『マジック・イン・ムーンライト』
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- 2015/04/24(Fri) -
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『マジック・イン・ムーンライト』
ウディ・アレン監督最新作を映画館で見てきました。 金曜の夜の回だというのに、30人ぐらいしか入っていませんでした。 映画業界、厳しいですなぁ・・・・・。 ただ、本作は、やや小粒感が否めないのも事実。 舞台は1920年代の南仏。 中国人マジシャンに変装してマジック・ショー・ツアーを行う主人公。 旧友の頼みで、富豪一族に取り入った美人霊媒師のトリックを暴こうとするが・・・・・・。 エマ・ストーンの独特な顔立ちが、勝気なヤンキー霊媒師に結構ハマッてます。 そして、嫌味をくどくど言い募る英国人マジシャン役がピッタリのコリン・ファース。 この人のコメディセンス、好きですわぁ。 この2人のテンポの良いやりとりが中心で話が進んでいくので、見やすいです。 そして、この2人に目を奪われがちですが、脇役の皆さんも揃いに揃ってちょっと変。 ウクレレを奏でながら自作のラブソングを謳いまくる御曹司、 甲高い声で亡くなった主人の霊と浮気問答を繰り広げる有閑マダム、 霊媒師の娘をネタに大金を引き出そうとする如何にも詐欺師然のステージママ・・・・。 南仏の景色と豪邸には惹かれるけど、こんな人たちとは一緒に住めないわ(苦笑)。 霊媒師が富豪一家に取り入ったトリックを、私自身も、どんなトリックなんだろうかと 考えながら見ていたのですが、意外にも私には盲点のトリックでした。 なるほどねぇ。 このトリックに主人公が気づくシーン~プロポーズのシーンまでの怒涛の流れが良かったです。 特にプロポーズシーン。 この台本は、さすがウディ・アレン、英国人をからかいすぎ(笑)。 やっぱりウディ・アレンは、国民性とか人種とか、 ちょっと取り扱い注意なジャンルを扱わせると、最高に上手いですね! 最後は上手くまとめてますが、 これは、皮肉を隠すための手法としか思えませんわ(笑)。
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『恋のロンドン狂騒曲』
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- 2014/06/23(Mon) -
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『恋のロンドン狂騒曲』
WOWOWはウディ・アレン作品を良く流してくれるので、 ついつい観てしまいます。 夫が過剰な若さを求めたために熟年離婚をした老夫婦、 小説家志望で稼ぎのない夫と喧嘩が絶えないその娘夫婦、 それぞれが、新しい恋の相手を見つけていき・・・・・・。 アレン監督お得意のドタバタラブコメディです。 が、ちょっと表面的な笑いに終始していたような印象で、 あんまり、ガンと心に響くものがありませんでした。 老いも若きも、恋だ恋だと追い立てられ、囃し立てられるとは、 欧米人もなかなか大変な人生を歩んでますね。 なんだか、「ちょっと休憩・・・」という瞬間がなさそうな人生です。 人生の悩み、そして鬱々とした気持ちを、 インチキ占い師のお告げに託したり、昼間っからのスコッチに依存したりと、 冷静になって見ると、結構、異常な生活空間が広がってます。 ちょっと人間の生活として破綻している感じ。 なのに、なんとなく明るい画面に見えてしまうのは、 アレン監督の力量と、私たち現代人の違和に対する感覚の鈍りとの 相乗効果のような気がして、これまた少し気が滅入りました。 俳優陣は、地味に豪華でしたが、アントニオ・バンデラスが渋カッコいい!! あと、アンソニー・ホプキンスは、本当にお爺ちゃんな見てくれを演じてましたね。 切ない・・・・・。
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『ローマでアモーレ』
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- 2014/06/05(Thu) -
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『ローマでアモーレ』
ローマを舞台に ・ 米国人旅行者とローマ人弁護士との出会いから結婚へ ・ イタリアの田舎から出てきた新婚夫婦 ・ 女優の卵が飛び込んできた三角関係 ・ 突如有名人になってマスコミに追いかけられる男 この4つの話が展開していきます。 どこかで絡まりあってくるのかと思いきや、それぞれが独立したお話のまま進みます。 でも、それぞれが、ローマの姿やイタリア人の姿を現していて面白いです。 やっぱり会話の妙は、ウディ・アレン自らが登場する話がテンポがよくて面白い。 演者では、ペネロペ・クルスの豊満なボディにクラクラします(笑)。 本当に色っぽい女優さんだと思います。 あと、ジェシー・アイゼンバーグの演技も良かった! 『ソーシャル・ネットワーク』では主演だったので当然印象に残りましたが、 本作では、アレック・ボールドウィンとの掛け合いが良かったです。 エレン・ペイジは、「知ったかぶりで良い女を見事に演じる嫌な女」という女優の卵を 上手く演じてました。 というか、ウディ・アレンが、このキャラを上手く料理しているように感じました。 80歳近くになって、こんな作品を作れるだなんて、 やっぱり、ウディ・アレンは凄い!
