『岡田卓也の十章』
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- 2020/10/12(Mon) -
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岡田卓也 『岡田卓也の十章』(商業界)、読了。
著者の半生は、以前、「私の履歴書」をまとめた本を読んだので 本作も内容は概ね被ってます。 ただ、本作の方が、より言葉を削ぎ落して、 本質部分のみを書き出すようにしてある印象です。 家訓「大黒柱に車をつけよ」が特に強調されています。 岡田屋の2号店(ジャスコ津店)は私の実家から歩いてすぐのところあにあったのですが、 20年前に閉店しました。 私が子供の頃に筋向いにダイエーが進出してきて、目に見えてお客さんの数が減った印象でした。 それでも閉店が決まった時には、地元の人たちは「記念すべき2号店なのにあっさり閉めるんやな」と ちょっと悲しそうでしたが、まぁ、その前にダイエーが先に撤退し、 そもそも津市中心部は商業地としてガタガタになってたので、ジャスコの判断も当然と言えば当然。 むしろ津市内には、郊外にどんどん新しいイオンやサティやマックスバリューができて、 「大黒柱に車をつけよ」その通りの事業運営がなされていると実感できます。 著者の本は、岡田屋からジャスコまでの話は詳しく描かれてますが そこからイオンの話はスッと飛ばして社会貢献活動や岡田財団の話に飛ぶので 毎度モヤモヤ感は残りますが(苦笑)、まぁ、三重県民としていろいろ恩恵を受けているので あまり追求しないようにしましょうか(爆)。 イオンの話は、第三者に書かせた方が面白いですわな。 ![]() |
『小売業の繁栄は平和の象徴』
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- 2018/02/07(Wed) -
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岡田卓也 『小売業の繁栄は平和の象徴』(日経文芸文庫)、読了。
私の履歴書の文庫本。 イオンの岡田会長です。 イオングループというと、私はかつてライバル流通グループさんとお取引があったので 競争相手という目で見てしまうのですが、 一方で、イオンの母体である岡田屋は三重県発祥であり、 その点では親近感を覚えるという、複雑な感情があります。 で、読んでみての感想はというと、 一代でイオングループを築き上げた人物の伝記として、 非常に高い熱量をもった本だと感じました。 戦後の焼け野原で岡田屋を早々に営業再開させ、 まだ2店舗しか持っていないのに米国のスーパーマーケの視察に行き、 すぐに日本版スーパーマーケットの事業に取り組むスピード感。 そして、各社が自分の店舗網を1店1店いかに増やすかと必死になっている時代に、 M&Aの手法で全国に一気に店舗網を広げていくという戦略、 この時代を先取りしていく判断力に驚きました。 地方の小さなスーパーが「合併しませんか」と声をかける大胆さ。 自分の戦略に自信がないとできないことです。 当然、M&Aをするとなると相手企業が必要なわけで、 時代を先取りし過ぎて、相手がついてこられない状況もあったようですが、 しかし、誠意をもってことに当たれば賛同してくれる経営者も出てくるわけで、 このあたりの人間と人間の結びつきの部分も、興味深く読みました。 海外進出に当たっては、現地調査をしっかりと行いながらも、 決して現地の常識に囚われることなく、 駐車場用の土地がない香港においても、駐車場完備は絶対と譲らないなど あくまでお客様が何を望んでいるのかを第一に考えて店舗設計を組み立てていきます。 これも自信がないとできないこと。 さらには論理的に説得しないと現地のカウンターパートナーは納得しないことだと思います。 こういう熱い経営者魂を持ちながら、 一方で、アジア各地で、学校創設の援助や森林保護の支援など 様々な社会貢献活動に取り組み、 伝統工芸や美術品にも力を注ぐ篤志家の一面も。 パラミタミュージアムには行ったことがありますが、 こういう地元への文化貢献も大事なことですね。 今まで、三重県の偉人は川喜田半泥子がずば抜けていると思ってましたが、 岡田卓也氏も素晴らしい人物ですね。
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『イオン 大躍進の秘密』
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- 2009/08/26(Wed) -
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菊地正憲 『イオン 大躍進の秘密』(ぱる出版)、読了。
鮮魚流通のことを調べたくて、 「地産地消を推進しているイオンの本なら何か出てくるかな?」 と思って手に取ったのですが、残念ながら。 イオングループとして流通業をどのように再構築しようとしているかという グループ戦略的な話が主でした。 なので、スーパー個店舗でどういうことをやっているのかというような 現場のお話はあまり出てきませんでした。 ただ、やはり、日本一の流通グループとなっただけあって、 その戦略の力強さには感心しました。 それでいて「大黒柱に車をつけよ」という機動性もあり、 おもしろい企業体だと思います。
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