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『給料戦争』
- 2023/11/19(Sun) -
竹内謙礼、青木寿幸 『給料戦争』(PHP文庫)、読了。

今回のテーマは、「給料」や「社会保険料」など、いわゆる「人件費」。

主人公は食品会社に勤める営業課長。
同期入社の男がコネもあって本部長に昇進してしまい、
人間関係が面倒くさい状態になったり、パワハラ的な言動を向けられることもあったりで
自分の処遇を考えざるを得なくなってしまっています。

そこに現れたのは、第二次世界大戦末期のラオスからタイムスリップしてきた日本兵。
元の世界に戻ることもできず、主人公の家に転がり込んできます。
いつもどおり、無理筋な展開(苦笑)。

主人公の彼女はIT企業で総務課に勤めており、人事制度などには詳しい立場。
そんな彼女と主人公が、処遇や転職について話をしていると、
日本兵も話に参加してきて、軍隊組織の常識を離すことで、
現代の日本企業の組織風土と、いわゆる軍隊組織の組織風土が比較されるようになり
突飛な設定ではありますが、結構、興味深く読めました。
この日本兵が、末端の兵士ではなく、陸軍士官学校を良い成績で卒業したエリートという
設定なので、組織論的な話にも通じていて、分かりやすいです。

そして、この日本兵の立場から、今の日本企業の文化に対して
「なぜ能力が認められて出世した上司と、能力が足りず部下の立場に甘んじている人が
 なぜ社員としては平等な扱いを受けるのか?発言権が同様に認められるのか?」
という指摘を投げかける等、日本企業なり、世界的な社員の権利を護る的な風潮に対して
真正面から異議を唱えているのも面白かったです。

物語中で展開される営業活動や新商品開発、転職活動、人事制度改革は、
どれも上手く成果を出すという流れになっており、「そんな簡単にはいかないよー」とは
思ってしまいますが、しかし、経営が傾いている零細食品会社の社長に対して
雇用の調整などの具体的方法を提案するくだり等は、知らないことも多かったので
勉強になりました。




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『戦略課長』
- 2023/04/01(Sat) -
竹内謙礼、青木寿幸 『戦略課長』(PHP文庫)、通読。

いつもの竹内&青木コンビによる経営・経済解説本。
今回のテーマは「投資」です。

うーん、正直、微妙な出来でした。
経済解説本を読むだけではとっつきにくいテーマについて、
著者独自のコミカル設定の小説に落とし込んで、わかりやすい比喩や
カリカチュアライズした設定と展開で、うまーく解説するのが醍醐味だと思いますが、
本作では、肝心の投資の解説の部分は、教科書を読んでいるような感じで、
小説の枠組みの中に突然講義が始まるので、
あんまり著者コンビの特徴が活かせていないように感じました。

あと、まぁ、私が、投資の世界にあんまり興味がないという点も大きいでしょうけど(苦笑)。

私も、小さい会社を経営しているので、毎日やっていることは投資だと言えるのですが、
こういう本で扱われるテーマは大きすぎて、自分に引き付けるのが難しいんですよね。
まぁ、最初から100店舗計画を持っていないと、100店舗は作れないと思うので、
ちまちまと目の前の投資に囚われている人には、そもそも投資っていう行動は
相応しくないのかもしれませんが。

うーん、零細企業経営者向けの投資の解説本、ないかなぁ。




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『巣ごもり消費マーケティング』
- 2022/08/09(Tue) -
竹内謙礼 『巣ごもり消費マーケティング』(技術評論社)、読了。

コロナ禍における巣ごもり消費をいかにゲットしていくかを説いた本。

中身よりも何よりも、この本を2020年6月に出版しているそのスピード感に
さすがマーケティングを主戦場とする著者だなと感心しました。

書かれている内容のレベル感は、スピード重視の「広く浅く」方針で、
各業種ごとに数行の簡単な分析を述べていたり、
通販サイトに参入するならコストをかけずにまずはお試しレベルで、というような
ま、ちょっと考えればわかるような程度の内容です。

ただ、2020年6月の段階で、コロナ禍に対する不安が急に広がってきた状況下で、
これだけ広い分野を押さえてコメントされた本があると、
不安に思ってる読者に多少の安心感を与えたのではないかなと思います。

当時はまだ、夏には終息するだろう・・・・・と考えていた日本人が大半だったのではないかと思います。
なので、この1~2カ月の非常事態をどう乗り切ればよいのかという課題認識だった中で、
数年先も含めた長期的な視野でも考えるように勧めているので、
そこも凄いなと感じました。
ただ、まさか2022年8月の今になって「過去最大の感染者数」なんて騒いでいるとは、
さすがに想定してなかったでしょうけれど。

内容は広く浅くなので、コロナ禍で2年以上経過している今読んでも
そんなに得るものはないです(苦笑)。




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『貯金兄弟』
- 2022/05/26(Thu) -
竹内謙礼、青木寿幸 『貯金兄弟』(PHP文庫)、読了。

