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『徳川慶喜と幕末 99の謎』
- 2024/03/12(Tue) -
後藤寿一 『徳川慶喜と幕末 99の謎』(PHP文庫)、読了。

タイトルから、徳川慶喜に関する99の謎に迫るのかと思い買ってきたのですが、
徳川慶喜政権前後の日本史全般における99の謎という内容で、
思ったものとは違いました。

ただ、有能な人物なのか、無能な人物なのかで描かれ方が分かれる徳川慶喜について、
著者は基本的に有能な人物として描いており、一橋大学卒業の自分としては
渋沢栄一翁を通して一橋公には親しみを持っているので、読んでいて気分が良い本ではありました。
逆に、ちょっと持ち上げ過ぎな気もしますけど。
錦の御旗を見て逃げ帰った話とか、キレイに描き過ぎなような・・・・・(苦笑)。

本作を読んで改めて思ったのは、幕末のゴタゴタした時期に、
よくぞアメリカ、イギリス、フランス、オランダのような列強国に侵略されなかったよなぁ・・・・・ということ。
局地的には紛争が起こっており、日本側が放った砲撃により外国側に死者も出ているのですから、
そこから一気に戦争になっても、おかしくなかったようにも思います。

日本のリーダー層も大国だった清国がボロボロになっていく姿を見ていたと思うのですが、
幕末のエネルギー源が下級武士だった点を考慮すると、正直、熱病のように浮かれて
周囲が見えていないまま我武者羅に暴れていた武士たちも多かったのではないかと思います。

そこを、なんとか国家の形を維持できる方法で江戸幕府から明治政権に権力移行ができたのは
徳川慶喜が果たした役割はやはり大きいと思います。
それと、大久保利通などの、必要な改革をどんどん行い、また害になりそうな人材は政権中枢から
外していくという嫌われ役を厭わずに実行していく有能な人々がいたおかげかとも思います。

ものすごく綱渡りな時代を乗り越えての今の日本だと思うと、
やっぱり今の落ち着いた日本社会を享受できている身としては、
この時代に活躍した人々に、感謝しなければいけないですね。




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『その後の慶喜』
- 2019/12/13(Fri) -
家近良樹 『その後の慶喜』(ちくま文庫)、読了。

一橋大学出身の身としては、やはり気になる一橋家。
その中で最も有名なのが最後の将軍・慶喜であり、
新時代を迎えた名君とも弱腰の将軍とも評され、一般的な評価が定まらない人物だと思います。

徳川慶喜に関する書籍は何冊か読みました
一般的な歴史上の役割は、彼の若い頃に終わってしまっているわけで、
将軍の座から降りた後の長い余生においては、社会に変な影響を与えないことに心を砕き
静かに地味に趣味の世界に暮らします。
なんだか、政治的な影響力を持たないように地味な学問を専攻する天皇家を想起させます。

そんな静かで地味な生活の様子を綴っていくのですが、
正直、文章があまり面白くなくて、盛り上がりに欠けます。
もともと盛り上がりのない人物の生活を描写するのですから仕方がないところはありますが
そこは構成とかで上手く演出してほしかったです。

この徳川幕府の最後の将軍が、明治時代も超えて大正時代まで生きたという事実が
日本社会の西洋社会との違いを端的に表してるうように思えます。

他の社会だったら、革命的な統治者の交代が起きたら、前権力者は命を奪われるのではないでしょうか。
それが日本では、何十年も生き延び、幽閉されるわけでもなく、
自らを律して静かに生活するという本人の意思に委ねられるという寛容さ。
しかも、慶喜に至っては、大正天皇(当時皇太子)と親しく過ごし、
自分の娘が大正天皇のお后候補になるという、一歩間違えたら政治権力の場に再登場みたいな
ところにまで、(本人の意思とは関係なく)関わるようになっています。

このような生き方が許される社会なら、太平洋戦争敗戦後に昭和天皇がその地位を継続することを
日本人社会が受け入れるというのも、なんとなく分かります。
足利家の最後の将軍・義昭も幕府滅亡後に一大名として永らえてますし、
藤原氏も、五摂家として脈々と続いてますよね。
前政権の権力者を内に置いて治めていくという日本の権力構造は、冷静に考えると非常に不思議です。

この視点で、面白い本はないかなぁ?
社会科学的にめちゃ面白そうなテーマです。




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『徳川慶喜-最後の将軍』
- 2017/08/07(Mon) -
原田久仁信 『徳川慶喜-最後の将軍』(講談社)、読了。

祖父の本棚にありました。
マンガだったので、時間つぶしに読んでみました。

慶喜の子孫の方が制作協力に名前を連ねているためか、
やたらと慶喜の活躍がかっこよく描かれています(苦笑)。

もちろん、あの幕末の情勢下で、
日本を内乱の混乱に陥れず、
幕府側についた諸大名や家臣の顔に最低限の配慮しながら
大政奉還を決断し、江戸城の明け渡しを行うというのは、
相当な人物でないとできないものです。

私が子供の頃は、徳川幕府を終わらせた人として
政権運営に失敗した人のように語られていた気がしますが、
昨今では評価がかなり上がってますね。

この人物だからこそ、明治時代の日本の成功があり、
今の日本があると言っても過言ではないと思います。

それを、小説で丁寧に描くからこその説得力であり、
マンガで格好良く書き過ぎると、何だか嘘っぽく見えてしまうのが残念。

でも、2時間ぐらいでササッと読めるので、
当時の情勢展開を知るには手ごろな本かもしれません。


徳川慶喜―最後の将軍 (おもしろ日本史)徳川慶喜―最後の将軍 (おもしろ日本史)
原田 久仁信

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