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『いのちの木を植える』
- 2022/03/18(Fri) -
谷川俊太郎、岡田卓也 『いのちの木を植える』(マガジンハウス)、読了。

図書館に調べ物に行ったとき、本題とは全然関係なかったのですが
ちょっと気になり、薄い本だったので、その場で読んでみました。

岡田卓也氏の本なので、イオンの植樹活動に関する本なのかなと思いましたが、
一応、建前としては、谷川俊太郎氏が岡田卓也氏に誕生日プレゼントとして「木を植える」という
詩を贈ったことがきっかけで生まれた本とのこと。

イオンという企業の巨大さについては、地場の中小小売店を潰してしまうとか、
全国一律同じものを販売してその土地らしさを失わせてしまうとか、
まぁ、批判の声もありますが、それでもやはり、一定品質のものを全国に安く提供するとか
なんでも揃って便利だとか、休みになしに夜遅くまで営業していて便利だとか
社会に対して大きな貢献をしているのは確かだと思います。

そして、イオンの植樹事業だとか、そういう社会貢献事業を、
きちんと継続して長期計画で取り組んでいる実績も、重要な活動だと思います。
その時々の世の中の流行り廃りに左右されることなく、
責任をもって取り組んでいる企業だと思います。

だから、その活動の中からこういう本も生まれてくるし、
植樹活動に参加した子供たちが、自然に対して関心を高めたり、大事にする気持ちが育ったり
さらに長期的な視野で成果が生まれてくるのだろうなと思います。

こんな企業が、地元の三重県から生まれたというのは、誇らしいことだと思います。




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『岡田卓也の十章』
- 2020/10/12(Mon) -
岡田卓也 『岡田卓也の十章』(商業界)、読了。

著者の半生は、以前、「私の履歴書」をまとめた本を読んだので
本作も内容は概ね被ってます。

ただ、本作の方が、より言葉を削ぎ落して、
本質部分のみを書き出すようにしてある印象です。
家訓「大黒柱に車をつけよ」が特に強調されています。

岡田屋の2号店(ジャスコ津店)は私の実家から歩いてすぐのところあにあったのですが、
20年前に閉店しました。
私が子供の頃に筋向いにダイエーが進出してきて、目に見えてお客さんの数が減った印象でした。
それでも閉店が決まった時には、地元の人たちは「記念すべき2号店なのにあっさり閉めるんやな」と
ちょっと悲しそうでしたが、まぁ、その前にダイエーが先に撤退し、
そもそも津市中心部は商業地としてガタガタになってたので、ジャスコの判断も当然と言えば当然。

むしろ津市内には、郊外にどんどん新しいイオンやサティやマックスバリューができて、
「大黒柱に車をつけよ」その通りの事業運営がなされていると実感できます。

著者の本は、岡田屋からジャスコまでの話は詳しく描かれてますが
そこからイオンの話はスッと飛ばして社会貢献活動や岡田財団の話に飛ぶので
毎度モヤモヤ感は残りますが(苦笑)、まぁ、三重県民としていろいろ恩恵を受けているので
あまり追求しないようにしましょうか(爆)。

オンの話は、第三者に書かせた方が面白いですわな。




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『イオンが仕掛ける流通大再編』
- 2019/09/06(Fri) -
鈴木孝之 『イオンが仕掛ける流通大再編』(日本実業出版社)、読了。

三重県が生んだ超絶小売業のイオン。
いまだに地元では、愛情込めてイオンのことを「ジャスコ」と呼んでいます。

買収に次ぐ買収で、あまりに急激に大きくなりすぎて
一体どうなっちゃってるのか良くわからなくなっているので、
頭の整理のために本作を読んでみました。

小売りを中心に置きながら、金融業、薬局事業など多角展開しており
その事業構想を解説していきます。
1つ1つの事業をあまり深追いすることなくサラッと簡潔にまとめているので
概要はつかみやすいです。

ただ、第2章でセブン&アイグループの話になっていき、
「あれ?イオンの話はこれで終わり!?」と思ってしまいました。
その後もウォルマートの話などにページを割いており、
イオンの話というよりも、日本の小売業の推移をイオンを軸にして描ているという感じです。

業界の全体像を把握するには分かりやすいですが、
個人的には、イオンのことをしっかりと理解したかったので、
かなり物足りない印象です。

著者は西友出身ということなので、まぁ、自分の里のことも踏まえて業界全体を描きたかったんだろうなぁと
思いはわかりました。

それにしても、イオンの強さは凄いですね。
イオングループという一大勢力を築き、ダイエーのような、かつてのガリバー企業をも参加に納め、
買収で店舗を一気に増やしつつも、自らイオンモールのような施設にも積極投資しています。
昨年、三重県に「イオンモール津南店」という東海圏最大級のお店ができて、
店舗周辺の国道は大渋滞が巻き起こってます。

