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『勝者の組織改革』
- 2021/12/22(Wed) -
二宮清純 『勝者の組織改革』(PHP新書)、読了。

野球、サッカー、相撲、マラソンなど、日本のスポーツ界で人気のあるスポーツの
特に「組織」面にスポットを当てた本。

純粋なアスリートとしての能力をどう引き出すかという組織論というよりは
興行面も含めた、スポーツ産業の成長と、競技そのものの技術の向上をどう両立させていくか
そういう観点で語られていて面白かったです。

また、現在の各競技団体に不満を並べるだけでなく、
著者なりの具体的な改革案も書いてあり、
例えば、プロ野球の外国人選手の枠数について、メジャー実績のないアジア人選手は
外国人の枠外とし日本人と同様に扱うというような提案は、
一度やってみてほしいなぁと思いました。

今年、コロナ特別ルールで外国人枠とかは通常よりも緩い運用になっていましたが、
その枠をどう活用するかに各球団の戦略の上手さ、下手さも露になって、私としては面白ったです。
まぁ、野球そのもののプレイというよりは、フロントの能力の問題なので、
野球だけに特化して楽しみたい人には受け入れにくい提案かもしれませんが。

ビジネスマン目線で読んでみても、学ぶところの多い本だと思います。
リーグで優勝する、オリンピックで金メダルを取る、そういう最終目的に対して
組織としてどういう戦略と戦術で立ち向かっていくのかという事例を
誰もがイメージしやすい人気スポーツで解説してくれるので
分かりやすい組織論の入門書になると思います。




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『簡単に、単純に考える』
- 2021/11/02(Tue) -
羽生善治、二宮清純、平尾誠二、金出武雄 『簡単に、単純に考える』(PHP文庫)、読了。

将棋の羽生さんが3人の人物とした対談の記録。

まずは二宮清純さん。
2人の発言から視点の違いが感じられて、
将棋とスポーツは、違うものなんだなということが際立った印象です。
対談として相乗効果があったかというと微妙な感じでしたが、
どちらかというと、二宮清純さん自身の哲学について、羽生さんを話し相手にして
読んでみたような感じでした。対談というよりは二宮論。

続いての平尾誠二さんは、正直、二宮さんから二人続けてスポーツ界だったので
この人選はイマイチだなぁ・・・・と。
しかも、今のラグビー熱が盛り上がる前のラグビー日本代表の監督さんなので
今読むと、ちょっとひと時代昔の感じがしてしまい、あんまり内容に入り込めず。

最後の金出氏は工学博士ということで、こちらは毛色が違って面白かったです。
名人とコンピュータとの将棋対決の話は、
羽生さんのような立場の人は避けて通れないテーマだと思いますが、
そのコンピュータ側の考え方や戦略を語れる人が出てくると、
議論に厚みが出て面白いですね。

将棋というゲームのルールというか仕組みを
どうやってコンピュータの中に再現させるのかというところが特に面白かったです。
素人だと、各駒の動きのルールを組み合わせていくのかなと思っていたのですが、
盤面の各マスにどの駒がどちらの方向を向いて、どちらの面が上を向いているのかという
8駒×2名×裏表&駒がないという8×2×3パターンで考えるというのが
そもそもの空間認識の軸の置き方が違っていたので新鮮でした。

将棋はチェスと違って、取った駒を自由に使える点で、
パターン分析が非常に複雑になるというのは、素人目にもすぐにわかることですが、
そもそもコンピュータ上で盤面を再現する考え方が分かって興味深かったです。

コンピュータのような頭脳を持つ羽生さんと、
人間の頭脳をコンピュータの中で再現しようとする工学博士の対比は
もっと詳しく読みたいなと思う内容でした。




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『勝者の思考法』
- 2011/02/01(Tue) -
二宮清純 『勝者の思考法』(PHP新書)、読了。

山際エッセイのおかげで、最近、スポーツものが気になります。
その前に一橋フォーラムを受講したことや、
ひいては徳ちゃんの影響もあるかもしれません。

二宮清純氏は、CXのスポーツ番組でよくお顔を拝見するので
存在を認識はしていたのですが、実は、その解説など意識して聞いたことが
ありませんでした。

本作を読んで感じたのは、解説者としての視点が非常に高くて視野が広いこと。
解説者ではなく、スポーツジャーナリストという肩書もうなずけます。

ワンプレーの解説もできるし、
ある選手を語ることもできるし、
あるスポーツの将来も描くことができる。
この自由自在の視点が、面白かったです。

山際作品は、ある人物個人にスポットを当てるのに対して、
二宮作品は、そのスポーツの構造の方にスポットを当てるのが得意なのかなと
本作一冊を読んだ限りでは感じました。

この著者の他の作品も読んでみたいです。
そして、他のスポーツものの本にもガツガツ挑戦したいです。






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