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『ツバサの脱税調査日記』
- 2021/10/19(Tue) -
大村大次郎 『ツバサの脱税調査日記』(幻冬舎文庫)、読了。

税務の解説本を書いている売れっ子作家は、小説分野に手を広げるのが王道なんですかね(笑)

ただ、本作は、小説風にはなっていますが、小説と言い切るにはちょっと苦しい構成です。
8つの章に分かれているので8つの脱税事例が出てくるのかと思いきや、
丸々1章を税務署の仕組みの解説に充てていたりして、小説にはなり切れていません。

さて、物語の主人公は、税務調査に抜群の成績を残し、2年目にして特別調査班に抜擢される
中学生の女の子にしか見えない岸本翼。
脱税指南税理士の幸田との対決の中で成長していく姿が描かれます。

小説としてはイマイチでしたが、具体的な事例を通して脱税の手口を解説するという点で
小説風になっているのはわかりやすいです。
現金商売の飲食店がどんなふうに脱税するのかは解説本で知識として知ってましたが、
税務署がどういう風に脱税の指摘をして、ごねる飲食店側とどういう風に交渉するのか、
また税理士がどんな風に抵抗するのか、強弁するのか、
カリカチュアライズされている面もあるとは思いますが、分かりやすかったです。

今回の対決相手だった幸田税理士は、最後、「脱税だと証明してみろ!」というような
強い姿勢で税務署に向かってきましたが、ここまで強弁するケースって、
実際にはあるんですかね?

税務署側もメンツがありますから、余計な対決姿勢はムダな闘争をあおるだけで
税理士にとっても不利な気がします。
適度なところで手を打つ調整力の方が大事なのかなーと。

お互い人間ですからね。
人間らしい落としどころの見つけ方が良いのかなと思いました。




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『給料が増えて会社もうるおうボロ儲け経営術』
- 2020/06/20(Sat) -
大村大次郎 『給料が増えて会社もうるおうボロ儲け経営術』(双葉新書)、読了。

これまで何冊か著者の本を読んできましたが、
本作が、中小企業の経営者にとって一番具体的な節税指南書になっており、
勉強になりました。

大企業と、従業員数人の零細企業では、同じ「節税」という目的があっても
実行できる施策の規模や内容が異なりますからね。
本作のように零細企業に絞った話で、しかも著者が税務署職員として実際に
調査に入ったときに見つけた節税策の話ですから、分かりやすいです。

うちの父は、祖父から事業を引き継いで、業態転換をしてから、かれこれ30年以上社長をやっていますが、
これまで一度も税務署の調査を受けたことがないそうです。
そんなことを聞いてしまうと、「小さな事業なら税務署も気に留めないのかな、私のやってる会社のように」と
油断してしまいそうになりますが、でも、本作では、調査ノルマをこなすために
特に怪しいと思われないところや大きくない会社にも調査に入ると書かれているので、
やっぱり経理処理はちゃんとしておかなければいけないですよね。
でも、税金はなるべく安く上げたいという葛藤(笑)。

本作では、狭義の「税金」だけを見るのではなく、
給与に紐づいてくる社会保険料なども含めて損得を判断する総合的な視点があり、
そうやって税金以外のところで勝ち負けをきちんと見極める必要があるよなぁと
非常に勉強になりました。

さて、うちの帳簿を見直しだ!(笑)




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『税務署が嫌がる「税金0円」の裏ワザ』
- 2020/04/15(Wed) -
大村大次郎 『税務署が嫌がる「税金0円」の裏ワザ』(双葉新書)、読了。

著者の節税テクシリーズ。
本作は対象をサラリーマンに定めて、給与天引きだから節税なんて無理!と思っている人向けに
「こういう節税策があるよ!」と教えてくれる本です。

ただ、その策というのが、
「副業をして赤字計上」「不動産経営」「会社と業務契約締結」と、かなりハードル高いです(苦笑)。
1つ目は会社の副業規定に引っかかりますし、
2つ目は投資が必要だし、
3つ目は会社と交渉が必要という。

簡単に一般リーマンができる技ではないですね。
ただ、所得税の設計思想みたいなものは勉強になりました。

税法の穴を狙え!というのではなく、そういう特殊な働き方をする人を想定するだけ効率悪いから
税務当局側が目をつぶっているということなのかなと思います。
国が税収を捨てても良いと思う程度しか、この方法で節税できる人が少ないんじゃないでしょうかね。

