『第四間氷期』
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- 2013/10/18(Fri) -
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安部公房 『第四間氷期』(新潮文庫)、読了。
思いのほかカラッとした感じのSF調の始まり方に、 「あれ?これって安部公房???」「星新一じゃなくて???」 なーんて思っていたのですが、でも中盤からは、やっぱり安部公房でした。 胎児ブローカー、水棲哺乳動物研の話など、 よくよく考えると相当にグロい設定です。挿絵も怖い。 なのに、淡々と進んでいく物語の展開が、逆に不気味さを醸し出しています。 肯定的な未来を認めるか否か、この問いかけは、私には答えが出せませんでした。 正直、この問いに関しては読み飛ばしました。 一次予測、二次予測、・・・、最終予測という 微分積分のような詰め方は面白いと感じましたが、 その結論として何が得られるのかは、私の想像が追いつきませんでした。 もっと落ち着いて読書をしなければいけませんね。
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『R62号の発明・鉛の卵』
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- 2010/05/27(Thu) -
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安部公房 『R62号の発明・鉛の卵』(新潮文庫)、読了。
久しぶりの安部公房でしたが、やっぱり難解。 短編12作品が収められていますが、 特に昭和20年代の作品は、時代の空気がそうさせるのか、 居心地の悪い暗さが根底をなしてます。 「失業」という事態が持つ重苦しさだとか、 肉体を痛めることについての描写の生々しさだとか、 人間の心の荒み具合だとか。 平和ボケの頭では、読んでいてしんどい作品です。 後半の昭和30年代の作品になってくると重苦しさからは解放され、 作品によっては、カラッとした冷酷ささえ感じられるようになります。 個人的には、最後の「鉛の卵」が一番面白かったです。
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『飢餓同盟』
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- 2007/05/06(Sun) -
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安部公房 『飢餓同盟』(新潮文庫)、再読。
大学生のころに読んで、やたらと「面白かった」という記憶のみが残っていたため、 帰京の車中で再度読んでみました。 廃バスの車内で飢餓同盟の連中が頭を寄せ合っているシーンが イメージとして記憶の中にあったのですが、 物語の筋はほとんど忘れてました。 「こんな政治闘争の話が絡んでたんだ・・・」と今更ながら驚いたのですが、 「しっぽの生えた男」「人間メーター」などと やはり不思議な要素も満載で、 「安部公房、やっぱり難しいなぁ」という印象が強く残りました。 ところどことに昔自分が引いた線が残っていて、 人間の浅はかな一面を皮肉交じりにしかし簡潔に描写した一文などに 当時は目が行っていたようです。 昔の自分を垣間見たようで、少し気恥ずかしいものがありました。
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『箱男』
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- 2007/01/25(Thu) -
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安部公房 『箱男』(新潮文庫)、読了。
先週からタクシー帰宅続きで鬱々。 そんな状態でちまちまと本作を読み進めていたのですが、 箱を被って仕事からの逃避を夢見てしまいました。 誰が箱男で、誰が贋箱男? 文章を書いているのは誰? この世界は現実?箱男の妄想?それとも贋箱男の妄想? 虚実入り混じった不思議な世界観で、ちょっと苦手なジャンルですが、 なんとか読み終えられました。 『砂の女』とか『飢餓同盟』のように もう少し小説作品として論理的で起承転結のわかり易い作品が好きですが、 妙に存在感のある箱男の主張は、読み応えがありました。 「箱を被って生活する男」という設定は荒唐無稽ですが、 「箱を被って生きているような男」は、そこらへんにいくらでも居そうです。
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『壁』
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- 2005/12/14(Wed) -
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安部公房 『壁』(新潮文庫)、読了。
筒井康隆から受けたダメージを癒そうと さっそく次の本に取り掛かったのだが、選択を間違えた。 何も考えずにこの本を取ってしまったけれど、 これもかなりシュール。 癒すどころか、傷口に塩。 しかも、筒井作品に続いて、この作品でも グリーンの服の男が登場。 いやぁ~、驚いた。 筒井作品ほどには奇想天外ではなく、 私の理解できる範囲のユーモアだったので、 別なタイミングで読んでいれば、きっと楽しめたはず。 『砂の女』とか『飢餓同盟』とか、面白かったから。 はぁ、失敗した。
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