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『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
- 2020/10/01(Thu) -
山田ズーニー 『あなたの話はなぜ「通じない」のか』(ちくま文庫)、読了。

タイトルの疑問、ホントしょっちゅう身につまされます。
通じてないと分かった後に、自分の説明の仕方を反芻するのですが、
理論は通っていると思うし、言葉も端的に明瞭に伝えているはずなのに、
なぜか本質の部分が理解されていないというガッカリ感。

それが著者の手にかかると、伝える側の技術不足、想定不足、想像不足ということです。

小論文の指導をずっとしてきた著者だけあって、
「伝える」という目的に対して、どういう技術的な対策があり、
それを徹底して行うにはどんなマインドセットが必要なのかということを
理論的に解説してくれます。

ビジネスマン必読の本だと思います。

そして、これは、日々のコミュニケーションに悩んでいる人よりも、
より高みを目指す人にこそ役に立つんじゃないかなと思いました。
困り果てて悩んでいる人よりも、概ね出来ているけど細かな穴を塞ぎたいと思っている人にとって
隙のないコミュニケーション能力を備える指南書なのかなと。

むろん、著者は前者のような人も対象にしていると思うのですが、
理詰めで指導されると、それなりに出来ている人じゃないとしんどいんじゃないかなと思います。

一方で、自分の失敗体験もふんだんに盛り込まれているので、
「こんなに理路整然とした著者でも悩んでいた時期、間違った方向に進んでいた時期があるんだ」と
ちょっとホッとしてしまう自分が居ます。
著者の場合は、たぶん、かなり高度なところでの失敗談だと思うのですが、
それでも、失敗したら、気づいて、反省して、直せばよいんだということが
端的に理解できるので、非常に勉強になりました。

最初から理路整然とコミュニケーション能力が磨けるだけの力があれば楽ですが、
そうではない平凡な人間も、PDCAをきちんと回せば、いずれより良い方向を見つけ出せて
そちらに一歩ずつ進んでいけるんだという希望が持てる内容でした。

これから、本作の内容を、しっかりノートにまとめて復習しようと思います。




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『理解という名の愛がほしい。』
- 2020/08/05(Wed) -
山田ズーニー 『理解という名の愛がほしい。』(河出文庫)、読了。

先日1冊読んだので、著者の作風がどんなものか分かった上での読書となり、
今回はじっくり腹を据えて読むことができました。

冒頭の「連鎖」というタイトルの文章。
悪意の連鎖を母に向けてしまったが、その母は悪意を周囲に連鎖されることなく・・・・・
という内容の文書でしたが、いきなりグイっと掴まれる感じでした。

悪意の連鎖という事象についても興味深かったですが、
それ以上に、自分と母との間の関係性が変わってしまいそうなぐらいの影響がありそうな
大きな出来事を赤裸々に文章に書いて、読者に開示できることがすごいな、
さすが物書きは自分の人生に対する覚悟が違うなと思ったんです。

ところが、後半の文章の中で、この「連鎖」という文章を書いてから
読者が見られる状態になるまでの間の、編集者とのやり取りの過程を読んだら、
ものすごく著者自身葛藤を感じていたようで、あぁ、鉄人なのではなく生身の人間なんだなと
共感を覚えました。

この人は、1行1行の文章に自分の思いを乗せようと
必死になって文章を書き、削り、加え、飾り、削ぎ、という作業を重ねてるんだろうなと
その真摯な姿勢が伝わってきます。

前回著作を読んだ時は、本人の人生の転機である退社について直接的な描写が無かったので
肝心なところがぼやかされているような印象を抱いてしまったのですが、
本作では同様に具体的な記述はぼやかされてても、モヤモヤを感じずに素直に読めました。

それは、具体的に起きた出来事はあくまで思考のきっかけに過ぎず本質的な意味合いはなく、
その出来事の後に、自分は何を考えたのかという思考の内容が重要なのだということを
私自身が読みながら納得していたのかなと思います。

ほぼ日読者の方とのメールのやりとりも、
著者の目線とは違う角度から意見が入ってきて、より著作の世界観が広がっているように思いました。

重たい思考を描いたまじめな文章なので、いつでも気楽に読める著作ではないですが、
気合を入れて読むと、その分、得るものがある文章を書く人だと思います。




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『おとなの進路教室。』
- 2019/09/14(Sat) -
山田ズーニー 『おとなの進路教室。』(河出文庫)、読了。

全く知らない著者だったのですが、
著者名とタイトル、そして「ほぼ日刊イトイ新聞」の人気コラムという情報から、
ポップでウィットに富んだ大人の人生相談課と思いきや、
著者自身の経験に基づく、結構重たくまじめなお話でした。

著者は、福武書店で進研ゼミ小論文編集長をやってきたというご経歴で、
独立後に「ほぼ日刊イトイ新聞」にて「おとなの小論文教室。」をスタートしたとのこと。

本作のコラムは、福武書店を退職して、フリーでの仕事が安定するまでの間をネタに
大人として自分の人生を選び進んでいくための心構えを語っています。
その言葉にはうなずけるものもあり、自己考察も時間をかけて冷静にしているなと思いますが、
しかし、退職した理由が明快に語られないので、なんだか結構モヤモヤ。

自分の人生の転機については踏み込んで書いていそうで、肝心の部分は触れずにオブラートに包み、
代わりに、読者からのメールで、読者の人生の転換期について解説することで
うまくかわしているような印象です。
結構、ヘビーな時期を過ごしていたような感じは伝わってきたので、
詳しく言いたくないのも分かりつつ、
でも、それをネタに本を書くなら踏み込んでほしかったなあというのが本音です。

あと、進研ゼミで小論文の指導をしていただけあって、
文章は、短い中で簡潔に起承転結があって、さすがです。
小論文を極めると、こんな文章になるんだなという、その文章が良いか悪いかは別にして
勉強の成果として分かりやすい事例だなと思いました。




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