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『伊香保温泉殺人事件』
- 2021/12/21(Tue) -
吉村達也 『伊香保温泉殺人事件』(実業之日本社文庫)、読了。

いつ買ったのか記憶がないほどの積読作品。
志垣警部と和久井刑事の温泉殺人事件シリーズの一冊のようです。

昼休みの合間に2人で考えたいろはかるたの内容で応募した
「全国湯けむりかるた」創作コンテストで、最優秀賞を取って商品化されたところから
事件に巻き込まれていきます。

序盤は、あまりにもこの刑事コンビのグダグダな軽量会話が続き、
「あー、やっぱり吉村達也作品は合わないのかぁ・・・・・」と思いましたが、
殺人事件が起きて、捜査が始まったら、結構、面白く読めました。

大手物流会社の跡継ぎ3兄弟が、社長の父親に黙って
新事業として画策していたスパ&レストラン事業のコンセプトが
「意外とこれ、リアル世界でやってみたら成功するんじゃないの?」と思えてしまうレベルで、
さすが一橋商学部(苦笑)という感じ。
それまでの刑事コンビの軽さとのギャップが凄すぎて、逆に面白かったです。

そして、殺人事件の捜査、推理において、意外とこの刑事コンビが真面目に取り組んで
そんなにドタバタしないので、中盤から落ち着いて読めました。

事件の真相は、まぁ、こういうキャラクター設定にしているなら
それはありなのかなぁ・・・・という感じで、小説だから許容できるオチかなぁというレベルでした。
腑に落ちるかと言われれば微妙だけど、この一族ならありかなぁという。

読み始めたときは、吉村達也作品はもう無理だなぁ・・・・・と感じてましたが、
読み終わってみたら、この刑事コンビシリーズはもうちょっと試してみようかなという気になりました。

あと、本作の解説で、著者は若くして病で亡くなられたことを知りました。
合掌。




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『それは経費で落とそう』
- 2020/09/15(Tue) -
吉村達也 『それは経費で落とそう』(集英社文庫)、読了。

なんとなく山田作品から経理つながりで読んでみました。

著者の作品は前に一度読んだ時の印象があんまりよくなかった
ので
本作も怖々読んでみたのですが、やっぱりダメでした(苦笑)。

サラリーマンの日常生活における
結婚とか浮気とか昇進とか経費のごまかしとか、まあそういう小さい話の短編集なのですが、
携帯電話がない時代の話なので、今の世の中で読むとリアリティが想像できなくなってしまってます。

とりあえず、主人公に自分勝手な人が多いので、共感はできません。
経費のごまかしのテクニックとか、非常に古典的なもので目新しいものはないので
学ぶべきところもありません。

「こんな作品のレベルで良いのか?」と疑問が湧いてしまいましたが、
著者プロフィール見たら大学の先輩だった(爆)。




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『家族会議』
- 2016/04/17(Sun) -
吉村達也 『家族会議』(集英社文庫)、読了。

お初の作家さんですが、タイトルに惹かれて買ってきました。

息子が小学生になったのを機に
家族会議を開いて、子供たちに意見を言う練習をさせようとするシーンから始まります。

一見、教育熱心な父親の姿のように見えますが、
その実、先の展開をあまり考えていない中途半端さが
いかにも・・・・な感じのイマドキの意識高い系風な主人公。

しかし、子供たちの反論に遭い、あえなく撃沈。
ここらの物語展開とか、作品と著者の距離感とかが、
何となく清水義範作品を彷彿とさせます。
ただ、その距離感で笑わせるというよりは、小説としての体裁の方を気にしているような印象です。

第2幕で妻の死という急展開を迎え、「家族」は4人のままなれど、
亡くなった妻の母親が乗り込んできて、一緒に生活することになりますが、
そこからの主人公の思考の展開がなんとも急というか軽薄というか。
ま、最愛の妻の死という状況において、思考回路が麻痺しているということなのかもしれませんが、
この物語展開のために、主人公に共感できませんでした。

共感できず、かといって清水作品のように物語の世界を突き放して描写するのでもなく、
どっちつかずなまま物語は最終幕へ。

この混乱した生活に、主人公はどういう結論をつけるのかしら?と思っていたら、
まさかのエンディング。
え・・・・・物語は閉じたけど、何の問題解決にもなってないわ(苦笑)。




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