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『嵐のピクニック』
- 2021/06/17(Thu) -
本谷有希子 『嵐のピクニック』(講談社文庫)、読了。

だいぶ前に読んでいたのですが、バタバタしてて、すっかりBlog投稿を忘れてました。
散らかった部屋を片付けたら、書類の下から出てきました(苦笑)。

で、時間がたってるため、感想をあんまり覚えていない・・・・・(爆)。

本谷作品って、結構、苦手意識が先に立ってしまっているのですが、
本作は短編集であり、しかも全体のページ数も少なさそうなので
印象変わるかな?と思ってチャレンジ。

冒頭の作品「アウトサイド」で、早速ちょっと印象が変わりました。
習い事のピアノの時間が嫌で、ピアノ教師に反抗的な態度をとる主人公。
そんな子供を相手に、優しく丁寧に教えてきた先生が、一瞬見せた恐ろしい行動。
冷っとしますわ、人間の狂気に。
凶行の後の描写をあっさりと終わらせるので、いろいろ想像してしまいました。
余韻を強く感じる作品でした。

そのあとに続く作品たちは、合うもの、合わないものありましたが、
短い文章でサクッと終わるので、合わなくても、苦手な印象を受けるものは少なかったです。

個々の作品の感想については・・・・・あんまり覚えてないのでご容赦。




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『生きているだけで、愛。』
- 2021/04/11(Sun) -
本谷有希子 『生きているだけで、愛。』(新潮文庫)、読了。

ブックオフで発見。
「読みたい本リスト」の中にあったので買おうと手に取りましたが、
裏表紙に「芥川賞候補」と書いてあり、「う、私と相性の悪い芥川賞・・・・・」と若干躊躇。
ま、でも、読まず嫌いはいかんかと、買ってきました。

お話の主人公は、25歳、無職、同性相手の家にひきこもるメンヘラ女子。
鬱期に入って、部屋から出られなくなり、同性相手に無理難題を吹っ掛ける自分を
冷静に自虐も含めながら描いています。

鬱になると、こんな感覚に陥るのか、こんな風に世の中が見えてしまうのか、と
その世界の見え方については興味深く読みました。

でも、やっぱり、感情が不安定な人が繰り出す理屈は苦手。
頭の固い私にはその突飛な感情の揺れが理解できないので、
共感ができないんですよねー。
これは、作品がとか、文章がとか、そういう作家側の問題ではなく、
私の感性の問題だと思います。

なんで、こんな行動をしちゃうんだろう?
なんでこんなに突飛なんだろう?と頭で思ってしまうので、
メンヘラという状態というか、症状というか、そこに気持ちを寄り添えないんですよね。
・・・・・・冷たいわ、自分。

たぶん、自分がそうなってしまうことが恐怖で、
そういう人の物語を遠ざけようとしているのだと思います。
いつか素直に読めるようになるのかなぁ・・・・。




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『異類結婚譚』
- 2020/07/18(Sat) -
本谷有希子 『異類結婚譚』(講談社文庫)、読了。

著者の作品は2冊目です。
前作では、グアムという明るい土地を舞台に、女3人を中心とする家族のドスグロ旅だったわけですが、
本作は夫婦関係が主題です。

「ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた」という冒頭の一文は
秀逸な導入だと思いました。
しかし、主人公の妻目線で語られる夫の描写が不気味で気持ち悪く、生理的にダメでした。

最初は、外面が良くて、家の中では横柄なタイプの人なのかなと思っていたのですが、
近所の女性とトラブルになった時に(この女性も変わってるのですが)、
途中から対応を妻に丸投げして、しかも終わってから妻に文句を言うという流れに、
「え、何この人!?」という嫌悪感が先立ってしまい、以降、敵視しながら読んでしまいました。

後半になるにつれて、この夫が妻に対して
「サンちゃんも俺とおんなじでしょ。本当は何も考えたくないのに、
 考えるふりなんかしなくって、いいじゃない」と言い放つのですが、
それに対して何も言い返せない妻に、私は、「似たもの夫婦なんかい!」と
妻にも敵視感覚が芽生えてしまい、共感要素ゼロになってしまいました。

途中で、猫捨てのエピソードが入ってきて、
群馬の山中に行ったあたりから、物語全体がふわふわと異世界に入っていったような感覚で、
旦那も妻も猫の飼い主も、みんな、この世に存在している人たちなのかしら?と思えてきましたが、
それを差し引いても、人間の気持ちの悪い部分が見えてくる作品で、苦手でした。

併録されている作品も、夫が藁で出来ていて、「なんで私は藁なんかと結婚したのかしら?」と
悩む妻など、正直、意味不明な世界観が続き、それが人間の明るい部分と繋がっていたら読めたのですが
人間のドスグロい部分とか、嫌~な部分とかに直結している描写だったので、
読み進めるのが辛かったです。

解説で斎藤美奈子氏が言うには、著者は「こじらせ女子」をリアルに描ける作家らしいのですが、
ダーク側にこじらせている作品には、ちょっと近づきたくないなぁと思ってしまいました。
3冊目に手を伸ばすか、悩みどころです。




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『グ、ア、ム』
- 2018/01/10(Wed) -
本谷有希子 『グ、ア、ム』(新潮文庫)、読了。

北陸出身の姉妹。
姉は東京でフリーターをしながら同棲、
妹は地元の信用金庫に就職したものの大阪勤務。
自由奔放な姉と堅実派の妹はそりが合わず、
その間で母親が右往左往。
この3人がグアム旅行に行くなんて、無理無理(笑)。

そもそも、その旅行を計画したお父ちゃんが愛嬌あるキャラで笑ってしまいます。
娘たちの不仲もものともせず、常にボケ倒しの愛すべき父親。
母親との会話も、姉妹との会話も、力が程よく抜けてて軽妙。
こういう父親が居るからこそ、両極端な姉妹が生まれてしまうのかも。

そのグアム旅行は、行く前から妹は歯が痛いだの、
母は生理になって海に入れないとか、着いたら雨が降ってるとか、
もう散々な出来。
海でワチャワチャ遊べてれば、喧嘩する暇もないだろうに、
グアムで室内に閉じ込められるという環境では、ぶつかってばっかり。
地獄ですな。

姉の我儘ぶりに、読んでるこちらもイラっとしそうになるときに、
お母さんや妹が何とか気を持ち直してフォローに入るという、
変なチームワークの良さを見せて、こちらも無事に読み進められます。

何だかんだで3人のバラバラな気持ちが揃いそうになる終わりを迎えますが、
冷静に考えると、そもそも何で親父はこの旅行を企画したんだ?という
唐突感がムクムクと湧いてきます。

でもね、そのアンバランスな感じがこの家族にはお似合い。
旅行から帰国した後、この姉妹の関係が上手く行くのかはかなり不安ですが、
でも、そういうゴタゴタした感情も含めて、家族だよねーと
思えてしまう作品でした。

嫌な思いをすることがあっても、
一緒にいることを受け入れてしまう相手、それが家族なんだなと思い至りました。


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本谷 有希子

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