読了。
小松左京の作品は、社会をチクっと皮肉っているものが好きなので、 本作の中では「養子大作戦」が面白かったです。 表題作の「闇の中の子供」は、 「菅原伝授手習鑑」の作品を江戸時代の人々の視点と現代人の視点との 二重の解説が非常に興味深かったです。 「犬」も不気味さが漂っていて、面白く読めました。
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『氷点』
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- 2006/03/24(Fri) -
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三浦綾子 『氷点 上・下』(角川文庫)、読了。
たまには「名作」と呼ばれるものをと思い、この作品を。 『子育てごっこ』を読んだ直後だったせいか、 「大人の勝手な都合で子供が翻弄され苦悩の犠牲に遭う」という面が やたらと印象に残って、当初なかなか読み進められませんでした。 キリスト教徒でもない人間が、 ふと思い出した「汝の敵を愛せよ」の言葉に誘われて、 一人の人間の人生に対し、本人の判断の及ばないところで 大きな影響を与えてしまっていいものかと。 ただ、本作は、登場人物の思考の変遷をじっくりと描いているので、 次第に彼らの考え方に馴染んでいくことが出来ました。 それでも、ラストシーンまで来たら、 やっぱり「なぜ啓造は・・・」という思いが再燃しました。 私は、夏枝と村井への嫉妬心が引き起こした過ちとして捉えることにしたのですが、 「汝の敵を愛せよ」というフレーズを単なる言い訳に使っただけだとは思えず、 やはり啓造なりに「汝の敵を愛せよ」という言葉の意味を真摯に考えての 行動だったと思わざるを得ません。 すると、キリスト教徒でもない人間が、 この言葉に突き動かされたというのは、一体なんだったのか。 私自身、キリスト教の世界観に多少の苦手意識を感じているので、 無意識のうちに、 啓造の行動を受け入れ難く感じてしまっているのかもしれません。 いずれにせよ、続編を読まないと、自分の中で落ち着かない作品です。
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『かげろう絵図』
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- 2006/03/24(Fri) -
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松本清張 『かげろう絵図 上・下』(新潮文庫)、読了。
中高で日本史を学んできた感覚からすると、 水野忠邦は悪政を布いた大悪人のような印象だったのですが、 この作品では格好良く描かれていて新鮮でした。 (もっとも天保の改革の評価は、本作でも芳しくはありませんが) 島田新之助のスーパーマン並みの活躍も、 最後、忠邦がおいしいところを掻っ攫っていく感がありますが、 娯楽小説として楽しく読めました。
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『ダーウィンに消された男』
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- 2006/03/24(Fri) -
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アーノルド・C・ブラックマン 『ダーウィンに消された男』(朝日新聞社)、読了。
おがさわら丸の船内で読んでいきました。 島に行くんだという気持ちを高めるために(笑)。 低気圧の影響でめちゃくちゃ揺れる船内で、しばしば中断されましたが・・・。 前半は、多くの証拠から、進化論発表の先取権を巡って、 ダーウィンがウォレスを罠にかけた様が次第に解き明かされていきます。 直接証拠となるべきウォレスとダーウィンの間でやりとりされた手紙が 紛失してしまっていることが、何より怪しいなぁと思えます。 後半は、ウォレスの生涯を軸に、 ダーウィンやその他の関係者との交わりを丁寧に描いていきます。 先取権についてはダーウィンも間違いを犯してしまいますが、 生物学者としてのダーウィンは、実に真摯な人間であることも述べられています。 その点で、生物学史から抹消されてしまっているウォレスに焦点を当てながらも 非常に公平な内容になっていると思われます。 ウォレスについては、その行動力や観察力、推理力、論理構成力には 眼を見張るものがあります。 一方で、心霊研究にも強い興味を持つ等、 どこかのカルト教団の科学者たちが脳裏を掠めるような一面も持ってます。 ともかく、何より彼の著作『マレー諸島』を読んでみたくなりました。 読んでる途中で、「『パンゲア』って誰の言葉だっけ??」と ふと頭に浮かんできて、ずーっと疑問に思ってたのですが、 さっき調べて、「あぁ、ウェゲナーだった」と納得しました(笑)。 彼も凄い人ですよね。
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スローライフって・・・
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- 2006/03/23(Thu) -
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会社の連休制度を利用して、小笠原諸島の父島まで遊びに行ってきました。
ダイビング&クジラ三昧のはずが・・・ 24時間以上も船に乗って、やっとたどり着いたその日の夜、 ダイビングから上がってきたら、携帯に実家から電話が。 「おばあちゃんが倒れた!」 父のその言葉に、まずは「なんであの元気な人が?!」と 信じられない気持ちで頭がいっぱいに。 そして、段々と冷静になってくると同時に頭に浮かんだのは、 「今すぐには帰れない!」 おがさわら丸の出航予定日は3日後。 島に空港が無いため、3日後まで島を出る手段は一切無し。 旅行者の分際で、島民の方の苦悩を味わってしまうことに。 翌日は何も手につかず、当初の予定をキャンセルさせてもらい、 一日中展望台から海を眺めてました。 三日月山からザトウクジラが潮を吹いている様子を眺めながら考えたのは、 「スローライフにはスローライフなりに犠牲にするものがあるんだな」 ということ。 せかせかとした毎日で失ってしまいそうなものを取り戻そうと、 スローライフが声高に提唱されるようになったのでしょうが、 実は諸刃の剣。 むしろ、せかせかとした社会に生きている人間は、 気が向いた時にスローライフ風味をつまみ食いして満足できるけれども、 スローライフを送っている人々は、イザというときにサッと動こうとしても 身動きが取れなくなっちゃうことがある。 そして、私は、素早く行動できるせかせか社会じゃないと、 逆に安心して生活できないと気づきました。 分刻みの時間の感覚が見に染み付いているようです。 スローライフ社会が抱える苦労は、時間の件だけではなく、 厳しい自然との闘いや不便な生活といった面もあるはずです。 島民の方たちは、笑顔で私たちをもてなしてくれますが、 島の生活ならではの苦労を乗り越えての笑顔だと改めて感じ入りました。 そして、むやみにスローライフ万歳となっている今の日本の流行に なんだか反感を持ってしまいました。 とりあえず、祖母は小康状態となり、 遠く離れた島で何日もぼんやり海を眺めていても仕方ないと思い、 翌々日はクジラウォッチングに参加してきました。 船上にいる間は、無駄な焦りを忘れることが出来ました。 クジラの偉大さを目の当たりにしていたら、 「自然って凄いな」「生命って凄いな」という思いに捕らわれ、 「だったら祖母の生命にも凄い力があるだろう」と前向きになれました。 夜は浜辺に寝転がって、流れ星に祈りました。 祖母にやっと会えたのは、倒れてから5日後。 僅かながらに好転の兆しが見えてきたとのこと。 焦らずゆっくり見守っていこうと思います。 (小笠原旅行記は、後ほどアップする予定です) |
旅に出ます
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- 2006/03/16(Thu) -
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しばしの間、旅に出ます。
コメント&TBへのお返事は しばらく出来ませんのでご容赦ください。 |