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『世界中がアイ・ラブ・ユー』
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- 2013/08/04(Sun) -
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『世界中がアイ・ラブ・ユー』
ウディ・アレンのミュージカル作品。 「うーん、ミュージカルは苦手なんだよなぁ・・・」と思いつつ、 ウディ・アレンなので観てみました。 再婚した弁護士夫婦には、双方に連れ子があり、 夫婦+子供5人+ボケちゃった爺ちゃん+怖い家政婦が一つの家に住む賑やかな世帯。 そして、遠く離れたパリには元旦那が住むが、新旦那と友人のため しょっちゅうNYの家に遊びに来て、元夫婦も何だかんだで楽しそうに議論する・・・ と、まぁ、要約すると何が何だか分からない人間関係なのですが(苦笑)、 そこはウディ・アレン監督、それぞれのキャラを見事に書き分けて、 一見混乱している画面をクリアに整理して見せてくれます。 元夫婦同士を対立させた方が、会話の応酬がやりやすいと思ってしまいがちですが、 何でも相談できる間柄にすることで、一層、ウィットに富んだ会話が展開され、 観ていて小気味良いです。 子供たちも、婚約指輪を飲み込んだり、ガチガチ共和党支持者になったり、 殺人服役囚を恋人にしたり、ニースのゴンドラ乗りをポイ捨てしたりと、 まぁ~やりたい放題なのですが、なぜか愛らしいと思えます。 そして、何と言ってもキャストが豪華! ゴールディ・ホーン、ナタリー・ポートマン、ドリュー・バリモア、 エドワード・ノートン、ジュリア・ロバーツ、・・・・・。 冒頭のシーンで、あまりの豪華さに、何度も「え、え、えっ!?」って思っちゃいました。 ジュリア・ロバーツの気を引こうと、一緒にジョギングを始めるウディ・アレン爺さん。 「そんな老体で走ったら、死んじゃうよ!」とハラハラしたのですが、 よくよく考えたら、本作の撮影当時は60歳ぐらい。 ま、無茶な走り方をしなければ大丈夫な年齢でした。 というか、60歳の顔と、今の80歳の顔が、あんまり差がないような(爆)。 あ、あと、ミュージカルは、この作品の味なのかもしれませんが、 私はやっぱり楽しめず(苦笑)。 ウディ・アレン監督作品でさえダメだったということで、諦めがつきました・・・。
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『ミッドナイト・イン・パリ』
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- 2013/02/17(Sun) -
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『ミッドナイト・イン・パリ』
ウディ・アレン監督の、明るいお洒落な部分が前面に出た作品でした。 パリの街は、やっぱり素敵な雰囲気であふれていますね~。 しかも、現代のパリ、1920年代のパリ、1890年代のパリ、さらにはルネサンス期へと 時代を超えて見せてくれる4次元世界です。 お金持ちのお嬢様と婚約したハリウッド脚本家の主人公。 脚本家として稼いでいるが、1920年代のパリの文壇に憧れ、小説家の夢を捨てられない。 そんなカップルが、両親の出張にくっ付いてパリへ旅行。 ある夜、泥酔した主人公がパリの街角で声をかけられクラッシックカーに乗ると、 着いた先は1920年代の世界だった・・・。 真夜中のパリを走るクラシカルなプジョー。 これだけで十分に絵になります。 昼間に蚤の市を散歩しているだけでも、華やかさが伝わってきます。 舞台から、物語の装置から、ちょっとした小道具まで、 大人のお洒落が充満している作品だと思います。 伝えたいメッセージは非常にシンプル。 