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『愚民社会』
- 2023/01/11(Wed) -
大塚英志、宮台真司 『愚民社会』(大和書房)、通読。

宮台先生がキャンパスで襲撃されたという事件を耳にしたとき、
「安倍さん襲撃事件でハードルが下がっちゃったのかなぁ」と、世情の極端な悪化を懸念しましたが
正直「なんで宮台先生が!?」とは思いませんでした。
日頃の言説でキツいワードをあえて使って、当事者の自覚を促すような言論活動をしているので、
そういう言葉が突き刺さる対象の人々(本作においては「田吾作」たちとか)の中で
逆恨みする人は居そうだなぁ・・・・・と。

私は、これは宮台弁みたいなもので、耳障りは良くない時があるけれど、
中身については必聴なことが多いよね、と感じているので、
襲撃を経て、宮台弁がマイルドになちゃったり、露出を控えたりというようなことがあったら
嫌だなと心配していました。
今のところ、退院後も精力的に活動されているようなので杞憂なようです。

さて、そんな流れの中で、積読だった本作を読んでみることに。
対談の相手は大塚英志先生。
こちらは昨年読んだ『「彼女たち」の連合赤軍』の著者で、この本がとても面白かったので、
この対談はワクワクするなと、期待大で手に取りました。

しかし、とっても難解で歯が立たず。
両氏の学問的知識量や現在の言論界において発表されたものをきちんとフォローしている姿勢とか
そういう土台の上で議論が進んでいくので、脚注はたくさんついていますが、
そういう表面的な情報の補足で理解できるものではなく
自分はなんにも知らないな・・・・・とオチコボレ感。

かなり飛ばし飛ばしな読書となってしまいましたが、
ところどころで刺さってくる言葉もありました。

特に印象に残ったのは、宮台先生の「もともと『右』は自立の思想で、『左』は依存の思想」という言葉。
「自立」と「依存」では言葉のポジティブ/ネガティブのバランスが取れていないように思うので、
一般用語にすると「自立」と「互助」、もしくは左翼的用語を使うなら「自立」と「連帯」かな。

私は、あんまり深く考えず、よく使われる「保守」と「リベラル」というレッテルで
今まで世の中の言説を区分していることが多く、自分自身は保守派だと捉えてました。
一方で、「この言論人の論点整理は納得できるのに、なぜ結論がそんなに左翼的になるのかな?」と
感覚的にすんなり受け入れられないことがあったりして、自分の中でモヤモヤしてました。

でも、今回、「自立」と「依存(互助、連帯)」という二軸を立てることで、
「あ、自分は『自立』を目指す考え方が好きなんだ、だから『自立』を社会や個人に要求する
言論人が好きなんだ」と目からウロコでした。

例えば内田樹先生。世の中に対して喝を入れる言論は非常に納得的に読めるのに、
政策提言になると左翼的になっちゃうので私は支持できないことが多く、
なんでだろ?と常々疑問を持ってましたが、あ、内田先生は社会に「自立」を求めて
喝を入れているから納得できるんだ!と理解できました。
自分が共感できるのは「保守」か「リベラル」かという軸ではなく、
「自立」という概念だったんだなと。

例えば社会のセーフティネットについて、最初から大きく手厚く張るのではなく、
まずはみんなが努力するように求めて、そのうえで上手くいかなかった人をきちんと
助けることができるネットをピンポイントで張った方がよいんじゃない?という感覚です。
なので、努力する前、やってみる前から、「万が一のために強力なネットを張れ」という主張が苦手です。
それが左翼方面から出やすいから、左翼的言説に苦手意識を持っちゃうんだろうなと。

自分の主義思想について、クリアになった読書だったので、
ツルツルと目が上滑りする読書レベルでしたが、読んだ意義のあるものとなりました。






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『M2 我らの時代に』
- 2015/01/24(Sat) -
宮台真司、宮崎哲弥 『M2 我らの時代に』(朝日文庫)、通読。

この2人の組み合わせは重そうだなぁ・・・・・・と思い、
買ってきたものの積読状態でした。
意を決して手に取ってみたものの・・・・・・難解!

以前、宮台センセの本を読んだときにも感じたのですが、
話のレベルがリーダーフレンドリーではないんですよねぇ。
非常に、読者を選ぶ感じです。

最後の方に、「この対談は啓蒙モードで始めた」との発言が出ていましたが、
新たな読者を獲得するための啓蒙というよりは、
以前より宮台センセの思想に興味関心がある人たちを引き上げるための啓蒙だなと。
つまり、私は読者層に想定されていない(苦笑)。

宮台センセと宮崎センセの間で繰り広げられるコムヅカシイ思想の応酬と、
一方で、非常にマニアックなサブカル的知識のひけらかし合いという
両極端なやりとりに、この中間を自分で探っていくのは無理だ・・・・・と
諦めてしまいました。

時事ネタを中心に対談をしているので、
思想の全体感を掴むのも難しく、これはファンじゃないと無理だなと流し読みで終わりました。


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『日本の難点』
- 2013/10/02(Wed) -
宮台真司 『日本の難点』(幻冬舎新書)、通読。

宮台センセのお名前は当然知っていたのですが、
著作を読むのは初めてです。

数々のフィールドワークの方の印象が強かったでの、
初めて文章に触れた時の印象は、「コムヅカシイ・・・・」というもの。
なんだか、日常のことを敢えて分かりにくい表現で述べているような感じです。

というわけで、「はじめに」で挫折しそうになったのですが、
とりあえず通しで読んでみました。

オバマ大統領の選挙戦略のあたりは興味深かったですし、
環境問題は政治問題だという指摘には、私も同様に考えているので大納得。

でも、本作全体を通して、大いなる共感やカタルシスが得られたかというと、
そうではないんですよねー。

これは文章のせいなのでしょうか、コムヅカシく述べる性格のせいでしょうか、
それとも、論理思考が部分的に合致するだけでベクトルが違っているのでしょうか。
それを追及するほど読み込むのが面倒だったので、解は得られず(苦笑)。

著者は、他の作品でも、こんな感じなのでしょうか?
それとも、この何だか気合の入ったタイトルの本書だから、こんな感じなのでしょうか?
それによって、2冊目を読むのかを考えたいと思います。


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