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『にっぽん怪盗伝』
- 2023/06/19(Mon) -
池波正太郎 『にっぽん怪盗伝』(角川文庫)、読了。

「怪盗」って言われると「ルパン」が浮かんでくるので、
なんだか西洋風に思ってしまいますが、そこは池波作品、いわゆる盗賊の短編集です。

単独で掏りや窃盗を行う盗人よりも、どちらかというと組織的犯行グループに所属する
盗人たちにスポットが当たっています。

時代ものとして面白い舞台装置ではあるのですが、
実際、そういう組織的窃盗団というのは、江戸時代にいたんですかね?
清水次郎長一家(半分明治ですけど)とかがヤクザ者としては思い浮かびまずが、
あれは博徒ですよね。
石川五右衛門とか実在するのか創作なのか良く知らないのですが、
こういう人物が窃盗団を率いてたってことなんですかね。

石川五右衛門が演劇世界のダークヒーローとして持て囃されたことで、
盗人集団の物語が一つのジャンルとして確立されたのでしょうかね。
江戸の庶民文化って、あんまり知識がないので、想像が空回りしてしまいます(苦笑)。

池波作品を読むと、結局、そんな盗人たちも、1人1人は自分の生活を背負い、
妻が居て、思い人が居て、というような状況が描かれており、
どんなに法に歯向かう職を選んでも、人間の本質ってあんまり変わらないんだなというのが
読んでの印象でした。




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『秘剣、豪剣、魔剣』
- 2021/06/30(Wed) -
時代小説の楽しみ一 『秘剣、豪剣、魔剣』(新潮社)、読了。

近所のおばちゃんにもらった本。
いわゆる「剣豪小説」の傑作選。

正直、剣豪小説って、食指が動きません。
ぶっちゃけ、ちゃんばらでしょ~?って思っちゃってます。

まぁ、食わず嫌いもよくないかなと思い、
せっかく本をいただいたので試しに読んでみました。

16人の作家の作品が収められており、
短編集なので、初心者には読みやすかったです。

決闘だったり、道場破りだったり、仇討ちだったりという緊迫した場面で、
剣士と剣士が対峙した時の戦略とか、技術とか、心の動きとか、
そういうものを楽しむものなんだと思いますが、ちょっと世界観が小さいような気がして
やっぱりあんまり好みではなかったです。

その点、大名クラスが絡んでくる作品は、
天下取りに向けた戦略とか深謀とか奥行きがあるので、面白かったです。
池波正太郎氏の「卜伝最後の旅」とか、戸部新十郎氏の「上泉伊勢守信綱」とか。

結局は、剣豪小説よりも、戦国時代ものとして楽しんだ感じですね。




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『食べ物日記』
- 2019/11/13(Wed) -
池波正太郎 『食べ物日記』(文春文庫)、通読。

タイトルから、池波さんの食エッセイだと思って買ってきたら、
なんとタイトル通りの「毎日の食べたものを淡々と記録した日記」でした。
朝・昼・晩、律義にすべてのメニューが記録されています。

一体、どうやって「読めば」いいの?って感じですが、
まぁ、こんな本まで出てしまうのは、池波作品の人気の凄さが分かりますよね。

最後に、池波氏による短い食のエッセイが数本と、
池波氏に近い人たちによる対談、鼎談が収録されていましたが、
雑誌編集長たちによる鼎談の中で繰り返し触れられていたのが、
『鬼平犯科帳』という作品の凄さ。

花田紀凱氏は、まさにこの『鬼平犯科帳』の担当編集者だったとのことで、
タイトルを付けたのも花田氏だそう。
こういう作品が世に出ていくところに関わっている人が、編集長になっていくんだなぁと
変なところで感心してしまいました。

いい加減、食レポばっかり読んでないで、『鬼平犯科帳』を読まないといけませんね。




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『むかしの味』
- 2019/07/14(Sun) -
池波正太郎 『むかしの味』(新潮文庫)、読了。

剣豪小説家による食べ物エッセイ。
この著者の作品は、そういうエッセイしか読んだことがありません(苦笑)。
でも、美味しそうなんですよね~。描写が。

本作の発表が昭和63年。
その時点で振り返っている「昔」なので、戦前の味を、昭和63年の時点で伝える店の紹介です。

私が行ったことのある店は1軒もありませんでした。
なにせ、どこもお高そう。
老舗洋食屋とか寿司屋とか、パーラーとか。
なんでこんな店に10代の子供が食べに行けるのか!?と思いきや、
株屋に奉公に出て、正規の給料以外にチップなどの報酬で稼いでいたようで、
当時の証券会社なんて、結構グレーな仕事だったのではないかと推察します。

しかし、その稼いだ金を、高い店で美味しいものを食べたり、
劇場で良い作品を見たりして、自分の財産として身につけられるよう投資するというのは
なかなか若い人にはできないことだと思います。
まぁ、当時、どれだけ意識してお金をそういうところに使っていたのかは知りませんが、
あとになって、それで作品が書けるだけの経験として自分の中に当時の感動や感想を残しているのは
流石だなと思います。

あと、挿絵として使われている著者の手によるイラストも
味があって素敵です。

この作品が書かれた時点から、平成という時代を飛び越え、
もう令和の時代になってしまいましたが、
紹介されている個々の店は、今も「むかしの味」で残っているのでしょうか。
食べに行きたいけど、どこもお高そうなので、ちょっと二の足を踏んじゃうなぁ。




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『日曜日の万年筆』
- 2017/09/28(Thu) -
池波正太郎 『日曜日の万年筆』(新潮文庫)、読了。

時代物作家のエッセイ集。
この方の著作を読むのは初めてです。

そもそも、時代物を自分があまり読まないために、
池波正太郎という人物を良く知らなかったのですが、
劇作家で出てきた人なんですね。
その経歴に驚きました。

で、劇の世界も私は無知なのであれですが、
戦後の剣劇とかそういう作品を書いていたのでしょうかね。

昔を振り返ったエッセイが多いので、
戦後や昭和中期の日本を知るには興味深いシーンが多く、
面白く読むことができました。

また、料理に関するエッセイも多く、
江戸前の寿司もそうですが、カツライスのような
ザ・日本の洋食的な料理が食べたくなりました。


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