両親を亡くしたことで小学生の時に叔父の家に居候することとなった兄弟。
日々の生活が貧しいだけでなく、居心地の悪さも重なり、
それぞれの人格形成に大きな影響を及ぼします。

大人になり、兄はその時にあるお金を将来のためにいかに使うか、
手元のお金以上に使えるお金がどれだけ作れるかというような
良く言えば投資家肌、悪く言えば浪費家の人物に育ちます。
就職先が大手広告代店ということで、金銭感覚も通常の幅よりも過大に膨れていきます。

一方、弟は、節約命の切り詰めた生活を良しとし、
各種制度をいかにお得に活用するか熱心に情報収集を行う人物に育ちます。
固く公務員の仕事を選び、消防士となります。

この兄弟や、その周辺人物のお金にまつわる悩みやトラブルを解決するために、
弟を中心にお金のテクニックを解説、提言していくストーリーで、
お得生活を学べる仕組みになっています。

前半は面白く読んだのですが、後半は、弟に火を自在に操ることができる「パイロキネシス」の
能力があるという話に展開していき、お金の話とどうリンクしていくのかと思ってたら、
全然繋がらないまま物語が終わってしまったので、「なんだったんだ???」という感じでした。

無理に小説としての山場を作ろうとして失敗したかのような・・・・・。

前半が、スムーズにお金の知識を学べる流れになっていて面白かったのに
後半でぐずぐずになってしまって残念でした。




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『猿の部長』
- 2021/09/11(Sat) -
竹内謙礼、青木寿幸 『猿の部長』(PHP研究所)、読了。

空想的な設定でマーケティング理論を語る竹内作品、
今回は、猿が経済界で人間を支配するパラレルワールドに飛んでしまった
有能マーケッターが主人公の作品。
猿の社長や部長相手に、赤字経営の会社の立て直しに挑みます。

設定がこれまたキョーレツですが、
不動産事業、美容事業、寝具事業、キッチン用品事業、通販事業、
それぞれの立て直しに向けての提案が説得力あるし、
また、「これをやれば大成功!」というスタイルではなく、
「まずこの仮説でやってみて、ダメだったら手直ししていきましょう」というスタイルなので
現実味もそれなりに感じられます。(もちろん全部成功していくという点はご都合主義ですが)

各事業の特質というか弱点に合わせて戦略の練り方を変えていく点も勉強になったし、
そもそも前に成功した方法を一度議論の場に乗せて(素人役の秘書に提案させて)
それではなぜダメなのかをきちんと説明しているので、
一つの理論がすべての場面で正解を引き出してくれるわけではないということも
分かりやすく解説されていて、よかったです。

大会社の部長以上の要職を猿が仕切っているという設定も
一応、科学的(!?)な理屈で説明されていて、しかも捻くれた人が喜びそうな
陰謀論的味付けが笑えます。

しかも、最後の最後、パラレルワールドから主人公が元の世界に戻ってくる展開も
二ひねりぐらいされていて、小説としても意外に面白かったです。




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『訴訟合戦 オレ、あした、部長のこと訴えるわ』
- 2020/03/05(Thu) -
竹内謙礼 『訴訟合戦 オレ、あした、部長のこと訴えるわ』(角川文庫)、読了。

著者の作品の中では、一番イマイチな感じでした。
多分、過去に読んだ本は、小説風とはなっていたものの
マーケティングについて分かりやすく解説する手段として小説風にしているという
建前がしっかりと前面に出ていたので、割り切って読めたのですが、
本作は、そのあたりが曖昧で、かなり小説側に寄った立て付けになっているので、
小説作家としての力量が問われてしまい、あまり面白くなかったです(爆)。

テーマとしては、「会社員生活における法的リスクとその回避方法」的なものだと思いますが、
それを、昭和頭の上司たちと、ゆとり世代の若手社員たちの対立という
分かりやすい構造で描いていきます。
私は上司世代の方に属する年代なので、最初はどうしても、
「なんだこの使えない若手社員は!?」的な目線で冷ややかに見てしまいましたが、
一方で、上司側の問題の本質から逃げて曖昧にお茶を濁そうとする対処も雑で、
こりゃ、若手が付け上がっても仕方ないよなぁ・・・・てな感じです。

若手社員の方も、最後まで読んでいくと、本当にそんな態度を取りたかったわけでもなく、
本人の性格やら、引くに引けなくなった事態やらで、
物言いが極端になっていってしまったということがわかり、
可愛げもちゃんとあるなと思えるようにはなっています。

ただ、途中の対立構造が、途中から別の敵が登場することで
なんとなく有耶無耶になっていくというか、
終わりよければすべて良しみたいな対立解消になってしまっており、
本質的な解決になっているのかちょい疑問。

それもこれも全て、「小説仕立て」ではなく、「小説」として表現してしまった著者のせいだな(苦笑)。




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『検索刑事』
- 2019/11/12(Tue) -
竹内謙礼 『検索刑事』(日経ビジネス人文庫)、読了。

「検索刑事って何なんだよー!(笑)」って感じですが、
著者名を見て買ってきました。
リアリティのない設定の小説で、マーケティングの本質をえぐる著者ですから(笑)。

