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『一所懸命』
- 2021/09/13(Mon) -
岩井三四二 『一所懸命』(講談社文庫)、読了。

著者の作品は3冊目。
いずれも時代小説ですが、ストーリーテリングが弱いなどの印象を持っていましたが、
本作を読んで、理屈っぽいんだなぁ・・・・と思ってしまいました。

その場面をどう生き生きと描くかよりも、その場面の歴史的な正確さを書き込むことに
勢力を注いでいるような印象を受けました。
なので、戦国時代のエネルギー溢れた時代を扱っているのに、ちょっと理屈っぽさが目立つのかなと。

本作は、戦国時代の武士たちを扱った作品よりも、
商人や公家が登場してくる話の方が、目新しさで興味深く読めました。

戦乱の世に、商人たちはこうやって命を懸けて商売していたんだなとか、
秀吉の力で戦乱がいったん収まった後に、日陰の公家はこうやって落ち延びながら生活を
していたんだなとか、そういう景色が見えて面白かったです。

「となりのお公家さん」では、そんな公家の様子が印象に残りますが、
主人公の大工の男の、自分の仕事に対する真面目なプライドに共感でき、
小説の最後の締めくくりに、良い気持ちになれました。




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『難儀でござる』
- 2013/10/10(Thu) -
岩井三四二 『難儀でござる』(光文社文庫)、読了。

さてさて、ここ数か月は、ビジネス書を中心に読んできたので、
秋の読書シーズンとして、フィクションに舵を切りましょうか。

まずは、お気楽に読めそうな歴史モノから。

信長や家康といった歴史に名を残す人物の下で働く者、
もしくは、彼らに包囲されて身動きが取れなくなってしまった陣営で働く者、
そういった環境下におかれて右往左往する男たちの物語です。

下で働く者なので、どうにも決断力がなくて、うじうじ考え過ごします。
その結果、追い詰めらて、とんでもない行動に出てしまったり・・・・。
書き損ねるとイライラする話になってしまうのですが、
筆者による描写に、なんとも愛情があるのです。

最後、難儀な状況を乗り越えて、なんとか温かなエンディングになるものが半分、
客観的に見れば厳しい現実ではあるものの、ほっとする一文が差し込まれているものが半分。
どちらにも筆者の温かな眼差しが感じられます。

フィクション再開には、お手頃な作品でした。


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『踊る陰陽師』
- 2013/02/15(Fri) -
岩井三四二 『踊る陰陽師』(文春文庫)、読了。

なんとなくタイトルで買ってきた一冊。
室町時代末期の京都を舞台に、貧乏公家に勤める青侍の周りで起こる出来事の短編集。

タイトルから、勝手に、陰陽師が主人公の物語だと思ってました。
なのに、登場した陰陽師は、父と兄の相次ぐ急死で急遽継いだという半端モノ。
当然、大した技は持っておらず、「これで話が続けられるのかなぁ」と心配してたら、
一話で出てこなくなりました(苦笑)。

この陰陽師の相手をしていた青侍が主人公だと分かったのですが、
イマイチ、キャラが立ってないんですよねー。
その上司のお公家さんもまた、押しがイマイチ。

1つ1つの物語も、あんまりヤマがないというか、
ストーリーテリングの妙を楽しめなかったのが残念でした。


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