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『散歩とカツ丼』
- 2022/03/30(Wed) -
日本エッセイスト・クラブ編 『散歩とカツ丼』(文春文庫)、読了。

近所のおばちゃんにもらった本。
エッセイストをはじめ、各界の著名人による短めのエッセイが収録されています。

冒頭の特別支援学校講師によるエッセイが、なんと、
亡くなった母の昔の恋人ではないかと思われる人について、
その男性とそうとは気づかない父とが話している様子から書き起こし、
母とこれまた具体的な別の男性とが結婚していたら・・・・と想像し、
さらには親友の女性が別の男性と結婚していたら・・・・と想像し、
私には、なんとも悪趣味な空想癖だと思えてしまいました。
こんなエッセイを娘に書かれて、天国の母親は嬉しいのでしょうか?ご健在の父親は嬉しいのでしょうか?
あんまり気持ちの良いスタートではありませんでした。

その後、一人一エッセイずつの収録となっているのですが、
自分が親しんでいるエッセイストでいうと、出久根達郎さんとか、池澤夏樹さんとかになるのですが、
それよりも、肩書が「主婦」となっている方々のエッセイが面白かったです。

特に印象に残ったのは、柳田あけみさんの「カ・キ・ク・ケ・子」。
息子が拾ってきたカナヘビを家で飼育した話なのですが、
オスだと思っていた「カナオ」が卵を産んだので「カナ子」に名前が変わり、
さらに、その卵が孵ったら「キナ子」「クナ子」「ケナ子」・・・・・なんたるセンス!
この親子の日常会話は、きっとウイットに富んでいて面白いんだろうなーと、
家族の様子が浮かび上がってくるようなエッセイでした。
素敵な家族の姿にほっこり。

変に社会に物申そうとか、こんな変なことを想像してみましたとか、
肩ひじ張った内容ではないので、主婦の方たちの日常エッセイが好印象でした。




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『おんな飛脚人』
- 2017/04/28(Fri) -
出久根達郎 『おんな飛脚人』(講談社文庫)、読了。

久々に出久根さんです。

江戸時代末期、飛脚商売を営む商家が舞台です。
主人が肺病に倒れ、従業員が恐れて出て行ってしまった飛脚業の十六屋。
そこに新たに採用された清十郎とまどかの目線で語る飛脚業。

本作は、時代物というよりも、お仕事モノとして面白かったです。
飛脚という仕事が、庶民、特に商いに携わる人々の中で、
どれだけ重宝されていたかが活き活きと描かれています。

さらには、新しい飛脚業のあり方を模索していくという流れが
時代が変わる転換点を見ているようで、興味深かったです。
ま、ペリー来航の頃の時代を描いているので、
明治維新を経て、郵便業が始まるまで間もない頃ではありますが。

そして、サイドストーリーの、まどかの母親探しに関しては、
私としては予想外の結末になっており、新鮮な気持ちで読めました。
当時の時代背景からすると、そういうことも、まま起きたのでしょうね。

それほど大きな出来事が繰り広げられるわけではないですが、
幕末の江戸の商いの様子を知ることができ、
興味深い読書となりました。


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『行蔵は我にあり』
- 2014/07/23(Wed) -
出久根達郎 『行蔵は我にあり』(文春新書)、読了。

タイトルの意味は良く分からないまま、
出久根さんが多数の先達を紹介している本のようだったので
とりあえず買ってきました。

先行して『百貌百言』という本が出ているようで、本作はシリーズ2作目。
というわけで、人選が輪をかけてマニアックです。
半分以上、知らない人でした。

ただ、新書2ページの分量の中で、
全く無駄な情報を加えず、その人の人物を表すエピソードや言葉、詩句で、
一気に描き上げます。

その力量たるや流石。
知らない人物でも、「へぇ、こんな日本人が居たのか」と興味をそそられます。

こりゃ、著者が紹介したい本命中の本命が載っているであろう
シリーズ1作目を読まねばなりませんね。


行蔵は我にあり―出頭の102人 (文春新書)行蔵は我にあり―出頭の102人 (文春新書)
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『波のり舟の』
- 2012/05/16(Wed) -
出久根達郎 『波のり舟の』(文春文庫)、読了。