周辺地域の人だけじゃなく、高速で1時間以上かかるような遠隔地に住んでいる県民でさえ
「でっかいイオンができたんだって!」と楽しそうに買い物に行ってます。
そして、「大きかった!きれいだった!都会のお店が入ってた!」と楽しみながらも、

最後は「でも、イオンはイオンだった」という結論で終わります。
どれだけデカくなってもイオンはイオン。
新鮮味には欠けながらも、きっと安心感の方が勝ってるんでしょうね。
「とりあえず不安なくお買い物で休日一日楽しめるお店」ということで。

イオンさんとお仕事をさせていただく機会もあるのですが、
いつも思うのは、怖さと優しさが同居している油断のならなさです。
複数人のイオンの社員さんと会うと、細かい心配りをする役目の人と、
ビジネスマンとして厳しく品質チェックする人と、しっかり役割分担されているように感じます。
そして、ビジネス面で厳しい判断を見せる人でも、仕事の場からちょっと離れたときには
非常に人間的な優しい面を見せてくれて、その多面性に驚くことがあります。

その場面ごと、瞬間ごとに、自分の役割をきちっと判断し、
締めるべきところは締め、寄り添うべきところでは寄り添う、その身のこなしが
骨身に付いている感じがします。

超巨大企業だから、特に、そういう能力に優れた人が抜擢されて、
目につくポジションに据えられているのだと思いますが
面白い企業だなと思います。

そのイオンの人材の部分にスポットを当てた本を読んでみたいですね。




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『小売業の繁栄は平和の象徴』
- 2018/02/07(Wed) -
岡田卓也 『小売業の繁栄は平和の象徴』(日経文芸文庫)、読了。

私の履歴書の文庫本。
イオンの岡田会長です。

イオングループというと、私はかつてライバル流通グループさんとお取引があったので
競争相手という目で見てしまうのですが、
一方で、イオンの母体である岡田屋は三重県発祥であり、
その点では親近感を覚えるという、複雑な感情があります。

で、読んでみての感想はというと、
一代でイオングループを築き上げた人物の伝記として、
非常に高い熱量をもった本だと感じました。

戦後の焼け野原で岡田屋を早々に営業再開させ、
まだ2店舗しか持っていないのに米国のスーパーマーケの視察に行き、
すぐに日本版スーパーマーケットの事業に取り組むスピード感。

そして、各社が自分の店舗網を1店1店いかに増やすかと必死になっている時代に、
M&Aの手法で全国に一気に店舗網を広げていくという戦略、
この時代を先取りしていく判断力に驚きました。
地方の小さなスーパーが「合併しませんか」と声をかける大胆さ。
自分の戦略に自信がないとできないことです。

当然、M&Aをするとなると相手企業が必要なわけで、
時代を先取りし過ぎて、相手がついてこられない状況もあったようですが、
しかし、誠意をもってことに当たれば賛同してくれる経営者も出てくるわけで、
このあたりの人間と人間の結びつきの部分も、興味深く読みました。

海外進出に当たっては、現地調査をしっかりと行いながらも、
決して現地の常識に囚われることなく、
駐車場用の土地がない香港においても、駐車場完備は絶対と譲らないなど
あくまでお客様が何を望んでいるのかを第一に考えて店舗設計を組み立てていきます。
これも自信がないとできないこと。
さらには論理的に説得しないと現地のカウンターパートナーは納得しないことだと思います。

こういう熱い経営者魂を持ちながら、
一方で、アジア各地で、学校創設の援助や森林保護の支援など
様々な社会貢献活動に取り組み、
伝統工芸や美術品にも力を注ぐ篤志家の一面も。

パラミタミュージアムには行ったことがあります
が、
こういう地元への文化貢献も大事なことですね。

今まで、三重県の偉人は川喜田半泥子がずば抜けていると思ってましたが、
岡田卓也氏も素晴らしい人物ですね。


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『イオン 大躍進の秘密』
- 2009/08/26(Wed) -
菊地正憲 『イオン 大躍進の秘密』(ぱる出版)、読了。

鮮魚流通のことを調べたくて、
「地産地消を推進しているイオンの本なら何か出てくるかな?」
と思って手に取ったのですが、残念ながら。

イオングループとして流通業をどのように再構築しようとしているかという
グループ戦略的な話が主でした。
なので、スーパー個店舗でどういうことをやっているのかというような
現場のお話はあまり出てきませんでした。

ただ、やはり、日本一の流通グループとなっただけあって、
その戦略の力強さには感心しました。

それでいて「大黒柱に車をつけよ」という機動性もあり、
おもしろい企業体だと思います。



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