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『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』
- 2024/02/11(Sun) -
城繁幸 『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』(ちくま新書)、読了。

『若者はなぜ3年で辞めるのか?』が大ヒットした著者の続編的な本。
前著は、年功序列の罪について解説した本でしたが、
就職氷河期真っ只中で就職活動をした私にとっては、
「よく言ってくれた!」と思う反面、著者が提示した解決策には疑問符な感想でした。

本作は、その大半のページを、会社を早々に辞めた後の進路について
様々なキャリアの人にインタビューを行い、その一人一人の人生を紹介し、
「こんな生き方もあるよ」「この人はここで昭和的価値観に見切りをつけて自分の人生を切り拓いたんだよ」
というメッセージを訴えかけてきます。

ケース紹介が続くので、各登場人物たちの人生を興味深く読ませてもらいましたが、
しかし、散漫な印象も持ちながらの読書でした。

が、最後の最後、「新聞を読まない人間はバカであるということ」「左翼は労働者の味方であるということ」
という、2つの昭和的価値観をぶった斬る章に入った途端、
強烈な左翼批判、連合批判、メディア批判が始まり、「急にどうした、どうした!?」という感じで
こちらも慌ててしまいました(苦笑)。

著者の言うように、ロスジェネ世代が生み出されてしまい、しかも未だにこの世代に極端に
社会全体のしわ寄せが行ってしまっている状況について、「世代論」で串を通して
年功序列制度や終身雇用制度、その後のリストラ断行や成果主義の導入などを語ると
分かりやすいです。

しかし、世代論で切ってしまうと、左翼も連合もメディアも、その中心にいる団塊世代や
その次の世代が批判の対象になってしまうため、世代論は受け入れられないとして、
政府批判や政策批判、企業経営者批判に向かうという解説は、説得力がありました。

実際、私たちロスジェネ世代は、左翼的な上の世代に比べると保守寄りだと言われることが多いですし、
成功した経営者たちの言葉に学ぼうという姿勢もあり、またホリエモン等の起業家を
好意的に見ている人も多いのではないかと思います。
決して、政府vs我ら、資本家vs我ら、みたいな対立構造では世の中を捉えていません。

先日、山田玲司氏のYoutubeチャンネルを見てたら、
MCの奥野氏が、自らが属するロスジェネ世代について熱く語っている動画を見つけて、
とても共感してしまいました。
私自身は、同世代の中でも、就職活動はうまくいったし、就職後もいろんな仕事を経験させてもらい、
外部研修にも出してもらい、辞めて自分で事業やりますと申し出た時も、
引き留めてくれましたし、最後は頑張れよと言ってもらえました。辞めた後も公私にわたって
元上司や元同僚には支援してもらってます。
だから、ロスジェネ世代の中では恵まれた人生を歩めている自覚はありますが、
しかし、奥野氏の叫んでいる内容、特にマインドセットの部分は、まさに自分のことだなと思ってしまいます。

マインドセットに関しては、幼少期からの社会環境による影響も大きいと思うので、
もしこれから大好景気が訪れて、自分の生活が急に豊かになっても、
闇のマインドセットを抱え続けるような気がします。
「この好景気は幻だ、いつか終わるんだ」と悲観してそうな気がします。

どんなに社会のしわ寄せが来ようとも、マインドセットの5番目の「自己責任」の諦観があるため
「どんなに辛い仕打ちを受けようと仕方ない」という諦めで逆に何とか乗り越えられてしまうところは、
人間って、生きていくためには、強さを持っているんだなぁ・・・・と他人事のように思ってしまいました。

この諦観を持てない場合、玲司氏が言う「上の世代はおんなじ努力してもより多くの果実をもらっている」
という事実に気づいたら、社会からドロップアウトしてしまうか、もしくは上の世代に直接刃を向けるような
行動に出てしまうと思います。諦観があるからこそ、そんな得してきた上の世代となんとか同じ社会の中に
共存できているのではないかと。

最近、漫画原作者の自殺事件があったために、久々に山田玲児氏のチャンネルを見返しており、
この奥野さんの動画も再見したばかりだったので、本作の内容とリンクしてきて、
当事者世代としていろいろ考えてしまう読書となりました。






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『若者を殺すのは誰か?』
- 2018/11/09(Fri) -
城繁幸 『若者を殺すのは誰か?』(扶桑社新書)、読了。

過激なタイトルにつられて買ってきました。

著者の本は、まだこれで2冊目なので、あまり固まった印象がなかったのですが、
最初に感じたのは、「あれ、こんなに投げ出すような文章を書く人だったっけ?」というもの。
なんだか、思ったことを書き散らかしている感じがしました。

そのせいか、最初は、この本を通して何について書こうとしているのか
なんだかつかみにくくて、困ってしまいました。

読み進めていって、著者の文体に慣れてきたころから、内容が頭に入るようになり、
ところどころ、面白い視点での投げかけがあったので、ノートに取ったり。

でも、やっぱり、誰に対して何を主張して、どのように変えようとしているのか
全体像がつかめないまま読み終わってしまい、読後感がはっきりしませんでした。
仕事で忙しいときに読んでしまったのが間違いだったのかな。




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『若者はなぜ3年で辞めるのか?』
- 2009/08/19(Wed) -
城繁幸 『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)、読了。

年功序列制度の功罪についてスッキリと整理されていて、
分かりやすい一冊でした。

ただ、年功序列制度にどっぷりの日本企業を変えるための手段が
①政府によるテコ入れ、②個々人の意識改革、ということで、
なかなか心もとない感じですね(苦笑)。

後者の点でいつも疑問に感じるのは、
「『生活する=生きる』ということに甘い人が多すぎるんじゃないか?」ということ。

「年功序列制度の中で働いてきたから、成果主義にはついていけないよ」
という言い訳をする中高年層。

ダーウィンの「進化論」は知識として知っているだろうに、
なぜ自分にも適用される法則なんだということがわからないんだろうか?

「環境の変化についていけない生物は死ぬ」
「生き残った生物の最大公約数的特徴がその生物の進化となる」

とーっても明快なことだと思うんですけれど。

既得権益で食べていけるという発想は、人間にしか無いんでしょうね。

年末の騒ぎで派遣切りの際に派遣社員の身分は不安定だと不満を漏らしている人や、
正社員でも自分の給料が安くてローンが払えないと嘆いている人を見て、
「それでは、今まであなたは自分の価値を高めるために何をしてきたのか?」と
問い返したくなってしまいました。

お叱りを受ける発言かもしれませんが、
「そういう職にしか就けないレベルでしか、自分の蓄積を作ってこなかったんでしょ?」
と責めたくなってしまいます。

そして、その裏側に感じるのは、
「周囲と同じ感じで、てきとーにやっていれば、十分生きていける」という
なんの将来像も努力も感じられない人生設計です。

「生活する=生きる」ためには、自分にどんな能力と経験が必要なのか、
もっと真剣に考えるべきだと思います。

「生活する」ということを真剣に考えないから、
「生きる」ための本能が弱まっている気がします。
だから、ちょっとした挫折でキレたり、引きこもったり、世捨て人になったり、自殺したり
してしまうのではないかという気がしてなりません。

欲望(こういう仕事がしたい!)や危機(このままでは将来が危ない!)に対して、
もっと本能的になるべきではないでしょうか。


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