どうにも乗り切れないまま終わってしまいました。

まず、江戸っ子言葉が読みにくい(苦笑)。
時代小説を読みなれていないせいなのか、
それとも佃島という地域と特有のものなのか判断がつきませんが、
読んでいる側のテンポと文章のテンポが合わずに苦労しました。

そして、日常で起きる事件の解決を
渡し舟の守役・正太、もしくはその周囲の人々が担うのですが、
事件そのものの建て付けが何とも緩い感じがして、
小説としての物語展開も、甘甘な感じを受けました。

というわけで、なんだか締りの無いままに読み終わってしまった感じです。

どうも、この著者の時代小説は、あまり好みに合わないような気がしてきました。


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『たとえばの楽しみ』
- 2011/11/26(Sat) -
出久根達郎 『たとえばの楽しみ』(講談社文庫)、読了。

難しい本の後は、お気楽エッセイをば。
古本、もしくは古本屋にまつわるエッセイです。

軽妙な語り口はさすがです。
そして、古本屋稼業ならではの視点が、やはり面白い。
本の評価の仕方とか、お客さんに対する人間観察とか。

後半は、書評のようなエッセイも多く、
いろいろ読みたい本リストの収穫にもなりました。

こんな本を読んでしまうと、また、ついつい古本屋に行ってしまって、
積読タワーが伸びたり増えたり、部屋の中で成長してしまうのですよねぇ・・・・。


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『漱石を売る』
- 2011/07/22(Fri) -
出久根達郎 『漱石を売る』(文春文庫)、読了。

古本屋主人としてのエッセイ集。
オーソドックスな出久根エッセイで、楽しめました。

古本を売る人、古本を買う人
それぞれの視点で本を愛する人が描かれていて、
共感や憧れを抱いてしまいます。

一方で、時々、本とは縁の無さそうな人も登場し、
そういう人にとって古本はどのように見えているのかということも知ることが出来、
興味深かったです。

本作中で、安易に古本屋に憧れることをたしなめていますが、
でも、やっぱり、憧れてしまいます!


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『御書物同心日記』
- 2010/10/28(Thu) -
出久根達郎 『御書物同心日記』(講談社文庫)、読了。

久々の出久根作品は時代もの。
でも、やっぱりテーマは「書物」ということで、
将軍様の大事な書庫を預かる御書物同心が主人公です。

裏表紙には「角一郎がやってきたときから、奇妙な事件が相次いだ」・・・
となっていますが、大した事件は起こりません。
そこは、屈指のストーリーテラー宮部作品のような展開を期待してはいけません(苦笑)。

御書物同心という職務や、江戸の風俗を紹介するような内容の作品で、
タイトル通り、「日記」を読んでいるような印象です。

万人受けする小説ではないと思いますが、
本好きには堪らないお話ですね。


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『今読みたい読めない本』
- 2009/05/16(Sat) -
出久根達郎 『今読めない読みたい本』(ポプラ社)、読了。

この方の本を読むたびに、
古本屋という商売に憧れます。

日々研鑽を求められる大変な職業だと思いますが、
値決めひとつで大儲け・大損という賭け事じみたところもあり、
知性と商売人魂がミックスされた面白い商売です。

本作でも様々な本が紹介されていますが、
「面白そうだな」と思った本は、どれも昭和20年代の発刊で、
見つけるのはなかなか大変そうです。
見つけられたとしても安くは無さそうだな・・・・という。

いつか神保町で出会えることを楽しみにしながら。


今読めない読みたい本
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『粋で野暮天』
- 2006/06/15(Thu) -
出久根達郎 『粋で野暮天』(文春文庫)、読了。

「古書店の小僧時代から現在に至るまで、
筆者が出会った古今東西の名作珍本を一挙公開!」

裏表紙の言葉どおり、
面白そうな本が多数紹介されており、興味深く読みました。

『近代日本職業事典』なんて大そう心惹かれるのですが、
古本屋で安価で見つけるのは至難の業でしょうかね?


粋で野暮天
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『思い出そっくり』
- 2006/03/11(Sat) -
出久根達郎『思い出そっくり』(文春文庫)、読了。

この作者の作品は5作目ですが、
やはり本のお話が多くて楽しく読めました。
古本好きには堪らないですね。
ちょっとした豆知識を挟んで話が急展開していき、
巡り巡って元のところに戻ってくるのが快感です。

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