ま、この本読んでも、私はもうサラリーマンじゃないので、意味ないんですけどね(爆)。




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『税務署の正体』
- 2020/02/20(Thu) -
大村大次郎 『税務署の正体』(光文社新書)、読了。

以前に読んだ著者の本は、節税対策の具体的な手口の紹介本
だったのですが、
本作は税務署のお仕事に関する紹介本でした。
なので、興味本位で読んでみるという感じです。

ときどき税務署に申告に行ったり、質問しに行ったりしますが、
質問する内容によって出てくる担当官が変わるので、
結構、専門分野で担当が分かれているのかな?と思ってました。

私がしょっちゅう税務署に質問に行くので、
何度か対応してくれて話がしやすくなっていた担当官のおじさんが
「解説書あげますから読んでみてください」と、分厚い本をくれました。
それは「源泉徴収のあらまし」という本で、「源泉徴収だけでこんなにルールがあるのかぁ・・・」
ということと、「しかも、”あらまし”かぁ・・・・」と驚きました。
まじめな公務員気質の人でないと努まらない仕事だなと。

本作でも、新卒で担当分けがなされたら、以降ずっとその分野で仕事をするということが
紹介されていたので、まさに専門性を磨いていく仕事なのだなと思います。
税金って、国の経営の原資となる重要なものだということだけでなく、
国家に対する国民の信頼を象徴するようなものだと思うので、
それを扱う税務署職員の方は重責を担っていると思います。

そういえば、昨年の今頃は、佐川国税庁長官が国会答弁で総攻撃されていて
「こんな奴が率いている国税庁なんかに確定申告しなきゃならんなんて!(怒)」
みたいな空気がありましたよね。
やっぱり、税務を扱う職員さんへの信頼感というのは大事なことだと思います。

本作の内容としては、これを読んでも特に税務知識は増えないし
節税効果も得られないと思いますので、
あくまで話のネタを仕入れる程度の読書です。




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『税務署員だけのヒミツの節税術』
- 2018/01/14(Sun) -
大村大次郎 『税務署員だけのヒミツの節税術』(中公新書ラクレ)、読了。

『あらゆる領収証は経費で落とせる』とセットで買ってきました。
節税術というか、税務のごまかし方の指南書(苦笑)。

前作は、「そこまで言っちゃいますか」という新鮮さがありましたが、
2作目となるとそこまでの衝撃もなく。

100%経費処理できる共済の話とかは
単純に勉強になりましたが、
基本的な節税のノウハウは前作と一緒だったので再読しているような印象でした。

ただ、税務の考え方や税務署の事業方針自体は、
なかなか興味深い世界だなと思います。

そもそも、政府の考える政策が実現できるように国民の行動を促そうとすると
減税というような方策が登場してくるわけで、
一方で、財源獲得のための増税は国民の反発を最小限にするラインを狙うとか、
こういう税務と政策の両方をにらんで行う政治の駆け引きみたいなところが、
税務の一番面白いところなのかなと思います。

そういう複雑な側面を抱える税務の勉強は、簡単じゃないので
これまで手を付けずにきましたが、
きちんと学んでみると、「国家の運営をどうするか」というような大局的な視点が登場してきて
面白そうだなと思います。

どうやって手を付けようか・・・・・・と悩むところです。


税務署員だけのヒミツの節税術 あらゆる領収書は経費で落とせる【確定申告編】 (中公新書ラクレ)税務署員だけのヒミツの節税術 あらゆる領収書は経費で落とせる【確定申告編】 (中公新書ラクレ)
大村大次郎

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『あらゆる領収証は経費で落とせる』
- 2017/12/14(Thu) -
大村大次郎 『あらゆる領収証は経費で落とせる』(中公新書ラクレ)、読了。

中小企業にとって、一生懸命働いてきた結果を
スポーンと税金でもっていかれると辛いよね~・・・・・・・というわけで
経費化のテクニックはどうしても学びたくなってしまうところです。

著者の言い分からすると
「事業に必要な出費です」と言ってしまえば何でも費用になりそうな勢いですが、
これは経済観念と倫理・道徳のせめぎ合いですねー。

私的な出費でも「仕事のため」と言い切れば経費化できる!
という主張は、事業者からするとありがたいですけれど、
一日本人としては、「そこまでやるか~」的な思いもあり、
あまりスッキリしない読書となりました。

ま、実行するかしないかは読者の倫理観に任せるとして、
とりあえず、「節税(脱税じゃないよね!?)」のテクニックを学ぶには
面白かったです。


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