『参謀は名を秘す』
|
- 2022/09/05(Mon) -
|
童門冬二 『参謀は名を秘す』(日経ビジネス人文庫)、読了。
藤沢作品、パンク侍と時代物を読んできたので、 積読の中にあった現実世界の歴史ものということで、本作を手に取ってみました。 戦国武将のもとに使えた、いわゆる「参謀」と呼ばれる人物について 何人かにスポットを当てて紹介しているのですが、 そのスポットの当て方が、普通の歴史物とは異なります。 「戦国代の名参謀」と言うと、パッと思いつくのは、 山本勘助、黒田如水、真田幸村あたりが頭に浮かびますが、 著者はこれらの人物をバッサリ斬って捨てます。 理由は、「負けたから」。 彼らに共通するのは「絶対的忠臣」「部分的勝利」「豊かな人間性」「悲劇的な最期」と 著者は分析していますが、まさに日本人好みの「判官贔屓」に当てはまるということなんでしょうね。 著者が言う「名参謀」とは、「信長の天下統一の思想を授けた」「家康の政権運営能力を育てた」 「大政奉還の下絵を描いた」など、実際に日本の国造り、国家運営を行った権力者に 大きな思想的影響を与え、実際に行動に移させた人物ということです。 そして、そういう人物は、信長や家康や慶喜の偉大さの陰に隠れて表舞台には出てこない。 この解説と評価には納得しました。 信長、家康、慶喜のそれぞれの人物が持つ能力や人間性がずば抜けて優れているのはもちろんですが その能力を伸ばしたり、人間性を深めたりするところに作用する思想的支柱は居たと思いますし、 また、そういう優秀な人物に元には、優秀な人物が集まってくるという効果もあると思います。 信長の優秀さが先か、沢彦の優秀さが先か、鶏と卵のような難問ですが、 優秀な者同士は引き寄せ合うんでしょうね。 忠臣蔵のエピソードだけは、なんだか本作に不釣り合いなように感じましたが、 まぁ、ご愛敬。 あと、ふと著者プロフィールを見たら「東京都庁 広報室長、企画調整局長、政策室長など歴任」 と書いてあって、「なんと凄い能吏なんだ!」とびっくりしました。 過去に何冊か著作を読みましたが、初めて知りました。 著者の視点に納得することが多いのは、ビジネスマン的な感覚が自分と似てるのかもと思いました。 優秀さの面を著者から学びたいわ~。 ![]() |
『人生で必要なことはすべて落語で学んだ』
| ||
- 2015/09/01(Tue) -
| ||
童門冬二 『人生で必要なことはすべて落語で学んだ』(PHP文庫)、読了。
二番煎じ、三番煎じ丸出しのタイトルですが、内容は面白かったです。 冒頭、自分の講演会についての聴衆の反応として 「まるで落語を聞いているよう」「生粋の江戸弁に誠意的な快感を覚えた」と、 ガッツリ自画自賛で始まったので、こりゃ大丈夫かな?と不安になりましたが、 中身は、ちゃんとした落語を材料にしたエッセイになってました。 人生論という壮大なテーマを掲げてしまっているせいで、 やや落語のストーリーからこじつけの結論になっているものもありますが、 自分が聞いたことのある噺が登場すると、「そうそう、そういう展開なのよね~」と うなずいてしまいます。 人生とか、難しいことを考えるのではなく、 落語は純粋に笑い話として楽しめれば、それで良いじゃないかというのが この本を読んでの私の最終的な感想です。 また、時間が出来たら寄席に行こうっと♪
![]() |
||
| メイン |
|