『皇室へのソボクなギモン』
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- 2022/04/25(Mon) -
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竹田恒泰、辛酸なめ子 『皇室へのソボクなギモン』(扶桑社文庫)、読了。
明治天皇の玄孫と、皇室ウォッチャーのエッセイストの組み合わせなので 軽い本だろうなとは予想していましたが、想定以上に内容が薄くてガッカリ。 辛酸なめ子さんが紀宮様のファンで、そこから皇室ウォッチャーになったというのは 以前に読んだエッセイで知っていたのですが、皇室への敬意は持っているのでしょうが、 彼女の場合、基本的に芸能人を見るようなまなざしで皇族を見ているので、 本作における質問も、下世話なものが多いというか、そんなこと知ってどうするの?という あんまり目的が理解できない質問が多かったです。 「普段は何を着ているの?」とか、「どんなご飯を食べているの?」とか まぁ、皇室に関する対談の入り口部分で、会話の場を温めるために質問するというなら それは理解できるのですが、延々こんなレベルの質問が繰り返され、竹田氏からは 「それは分かりませんが・・・・・」という回答が頻出するのは残念です。 竹田氏は、旧皇族の家に生まれているので、先日のブルデューの分析で言うと 「身体化された文化資本」として皇族らしいふるまいを子供の頃から躾けられていると思います。 生まれた時には実家は皇族ではなくなっていたとはいえ、 やはり代々受け継がれてきた家の文化というものがあるでしょうし、 皇族らしいふるまいを身に付けることが自分のブランド化にも役立つのですから。 しかし、では、現在の皇室と日常的に密接な関係にあるかというと、 そりゃ一般人よりは皇族の方と近しい関係に居るでしょうし、お会いになる機会もあると思いますが かといって、ふらっと皇居に入れるわけではなく、やっぱり一民間人という扱いだと思います。 だから、今の天皇家の方々がどんな日常生活を送られているのかということを 見聞する機会はほぼないと思われ、そんな人に向けて辛酸嬢がミーハーな質問を ぶつけるというのは、企画倒れな気がします。これは出版社が悪い。 竹田氏は当然、天皇家や皇室についての深い知識をお持ちですが、 それは自ら勉強して得られた「制度化された文化資本」に近いのではないかと推察します。 そういう点で、旧皇族の家系としての知識というよりは、天皇制度研究者、 天皇制度の広報者としての立場で獲得した情報・技術体系だと思います。 だから、竹田氏は、こんなミーハーな書物に関わっていないで、 もっと深い考察を世に送り出す仕事をしてほしいと思います。 その際に、世論を沸騰させたり議論を巻き起こしたりするために 意図的に過激な物言いをするのは、戦術としては、まぁ理解できるので、 地上波や保守系チャンネルでの竹田氏のブラックジョークは一定水準までは ありだと思いますが、こういう軽いだけの本は、他の皇室ウォッチャーというポジションの 芸能ネタとして皇室ネタを扱っている人々に任せてしまえばよいのに・・・・と思いました。 ![]() |
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