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『なんでこうなるの 我が老後』
- 2023/06/12(Mon) -
佐藤愛子 『なんでこうなるの 我が老後』(文春文庫)、読了。

佐藤愛子女史のエッセイシリーズ第2弾。

相変わらず、自ら騒動を呼び寄せるような行動をとってしまい、
中山あい子女史から呆れられるという展開が続きます。

住み慣れた家の風呂場で転倒し、しかも実母が住んでいた部屋になぜか姉の息子が住みつき
立ち退きするしないで大揉めしたという経緯もあり、「いっそのことこの家をぶっ潰してやる!」と
70歳を過ぎて家の建て替えを、ローンも組まずにやってしまおうと決意します。

あと何年住めるのか、しかも慣れない家で済みにくくなる可能性あり、
そして揉めている甥の部屋は裁判所ですでに借地権が認められちゃってるので
古い家のまま残さなければいけないという、「なんでそんなにリスクを背負い込むの?」という展開。

立替中に一時引っ越したマンションには、知らない中年女が電話をかけてきて
「私を秘書に雇ってください」と押しかけてくる展開。
もう、明らかに電話での最初の2~3の会話のやり取りの段階で、頭のおかしい人物だと見抜けるのに、
なぜか怒りながらも長電話をしたうえ、秘書の面接までやってあげて、しかも新居への引越しの
手伝いに来ることを了承してしまうという謎展開。
そりゃ、中山あい子氏も、匙を投げますわな。

変な人って、この人なら相手をしてもらえそうだ、と見抜く能力が高いんですかね。
まぁ、でも、著者のエッセイを読んでたら、変な人を呼び寄せる人だとわかるから
安心して寄ってくるのかなぁ(苦笑)。

有名作家さんで私自身の人生とは交差しない人だから、
あはは、と笑っていられますけど、自分の母親だったり、仕事の関係者だったりしたら
「いい加減にしなさい!」って怒ってしまいそう。

でも、「こいつは変な奴だぞ」と認識しても、ずるずると会話を続けてしまうから
著者は変な騒動に巻き込まれていくわけで、「変だぞ」と気づいたところで
きちんと切り捨てることが出来たら、リスク管理は十分なのかなとも思えたり。
変な人に近寄られないように気を付けないと・・・・・と思いを新たにする読書でした。

あと、やっぱり、著者の娘さんは、思い付きで動物を買ってくるから
苦手だわ・・・・・・。




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『我が老後』
- 2023/01/07(Sat) -
佐藤愛子 『我が老後』(文春文庫)、読了。

ご長寿作家さん、エッセイの中に「私は68歳」と出てくるので、
今から30年も前に書かれたものです。

家で飼っているショボクレ犬・チビの話から始まりますが、老いて見た目が悪くなり、弱ってきたかと思いきや
食欲も色欲も衰えないばかりか本能むき出しとなり、その姿を見せられて著者はイライラ。

庭から家に上がり込んでいるのを見つけると追い出そうと必死になり、
時にはスリッパで叩いて罰を与えたりします。
愛犬家の方が読んだら「何やってんだ!!!」となっちゃいそうな犬との接し方ですが、
私は、こういう昔気質なペットとの接し方の方が好感持てます。
人間と犬は違うんだという線を引くことは、重要なんじゃないかと思ってます。

このショボクレ犬だけに厳しいのではなく、インコのピーにもプーにも厳しく、
著者の中に「人間と動物は違う」という本質的な理解が太く貫かれているように感じられました。
(最後にやってきた犬のグーにだけは甘かったのは理由が良く分かりませんでしが・・・・)
今は、「ペットも家族の一員」とか「自分の子供」みたいなことを言う人が多く、
ちょっと甘やかしすぎだし、人間という種としての自我が崩壊しているんじゃないの?と
私は懸念を覚えてます。

そして、動物に向けての目線だけでなく、娘が生んだ孫に対しても
「私を『じいさん』だと思え」というように、「一切世話の手伝いはしない!」と宣言しており、
自立した生き方を好む人なんだなと好感を持てました。

一方で、その対極にいるかのような娘さんについては、私は結構厳しい感想を持ってしまいました。
そもそも、自分が飼えなくなったからといってインコ2羽を母親に押し付けたり、
ペットショップで一目惚れしたからと既に2匹も犬がいるのにさらに買ってきたりとか、
動物の命や暮らしへの尊重が感じられない軽い判断と行動が苦手です。

まぁ、ペットショップという業種が経営を成り立たせていくには、
こういう思い付きと勢いで動物を飼ってしまう人が一定数存在してくれないと困るんでしょうけど。
昔のエッセイだから炎上してないですけど、今、このエッセイをブログ記事として発表したら
即大炎上コースかと思います。

正義を押し付ける今のネット警察のような人々は行きすぎだと思いますが、
でも、動物の命や暮らしについては、もうちょっと慎重に考えてほしいですね。




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『ああ面白かったと言って死にたい』
- 2019/05/12(Sun) -
佐藤愛子 『ああ面白かったと言って死にたい』(海竜社)、読了。

徳ちゃんがラジオで何回か取り上げている作家さんだったので
ブックオフの50円ワゴンに入っていた本作を買ってみました。

私自身、過去に一冊しか著作を読んでいないので
どうというイメージが固まっていない作家さんです。

「箴言集」は、これまで何冊か読んだことがありますが、
「もっとまとまった文章で読みたい!」と、消化不良感で終わってしまうことが多く
相性が良くないジャンルだったのですが、
本作は素直に読めました。

多分、著者に対するイメージがない状態で読んだので、
その文章をすんなり読めたのかなと思います。

最初の印象は、読みやすいメリハリのある日本語を書く人だなということ。
数行の文章でも、すっと意味が通って、腑に落ちる感じです。
結局、「もっとまとまった文章で読みたい!」とは思ったのですが(笑)、
言いたいことはスッキリ伝わってきたので、消化不良感は少なめでした。

著者の人生観というか、判断基準は、結構クールで
「世の中こんなもんだから文句言ったってしょうがないじゃない」と
受け止めているような印象を受けました。
自分にも他人にも厳しいような。
でも、潔さを感じる厳しさのような気がします。

一度きちんとエッセイを読んでみたいなと思います。




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『ソクラテスの妻』
- 2016/05/19(Thu) -
佐藤愛子 『ソクラテスの妻』(中公文庫)、読了。

タイトルが気になって買ってみましたが、
うーん、なんだか難しかったです。

佐藤愛子さんという作家さんについては、
エッセイが有名ということぐらいしか知らなかったのですが、
小説から挑戦したのは、ちょっと早まったかもしれません。

ダメ夫について妻の目から厳しく非難を投げかけていますが、
なんでそんな男といつまでも一緒に居るのだろうか?と思ってしまうと
話の世界についていけませんでした。

物語が書かれた当時は、今ほどに離婚ということが
簡単にできる時代ではなかったということなのかもしれませんが、
主人公の妻がマゾヒスティックなのではないかと思えてしまい
共感できませんでした。

作品としては、表題作とは一線を画した「加納大尉夫人」が
面白かったです。


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