「『羽毛布団』のキーワードで1位を取らなければ、天誅を下す」との脅迫文が届き、
警察はその捜査に乗り出すことに。
犯人を捜すのと同時並行で、被害者が出ないよう、羽毛布団の検索で1位を取ろうと画策します。

この後者の部分で、新人刑事とIT企業の人々とのやりとりを主に描いているのですが
「検索1位」というものがどうやって出来上がっているのかを分かりやすく示していて
さすが竹内作品と思ってしまいました。

ホームページの制作ではなく、プロデュースをする視点の大切さ、
これは商売をやっていると身に染みて感じます。
しかし、ホームページをこうしたい!というアイデアはあっても、
それを形にする技術がないので、IT企業などに頼むしかなく、
その制作作業にお金と時間がかかるので、二の足を踏んでしまうんですよねー。

で、その制作に携わる人々はというと、超ブラックな環境で働いていることが
本作でも描かれており、IT企業は人間の手を使って長時間労働で業務をこなしているという
なんだか皮肉な状況が浮かび上がってきます。

昔、わたしもサラリーマンだった頃は、社内のシステム部門の社員も
協力会社と呼ばれるシステムベンダーさんも、みんなヘロヘロだったものなぁ・・・・・・。

IT業界の労働環境についても、一度、きちんと勉強してみたいなと思っています。




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『お客の心が読めるメガネ』
- 2019/03/28(Thu) -
竹内謙礼 『お客の心が読めるメガネ』(かんき出版)、読了。

Amazonの商品写真には付いてないですが、
私がブックオフで見つけた品にはメイド服でメガネをかけた女性の写真が
大きく載った帯がかけられていて、パッと見は「痛い本」だったのですが、
著者名を見て、手に取ってみました。
前に読んだ本も、かなり斬新な設定の会計の本だったので(苦笑)。

本作は、マーケティングや店舗づくりがテーマです。
独立して鞄屋を始めた男性。上手く売り上げを立てることができない日々に、
突然黒縁メガネが現れ、それをかけるとお客の心の声が聞こえるようになるという
またまたファンタジーな設定です。

通常、「お客様の意見を取り入れなさい」「お客様は神様です」というような
マーケティングの指導がされがちですが、本作は正反対のことを主張します。
「お客様の声を聞き過ぎてはいけない」「お客様は欲望の塊です」と。

なぜ、顧客の声に盲従してはいけないのかを、
コミカルな小説仕立てで解説していきますが、それが非常に分かりやすいです。
もちろん、かなりシンプルかつ誇張して物語にされているので、
現実の世界とは違っているかと思いますが、言わんとしていることは分かりやすいです。

実際、私が作って販売している商品も、
「値段が高い」とか、「種類によって生産量が少ないのは困る」とか、いろいろ言われがちですが
そりゃ、その声に対応して儲けが出ればいいけど、利益削ってまですることじゃないもん!
と割り切って、無視してます(爆)。

1億円の売上で100万円の利益を出すのと、1千万円の売上で100万円の利益を出すのなら
私は後者を選ぶということです。

その考え方の背中を押してくれる本でした。

昔から言われてきた「お客様は神様です」は、なぜ今の時代に通用しなくなったのか、
その時代背景の変化も解説されていて、納得できました。

自分のところの商品に適したお客様をいかに見つけてきて、
そのお客様を大事にするかが鍵だと思いました。




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『会計天国』
- 2013/10/24(Thu) -
竹内謙礼、青木寿幸 『会計天国』(PHP研究所)、読了。

ブックオフの「経営」の本棚で、異彩を放っていた一冊(笑)。

会計知識を小説仕立てで読ませるという企画で、
まぁ、「女子大生会計士シリーズ」の二匹目のどじょう狙いというところでしょうか。

経営コンサルタントの主人公が、突然の交通事故死。
そこに現れた天使が、「5人の人間を救えたら現世に戻ることができる」とのお題を。
会計知識を総動員し、ターゲットの人間の周囲の人に乗り移って指南する!

と、まぁ、非常にファンタジー(?)な作りになっています。
何もそこまで捻らなくても・・・・とは思ったのですが、
「今度こそ最後まで読める」とのキャッチコピーにするには、
これぐらいの大胆な味付けが必要なのかもしれませんね。

小説仕立てとはいえ、キャラクターたちが喋っている内容は会計の話そのもの。
最初は、初歩的な問答ばかりで新鮮味が感じられなかったのですが、
「粉飾決算を見抜く」というテーマの章は興味深かったです。
見抜き方もそうですが、何よりも粉飾決算の手口の解説が面白かったです。
「うちの会社に転用するとどういうことになるんだろうか?」と考えてみたり(笑)。

ファンタジーな小説の設定が、最後まで上手く活用できているようには思えませんでしたが、
とりあえず、気軽に読める本ではあります。


会計天国会計天国
竹内 謙礼 青木 寿幸

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女子大生会計士の事件簿〈DX.1〉ベンチャーの王子様 (角川文庫)女子大生会計士の事件簿〈DX.1〉ベンチャーの王子様 (角川文庫)
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