それに主人公が気づくくだりも、変な小細工なしでドーンとぶつけてきます。 そして、違和感のない、すーっと腑に落ちる感じで見せてくれます。 うーん上手い! 主人公を演じたオーウェン・ウィルソンは、 最初、なんでお嬢様はこんな男の人に惚れたんだろうか?と思うような頼りなさなんですが、 1920年代にタイムスリップすると、それはもう、純真な少年のような表情を見せるんです。 このピュアな部分に、後半は惹きつけられていたように思います。 また、ピカソの愛人アドリアナを演じたマリオン・コティヤールは美しかったです。 アレン監督がヨーロッパを舞台にして撮影する作品では、 特に女性の美しさが際立って画面に表れているような印象があります。 エンディングもお洒落に締めて、こりゃ、気持ちの良い作品でした。
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『誘惑のアフロディーテ』
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- 2013/02/09(Sat) -
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『誘惑のアフロディーテ』
本日2本目のウディ・アレン作品。 養子を取ることにした夫婦。 やがて大きくなり、利発でユーモアあふれる子供に育ったとことから、 子供の本当の親がどんな人物なのかに興味を持ってしまう主人公。 その子の母親は娼婦であることが分かり、やがて、主人公はその部屋に出入りを・・・。 冒頭、ウディ・アレンが赤ん坊を「かわいい」連発であやしたり、 小さな子供の面倒を見たりするシーンが続き、とてつもない違和感!(爆) とんでもなく斬新な作品になるのかと思いきや、 やっぱり、子供そっちのけで話は進んでいきました。ある意味、安心感(笑)。 夫婦仲が上手くいっていない主人公は、 娼婦の部屋に出入りし、娼婦業から足を洗うように、あれこれ画策します。 このあたりのストーリーの屈折の仕方が、ウディ・アレン的で好きです。 ギリシャ悲劇『オイディプス王』を挿入し、 物語にメリハリをつけたところも、面白かったです。 合唱隊隊長や預言者が現代世界に現れたりして、その味付けもお見事。 そういえば、野村萬斎さんと麻実れいさんで演じられた舞台、見に行ったなー。 娼婦を演じたミラ・ソルヴィノがアカデミー助演女優賞を獲ったそうですが、 なんとハーバード大出身なんですね。 そんな彼女にぶっ飛んだ娼婦役をやらせるとは! 彼女の明るいキャラクター、好きでした。 破壊的なラストになるのか、上手く収まるのか、どうするのかなぁと思いましたが、 なんとも強引にキレイにまとめましたね。 ま、たまには、こういうのも良いかも。
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『地球は女で回ってる』
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- 2013/02/09(Sat) -
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『地球は女で回ってる』
いつものようにウディ・アレンが機関銃のように喋ってるのですが、 なんだか、ちょっと雰囲気が違いました。 「あはははっ」と笑えるカラッとした感じが弱くて、 少し病的なものが前面に出てきてしまっているところが苦手な要因でしょうかね。 自分や周囲の人間をネタにした作品を書いてきた小説家が、 それらの作品を振り返るたびに、その世界と現実世界が混在していき・・・・ この設定は面白かったです。 また、小説のモチーフとして、ピンボケになる男などの発想も面白かったです。 でも、現実と空想の世界の混在の仕方が、 なんとも病的な空気を撒き散らしてるんですよねー。 もう少し明るめの作品を期待!
