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『談志が死んだ』
- 2019/12/07(Sat) -
立川談四楼 『談志が死んだ』(新潮文庫)、読了。

落語家の本は、起承転結の構成や文章リズムの心地よさで好きなのですが、
やっぱり名前を知っている人の本でないと手が伸びにくいです。
本作の著者は失礼ながら存じ上げなかったのですが、
「談志の本」ということで手に取ってみました。
ただ、談志師匠自体、私は噺を聞いたことがなく、テレビで流される破天荒なイメージと
前に読んだ談春師匠の本のイメージとしか持ち合わせておりません。

本作では、談志師匠の死を知らされた日の話から始まりますが、
やっぱり噺家さんは語り口がお見事ですね。
著者のことを全く存じ上げなかったのですが、その日の流れを追いながら
談志師匠との関係をきちんと説明していき、談志師匠の人物像も端的に描いていきます。
最初の展開で、ぐいっと掴まれた感じです。

そして、談志師匠の死を知った日の話から、その後の談志フィーバーに駆り出される自分を書き、
そこから話は談志師匠が参議院議員選挙に出馬した時の話に飛びます。
落語の話じゃないんです。選挙の話です。
ここの期待感のずらし方が上手いです。

落語家としての談志師匠のイメージは、たぶん、私より上の世代の方たちなら
皆それぞれに何かしら持っているのではないでしょうか。
私が初めて落語を生で聞いたのは2009年だったので、すでに談志師匠は闘病生活に入っており
失礼な言い方ですが、私にとっては「過去の偉大な落語家」という位置づけでした。
メディアが植え付けた破天荒なイメージが先行したものです。

本作で描かれる談志師匠は、私の持つ破天荒さのイメージのさらに上を行く破天荒さで、
よく弟子の皆さんついていけるなぁ・・・と思ってしまいますが(苦笑)、
無茶苦茶言っている日々の中でふと口にする弟子への評価の言葉とかを読むと、
この一言でお弟子さんは救われるんだろうなぁと思ってしまいます。
そして何より、落語が上手い人だったからこそ、弟子の人たちがここまで付いてきたんだろうなと。
生で高座を見られなかったのは何とも残念です。

談春師匠の『赤めだか』のエピソードも出てきますが、
『赤めだか』とは、また違った立場の弟子よる談志像で、とても面白かったです。

ただ、本作を読み終わった後、たまたま見たネットニュース番組で談四楼師匠の名前が出てきて
タイミングの良さにビックリしました。
師匠のツイッターの内容を紹介したものでしたが、その内容に2度ビックリ。
かなり左翼系の発言をする方なのですね。師匠は自民党の代議士だったのにね(爆)。
ちょっと印象が変わってしまいました。




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『赤めだか』
- 2019/02/05(Tue) -
立川談春 『赤めだか』(扶桑社文庫)、読了。

ヒットしていた時から気になっていた本。
落語家さんの修業時代を描いたエッセイということで気になってましたが、
私は落語協会の独演会寄席から落語の世界に入っていったので
立川流という存在は縁がないままでした。
で、すぐには手が出ず、談志師匠が亡くなられた今になってようやく。

著者の立川談春師匠については、名前すら知らないという状況で、
弟弟子の立川志らく師匠は、落語よりもテレビのコメンテーターをやっている関係で
良くネットニュースに名前が出てくるなぁ・・・・・ぐらいの感覚です。

というわけで、ほとんど登場人物たちの情報がないままの読書だったので
素直な気持ちで読めました。
(たぶん、登場人物の中で私が噺を聞いたことがあるのは橘家文左衛門師匠ぐらいかな)

高校中退で談志師匠のもとに弟子入りしてくるなんぞ、
気合の入った少年だなぁと思うのですが、
ちょっと競争意識が薄いような達観したようなところがあり、
エンジンがかかりきらないところが可愛らしいです。

変な兄弟子たちに囲まれ、弟弟子で入ってきた立川志らくには追い抜かれそうになり、
ハラハラしながら読みましたが、最後の最後は、本人の熱い落語への思いで乗り越えていくという
なかなかに面白い成長譚でした。

そもそも立川流が独立した経緯も知らなかったのですが、
そこも落語業界の慣習とそれに対する立川流の改革も絡めて解説され、興味深かったです。
自身の真打昇進をかけた独演会の場に、独立の際に談志を破門した柳家小さん師匠を
あえてゲストとして呼んでしまうという急展開も、著者のどこか達観した性格が
なしたものかもしれません。

ただ、Wikipediaを後で読んでみたら、独立の経緯は落語協会全体を巻き込んで
もっとドロドロしたものだったようですね。
結構、本作では、きれいごととしてまとめられてしまっている感があります。

本作で最も印象に残ったのは、真打昇進試験で弟弟子の志らくに先を越されたとき、
愚図愚図している著者に対して、さだまさしさんが投げかけた激励の言葉。
熱い良い言葉でした。

久々に、寄席に行きたくなったなぁ。




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『発酵する夜』
- 2018/08/27(Mon) -
小泉武夫 『発酵する夜』(新潮社)、読了。

ニュースステーションに時々出てきては
ゲテモノのような食べものの話を美味しそうに語るセンセイというイメージの著者。

本作では、各界の著名人との対談が収録されていますが、
いずれにおいても、やっぱりゲテモノのような食品の話がたくさん登場して、
食べたいような、食べたくないような・・・・・という微妙な感覚が終始付きまといます(笑)。

発酵などがご専門の著者ですので、
当然、発酵食品の話がたくさん登場するのですが、
お酒や豆腐、ヨーグルトといった穏やかな食品の話よりも、
なれ寿しとか、臭豆腐とか、くさやとか、キョーレツな食品の話ばかりで、
やっぱり、怖いもの見たさみたいなところがあるんでしょうね。
対談相手も興味津々です。

本作で良いなと思ったのは、
著者の博識さと、それを鼻にかけないざっくばらんな語り口意外に、
対談相手の人選です。
著者の良く知る人もいたようですが、基本的には顔見知り程度か初対面の方のようで、
荒俣センセをはじめ、東海林さだおさん、日高敏隆さん、立川談志さんなど面白かったです。

最も良かったのは杉浦日向子さん。
この方の作品が原作のアニメ映画を見てから気になっている作家さんなのですが
まだ著作自体は体験できておらず。
今回の対談において、江戸時代の庶民の文化や風習のお話をされている様子を読んで、
「この博識ぶりは絶対に作品に反映されているはず!読まないと!!」と心に誓いました。
語り口も切れ味のあるお姉さまだったので、作品の切れ味にも期待。


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