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『千年ごはん』
- 2019/09/24(Tue) -
東直子 『千年ごはん』(中公文庫)、読了。

歌人である著者の食にまつわるエッセイ。

食のエッセイというと、あちこち食べ歩くグルメエッセイと
自分でこしらえる料理エッセイとに大きく分かれますが、本作は後者の部。

著者の日常を切り取った風景の中に食べ物や料理が登場し、
そして、そんな食に関する短歌が一首。

エッセイだけだと、分量が短いこともあって、さらさらっと読んで終わりになってしまいそうですが、
最後に短歌がくっついてくることで、その余韻に浸れます。
そして、その余韻の中で広がる景色を楽しみ、「どんな味がしたのかな」と想像が膨らみます。
食にまつわるエッセイでありながら、短歌の世界観の奥深さが味わえる構造になってます。

「歌人」って聞くと、自分の生活の中に短歌がないためか、
ものすごく特殊な人種を想像してしまうのですが、
本作の中で、著者には、夫が居て、子供がいて、彼らの食事を作り、
自分の食事を楽しむ、そんな普通の日常が描かれており、
あぁ、歌人という立場の人も、普通の人間なんだなと、
ありきたりな感想を持ってしまいました。

でも、普通の日常を過ごしながら、短歌としてバチっと情景を切り取って見せる力量を見るにつけ、
どんなに繊細な感覚で日々を生きているのだろうかと、不思議な気持ちにもなりました。

興味深いエッセイでした。




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『とりつくしま』
- 2018/09/22(Sat) -
東直子 『とりつくしま』(ちくま文庫)、読了。

読みたい本リストに入っていた一冊。
どこでチェックしたのか記憶がありません(苦笑)。
短編集で、特に賞も受賞していないのに、わざわざ記録しているのは珍しい。

というわけで、勝手に期待値をあげてしまったせいか、
それほど面白いわけでもないな・・・・・という印象に終わってしまいました。

死んだ直後、あの世の入り口で、この世に未練が残る者に対して
とりつくしま係が対応する。
「何かモノになって、この世に戻れますよ」と。

モノに憑りつくだけなので、自分から働きかけることはできず、
受動的に状況を眺めるだけという設定。
そこは面白いなと思いましたが、
未練が解消されたらあの世に戻るとか、そもそも時限があるとか
そういう設定がなかったので、ちょっとずるずるとした印象を受けました。

まあでも、各お話のページ数が少ないので、
そこまで設定を複雑にできなかったのかもしれません。
短く簡潔に終わるので、お話の余韻は結構楽しめます。

やっぱり、親から子供への目線とか、
夫婦の相手への思いとか、
そういうシンプルな愛情について描かれると、
ぐっとくるものがありますね。


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『ダイオウイカは知らないでしょう』
- 2016/01/30(Sat) -
西加奈子、せきしろ 『ダイオウイカは知らないでしょう』(文春文庫)、読了。

『anan』で連載されたという短歌挑戦シリーズ。

西加奈子×せきしろという組み合わせが、
なんとも予測不可能な短歌を生み出しております(笑)。

中学校の国語の授業などで、私も短歌づくりに挑戦したことがありますが、
「五・七・五・七・七」の定型に当てはめることを最優先に考えてしまい、
何とも味気ない文句しか思いつかなかった思い出があります。

しかし、せきしろさんは、思いのたけをぶちまけることを最優先にし、
字余り・字足らずどころか、破調の短歌から入っていきます。
うーん、なんとアグレッシブな!
まず型に囚われてしまう自分からすると、この自由さが羨ましいです。

そして、ストーリー重視の西さん。
小説家という職業柄なのは分かるものの、そのストーリー設定あまりに斬新。
オバマ大統領との不倫の歌とか(笑)。

笑いを狙いすぎじゃない?と思う歌もあれば、
次にいきなりキレイな情景描写の歌を作ったりして、
油断も隙もあったものじゃない。

そんな2人を見守るゲストが登場しますが、
最初は本職の穂村弘さん、東直子さんによる入門指導のような感じで、
褒めつつも型についてポイントは指導するという方法により、
読んでいる側も短歌の基礎が分かったよかったです。

そして、最後に再び穂村弘先生登場。
2人の成長の度合いが良く分かる解説で、面白かったです。

短歌は、1人で作って満足するよりも、
複数人でお題を決めて披露しあうのが楽しいスタイルなのかもしれませんね。


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