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『晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ』
- 2023/06/21(Wed) -
大崎梢 『晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ』(創元推理文庫)、読了。

シリーズ第2弾。
番外編の長編という位置づけだったので、先に第3弾を読んでました

成風堂書店に以前勤めていた先輩女性社員が
現在勤める長野県の老舗書店で、幽霊が出るとの騒動があり、
夏休みがてらその解決に向かう主人公たち。
幽霊は、現地で27年前に殺害された有名作家ではないかとの噂が立ち・・・・。

老舗書店側の経営者一族はみなさん良い人な感じですが、
殺害された作家の周辺にいた書生やお手伝いさんたちは曲者ぞろいで
幽霊騒動という軽めのノリから、次第に重たい空気が占めていくことに。

主人公たちが作家の周辺人物たちに聞き込みに当たるのですが、
蕎麦屋の女将さんに収まっている元お手伝いさんに話を聞きに行くのに、
営業日の昼前11時過ぎに店に行き、ランチ客が来ているのに話を続け蕎麦屋の主人に嫌な顔をさせ
さらにはランチを食べずに店を出てくるって、広い意味で同じサービス業に従事しているのに
配慮なさすぎじゃない!?と、本筋と関係ないところが気になっちゃいました。

コトの真相は、動機の面でも、トリックの面でも、ちょっと強引かなと。
老作家と書生たちというシステムがどんな感じなのかを知るには面白かったですが
結局、歪んだ仕組みだよなー、と思ってしまいました。

本屋側のお仕事小説的な要素は薄かったので、
これはやっぱり、短編の方が楽しめるかな。




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『サイン会はいかが?』
- 2020/07/14(Tue) -
大崎梢 『サイン会はいかが?』(創元推理文庫)、読了。

ブックオフにこのシリーズが全部100円で揃っていたのですが、
第2弾は長編ということで躊躇してしまいました。

第1弾がどうにも乗り切れない部分があったので、それで長編はつらいかなと。
で、本来なら好きじゃない順番飛ばしをして第3弾の短編の方を買ってきました。

舞台は引き続き駅ビルに入った中堅どころの書店です。
そこに持ち込まれる様々な謎や難題を、主人公の女性店員とアルバイトの女の子で
解き明かしていくというスタイルも一緒です。

読んでいて、第1弾に乗り切れなかった理由が思い出されてきたのですが、
謎がやけにダークサイドを醸し出すんですよね。
人間の悪意や憎悪がスルッと入り込んでくるところが、
読んでいて、あんまり気持ちの良いものではありません。

謎の真相における悪意以外にも、登場人物の皆さんが、結構、他人を簡単に疑うんですよね。
あいつが怪しいとか、それが小学生であっても。
これも、読んでいてあんまり気持ちよくないです。

そして、最後に、謎解き役の女の子のキャラを際立たせようとして、
常識的な対人感覚を持ち合わせていないような描写が時々出てきて、それも引っ掛かります。
自分の身が狙われているとして怯える被害者に対して、
真相の開示を後回しにして「大丈夫ですよ」とほほ笑むだけだったり、楽しそうだったり。

どんなに謎解きのできる頭の回転の良い人でも、
困っている人に対して、こんな態度で臨んでしまう人とは、あんまりお友達になりたくないなぁと。

相変わらず日常の謎の方も、リアリティに欠けるような印象です。

取次の人の話とか、サイン会の運営の話とか、書店をめぐるお仕事小説としての要素を
もっと前面に出してほしいなぁという思いです。




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『配達あかずきん』
- 2018/05/16(Wed) -
大崎梢 『配達あかずきん』(創元推理文庫)、読了。

書店員が主人公の日常の謎解き。
謎解きよりも、お仕事小説の要素に期待して手に取りました。

冒頭、主人公のキャラクター紹介的なまくらの部分で、
お客様が主人公に本探しを依頼するシーン。
タイトルや著者名、出版社名が分からないだけでなく、
内容もあやふやな状態で本探しを依頼する客。こんな奴いるんかい!?と疑問噴出で、
主人公の本に対する愛情を見せるための過剰な演出ではないかと訝しみましたが、
著者は元書店員ということですから、こういうお客さまもいるんですかねぇ・・・・・。

というわけで、何となく主人公との距離が空いたまま読書はスタートしてしまいましたが、
お仕事小説としては、書店員の役割分担とかシフトとか、1日の業務の流れとか
そういうものが断片的にでも情報として分かるので、興味深かったです。

店頭のディスプレイコンテストとか、そういう販促戦略があるのねーという
出版社側の事情も分かったりして、面白かったです。

日常の謎の方は、ちょっと無理やりすぎないか?と思えるような
動機や犯行内容が多く、もう少しリアリティのある方が好みでした。

シリーズ化されているようなので、お仕事小説と割り切って
もう1冊読んでみようかな。


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