『京都花の艶殺人事件』
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- 2022/12/13(Tue) -
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山村美紗 『京都花の艶殺人事件』(徳間ノベルズ)、読了。
お気楽読書に山村作品。 銀座から京都のクラブに移ったホステスの主人公。 売れっ子として多くの客からアプローチを受ける中、簡単にはOKしないことで 自分の価値を釣り上げていくという戦略家です。 そんな主人公が勤めるクラブの同僚ホステスが客の別荘で死体で見つかる。 その前には、当該の客自身もホテルで死んでいるのが見つかり、 客との関係で悩んでいたホステスが客を殺して自殺したという見立てとなりますが、 この話はそのまま置き去りになってしまい、特に誰も真相を探ろうとしません。 (まぁ、現実の社会では警察に任せて自分の生活を送るというのが普通でしょうけど) 主人公は、東京時代からの客、京都に移ってからの客、新しく表れた客候補など いろんな男を相手に、いかに自分を高く売るのか知略を巡らせる物語が展開されます。 あ、これは推理小説ではなく、お水業界のお仕事小説なんだな・・・・と思ったら、 筋書きはそんなに気にならなくなりました。 東京に本社がある大企業の社長、大阪や京都に本社がある中堅企業やローカル企業の社長、 地元選出の代議士、有名な大臣クラスの代議士、それぞれに対して、ホステスという立場の人が どういう打算的な計算をして、どういう策略をはかって目的を達成しようとするのか そういう手練手管が知れて面白かったです。 他の作品でも、同じような感想を書いたことがあるのですが、 著者はお水の世界に関してしっかり描写しますよねー。 この業界には職場としてもお客としても触れたことが全くないので、 その描写が正しいのかは判断できないですけど。 男の人が本作を読んだら、「しっかり描いてるな~」と感じるのか、 「誇張し過ぎだよ~」と感じるのか、聞いてみたいです。 ![]() |
『京都清水坂殺人事件』
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- 2022/04/07(Thu) -
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山村美紗 『京都清水坂殺人事件』(講談社文庫)、読了。
ワクチン休養で大掛かりな御手洗作品をちょうど読み終わったあたりで、 解熱剤が利かなくなってきたのか、37度台から再び38度台に体温が上昇し、 38.8度まで上がってしまったので、さすがに気分ぐったり。 で、頭を使わずに読めそうな山村美紗作品へ(苦笑)。 清水焼を製造販売する店の店主が正月明けに殺され、 同業者仲間の新年会に向かう途中だったということで同業他社を巻き込んでの 犯人探しがスタートします。 京都の工芸品の関係者の世界が覗けて、こういう業界なのかぁ・・・・という お仕事小説的な面白さは若干ありましたが、 推理展開が、刑事部屋であーでもない、こーでもないと空想をたくましくしているだけで なかなか真相に近づいていかないので、ちょっとうんざり。 まぁ、こういう作品なんだとは思いますが、 熱っぽい頭で読むには、爽快感が足りませんでした。 ![]() |