『訴訟合戦 オレ、あした、部長のこと訴えるわ』
|
- 2020/03/05(Thu) -
|
竹内謙礼 『訴訟合戦 オレ、あした、部長のこと訴えるわ』(角川文庫)、読了。
著者の作品の中では、一番イマイチな感じでした。 多分、過去に読んだ本は、小説風とはなっていたものの、 マーケティングについて分かりやすく解説する手段として小説風にしているという 建前がしっかりと前面に出ていたので、割り切って読めたのですが、 本作は、そのあたりが曖昧で、かなり小説側に寄った立て付けになっているので、 小説作家としての力量が問われてしまい、あまり面白くなかったです(爆)。 テーマとしては、「会社員生活における法的リスクとその回避方法」的なものだと思いますが、 それを、昭和頭の上司たちと、ゆとり世代の若手社員たちの対立という 分かりやすい構造で描いていきます。 私は上司世代の方に属する年代なので、最初はどうしても、 「なんだこの使えない若手社員は!?」的な目線で冷ややかに見てしまいましたが、 一方で、上司側の問題の本質から逃げて曖昧にお茶を濁そうとする対処も雑で、 こりゃ、若手が付け上がっても仕方ないよなぁ・・・・てな感じです。 若手社員の方も、最後まで読んでいくと、本当にそんな態度を取りたかったわけでもなく、 本人の性格やら、引くに引けなくなった事態やらで、 物言いが極端になっていってしまったということがわかり、 可愛げもちゃんとあるなと思えるようにはなっています。 ただ、途中の対立構造が、途中から別の敵が登場することで なんとなく有耶無耶になっていくというか、 終わりよければすべて良しみたいな対立解消になってしまっており、 本質的な解決になっているのかちょい疑問。 それもこれも全て、「小説仕立て」ではなく、「小説」として表現してしまった著者のせいだな(苦笑)。 ![]() |
『検索刑事』
|
- 2019/11/12(Tue) -
|
竹内謙礼 『検索刑事』(日経ビジネス人文庫)、読了。
「検索刑事って何なんだよー!(笑)」って感じですが、 著者名を見て買ってきました。 リアリティのない設定の小説で、マーケティングの本質をえぐる著者ですから(笑)。 「『羽毛布団』のキーワードで1位を取らなければ、天誅を下す」との脅迫文が届き、 警察はその捜査に乗り出すことに。 犯人を捜すのと同時並行で、被害者が出ないよう、羽毛布団の検索で1位を取ろうと画策します。 この後者の部分で、新人刑事とIT企業の人々とのやりとりを主に描いているのですが 「検索1位」というものがどうやって出来上がっているのかを分かりやすく示していて さすが竹内作品と思ってしまいました。 ホームページの制作ではなく、プロデュースをする視点の大切さ、 これは商売をやっていると身に染みて感じます。 しかし、ホームページをこうしたい!というアイデアはあっても、 それを形にする技術がないので、IT企業などに頼むしかなく、 その制作作業にお金と時間がかかるので、二の足を踏んでしまうんですよねー。 で、その制作に携わる人々はというと、超ブラックな環境で働いていることが 本作でも描かれており、IT企業は人間の手を使って長時間労働で業務をこなしているという なんだか皮肉な状況が浮かび上がってきます。 昔、わたしもサラリーマンだった頃は、社内のシステム部門の社員も 協力会社と呼ばれるシステムベンダーさんも、みんなヘロヘロだったものなぁ・・・・・・。 IT業界の労働環境についても、一度、きちんと勉強してみたいなと思っています。 ![]() |
『お客の心が読めるメガネ』
|
- 2019/03/28(Thu) -
|
竹内謙礼 『お客の心が読めるメガネ』(かんき出版)、読了。
Amazonの商品写真には付いてないですが、 私がブックオフで見つけた品にはメイド服でメガネをかけた女性の写真が 大きく載った帯がかけられていて、パッと見は「痛い本」だったのですが、 著者名を見て、手に取ってみました。 前に読んだ本も、かなり斬新な設定の会計の本だったので(苦笑)。 本作は、マーケティングや店舗づくりがテーマです。 独立して鞄屋を始めた男性。上手く売り上げを立てることができない日々に、 突然黒縁メガネが現れ、それをかけるとお客の心の声が聞こえるようになるという またまたファンタジーな設定です。 通常、「お客様の意見を取り入れなさい」「お客様は神様です」というような マーケティングの指導がされがちですが、本作は正反対のことを主張します。 「お客様の声を聞き過ぎてはいけない」「お客様は欲望の塊です」と。 なぜ、顧客の声に盲従してはいけないのかを、 コミカルな小説仕立てで解説していきますが、それが非常に分かりやすいです。 もちろん、かなりシンプルかつ誇張して物語にされているので、 現実の世界とは違っているかと思いますが、言わんとしていることは分かりやすいです。 実際、私が作って販売している商品も、 「値段が高い」とか、「種類によって生産量が少ないのは困る」とか、いろいろ言われがちですが そりゃ、その声に対応して儲けが出ればいいけど、利益削ってまですることじゃないもん! と割り切って、無視してます(爆)。 1億円の売上で100万円の利益を出すのと、1千万円の売上で100万円の利益を出すのなら 私は後者を選ぶということです。 その考え方の背中を押してくれる本でした。 昔から言われてきた「お客様は神様です」は、なぜ今の時代に通用しなくなったのか、 その時代背景の変化も解説されていて、納得できました。 自分のところの商品に適したお客様をいかに見つけてきて、 そのお客様を大事にするかが鍵だと思いました。 ![]() |
『会計天国』
| ||||
- 2013/10/24(Thu) -
| ||||
竹内謙礼、青木寿幸 『会計天国』(PHP研究所)、読了。
ブックオフの「経営」の本棚で、異彩を放っていた一冊(笑)。 会計知識を小説仕立てで読ませるという企画で、 まぁ、「女子大生会計士シリーズ」の二匹目のどじょう狙いというところでしょうか。 経営コンサルタントの主人公が、突然の交通事故死。 そこに現れた天使が、「5人の人間を救えたら現世に戻ることができる」とのお題を。 会計知識を総動員し、ターゲットの人間の周囲の人に乗り移って指南する! と、まぁ、非常にファンタジー(?)な作りになっています。 何もそこまで捻らなくても・・・・とは思ったのですが、 「今度こそ最後まで読める」とのキャッチコピーにするには、 これぐらいの大胆な味付けが必要なのかもしれませんね。 小説仕立てとはいえ、キャラクターたちが喋っている内容は会計の話そのもの。 最初は、初歩的な問答ばかりで新鮮味が感じられなかったのですが、 「粉飾決算を見抜く」というテーマの章は興味深かったです。 見抜き方もそうですが、何よりも粉飾決算の手口の解説が面白かったです。 「うちの会社に転用するとどういうことになるんだろうか?」と考えてみたり(笑)。 ファンタジーな小説の設定が、最後まで上手く活用できているようには思えませんでしたが、 とりあえず、気軽に読める本ではあります。
![]() |
||||
| メイン |
|