『約束の日』
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- 2020/02/29(Sat) -
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小川栄太郎 『約束の日』(幻冬舎文庫)、読了。
2か月前に安倍総理を描いた本を読みましたが、 本作もまた安倍シンパと目される著者によるものです。 前に読んだ山口氏の本は、官邸キャップとして安倍総理にベッタリ貼り付いて 取材をする中で見てきた安倍総理のリーダーシップを表現した本だと思いますが、 本作は安倍総理の政治家としての思想を解説した本だと感じました。 第一次安倍政権の時は、正直、あまり当時の政治情勢とか記憶にないんですよね。 当時、仕事で、自社の事業分割とか、提携先企業との合併とか、 結構大変な仕事を担当しており、会社に泊まり込みとかしてたので 全然、社会のニュースを見ておりませんでした。 あぁ、退陣したんだ・・・・ぐらいで。 なので、当時、安倍総理がどんな政策を打ち出していたかとか、 どんな反対に遭っていたのかとか、全く記憶にありません。 社会人失格ですね。 その後、安倍総理自身による『美しい国へ』も読んだことがありますが、 イマイチ刺さってこなかったです。 民主党政権下で読んだので、隔世の感過ぎて頭に入ってこなかったのかも。 で、本作ですが、ようやく安倍総理の考えというものがクッキリスッキリわかりました。 最近、残業しながらYoutubeの報道系チャンネルをよく見るようになったので、 自分の理解が進んだということもあると思いますし、 保守系チャンネルをよく見てるので、著者のような立場の方々の物言いに慣れてきたところも あるのかと思います。 私は、安倍総理の個々の政策には疑問を持つこともありますが、 一人の政治家としては結構信頼しています。 それは、主張する政策の軸がブレないからです。 憲法改正、教育改革、財政改革、農業改革、行政改革など、大きな問題に取り組むにあたり、 大きなビジョンを描いてそこから個々の政策に話を降ろしてくるので、 自分なりに内容の賛否を考えるにあたって、判断しやすいんです。 毎日コロコロ言うことが変わった民主党政権とは違ってね。 今、これだけ反安倍の勢力が存在しているというのも、 安倍総理のビジョンが明確だから反対しやすいという点があると思います。 例えば憲法改正について、真正面から取り組もうとするので、 反対派は必死になって反対しますし、手段を選ばず安倍総理をその座から降ろそうと画策しています。 反安倍勢力の必死さが、そのまま安倍総理の強さとなって表現されてしまうような 皮肉な見解にあるように思います。 一方で、3期目の終わりが近づいている今、 政権運営がかなり雑になってきたような気がしてなりません。 個別課題に対するすごく対応がちぐはぐな印象が・・・・。 モリカケとか桜とか、そんな下らないことをやっている場合じゃない!という苛立ちなのかもしれませんが それでも、以前は、もっと柔軟に余裕をもって往なしていたように思います。 最近、余裕の無さが綻びとして目立ってきたような気がします。 最後までしっかりとした政権運営をして欲しいです。 そして、与党内にも野党にも大した政治家がいない現状、 安倍総理の政策に真正面から論戦を挑むような政治家に早く登場してきて欲しいです。 安倍総理に関する本は、保守系の人物の本しかほとんど読んでいないのですが、 バランスを取るためといって、モリカケ問題を追及するような野党のレベルの本は 読んでる時間が勿体ないです。 安倍総理の国家観に対して、政策レベルで議論・反論できるような骨太の反対意見を 是非読んでみたいものです。 ![]() |
『アベノミクス大論争』
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- 2018/08/26(Sun) -
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文藝春秋編 『アベノミクス大論争』(文春新書)、読了。
第2次安倍政権がスタートしたころに作られた本。 当時は、首相が唱える大規模な金融緩和策に対して、 「アベノミクス」だとか「黒田バズーカ」だとか、様々な単語が飛び交ってましたが、 最近は、改憲の話が主流になってきて、金融緩和策については静かな印象です。 それでも、民主党政権時代に比べれば、ずいぶん景気が回復したものです。 で、安倍内閣になって5年以上たっていますが、 結局、アベノミクスって何だったんだろう?という思いもあり、 タイトルにどーんと掲げられていたので本作を読んでみました。 登場してくる言論人は、一線級の人がたくさんで豪華です。 ただ、たくさん出過ぎて、分量にすると短いので、食い足りないです。 しかも、前半は対談形式なので、お互いの主張が言いっ放しになっている感もあり、 真っ向から意見が異なる2人をツモっているので、議論が噛み合わず、昇華もなし。 司会に宮崎哲弥氏を起用してるのも、何だかもったいない感じ。 まぁ、真っ向から対立する2人に対談させる場を設定できるというのが 文春の力なのかもしれませんが。 そして、経済問題だけでなく、改憲論とか天皇家の問題とか アベノミクス以外のテーマも詰め込むだけ詰め込んでるから 余計に消化不良感が残ります。 これも、安倍政権がそれだけ多くの難題に取り組んでいるということの 現れなのでしょうけれど。 もう一度、今のこの時点において、アベノミクスにテーマを絞って 本作のような企画があれば読んでみたいです。
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『美しい国へ』
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- 2012/01/18(Wed) -
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安倍晋三 『美しい国へ』(文春新書)、読了。
今更感満載でございますが(苦笑)、 まぁ、あまりにも現政権の評判が悪いので、 一昔前の政権のビジョンを覗いてみたくなりました。 現役政治家による本というものを初めて読んだので、 自分の半生を振り返る導入部分に面食らいました。 てっきり、自分の主義主張や政策について述べるものだと思っていたので・・・・。 主義主張面では、特に安保問題、拉致問題を中心に語っていますが、 過去の出来事、それに対する自分の行動について分かりやすく整理されていて、 政治家としてどのような信念に基づき行動したのかは理解しやすかったです。 しかし、美しい国「へ」というタイトルの割には、 これからの「日本をどうしたいのか」ということについて、 具体的な提言が少ないように感じました。 過去の功績の自慢、 もしくは現在おかれている状況への対処療法的な考えが示されているだけで、 10年後、20年後の日本を語る言葉が足りないように思います。 これから総理大臣になろうという時に出された本としては、 物足りなく感じました。 いわゆる、保守派と呼ばれる人々の思考回路を知るには、 手ごろな本だと思います。
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