『不肖・宮嶋 死んでもカメラを離しません』
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- 2020/04/05(Sun) -
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宮嶋茂樹 『不肖・宮嶋 死んでもカメラを離しません』(祥伝社黄金文庫)、読了。
フライデー専属カメラマンだった若い修業時代の話を通して、カメラマンの仕事を語り、 またフリーになった後のスクープ写真撮影秘話を通して、カメラマンとしての信念を語る。 非常に面白い本でした。 この人が凄いなと思うのは、 「俺は戦争カメラマンとして人間のエゴを映し出すんだ」とか 「全世界の人に世の中の真実を届けたいんだ」とかいうようなキレイゴトを言わずに、 「みんなが見たいと思う写真、面白いと思ってくれる写真を撮るんだ!」と、本音に素直なところです。 読者が望むものを見せることに命をかけ、知恵を絞る姿が語られています。 ご本人のキャラクター(勝谷さんが作ったキャラクター?)のせいで、 茶化した文章で書いていますが、その裏に隠された努力の部分が凄いなと思います。 東京拘置所内の麻原彰晃の様子を撮影するというミッションでは、 撮影ポイントを探し出すところから、撮影方法の組み立て、そして毎日の張り込みという、 泥臭い部分を紹介していますが、その結果があのスクープ写真であり、 カメラマンなら誰でもスクープが取れるのではなく、知恵と根性の伴った人にしか取れないんだろうなと。 そして、これだけの努力の結果、スクープが撮れたら報われますが、もちろん撮れないことも。 紀子様の御成婚パレードのくだりで失敗談が語られていますが、 御成婚パレードで失敗しても命の危険はないですが、 光州事件や三里塚の取材では命の危険と隣り合わせなわけで、 怪我しました、カメラ壊されました、写真は撮れませんでした・・・・ではやってられないですよね。 出版社からも素材が確保できなくて怒られるでしょうし。 そういうリスクを抱えながら、真正面から取材対象に向かっていく姿勢が興味深かったです。 一発勝負の仕事の厳しさというのが、読んでいてスリルがありました。 以前に読んだ著者の本は、ちょっと笑いに走った企画が多かったのですが、 本作は正統派のスクープ写真撮影譚で、面白かったです。 ![]() |
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