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『ホテル・コンシェルジュ』
- 2020/04/09(Thu) -
門井慶喜 『ホテル・コンシェルジュ』(文春文庫)、読了。

京都のビジネスホテルのコンシェルジュに、スイートルーム在住の金持ちのボンボンが
いろんな謎を持ち込んでくるという短編集。
お気楽推理ものですね。

設定はそこそこ面白いのですが、
ちょっとキャラクターをユニークなものにするために捻り過ぎかな。
もうちょっとナチュラルな京都の歴史ある家柄のボンボンということにしておいた方が
落ち着いた作品になったのではないかなと。

それと、持ち込まれる謎が、これまた味付けが濃すぎというか設定を捻り過ぎてて
「こんな分けわからん依頼を仕事とはいえ受けるなよ~」と思ってしまいます。

現実味の無い人たちが動いている世界で、
あまり興味が持てなかったというのが正直なところです。

この方は、蘊蓄に近い世の中の仕組みの話をさせると面白いのですが、
小説の語り手としては技量がイマイチなのではないかと思っています。
本作のプロフィール欄に「直木賞受賞」と書いてあったので、「えっ!」と思ってしまいましたが(←失礼)、
審査員の評価を読んでみると、やっぱり私が感じているようなことが書かれている気がします。
他の作品はともかく、直木賞受賞作だけは読んでみようかな。




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『おさがしの本は』
- 2020/03/13(Fri) -
門井慶喜 『おさがしの本は』(光文社文庫)、読了。

著者の本は2冊目です。
まだ著者のイメージが固まっていない状況でしたが、
本作を読んで、前作も踏まえると理屈っぽい作風なのかなと思ってしまいました。

主人公は市立図書館のレファレンス・カウンター勤務の男性。
念願の図書館勤務につけたものの、次第にお役所体質が身に沁みついてしまい
無機質な日々を送るようになりますが、
そこに現れた文学オンチの女子大生のレポート作成を手伝ったことで
「探している本を見つけてあげること」という職務を再度見直すことになります。
そこに、市の財政難から図書館閉鎖の危機も訪れて・・・・・。

この物語を「本探し」の視点で読むと、やっぱり理屈っぽさが目に付いてしまいます。
まぁ、本好きの著者が本について語り始めると理屈っぽくなるというのは
きっと本好きの読者も理屈っぽいだろうから、当然の帰結なのですが。
私もご多分に漏れず理屈っぽいし(苦笑)。

私が本作で面白いと感じたのは、むしろ、「自治体職員とはどうあるべきか」とか
「市議会とはどんな議論が行われている場なのか」というような
行政に関する視点の部分でした。

私も冒頭に「お役所仕事」と通り一遍の表現をしましたが、
お役所仕事をすることによる効率性や公平性の実現という側面もあり
お役所仕事じゃないと「1人にどれだけ時間をかけてるんだ」とか「不公平じゃないか」とか
いろいろ五月蠅い意見も出て来そうです。
主人公が市議会で演説をぶった「市立図書館の存在意義」について、
頭でっかちな議論のようにも感じましたが、でも視点は面白いなと思いました。

その市議会での議論の流れについては、各議員の思惑がわかりやすく解説されており、
一番興味深く読むことができました。

一度、著者には、議員センセの世界を描いてほしいなと思いました。




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『天才たちの値段』
- 2017/04/05(Wed) -
門井慶喜 『天才たちの値段』(文春文庫)、読了。

全く予備知識のない作品でしたが、
ブックオフで目にとまったので買ってみました。

美術探偵が主人公の短編集ということで、
主に美術品の真贋鑑定にまつわる話です。

美術品の歴史的な位置づけや、歴史の中での役割など
興味深い情報が多々ありました。

一方で、小説として考えると、
文章が頭に入って来にくいところがあり、
何度か戻って筋を確かめるという始末でした。
情報を詰め込み過ぎて、また主人公のキャラを作りこもうとし過ぎて、
文章が頭でっかちになってしまっているのではないかという気がします。

美術探偵と女子短大の美術講師のコンビが謎に挑むのですが、
基本的に、美術講師が最初の推理を展開し、
美術探偵が土壇場でそれをひっくり返すという流れで、
美術講師は完全にピエロなのですが、
2段階でプロットを考えるという手間暇は評価できると思います。

続編は・・・・・読むかなぁ?


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