『新編 銀河鉄道の夜』
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- 2021/12/12(Sun) -
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宮沢賢治 『新編 銀河鉄道の夜』(新潮文庫)、読了。
積読になっていた宮沢賢治作品。 前に読んだ岩波文庫版と少し収録作は被ってましたが、楽しく読めました。 表題作の「銀河鉄道の夜」。 小学校にあがるかあがらないかぐらいの時に、映画化されて、 地元の教育文化会館で行われた子供向けの上映会に、いとこのお母さんが連れて行ってくれました。 それまで、映画を見たことなんて、たぶん、1~2回しか経験がなかったので、 映画を見た後は、しばらくの間、映画の頭に残ったシーンを何度も何度も思い浮かべて 楽しんでいたのですが、この映像作品も、宇宙空間を鉄道が真っすぐ走っていくシーンや、 ランプの明かり?ランタンの明かり?が画面いっぱいに散らばっているシーンや、 断片的になんどもシーンを思い返していました。それぐらい印象に残った作品でした。 映画作品になるぐらいだから、原作は長編小説なのかなと思っていたら、 思った以上に短い作品でした。 そうか、童話なんだ・・・・とようやく気付きました。 原作を読みながら、私の頭の中では、 青いジョバンニと赤いカンパネルラが動いてました。 そして、映像も美しく私の脳内で再現されていました。 また、収録作品の中で一番印象に残ったのは「猫の事務所」。 猫のための歴史と地理の情報を扱う事務所で、猫から問い合わせがあると帳簿で調べて回答するという仕事。 所長以下、4匹の猫が働いていますが、主人公のかま猫は末端職員。 先輩の白猫、虎猫、三毛猫は、仕事の端々でかま猫をいじめながら過ごします。 そう、賢治作品って、結構、悪意が登場しますよね。童話なのに。 それこそが人間社会の本質のような気がします。 きれいごとでは生活できな、ドロドロした感情の世界。 それが、勧善懲悪ではない方法で処理されていく世界。 宮沢賢治が大人でも面白く読めるのは、そういうところを描いているからなのかなと思います。 ![]() |
『賢治の学校』
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- 2020/11/06(Fri) -
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烏山敏子 『賢治の学校』(サンマーク出版)、通読。
近所のおばちゃんがくれた本。 私は宮沢賢治の作品をほとんど読んだことがないので、 宮沢賢治という人物について概要がわかるかなと思い読んでみました。 が、冒頭、「この二年近く、ほとんど自宅に帰れない状態で日本全国を東奔西走している私にとって」 という文章で始まったので、「ありゃ、思想・活動系の内容かしら?サンマーク出版だし・・・・」と ちょっと警戒感。 ただ、本文が始まれば、宮沢賢治が教師として子供たちにどのように接してきたかの描写から始まり、 賢治の考え方、生き方が解説されていきます。 実際に教え子だった人の思い出から賢治の姿を描いていくので、 その生き生きとした様子は印象に残りました。 途中で、賢治の詩作や文章を引用し、その思想観・世界観を見せていきます。 ただ、賢治作品に慣れていない私にとっては、 引用の分量ではその世界観にいきなり馴染むことが難しかったです。 もう少し、賢治作品を読んでから本作に当たれば、もっと共感しながら読めたかなと思います。 最後は、賢治の世界観を現在の教育界にどう実現していくかという 著者の思いや活動の紹介になったので、そこはすみませんが読み飛ばしました。 私が今まで宮沢賢治作品に触れてこなかったのは、 もしかすると、少し思想性が強すぎる気がして、無意識のうちに遠ざけていたのかもしれません。 ![]() |
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