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『人生万歳!』
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- 2011/09/04(Sun) -
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『人生万歳!』
ウディ・アレン万歳! 文句なしに面白かったです。 偏屈・物理学者を演じるラリー・デヴィッドが、機関銃のように喋りまくる。 しかも、観客を巻き込みながら(笑)。 人間嫌いで、無神論者で、物事のマイナス点にしか目が行かない偏屈じじい。 初対面の人を面食らわすには十分な逸材なのに、 なぜか影響力も抜群。 その思考内容が、少しずつ、周囲に伝染していき、そして人々の生き方を変えていく。 このあたりの描写がとっても上手かったです。 そして、この伝染の媒介となっているのが、 エヴァン・レイチェル・ウッドが演じた南部からの家出少女メロディ。 純粋無垢な感じが、清潔感と清涼感を与える少女です。 この役を演じるのは、結構、難しいのではないかと想像します。 変な嫌らしさが出てしまいそうで。 なのに、爽やかに可愛らしく演じたのさ凄い! 脇役たちもはまってて、 また、NYの町並みとのマッチングもお見事。 中華食材を売る店から、ユニクロまで、使い方が上手いです。 最後、偏屈ボリスには、かわいそうな展開が待っていますが、 そこを変に深刻に見せるのではなく、カラッと見せる演出もお見事。 そして、ラストシーンまでの持っていき方が素敵。 75歳になっても、こんな脚本を書いて、こんな風にヒトとマチとを見せることが出来る この監督さんの才能に脱帽。
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『ウディ・アレンの夢と犯罪』
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- 2011/07/22(Fri) -
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『ウディ・アレンの夢と犯罪』
久々のウディ・アレンだったのに、途中で寝てしまいました(苦笑)。 どうも、ロンドン三部作は合わないようです。 淡々とづつく日常描写が、どうにも退屈に感じてしまいます。 ま、殺人を起こす前に寝てしまったので、何か言える立場じゃないですが・・・。 あと、お金にルーズな人というのは、生理的に受け付けないところがあって、 兄弟ともに、種類は違えど、そういう人種だったので、 感情移入できなかったという点も大きいと思います。
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『それでも恋するバルセロナ』
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- 2010/03/07(Sun) -
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『それでも恋するバルセロナ』
久々のウディ・アレン作品。 公開時に、観に行こうかなと思ってた作品です。 アメリカからバルセロナに遊びにきた女友達×スペインの画家×その元妻、 この4人が繰り広げる恋愛関係。 あっちも誘って、こっちも誘っての画家がいれば、 元旦那×新恋人×元妻の3人での共同生活もあれば、 結婚したばかりなのに、一晩を過ごした画家のことが忘れられない新妻、 と、まぁ、複雑な関係になっているのですが、 私は、この人間関係そのものよりも、 こういう関係もありそうに感じさせるスペインの空気が興味深かったです。 街並みの美しさや、そこに住む人々のシンプルな生活に心惹かれるのですが、 さらに、アメリカ人の夫の友人たちとの会話と、 スペイン人である画家やその妻たちとの会話を対比させることで、 米国の物質世界と、欧州の精神世界とが鮮やかに描かれていて、面白かったです。 ハビエル・バルデムは、『ノーカントリー』でしか認識がなかったのですが、 打って変っての色男ぶりにビックリ。 格好よかったです。 私の大好きなペネロぺ・クルス嬢は、後半に満を持してのご登場。 相変わらず、お美しいお顔でした。 狂気も似合いますね。 スパニッシュ・ギターで奏でられるBGMが良く合ってました。 サントラが欲しくなりますね。
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